マホウトコロ×ナイトレイブンカレッジ   作:みやり

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第2章 オンボロ寮

鏡の間に向かう途中、クロウリーは学園について美月に説明している。ナイトレイブンカレッジでは、2日前に入学式が行われたばかりであった。数人の生徒らしき人達とすれ違いざまに美月は小さく会釈をしたが「何で女がいるんだ⁉」「学園長の隠し子じゃねぇか。」など小言を言っているのを聞こえてしまい(男子校に女性がいるのは有り得ないよね…私隠し子じゃないのに…)と思った。

 

「そういえば、ここにいる人達は『マホウトコロ』の存在はご存知でしょうか?」

 

クロウリー「そうですねぇ…。私や先生方、生徒やこの世界の住人達一部は承知しておりますが、なかにはご存じない方もたくさんいると思います。本当に存在するのか疑っている人もいますからねぇ。」

 

「そうなんですか。(先ほどの生徒さん、知らなさそうだったね。)」

 

 

鏡の間に到着。中へ入ると、黒い棺が浮かんであり、真ん中に大きな鏡が飾ってある。

 

「(ここで入学式行われていたのと、寮を決める鏡がある。不思議な部屋だなぁ…。)」

 

初めて見る部屋に美月は周りをあちこち見渡している。いろいろと準備をしていたクロウリーが

美月に声を掛けた。

 

クロウリー「ミツキ・ヒガシノさん。鏡の前に立って下さい。強く故郷のことを念じて下さい。」

 

「はい。分かりました。(どうか、マホウトコロに帰れますように!!)」

 

クロウリー「さぁ!闇の鏡よ!この者をあるべき場所へ導きたえ!」

 

闇の鏡の中から仮面が出てきて、白く光りだしたが、すぐに消えてしまった。

「どこにもない…。この者のあるべき場所はこの世界のどこにもない………無である。」と言われてしまい、2人は啞然とした。

 

 

美月は何度も闇の鏡に強く念じたが、無反応だった。「なんとうことでしょう⁉ 世界中の事、

もちろんマホウトコロも把握しているはずですが⁉」クロウリーは焦っていて頭を抱えている。

美月は、ひとまず深呼吸した。

 

「学園長、他に何か帰る方法とかありますか?」

 

クロウリー「そうですね……。一度、図書館で調べてみましょう。何か見つかるかも

しれません。」

 

「私もお手伝いします。自分のせいで、ご迷惑かけて申し訳ないです。」

 

クロウリー「いえいえ。何て律儀な生徒さんでしょう。私、感動しました!!」

 

 

2人が話していると、突然、灰色の毛並みにシアンの瞳、耳の部分に青い炎がある謎の魔獣が

目の前に現れた。

 

 

謎の魔獣「やいっ、そこのニンゲン、オレ様を学校に入れろ!!」

 

クロウリー「何なんですか⁉ この狸は⁉」

 

「狸というより…。妖怪ですかね…。」

 

謎の魔獣「狸でも妖怪でもないんだゾ!!! 俺様は偉大なる魔法士になる男・グリム様だ!!!

魔法ならとびっきりのを今見せてやるんだゾ!!! ん” な”~~~!!!」

 

 

グリムと名乗る魔獣が青い炎を吹き出して、部屋中に広がっていく。

クロウリーはグリムを捕まえようとしているが、あちこちに動き回っていてなかなか

捕まえられない。

(このままじゃ、危険だな。) 美月は自分の杖を出して、一呼吸して呪文を唱えた。

 

「アクシオ(来い) 、イモビラス(縛れ)」

 

グリム「ふな゛っ!? 何なんだゾ今のは!? 何で体が動かないんだゾっ!! 」

 

「アクア・エルクト(水流)、レパロ(直れ) 学園長、今のうちです。」

 

クロウリー「ヒガシノさん、助かりました。では、学園外に放り出しておきましょう。

鍋にしたりはしません。私、優しいので。」

 

グリムは放り出されて、大事に至ることなく、2人は図書館へ向かった。

 

 

 

 

 

 

2人は必死に図書館で、故郷に帰る方法を探したが見つからなかった。(帰れなかったらどうしよう…。それに、何で私はこのツイステッドワンダーランドに来てしまったのかな…。何かの運命かな…。) 美月は、不安と焦りで頭が真っ白になっている。

すると、しばらく考えていたクロウリーが提案を言ってきた。

 

クロウリー「学園内に、今は使われていない建物があります。昔、寮として使われていた建物なので掃除すれば寝泊まりくらいはできるはずです。そこであれば、しばらく宿として貸し出して差し上げましょう!その間に貴方が元いた場所に帰れる方法を探るのです。

あ〜なんて優しいんでしょう、私!教育者の鑑ですね。」

 

「寮ですか。分かりました。(優しいって言葉、よく使うな~…。)」

 

クロウリー「では善は急げです。寮へ向かいましょう。少し古いですが、趣のある建物ですよ。」

 

 

 

 

 

 

 

オンボロ寮に到着した2人は、中に入ると、壁紙は外れている、蜘蛛の巣だらけで埃まみれなど

まるで廃墟のような感じである。

 

クロウリー「ここであれば、とりあえず雨風は凌げるはずです。私は調べ物に戻りますので、

適当に過ごしていてください。学園内はウロウロしないように!では!」

 

クロウリーは出ていった。(これはさすがにひどい…。綺麗にしないとね。) 美月はボディーバッグから、お札と黒い筆ペンを取り出してお札に「浄化」と書く。そして、お札に力を込めた。

 

「急急如律令(きゅうきゅうにょりつりょう) この部屋の汚《けが》れを退散せよ、

レパロ(直れ)、インセンディオ(燃えよ)」

 

お札が発光すると、蜘蛛の巣や埃は消えて、壁紙なども全部直り、暖炉に火をつけた。

すると、「ひひひひ……イッヒヒヒヒ……。」どこからか不気味な声が聞こえて美月は

緊張しながら向かった。

 

 

 

オンボロ寮にある廊下に、白い物体のゴースト(幽霊)3体が現れた。

 

ゴースト達「久しぶりのお客様だぁ〜。しかも女の子だ。」「イッヒヒヒヒ。」

 

「(これは、幽霊…なのかな…。)」

 

マホウトコロの周辺にも自然や物に宿る「妖怪」や亡くなった人の魂である「幽霊」はいたが、

これほど陽気に、しかも人間の言葉で明確に話しかけてくる幽霊は見たことがない。

(こんな幽霊もいるんだ……。) 初めて見た美月は少し驚いている。

 

 

ゴーストA「あれ……⁉怖がってない……。」

 

普通なら、恐怖で悲鳴を上げるはずだが、怖がらない美月にゴースト3体は啞然とする。

 

「こんばんは。初めまして。私、マホウトコロという学校から参りました、ミツキ・ヒガシノと

申します。可愛らしい幽霊ですね。」

 

ゴーストB「マホウトコロ、知ってるよぉ~。ずいぶんと遠くから来たの~。」

 

ゴーストC「俺たちを見て怖がらないとは、大したもんだ、お嬢さん。それに見てみろよ、

この服。綺麗な銀色をしている。」

 

美月は、マホウトコロの存在やローブについてゴースト達に説明した。

 

ゴーストB「妖怪、会ってみたいなぁ。このローブ、お嬢さんがもっと偉くなったら、

その綺麗な銀色が金ピカになるってわけかい?」

 

「う~ん、どうでしょうね…。銀色になったのはここ最近ですね。金色になるのはさすがに

難しいですからね。」

 

ゴーストA「金色のローブを着るお嬢さん、いつか見てみたいなぁ~。そういや、マホウトコロ

ではどんな魔法を使うのかい? 見てみたいなぁ~。」

 

「良いですよ。そうですねぇ…。じゃあ、幽霊達は私の近くにいてください。」

 

美月は、杖とお札を使って呪文を唱え、暗い廊下を明るくしたり埃まみれだった部屋全体が綺麗になった。

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜、クロウリーがオンボロ寮に来た。

 

クロウリー「こんばんはー。やさしい私が夕食を持ちしましたよ。…ってこれは何てことでしょう!?」

 

何年も使われていない寮がこんなに綺麗になっていることにクロウリーは驚く。

ゴースト達が目の前に現れて、美月が魔法を使って何もかも綺麗にしたと説明した。

 

「学園長、こんばんは。夕食、お忙しい中わざわざお持ちいただき、誠にありがとうございます。丁度、お腹が空いていたところです。」

 

クロウリー「いえいえ、私、優しいので。ゴースト達から聞いたのですが、宜しければ

貴方が「マホウトコロ」で学んでいる魔法を何か見せてくれませんか?」

 

「良いですよ。じゃあ、簡単な魔法で宜しいでしょうか?」

 

クロウリー「ええ、構いません」

 

 

美月は杖とお札を使って、桜の花びらが舞い散ったり、守護霊呪文を披露したりとクロウリーは

静かに驚き隣で見ていたゴースト達は圧巻されて拍手した。(魔法は、大変宜しい……。ブツブツ……。) クロウリーが何か呟いていて、美月は少し不安そうな顔をしている。

 

 

クロウリー「ヒガシノさん、大変申し上げにくいのですが貴方を元の世界へ帰す手段が『今現在』ありません……。他校の生徒を放り出すわけにはいけません…。そこでですが、元の世界へ帰る

方法が見つかるまでに貴方をナイトレイブンカレッジの生徒として授業を受けてもらいます。」

 

「えっ……。えぇっ!?」

 

クロウリー「まあ、落ち着きなさい。貴方がなぜこちらの世界に来てしまったのか私にも分らないのですよ。何せ、こういうことは初めてですからねぇ。それと、先ほど貴方が披露した「魔法」

初めて見て大変興味深い。これも何かのご縁だと感じましてねぇ…。」

 

クロウリーが考えた提案に美月は少し戸惑ったが、「マホウトコロ」に帰る方法はそう簡単に

見つからない、やたら「私、優しいので。」とよく使うクロウリーの言葉に少々胡散臭い感じが

したが、こうして考えてくれたのだなと思い、美月は一呼吸して決した。

 

「分かりました。ナイトレイブンカレッジの生徒として授業を受けさせていただきます。ご迷惑をおかけしますが、宜しくお願い致します。 もし、帰る方法が分かりましたら教えていただけると

幸いです。私も探してみて、もし見つかった場合、帰らせていただきます。それで宜しいでしょうか。」

 

クロウリー「分かりました! 授業内容、そちらとこちらの世界ではかなり違いますが学ぶ価値はあると思います。頑張ってください。」

 

「はい、ありがとうございます。あと、ここの生徒さんや先生方には…。」

 

クロウリー「伝えておきます。手続きなどは私がやっておきましょう。それともう一つ、当面の宿についてはここを無料でご提供します。ただし、衣食住については自分で支払っていただくかわりに、学内整備なども雑用をしてもらおうと思います。元の世界に帰るための情報集めや学習のために図書館や学食、他の施設など利用しても構いません。」

 

「分かりました。いろいろとありがとうございます。」

 

クロウリー「いえいえ、私、なんて優しいでしょう~。夜も遅いですし、ゆっくり休んでください。それでは、失礼します。」

 

 

クロウリーはオンボロ寮から出ていった。突然来てしまったツイステッドワンダーランド、さらにはナイトレイブンカレッジの生徒となり、雑用を受けることになり、異なる授業や魔法など何もかも初めてだらけで不安な美月だが、元の世界に戻るまでに何があろうと自分らしく生きようと決心する。波乱に満ちた学園生活が、今幕を開ける。

 

 

 

 

 

 

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