ある休日の『とんかつ さくら』。
まだ
今回の弁当は、箱そのものは大工のジェイムズに
午前10時頃、ようやく完成した弁当を、刑事のエリックから借りてきたリヤカーに詰め込む。味噌汁の材料と
「たくさんお客さんが来てくれるといいにゃ」
「うん、きっとみんな喜んでくれると思うなぁ」
さくらは弁当だけでなく、紙芝居や
「ぐぬぬぬ……しかし、重いね……」
「どりゃあああ……さくら、これは
二人は、かなりの
「僕たちも手伝いますよ」
「わあ、とんかつ屋さんのネコチャンだぁ。近くで見ると、もっとかわいい」
さくらの店の近くで遊んでいた子供たちが数名
「あぁ……助かるよ……ありがとうね」
「
「あはは、そうなんですね」
そんなやり取りを
さくらたち一行が公園に着いたのは、ちょうど
──『一日だけなんですか?』
『ええ、許可をもらえませんか?』──
さくらは事前に、以前屋台出店で世話になった保健所の女性職員、『ケイト・ローズ』と連絡を取り合い、一日限りの
こうして、さくらたちはリヤカーにのぼりを立て、きなこが勢いよく
「こんにちは~!とんかつさくらで~す!お弁当をご用意しました~!よかったら食べてくださ~い!」
「とんかつさくらだにゃ~!今日は特別メニューの弁当だにゃ~!ドンドン!」
その横では、先ほどまでリヤカーを押すのを手伝ってくれていた子供たちも、わいわいと声を張り上げ、客寄せに参加してくれる。おかげで弁当は、飛ぶように売れていった。
今回は味噌汁もその場で作る。湯を
「うめえ、うめえ」
「しっとりした揚げ物もおいしいね」
「この『つけもの』ってやつ、すんげえ美味しい」
「ねぇ、このコリコリした
「あ、それはですね……」
「おうおうおう!誰の
そこへ、どこかで見覚えのある男三人組が現れた。
「まあ、やだわ……行きましょ」
「ああ、こわいこわい。またヤクザもんが来ちまった……」
客たちは逃げるように立ち去り、男たちの視線を避けるように、さくらたちの前から姿を消していく。
「おまえら、完全な
「ああん?誰にもの言ってんだ、この
「久しぶりだな。この
さくらを守るように前に立ち、
「あ、兄貴……!こいつ、あのときの……!」
「あん?あのときの?…………ハッ!!」
ようやく思い出した
「あっどうも!きなこさん、チーッス!」
「きなこさん、チーッス!」
「おのれら、まだ
「すいやせんすいやせん!もうしません!」
男たちはまるで赤い牛の人形のようにカクンカクンと腰を曲げて
その後すぐに営業を再開すると、
弁当の在庫もすべて売り切れ、客寄せを手伝ってくれた子供たちと一緒に、
「みなさ~ん!紙芝居を始めますよ~!今日はたくさんお話ししますよ~!」
「ドンドン!今日は
再び二人は声を張り上げ、先ほどの子供たちも客として加わる。久しぶりのさくらの紙芝居ということもあり、あっという間に大勢の人が集まった。
さくらたちが店を始めてからというもの、紙芝居が姿を消していた公園では、その後、さくらのあとを
「おばあちゃんのお耳は、なぜ大きいの?」
「それはね、お前の声をよく聞くためさ」
「あかずきんちゃん、にげて~!」
「がんばえ~!」
子供たちは
大人たちは、その
「めでたしめでたし~!」
さくらがそう締めくくると、
いつものお手玉やおはじき、
折りたたみテーブルを囲み、みんなで座ると、子供たちは初めての遊びに夢中になっていく。
「これは『つる』っていうんだよ」
「へえ、すごいなぁ」
「さくら、ずいぶん
「これならネコチャンの手でも折れるよ。一緒にやろう?」
「優しい子だにゃ……でも、ボクは魔獣であるぞ」
「そっか。でね、ここをこうするといいみたい」
そんな和気藹々としたやり取りをしていると、一人の男の子が、鼻を垂らしながら一生懸命に真似して折っているのに、さくらは気づいた。
「あら、君はもしかして、ミーシャちゃんの弟さんじゃない?」
「うん。おねいちゃんと、お店に行ったよ」
いつからそこにいたのだろうか。先日、食材を届けてくれた
「うふふ、この間は届けてくれてありがとうね」
「うん。僕も、いつもお手伝いしているよ」
「へぇ。おりこうさんだねぇ」
さくらは、ミーシャの弟の頭をそっと
「バサバサバサ」
テッツォは、さくらの真似をして折った、
「テッツォくん、鳥さんが好きなの?」
「うん、好き。空を飛んでみたいな」
「じゃあ、飛ぶやつを作ってあげるよ」
さくらは少し大きめの紙を取り出し、
「じゃあ、いくよ?みんな見ててね。そぅれ!」
さくらが空に向かって投げると、その『
「わあ!!」
「鳥さんだ!」
「すごい!」
「飛んでる!」
子供たちは、
「みんな!危ないよ!」
さくらは
「ぼくにもやらせて!」
「わたしにも投げさせて!」
「待ってね。みんなの分も作ってあげるからね」
そうして、さくらは人数分の紙飛行機を作っていった。形によって飛び方や
「さくらちゃん」
「うん、どうしたの?」
「この鳥さん、持って帰っていい?」
「いいよ」
その
「さくら」
「うん?」
「今日は、もうここまでにしようにゃ」
「そうだね。おしまいにしよっか」
こうして、この
リヤカーに今日使った道具をすべて積み込み、
さくらときなこ、そして子供たちは、一緒になってミンチェスティへと帰っていくのだった。