SAO~黒の剣士と遊撃手~   作:KAIMU

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 リアルが忙しかったので、一週間ほど空いてしまいました。

 戦闘描写、上手くかけているかな……?


八話 第一層ボス攻略戦

 クロト サイド

 

 攻略会議の二日後、オレ達は”トールバーナ”の広場に集まっていた。

 

 「みんな!いきなりだけど、ありがとう!!たった今、レイドメンバー全員が集まってくれた!」

 

 リーダーのディアベルが、メンバー全員に礼を述べた。

 

 「おれ……一人でも欠けたら、今日のボス戦を中止しようって思っていたんだ。でも、みんなはちゃんと集まってくれた。だから、おれから言う事は一つだけだ」

 

 そこで彼は一旦間を置いて

 

 「勝とうぜ!!」

 

 そう叫んだ。メンバー達も、おおー!と返していた。その一方でオレ達は

 

 「キリト、どう思う?」

 

 「俺は、ちょっと持ち上げすぎじゃないかって思うよ」

 

 「だな。足許掬われなきゃいいけど……」

 

 一抹の不安を抱いていた。

 

 ~~~~~~~~~~

 

 結論から言うと、オレ達の不安は杞憂だった。

 街を出て迷宮区を歩き、ボス部屋に到着するまでで大体一時間半。その間に何度かmobと戦闘になったが、ディアベルの的確な指示のお陰で楽勝だった。最後尾にいるオレ達が剣を抜く事は無く、移動時間のほとんどをボス戦の打ち合わせに使う事ができた。

 

 「なあクロト、あの二人……」

 

 「ああ。あれは大化けするな」

 

 昨日の練習で分かったのだが、アスナとサクラのバトルセンスは凄まじかった。アスナの剣はあまりにも速く、オレもキリトも視認できなかった。サクラは視野が広く、スイッチのタイミングが上手い。サポートにはうってつけだ(個人の戦闘能力も十分高い)。いずれこの二人は、最前線の中核をなす存在になるだろう。

 

 「……にしても、何でキバオウは装備を変えていないんだ?」

 

 「オレが聞きてぇよ」

 

 ここまでの道中、キリトはキバオウの装備が一昨日から変わっていない事をずっと気にしていた。確かに、四万コル近い大金があれば、装備を強化したり、買い換えたりできる筈だ。だがキバオウはそれをしていない。これから命がけの戦いになるのに、だ。

 

 (……まあ、あとで聞いてみりゃいっか。それよりも……)

 

 「お二人さん、立ち回りは覚えてるか?」

 

 「ええ」

 

 「やれるわ」

 

 今から始まるボス戦の方が重要だ。キバオウの事は一旦置いといて、意識をこれから始まる決戦に向ける。

 

 「キリト」

 

 「分かってる。いつもどおりに、な」

 

 キリトも大丈夫なようだ。そこでディアベルが

 

 「行くぞ…!」

 

 と言いながらボス部屋の扉を開いた。そしてレイドメンバー全員がボス部屋に侵入する。部屋に入ると、明かりが灯る。そのまま中ほどまで進むと、ヤツ―――イルファング・ザ・コボルトロードが動いた。座っていた玉座から跳躍し、オレ達の七メートルほど前方に着地したのだ。

 

 「グルアァァ!!」

 

 ヤツが雄たけびを上げるのと同時に、取り巻きであるルイン・コボルトセンチネルが三体ポップする。一方ディアベルも剣を掲げ

 

 「攻撃開始ぃー!!」

 

 ロードの雄たけびに負けない大声を上げる。彼の声に応えるように、レイド全員が鬨の声を上げて走る。

 すぐに双方の武器がぶつかり合い、第一層ボス攻略戦が始まった

 

 ~~~~~~~~~~

 

 「カアァァ!」

 

 人間ではまず出せないだろう掠れたような声を上げながら、センチネルがポールアックスを振り下ろす。それをサクラが『スラント』で下段からパリングし、スイッチ。

 オレはセンチネルの喉元に『アーマー・ピアース』を放つ。それは狙い通りにヤツの喉を貫き、そのHPを四割削る。

 ハルに短剣をクリティカル一極で強化してもらったので、ソードスキルのブーストと併せてやっとこのダメージが出せた。もちろん今のもクリティカルだ。

 

 「スイッチ!」

 

 オレの攻撃で残り三割になったセンチネルに、サクラがトドメの『レイジスパイク』を放つ。それはヤツの喉……では無く、兜のスリットに入り、頭部を貫かれたセンチネルが四散する。

 

 (……今の、目に刺さった……よな?)

 

 昨日から思うが、見よう見真似でキリトと同じ事ができるようになったサクラは、本当にビギナーなのだろうか?味方としては頼りになるが、この先彼女と対立する事になったらフルボッコされそうで少し怖い。まあ、むこうも似たようなもので

 

 「スイッチ!」

 

 「三匹目!」

 

 キリトのパリングによって隙だらけのセンチネルの喉を、アスナの『リニアー』が貫く。その一撃は……五割も残っていたセンチネルのHPを全損させた(もちろんクリティカル)。

 

 「キリト……オレ達、とんでもねぇのを味方につけてないか?」

 

 「……だな」

 

 次のセンチネルがポップするまで、まだ時間がある(ロードの残HPは現在三段目の半ば)。そのためオレとキリトはこうして休憩兼雑談をしている。アスナとサクラも同じく二人で休んでいるようだ。

 一方で、キバオウのパーティーは六人でセンチネル一体をフルボッコ。しかし、弱点である喉元に攻撃が当たらず時間がかかっている。

 ちなみにセンチネルの撃破数は

 

 キリト&アスナ  三体

 

 オレ&サクラ   三体

 

 キバオウ達    三体

 

 となっており、オレ達のパーティーだけで六体も撃破している。このままいけば、次のポップでも二体はこっちのパーティーで倒せるだろう。

 と、キバオウ達もようやくセンチネルを倒したようだ。だが、それと同時にロードのHPが四段目に入った。こりゃ連戦だな、キバオウ。ご愁傷様~。

 

 「アスナ、行くぞ!」

 

 「了解!」

 

 キリトもアスナと共にセンチネルへと向かう。オレもサクラへ声をかける。

 

 「よし、やるぞ!」

 

 「分かった!」

 

 手順は同じなので、時々本隊の様子を見る余裕くらいはある。とはいえディアベルの指示は適切で、本隊の全員がHPを八割以上の状態をキープしている。昨日ディアベル達が言っていたように、ボスの変更点は無いのかもしれない。順調に戦えているのがその証拠だろう。

 

 (LA取れないのは残念だけど……ボスにはこのまま何事も無くやられて欲しいな)

 

 「スイッチ!」

 

 「おうよ!」

 

 サクラの声で、意識をセンチネルに向ける。そのままヤツに『アーマー・ピアース』を放ち、そのHPを三割削る。しかし

 

 「カアァァ!」

 

 「何!?」

 

 予想外な事にノックバックを受けながらもセンチネルは体制を建て直し、オレに襲い掛かってきた。だが

 

 「させない!」

 

 サクラがオレの前に出て、バックラーで防ぐ。その間にオレは左手で腰から投適用のピックを取り出し、右へ動く。サクラとセンチネルが重ならない位置まで行くと、『シングルシュート』でピックを投げる。

 

 「カアァァ!?」

 

 「え?」

 

 ピックはセンチネルの兜のスリットに入り、左目に突き刺さる。センチネルはのけぞり、突然の変化にサクラは反応できていなかった。

 

 「ソードスキルを!早く!」

 

 「っ!やああっ!!」

 

 オレが叫ぶと、彼女は反射的に『ホリゾンタル』を発動。鎧に当たり、一割ほどしか削れなかったが、センチネルを吹き飛ばす事には成功した。

 

 「気にすんな。次、やるぞ!」

 

 「わ、分かった!」

 

 彼女も、さっき反応できなかった事はあまり引きずっていないようだ。落ち込んだ様な声ではなかったのがその証拠だ。

 

 「クロト、俺達の方は終わったぞ!」

 

 「分かった!こっちもあと少しだ!」

 

 いつの間にかキリト達はセンチネルを倒していた。別に張り合うつもりはなかったが……なんだか悔しい。

 

 「カアァァ!」

 

 「はあっ!」

 

 サクラがセンチネルのポールアックスを『スラント』で弾く。カァン!という金属音が鳴り終わるよりも先にオレは

 

 「おらぁっ!」

 

 『アーマー・ピアース』をセンチネルの喉にクリティカルヒットさせた。これでヤツのHPは残り二割。いける!

 

 「サクラ!」

 

 「やあぁぁ!」

 

 彼女の『レイジスパイク』が喉に当たり、トドメを刺した。

 

 「二人とも、グッジョブ」

 

 いつの間にか近寄ってきたキリトが、声をかけてきた。隣にはアスナがいる。

 

 「お前らも、お疲れ」

 

 オレはキリト達にそう返した。が

 

 「ちょっと、まだボス戦は終わってないわよ」

 

 「アスナさんの言うとおりだよ」

 

 アスナとサクラが、オレ達に注意してきた。

 

 「そ、そうは言ってもだな……」

 

 「取り巻き担当のオレ達は、もうする事無いぜ?」

 

 コミュ障のキリトがどもったので、オレが引き継いで言う。キバオウ達とは違い、オレ達アブれ組パーティーは四人。人数不足なのでボスへの攻撃に加えてもらえない事は明白だ。よって、オレ達は離れたところから本隊とロードの戦闘を見ているしかないのだ。それが分かったからか、二人は黙ってロードの方を見た。

 

 「グルアァァァ!!」

 

 丁度ロードのHPがレッドゾーンに入ったようだ。ひときわ大きな叫びを上げ、持っていた片手斧とバックラーを投げ捨てる。そこで

 

 「下がれ、おれが出る!」

 

 リーダーのディアベルが、何故か単独でロードの前に躍り出た。

 

 (ここはパーティー全員で囲むのがセオリーだろ?何を考えている……?)

 

 キリトも同じ事を思っており、困惑した表情だった。だが、一瞬だけディアベルがオレ達の方を見ながら微笑した事で、オレは彼の狙いが分かった。

 

 (あの野郎、自分がLAを取れるように仕組んだのか!って事はキリトの剣をキバオウが買おうとしたのも、それが失敗してもキバオウが装備を変えなかったのも、アイツが金を用意して依頼したからか!)

 

 通常のmobのLA(ラストアタック)は、貰える経験値や素材が増えるボーナスが付くぐらいだ。だが、ボスの場合はそれだけでは無い。

 ボスのLAに成功するとLAB(ラストアタックボーナス)として、オンリーワンの超レアアイテム、いわゆるユニークアイテムが手に入るのだ。

 多くのプレイヤーが存在するネットゲームで、たった一人しか貰えないユニークアイテムの希少価値は計り知れない。換金すれば物凄い大金が手に入るし、高性能な武具であれば自分で装備して活躍したり、目立ったりする事もできる。

 つまりボスへのLAはいい事尽くめなのだ。

 しかし、それを知っているのは元ベータテスターのみ。何故なら、SAOの公式サイト及びアルゴの攻略本には、その事は書かれていなかったからだ。

 つまりディアベルは元ベータテスターで、ベータ時代にオレ達がボスのLAを取りまくった事を知っている。だからこそキリトの剣を買い取って弱体化させる事とオレ達に取り巻きの相手を任せてボスへの攻撃のチャンスをなくす事で、自分がLAを取れるようにしたのだ。

 オレの剣を買い取ろうとしなかったのは、攻撃力の低い短剣なら放置しても問題無いと思ったからだろう。

 

 「グルルゥ!」

 

 ロードが低くうなり、腰から得物を引き抜く。その刃は細く、鋭い物で―――

 

 「タルワールじゃ……ない?」

 

 オレが記憶していたタルワールは、もっと太く鈍く光っていた物だった。だが今ロードが持っている物は明らかに違う。アレは―――

 

 「……野太刀……!」

 

 キリトも気づいたようで、オレのつぶやきとほぼ同時に

 

 「ダメだ!全力で、後ろに跳べぇぇー!!」

 

 ディアベルに叫んでいた。だが彼は既にソードスキルを発動していた。

 

 「はああぁぁぁ!」

 

 「グルゥッ!」

 

 ディアベルの渾身のソードスキルは、ロードが突然跳躍した事により空振りに終わる。そして技後硬直している彼に、落下の勢いを乗せた大上段からの斬撃を浴びせる。

 

 「うわあぁぁ!?」

 

 ”カタナスキル”重単発技『兜割り』。空中で発動できる上硬直が短い厄介なスキルだ。

 

 「グルアアァァァ!!」

 

 『兜割り』をもろに喰らったディアベルに、ロードは更なるスキルを発動しようとする。

 

 「キリト!!」

 

 「分かってる!!」

 

 ディアベルが『兜割り』を喰らった時には走り出していたオレ達だが、ロードとはまだ距離があり、スキルを妨害できない。

 本来なら、レイドメンバー達がディアベルを助けるべきだが、情報と全く違う動きをするボスにただただ驚き、動けないでいた。

 そしてロードは『浮舟』を発動。救い上げるように下段から斬り上げ、ディアベルを打ち上げる。

 

 (やべぇ!追撃のスキルがくる!!)

 

 『浮舟』はコンボ用のスキルで、技後硬直がゼロに等しい。ベータ時代、これの後には必ず高威力のスキルで追撃されたので、よく覚えている。

 ディアベルの残りHPは四割でイエローゾーン。カタナスキルのキルゾーンだ。追撃を喰らったら、彼は間違いなく死ぬ。それは分かっているが、オレ達には止められなかった。

 

 「ガアアァァァ!!」

 

 ロードの野太刀が紅く輝き、空中で身動きが取れないディアベルに襲い掛かる。

 袈裟斬り、斬り上げ、一拍溜めてからの突き。『緋扇』だ。それを喰らったディアベルのHPは―――ゼロになった。

 吹き飛んでいく彼と目が合った。必死に口を動かし、何かを訴えていた。読唇術なんて持っていないので、よく分からない筈だった。だが彼の目が、心の声を届けてくれた気がした。

 

 ―――ボスを倒してくれ―――

 

 その声に込められた想いとその重さが伝わり、オレ達は彼に頷く。

 それを見たディアベルは、どこか満足そうな笑みを浮かべ、ポリゴン片になった。

 

 SAOボス攻略初代レイドリーダー・ディアベルの命がここに散った。




 兜割りは、作者が勝手に考えたソードスキルです。

 それにしても、感想が来ない……

 お気に入り件数がじわじわ増えている事から、読んでくれる人がいるって事は分かるんですが、誰も何も言ってくれないとかなり寂しいものです……

 
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