今回はオリキャラの晴人君のお話です!
皆さん、初めまして。桐ヶ谷 晴人(きりがや はると)です。
今回は僕の家族のお話をしたいと思います。
――2022年 8月 某日――
朝、七時にセットしたアラームが鳴り、一日が始まります。
義父さんは海外へ単身赴任、義母さんは深夜に帰ってきたため昼ごろまでは寝ています。そのため、家事は僕達子供が分担しています。
今日は僕が食事当番なので、こんな時間に起きています。ただ、ひとつ弊害が――
「ん~…まだ七時だろ……」
兄さんと同じ部屋なので、兄さんもアラームで起きてしまいます。その逆もあります。そして兄さんの頭には紺色のヘルメットのようなものが……
「兄さん、またSAOで午前様?」
「まあ、スキル上げしてたらつい、な」
「だからって、ナーヴギアつけたまま寝るって……」
兄さんは、世界初のVRMMOであるソードアート・オンライン(通称SAO)のクローズドベータテストに当選した、ベータテスターです。兄さんは昔から僕よりくじ運がよかったけど、抽選倍率が他のくじ引き等とは比べ物にならないくらい高かったこれに当たるなんて……僕も応募したんだけどなぁ……羨ましい。
「まあいいや。朝ごはん作ってくるから、八時半までには降りてきてよ。じゃないと……」
「分かってるって!洗い物押し付けられるわけにはいかないからな……」
「よろしい」
そう言って僕はテキパキと着替えると、一階に降りて朝食を作るため台所へ。
「ふっ!はっ!」
庭では姉さんが竹刀で素振りをしています。朝とはいえ真夏に剣道着って暑くないのかなぁ?そう思いつつ朝食を作ります。
メニューは、ご飯に味噌汁、目玉焼きに夕べの残り物のポテトサラダです。もうこのくらいの料理なら問題なく作れるようになりました。配膳までの時間を見計らい、準備の合間を縫って外にいる姉さんに声をかけます。
「おはよう姉さん。もうすぐ朝ごはんできるよ~」
「あ、おはようハル。もうそんな時間なんだ。今行くね」
そう言って姉さんは着替えとシャワーを済ませに行きます。兄さんは……まだ来ないみたいです。まぁ、八時半までにはまだまだ時間がありますけど。
とまぁ、他愛の無いことを考えながら準備を進め、配膳まで終わったところで、姉さんがやってきます。少し遅れて兄さんもやってきました。三人揃って手を合わせ――
「「「いただきます」」」
朝食を食べ始めます。今日の出来栄えは……まあまあかな?と、脳内で自己評価をしていると―――
「お兄ちゃんまたゲームで夜更かし?」
「まあな。楽しくってつい」
「だからって一日中やる!?それも毎日!?体に悪いよ!!」
ちょっとケンカ気味です。うん、姉さんの気持ちは解る。兄さんったらずっとSAOにログインし通しで、全然僕らに構ってくれないんだもん!正直寂しいよ……。
僕はゲームもそこそこやるからいいけど、姉さんはゲームやらないから、
「ゲームにお兄ちゃんをとられた!!」
って思っているようでベータテストが始まってからずっと不機嫌です。ですが
「悪かったって。今日の買い物に付き合うから、そんなに怒るなよスグ」
「ホントに!?やったー!!」
あっという間に上機嫌。姉さんちょろい……まぁ、僕も似たようなものだけど。
「ハルはどうする?一緒に来るか?」
兄さんからのお誘い。それに対して僕は――
「うん、行くよ」
即答です。ブラコン?上等です。
昼間に甘え尽くしたのか、姉さんは夕食後も上機嫌でした。そして兄さんは……
「それじゃ、リンク・スタート!」
SAOへダイブです。僕も一度だけダイブさせてもらったけど、あれはハマります。その時フレンドリストを見せてもらったけど、その数はたったの二つ。……兄さん、ベータテストでもボッチって……。
やめよう。兄さんのコミュ障は昔からだし。兄さんがダイブしている間は静かに勉強できるし。
そう考えて、僕は本棚から医学関係の本とノートを取り出して机に広げます。もうお分かりかと思いますが、一応明言します。僕の将来の夢は医者になることです。理由は一つ、大切な人との約束だからです。何年も前の、幼稚な約束ですが、僕にとっては、何よりも大事なことです。明日の食事当番は姉さんだし、兄さんは午前様確定だし…少しくらい遅くなってもバレないかな?そう思い僕は勉強を始めました。
「ええっと……これは……」
「まだ起きてたのか、ハル」
「あ、兄さん……」
いつの間にか兄さんがログアウトしていました。時間は……午前二時十七分。帰ってきて当然ですね。僕も人のことは言えませんね。
「あまり根を詰めるなよ?それで倒れたら木綿季が泣くぞ?」
―――木綿季。僕の大切な人。僕が医者を目指す最大の理由。桐ヶ谷家に引き取られてから一年位は手紙のやり取りをしていましたが、今は彼女たちも転校してしまい、連絡が取れません。どうやらHIVキャリアであることが漏れてしまい、いじめを受けていたようです。間違った知識や偏見で彼女たちを傷つけるなんて………許せない………!
「……木綿季には泣かれたくないなぁ。分かったよ、兄さん」
「ああ、それじゃ寝ようか」
そう言って、兄さんは微笑みながら僕の頭を優しく撫でてくれます。兄さんに頭を撫でられると、すごく気持ちが良く、どこかホッとします。ただ、兄さんの微笑みには影があり、昔のような心からの笑顔は一度も見せてくれません。これから先も、当分は見せてくれないでしょう。兄さんの、”額の傷跡を受け入れてくれるひと”が現れない限りは―――
「ハル?」
「あ…な、何でもないよ、兄さん」
「そうか?」
「うん、ちょっと眠くて、ボーっとしただけだよ」
やや強引に話を終わらせます。兄さんに負担は掛けたくありません。そのままテキパキと参考書とノートをしまい、ベッドに入って寝る体勢に。そこで兄さんも寝る体勢になります。
「お休み、兄さん」
「お休み、ハル」
互いに声をかけ、目を閉じて―――
(お休み、木綿季)
大切な人の事を想いながら、僕は眠りの中に落ちていきました。
誤字、脱字、アドバイス等ありましたら、感想にてお願いします。