はるか昔からある日本の小笠原諸島における火山列島のひとつである南硫黄島、
翡翠色の美しい羊脂玉(ようしぎょく)で作られた宮殿、日本の魔法学校・魔法処(マホウトコロ)。
国際魔法使い連盟に登録している11の伝統ある名門魔法学校の中で、この学校は生徒数が少ない。
どの世界にも、マグル(魔法や霊力を持たない普通の人間)と純血(家系が魔法などの力を持つ人間)は存在しており、純血の人達はマグルを「穢れた血(マグルブラッド)」と呼ばれており差別問題などが起こっている。
また、マグルと魔法族(魔法使い・魔女)との関係はそれほど良好ではなく、魔法族はマグルからその力を恐れられ、魔法族はマグルの目を避け、存在を隠しながら生活している人もいる。
現在では魔法省の手によってそれらの存在が隠蔽され、マグルの大半は魔法を良く思わない、
魔法族の存在をまったく信じていない状態であり、マグルが魔法を目撃してしまうと、
魔法省が出動して記憶を修正することもある。
東野美月・6年生、図書館で各国に存在する魔法学校の歴史本を読んでいる。
(ホグワーツ魔法魔術学校、確かハリー・ポッターという青年が通っているはずだよね…。私と同じ歳で、過酷な運命を背負っている…)
闇の魔法使い・ヴォルデモート、彼が放った死の呪いを跳ね返して「生き残った男の子」として
有名となったハリー・ポッター。存在は多く知られており、日本魔法界でも衝撃は受けている。
イギリスは現在、第二次魔法戦争中である。
(辛いことばかりで大変だけど、負けないでほしい…。ハリーや皆幸せになってほしい。)
美月は心の中で強く願った。最後のページをめくると、「ナイトレイブンカレッジ」の
特集がある。
(ツイステッドワンダーランド、男子校の魔法学校、グレートセブンにユニーク魔法…。
初めて聞くことだらけだ。)
様々な魔法学校があるのだなと感心した。
1学期終了、夏休みに入り、生徒達はそれぞれ家へ帰る準備を行っていた。美月は、親しい友人や仲間達と少し会話をして2学期に会う約束をした。寮部屋での片付けや忘れ物を確認して、大きなキャリーケースとボディーバッグを背中に抱えて玄関に向かった。
玄関に立った直後、深い霧が出現する。南硫黄島では雲霧林(うんむりん)と呼ばれる気候で、
海から吹き込む湿った風が地形にぶつかることで年間を通して発生することがよくある。
また、多種多様な魔法植物が自ら芽生え、繫殖して育つことがある。
(霧が収まるまで待っておこう…。)
しばらくして霧が収まった瞬間、目の前に黒い馬車が突如として現れた。
(…黒い…馬車…!? 何でこんな所に…!?)
初めて見る黒い馬車に美月は驚き、不安を感じて咄嗟に自分の杖を構えた瞬間、馬車が動き出し
衝突してしまいそのまま意識を失った。
(うぅ……ここ……どこだろう……。)
目を覚ました美月は、2羽の黒いカラスの銅像が立っており、大きな門の前にいた。先ほど目の前にいた馬車はいない、ここがどこかも分からない知らない場所に自分がいることにかなり戸惑っている。荷物や杖は自分のそばにあるのは良かった。
(あれ……何だか、見たことあるような……。取りあえず動かないと。)
立ち上がろうとした瞬間、体勢が崩れてしまい座り込む。馬車との衝突したせいか両足を見ると、かなり大怪我をしている。キャリーケースの中から、治癒薬などを取ろうとしたその時、全身黒いシルクハットに顔半分の仮面を被っている肩から羽のようなマントを着用している人物が美月の目の前に来た。
仮面の男「そこの貴方、何をしているのですか?」
「(びっくりした⁉) えっと…怪我をしたので、治そうと思いまして…。」
仮面の男は、座り込んでいる美月をじっと見ていると「おや…これは酷い怪我ですねぇ。治してあげましょう。私、優しいので。」と手元にあったカラスの髪飾りが付いている鍵の形をした杖を軽く振った瞬間、両足の怪我はすぐに治った。
「(この人、魔法使える!?) あのっ、治して頂きありがとうございます。」
美月は立ち上がり、深々とお礼をする。
仮面の男「いえいえ。ところで、貴方はどうしてこのような所に?」
「えっと…。信じてもらえるか分かりませんが、実は、私…。」
美月は自分の経緯、仮面の男はこの世界などについて話した。
仮面の男の正体は、ナイトレイブンカレッジの学園長、ディア・クロウリー。そして、ここはツイステッドワンダーランド。美月は、図書館で魔法学校の歴史本を読んでおり、まさか自分がこの異世界に来てしまった事に少し驚いている。
クロウリー「何ですって⁉ あの遥か東洋の魔法学校『マホウトコロ』。国際魔法使い連盟でも一目置かれる…。成績と成長で衣服の色が変わると噂の!! まさか『マホウトコロ』の生徒さんと偶然出会うとは。私、なんて幸運なんでしょう!! 特に、その銀色のローブと杖、未知の魔力を持っていますねぇ。」
「(知ってもらえて良かった。しかし、凄いテンション高いな…。) 」
クロウリーは興奮状態で、美月は少し引いている。
クロウリー「そういえば、まだ貴方の名前伺ってませんねぇ。」
「申し訳ございません、名乗り遅れました。私は…(異世界だから名前が先、苗字が後ろの順番にしないとね。) ミツキ・ヒガシノと申します。 学園長、恐れ入りますが私を『マホウトコロ』に帰りたいのですがどうしたら宜しいでしょうか。」
クロウリー「おっと、そうでした。心配はいりません。闇の鏡がすぐに貴方のいる故郷へ送り返してくれるでしょう。では、鏡の間に案内致しましょう。」
美月はクロウリーの後ろについて行って、正門をくぐり鏡舎に向かった。