SAO~黒の剣士と遊撃手~   作:KAIMU

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 大変長らくお待たせしてしまい、本当に申し訳ありません!

 そして今回もあんまり進んでません……

 他の作品の様に上手くまとめられません(涙)


十二話 月夜の黒猫団

 クロト サイド

 

 「我ら’月夜の黒猫団’と、恩人のクロトさん達に…乾杯!」

 

 「「「「「乾杯!!」」」」」

 

 「「か、乾杯」」

 

 第十一層主街区”タフト”にある宿屋一階の酒場で、オレ達は食事を奢ってもらっていた。

 どうしてこうなった?という今更な疑問を自分にぶつけながら、今日の出来事を振り返る。

 

 ~~~~~~~~~~

 

 二〇二三年四月八日

 最前線が二十代後半に達して間もない状態だった。二十五層―――クォーターポイントに配置された異常に強力なフロアボスとの戦いで軍が半壊、最前線から身を引いた。

 これにより、攻略組内の勢力が大きく変わった。具体的に起きた変化は、

 

 DKBがギルド名を聖竜連合(通称DDA)に変更

 

 二十層辺りから誕生した血盟騎士団(通称KOB)が本格的にボス攻略メンバーに参加

 

 クライン率いる風林火山が攻略組に参加

 

 といったところだ。他にも新しいギルドやパーティーが攻略組に加わったが、流石にボス攻略には参加していないところが多い。加えて、ビーターへの風当たりはより強くなった。

 とはいえ攻略速度は落ちている。まあ、今は攻略組が変わり時だから仕方がないと割り切ってるけどな。

 レベル四十を超えたオレ達じゃあ、現在最も効率が良いレベリングスポットに篭ってもレベルは碌に上がらない。じゃあどうしようかと思っていたら

 

 「今十一層のmobがドロップする素材が品薄だから、集めるの手伝って」

 

 とハルがキリトに頼んできた。キリトはそれを快諾、オレもついていった。

 

 三人でmobを蹴散らし、ノルマを大きく超える数の素材を確保できたので引き上げようとした時、悲鳴が聞こえた。同時に、ヤタが悲鳴が聞こえた方向にmobを見つけたので急行。

 複数のmobに囲まれたパーティーがいたのでこれを救出。すると彼らは

 

 「お礼がしたい」

 

 と言って、オレ達を拠点の宿屋に連れ、今に至る。

 

 

 以上、回想終了。ちなみに彼らは、オレ達がビーターである事に気づいているが、全く気にしなかった。というかオレの顔とヤタがアインクラッド中に知られているから、隠すつもりも無かったが。

 

 「ところでキリトさん。もしよろしければ、キリトさん達のレベルっていくつなのか教えてもらえませんか?」

 

 ギルドマスターのケイタが、気さくにキリトに話しかける。

 

 「……四十ぐらいだよ」

 

 普段ならマナー違反とも取れるケイタの質問に、キリトは正直に答えていた。その顔は少し申し訳なさそうだった。

 

 「すごい!攻略組の知り合いは安全マージン維持するのがやっとだって言ってましたけど、キリトさん達はそれよりもずっとレベルが上なんですね!」

 

 だがケイタはそんなキリトの顔に気づく事無く、驚きと憧れが篭った声を上げていた。

 

 「……敬語はやめよう、ケイタ。年も近いみたいだしさ」

 

 「あ、そうだね。……うん、改めてよろしくキリト」

 

 コロッと砕けた口調になるあたり、ケイタも敬語は慣れていなかったのだろう。そのままケイタはキリトと会話を続ける。

 ハルの方を見れば、残りのメンバーに可愛がられていた。それはとても微笑ましいもので、見ていて飽きない。

 

 (……そういや、ヤタ何処だ?)

 

 ヤタが何処にいるか気になり探すと……すぐに見つかった。というかずっとオレの前で、一心不乱に皿に盛られた料理を突っついていた(一口が小さいので料理が全然減らないが)。

 

 (コイツ……食い意地張りすぎじゃね?)

 

 正直オレもヤタの食い意地には引き気味である。初見ではドン引き物だろう。誰も話しかけてこないのはコイツのせいだと思いたい。

 

 (索敵スキルがキリト以上なのはいいけど……攻撃力皆無だしHP少ないし、食い意地張ってるし時々主人突っつくし……)

 

 正直、ラッキーなのかアンラッキーなのか分からない。使い魔なんてそんなモンだと以前アルゴに言われたが、もうちょっとぐらい何か特典を付けて欲しかった。

 

 「―――ええ。クロトさんは男ですよ」

 

 「マジで!?」

 

 ハルとダッカーのやり取りが聞こえる。ああ、またか……。

 顔と使い魔がアインクラッド中に広がってから数ヶ月は経つのに、オレが男だという情報は攻略組以外には広がらないままだった。

 

 「私より可愛いのに男なんて……ズルイ」

 

 ぐあっ!やめてくれ……男としての何かが悲鳴を上げてるから……

 

 「サチさんもやめてください。クロトさん、本気で気にしてますから」

 

 「ホントに撃沈したみたいになってるぞ」

 

 そう言いながらキリトは、テーブルに突っ伏したオレをつつく。ついでにヤタも突っついてきた。ヤタ、割と痛いからやめろ。

 オレがヤタをはらっている間に、ハルがサチ達の仲のよさを褒めたり、ハルがスミスであることに驚いていたりと話が弾んでいた。と―――

 

 「あ、もちろんハルも可愛いよ。小動物みたいで愛嬌あるし」

 

 「……え……」

 

 あ、サチがハルにもダメージを与えてしまった。……サチ、男に可愛いって言っちゃダメなんだよ。

 

 「にいさ~ん!」

 

 ほら見ろ。ハルがキリトに泣きついちゃったよ。そう言えばこの間ショタコンの女性客にお持ち帰りされそうになったんだっけ……。

 

 「サチ……可愛いのに目がないのは前からだったけど、恩人泣かせたらダメだろ?」

 

 「あはは、ごめんね」

 

 ケイタのやんわりとした口調で諭され、ハルに謝罪するサチ。だが、空気は全く不快にならなず、居心地の良い温かなままだ。

 

 「サチって……ショタコン?」

 

 ん?サチがいじられ始めた?

 

 「ち、違うよ!」

 

 「そうかぁ~?それにちゃあハルの方をチラチラ見てるけど?」

 

 ササマルの爆弾発言にダッカーが悪乗りして

 

 「今更暴露してもおれ達は引かないから、正直に言いなよ」

 

 おとなしそうなテツオまで乗った。追い詰められたサチは

 

 「ホントに違うってば!ハルみたいな弟がいたらなって思っただけだって!」

 

 真っ赤になって全力で否定。

 

 「ハルに会ったヤツのほとんどがサチみたいな願望持ったから、恥ずかしがらなくていいぞ」

 

 と、助け舟を出すが―――

 

 「そういう問題じゃないってば!」

 

 かえってサチを怒らせてしまった。なんて言えば良かったんだ?

 

 「でもサチじゃあ、姉の威厳無いんじゃないか?」

 

 今度はケイタがからかい、それに対してサチは不満そうに唇を尖らせる。が、数秒後には全員が笑い出す。

 本当に微笑ましくて、温かい。閉鎖的な攻略組では先ず出会えないギルドだ。きっとキリトもハルも、同じ事を思っている筈だ。

 

 (フレンド登録くらいなら、してくれそうだな)

 

 毎日最前線を突き進み、神経をすり減らしているオレ達―――特にキリト―――にとって、ここは心を休める場所になってくれるだろう。例えそれがケイタ達の温かさに甘える事だとしても、彼らなら受け入れてくれると思う。だから、今回限りで縁を切りたくない。

 とはいえ、ビーターである事がオレをためらわせる。会話の流れを急に止めるような事もしたくないし……

 

 「それにしても、今日は本当に助かったよ」

 

 「あ、いや……そんな大した事じゃ―――」

 

 オレが考え事してる間に、話題は今日の出会いの事になっていた。

 

 「私、すごく怖かったから……だから、本当にありがとう」

 

 「えっと……」

 

 サチが泣きかけながら感謝すると、コミュ障キリトはどう返せば良いのか分からなくなり、視線でオレに助けを求めてきた。

 

 「ここは’どういたしまして’って言やあ良いんだって」

 

 「ああ……どういたしまして」

 

 ぎこちないが、つっかえる事無く言えた分キリトは進歩した。前はもっと酷かったし。

 

 「それで……キリト達がよければだけど、ぼく達のコーチやってくれないかな?」

 

 「コーチ?」

 

 ケイタにオウム返しで訊くキリト。そしてケイタは補足するように説明を始めた。

 

 「ほら、ウチのパーティーってバランスが悪いだろ?だから安全マージン取ってても今日みたいな事がよくあってさ……それを改善するために、武器がかぶってるサチをとササマルのうち、熟練度の低いサチを盾持ち片手剣士に転向しようって思ってたんだけど勝手が分からなくてさ」

 

 説明中、ケイタに軽くポン、ポン、と頭を叩かれていたサチが不満を言った。

 

 「何よ、人をみそっかすみたいに……今まで後ろから槍で突っついてたのに急に前衛やれって言われてもおっかないよ~」

 

 だがそれは、黒猫団の「サチは怖がり過ぎだなあ」と言う共通認識によってさほど深刻には受け止められずに流されてしまった。

 確かに盾持ちの前衛―――つまりタンク―――は死亡率が一番低い。だが、常にmobの目の前にいなければならない為、精神的に辛いところがある。

 ケイタはサチをタンクにして、その生存率の高さで恐怖をやわらげようとしているのだが、今のサチには逆効果だろう……今日の戦闘中に見せていた、攻撃時に目を瞑ってしまう程怖がっている様子のサチには。

 しかし、これは黒猫団の問題であって、オレ達部外者が安易に介入していい事では無い。

 

 (でも……丁度いい……のか?関わりが持てるのなら、サチの問題もじっくり解決できそうだし)

 

 「キリト、やろうぜ」

 

 「クロト……そうだな。ハル、別にいいよな?」

 

 オレが訊くとキリトは少し考えてからうなずき、ハルにも確認を取る。

 

 「僕はスミスだから、あんまり協力できないけど……兄さん達がやるって決めたなら、手伝うよ」

 

 オレ達が承諾すると、ケイタ達は顔を綻ばせて口々に「よろしく」と言ってくれた。

 

 攻略組が立て直しきれていないせいでペースダウンしているが、最前線でしなければならない事は多い。その合間に限定されてしまうが、オレ達が月夜の黒猫団の臨時コーチを勤める事を彼らは喜んでくれた。

 ならオレは、彼らの期待に応えられる様に努力しようと思った。




 言いそびれていましたが、クロトの女顔のレベルは、

 「暗殺教室」の潮田渚とか

 「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」の戸塚彩加とか

 ぐらいだと思ってください。
 (イラスト描けとか言われても作者は絵がド下手なので無理です……)

 誤字、脱字、アドバイス等ありましたら、感想にてお願いします。
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