SAO~黒の剣士と遊撃手~   作:KAIMU

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 どうも、KAIMUです。
 今回はオリ主の話です。


大和

 鏡を見る度に思う。

 

 ――”彼女”に会いたい、と――

 

 そう思う原因は分かっている。左側の前髪につけた黒いヘアピン。本来はペアだが、オレがつけているのはひとつだけ。これを見るたび、オレは初恋の相手を思い出す。少し、そのときの話をしよう…

 

 

 

 小学一年生の時だ。オレは母親似……つまり女顔である。それも並みの女子よりも断然可愛い(オレは断固として否定し続けたが)。

 そのため、入学式に保護者の人たちにこう言われた。

 

 「可愛い”娘さん”ですね!」

 

 このときオレといたのが真面目な仕事人間である父さんだったなら、息子だと訂正しただろう……だが父さんはその日、仕事を優先した。ゆえにいるのは母さん。そして母さんは――

 

 「いえいえ、そちらのお子さんも可愛いと思いますよ」

 

 否定しなかったんだよ!それどころかスッゲーいい笑顔で相手の子を褒めましたよコンチクショー!

 ああ、こりゃ幼稚園の時と同じだよ……きっと明日からは

 

 1、クラス全員に女の子と間違われる。

 

 2、オレは男だと言う。そして驚かれる。

 

 3、その内オレをからかうヤツが出てくる(女顔とか言われそう)。

 

 4、オレ、キレる(多分二人か三人くらいボコボコにしそう)。

 

 5、ボッチになる……

 

 このルートまっしぐらだよ!(幼稚園では実際にそうなった)

 

 

 だけどその日だったんだ。オレが”彼女”に会ったのは―――

 

 

 帰り道、オレは近所の公園で休んでいた。何故かって?超マイペースな母さんが、スーパーで買い物をした(選ぶのに時間をかけたため、実際のところはビニール袋ひとつ分しかない)。その後、公園に差し掛かったところで、

 

 「母さんはトイレに行くから、大和は公園で遊んでて」

 

 と言ってトイレに行ったからだよ。だけど母さん…ここ、ブランコと野球用のグランドしかないんだけど!?そしてオレ一人だよ!?そこ分かってて言ったのかなぁ……。

 

 (仕方ない、ブランコ漕ぐか……母さんトイレ長いし)

 

 似たようなことは今まで何度もあったので、半ば呆れながらもオレはブランコへ目を向けた。慣れって意外と恐ろしい……

 

 「ん?誰だアイツ?」

 

 思わずオレはそう言ってしまった。だってブランコにはオレと同じくらいの子供がひとり、背を向けて置物みたいに静かに座っていたからだ。手が届く距離まで近づいても、オレに気づく気配は無し。いよいよ置物か何かか?と本気で思い始めながらも試しに声をかけてみる。

 

 「何してんだ?」

 

 「はひっ!?!?」

 

 本気で心が傷ついた。別にこっそり忍び寄ったわけじゃないよ!?普通なら気づくように近づいたよオレ!?声のかけ方だって何もおかしくなかったよね?!?それなのにあんなに驚かれるなんて……

 けど、相手が女の子だってことは分かった。理由?スカートはいていたからだよ。ちなみにオレは半ズボン。そして今の彼女は――

 

 「あ……えと…そにょ………わた……あの……」

 

 赤面しながら盛大にパニクっていた。何言ってんのか分かんねえけど噛んでんのだけは分かった。

 

 「何もしねーからまずは落ち着け。ほら深呼吸」

 

 「すー、はー、すー、はー、すー、はー」

 

 素直にやったよ。だが、落ち着いたらそれっきり黙ってしまった。あと今更気づいたが、コイツ前髪長いな。こっちから目元が見えねえけど、前見えてんのか?

 

 「………」

 

 沈黙が痛い……こうなったら仕方ない、自己紹介でもして話をしよう。

 

 「えぇっと、オレは鉄 大和だ。よろしく」

 

 よし、ちゃんと名乗れたぞ…

 

 「くろ………と…」

 

  彼女は律儀にフルネームを言おうとしたようだが、オレが聞き取れたのは”くろと”だけだった。オレはそれに気づけず、ついムキになって訂正させてしまう。

 

 「違う、鉄 大和」

 

 「…くろ……と…?」

 

 涙声でまた”くろと”と言ったのにキレ、オレは大声を出してしまう。

 

 「違う!く・ろ・が・ね・や・ま・と!」

 

 その時だった。

 

 「渾名でもいいじゃない、大和?」

 

 いつもは15分くらいトイレに時間をかける母さんが、初めて5分足らずで戻ってきたのだ。

 そしていつもどおりのマイペース思考で、彼女とオレが友達だと思っている模様。

 母さん、オレとソイツ初対面だよ?分かってるよね?なんで親しそうに話しかけてんのさ!?

 

 

 「ごめんねぇ、大和ったら怒りっぽいからすぐ大声出しちゃうの。びっくりしたでしょう?」

 

 「い、いえ…あ……えと…」

 

 「ふふっ、緊張してるのね。なら、面白いもの見せてあげる」

 

 そう言いつつ母さんはオレの頭に手を伸ばす。…ってまさか!

 

 「ちょっ、まっ、やめ」

 

 「えい」

 

 スルッ、ぴょこーん!

 

 ヘアピンをとられた。そしてオレのアホ毛が立った。

 

 「いきなり何すんだよ!返せって!」

 

 「いいじゃない、減るものじゃないんだし。女の子に大声出して怖がらせちゃった罰よ。それに、まだ一人でつけられないでしょう?」

 

 返す言葉がねぇ……

 

 「…ぷふっ、ふふふ……」

 

 笑われた……超恥ずかしい…穴があったら入りたい…

 

 「ちゃんと笑えるじゃない、あなたも」

 

 母さんはそう彼女に言った(オレがorz状態なのをスルーして)。彼女はきょとんとした感じで、首をかしげる。

 

 「でも、もったいないわねぇ……ちょっとじっとしていてね」

 

 「は、はい…」

 

 母さんはオレからとったものとは別のヘアピン(何処から出した?)を彼女につけ、前髪に隠れていた目元を露にする。おーい、オレのアホ毛も何とかしてくれー。

 

 「よし、できた。大和、見てみなさい」

 

 そう言って母さんは彼女の前からどく。改めて彼女を見ると―――

 

 「可愛い…」

 

 「ほ、ほんとに?」

 

 素直に言ってしまった。冗談なしに見惚れてしまったのだ。それに若干涙目で反応する彼女を見ているとなんだか顔が熱くなってきた。

 

 「あらあら大和、惚れちゃった?」

 

 母さんにそう言われても、オレはただ生返事をするだけだった。彼女は可愛いと言われたのが嬉しかったらしく、次第に笑顔になった。オレにとっては”花が咲いたような笑顔”だった。

 

 「あ!そういえば名前きいてなかったわね。教えてくれるかしら?」

 

 いつものマイペースを発揮して、母さんが今更ながらに質問したとき――

 

 「桜~」

 

 と、彼女の母親らしき人が、彼女の名前を呼びながらやってきた。って、あの人は近所のおばさん!?

 

 「天野さん!?もしかしてこの子、天野さんの子?」

 

 「まあ、鉄さん?ええそうですよ。この子は桜。人見知りが激しかったから今まで大和君に会わせられなかったんですよ」

 

 「そうだったんですか……でも、可愛い子ですね」

 

 「あら、本当。今までずーっと目元まで隠してたのに、それをやめさせちゃうなんてすごいですね。ほら桜、ちゃんとお礼しなさい」

 

 「あ…ありがとう…ございました…」

 

 

 なんだか普通じゃない出会い方だったが、それがオレと桜との出会いだった。

 

 それから二ヶ月間、オレは桜とよく遊んだ(呼び方はクロトで固定された)。学校ではオレをからかうヤツはちらほらいたが、流石に女顔などオレにとってのNGワードを言ってくるヤツはいなかった。(オレと同じ幼稚園出身の子たちから話を聞いていたのか、ヘアピンについてとかひょろい事くらいでとめていた)

 

 オレは別段それらを気にせず、桜と過ごす当たり前の日々を楽しんでいた。その中で桜も徐々に、オドオドしたり話しかけられてもすぐに赤面することがなくなったりと人見知りがなくなった(オレ以外の子にはまだまだだが)。

 

 

 だが、そんな日々も突然終わってしまった。オレと桜をいつも温かく見守っていた母さんが、急死したのだ。原因は心筋梗塞。

 父さんが休日出勤していて、母さんと二人きりの日曜日の午後1時すぎぐらいに、健康そのものだった母さんが突然倒れたのだ。呼吸もせずに。その時オレは母さんが倒れたことが信じられず、パニックを起こした。

 

 それから少しして、桜がおばさんに連れられて遊びに来た。倒れた母さんに気づいたおばさんが急いで救急車を呼び、母さんは病院に運ばれた。だが、その時にはもう手遅れだったらしい。医者の話は難しくてちんぷんかんぷんだったが、なんとなく分かった事がある。

 

 ―――オレがちゃんとしていれば、母さんは死なずにすんだ筈だ、という事だ―――

 

 その事でオレは父さんに負い目を感じると同時に、何故あの時家にいてくれなかんだと憤った。その結果、オレは父さんとどう向き合えばいいか分からなくなってしまった。

 

 母さんが死んでから葬式やら何やらを父さんはそつなくこなし、気がつけばオレは父さんの父母……つまり祖父母の家に引っ越すことになった。

 どうしてそうなったのかとか、他に選択肢があったんじゃないかとかはよく覚えていない。大好きだった母さんがいなくなって、心にぽっかりと穴が開いた感じだった。

 悲しいはずなのに、不思議と泣くことは無かった。

 だけど引っ越すその時の桜が泣きながら、そして何度もつっかえながら言った

 

 「いかないで」

 

 を聞いたときはとても苦しかった。その涙を少しでも止めたくて、オレは母さんが死ぬ前日に買ってくれたばかりのペアのヘアピンを開封。その片方を桜につけて――

 

 「これ、母さんがオレにくれた最後のプレゼントなんだ。ペアだからさ、きっと母さんがまた会わせてくれる。だから………だから、”またな!”」

 

 「っ!……うんっ……グスッ…”またね、クロト!”」

 

 その時の彼女の泣き笑いは、14歳になった今でも鮮明に覚えている。決して忘れる事は無いだろう。だって彼女はオレにとって、今も想い続けている初恋の人なのだから……

 

 




 書きたいことをいろいろと書いていたら、キリトよりも長いお話になってしまいました。しかも文才が無いせいでグダグダ感がすさまじい……

 誤字、脱字、アドバイス等ありましたら、感想にてお願いします。
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