なろう版は全部履修済みだけどどこか間違ってたりするかもしれない
きっかけは刺激を求めていたのと、怖いもの見たさの好奇心だった
いや、もしかしたらこの時から「既に」燻っていたのかもしれない
一度目は...
本当の恐怖だった
本当の悲鳴だった
本当の...
血の味だった
二度目が始まるまでほんの少し時間が空いた
再び本当の
三度目はすぐに始まり
ここから先は数えても、覚えてもない
一つ、確かなのは
ここでは現実では味わってはいけない
「はあ〜...。」
自分...
やりがいはあまり無いがブラックでもない仕事をこなし
スポーツやゲームに手を伸ばしては妙な噛み合わなさで辞め、趣味も特に無いまま揺蕩っていた
齢21にして、燃え尽きてしまったのだ
「な〜んにも...やることがねぇ〜。」
休日たる土曜を、今日も今日とてひとり暮らし向けのマンションの一部屋で消費していく
いい加減
強いて言うならフルダイブVRという大きなカテゴリなら趣味たりえる
ハマってるタイトルは無いのだが
「んぁ...『シャンフロベータテストがヤバい』...?んだよこの記事...語彙力無。」
目に止まったのはゲーム情報誌
曰く『シャングリラ・フロンティア』というゲームのベータテストがあったらしい
グラがヤバい、作り込みがヤバい、NPCがヤバい...ヤバいしか無いんだけど
まあとにかくリアルって話らしい
そんなにリアルなら...
「また...味わえる...?」
今日はシャンフロの製品版の発売日
ちゃんと予約していたため家に帰れば宅配されているはずだ
「お、あったあった。」
玄関から投函されたのだろう小箱を拾い上げる
ほぼ封筒な薄さの段ボールを開封し、パッケージからソフトキューブを取り出してヘッドギアにいれる
「飯は栄養バーでいいとして、風呂...いや、着替えるだけでいいか。」
寝間着に着替えてベッドに寝転がり、ヘッドギアを被る
「『シャングリラ・フロンティア』...どれだけハマれるかな。」
「ああ、初めはやっぱキャラメイクからか。」
にしても項目が多い、リアルのコピぺもできるみたいだがせっかくのゲームだ、一から作るとしよう
性別はまあ、男性でいいか
髪色は...このくすんだ黄色とかいいな
おっ男性アバターでも伸ばせるんだ、少しだけ長めにしよ
目はハイライト消して瞳孔真っ黒に...あっ
体格はVRアバターならリアルより少し小柄なほうが動かしやすいから...これくらい、で...って
「...意識してなかったはずなんだけど。」
出来上がったアバターは、昔使ってたものに瓜二つになっていた
160cmほどの身長に細めの四肢、肩に掛かる程度の髪と、中性的な印象のアバター
光の無い真っ黒の眼は、澄んでいるようにも濁りきっているようにも見える
「血糊...いやダメだろ。まず無いか。」
とっさに赤を纏わせたくなってしまった
「アバターはこれでいいとして、えーっと?あとは
とりあえず職業を流し見し...流し...な...なげぇわ多すぎだろ
これ使う武器種で同じ戦士とかでも分かれてんのか、そら多いわ
「つまり最初から使いたい武器種は決めておけと...じゃあ両手剣...いや片手剣か?」
具体的には片手持ちも両手持ちもできる鉈みたいなのがいい
となるとスキル補正とか考えて、傭兵の片手剣使いかな
出身...うわこっちも多い
はえー、全部上昇補正と下降補正がセットで?スポーン地点やら好感度補正も変わるんか
「彷徨う者、天才、求道者...猟奇的趣味?」
「カルマ値に応じて補正?カルマ値?補正って何に?」
何もわからないが絶対碌なもんじゃないことだけは理解できた
理解はできたんだが...惹かれてしょうがない
自分の性根がイかれてて猟奇的なのは重々承知
なら、これが一番、楽しめるはず
「...
シャンフロの世界観はSFポストアポカリプスの中世ファンタジーだ
決してPvPメインであったり18禁のゴアゲームではない
それでも
良くはないけれど、しないことを推奨されても、規約で禁止、あるいは処罰対象にされてないなら...
していいのが、ゲームなんだ
「あはっ...」
迷い無い動きで出身を選択し、最後にプレイヤーネームを入力する
自分はプレイヤーネームを統一する派なので迷う必要はない
「クラブファージ。」
あの島以来、自分はこの名前以外にしたことがない
我ながら気に入っている
込めた意味合いも含めて
最終決定、始めよう
いざ、シャングリラ・フロンティアの世界へ
絶対チョー不定期です