先生がいないキヴォトスから来た一般生徒(覚悟ガンギマリ)   作:かまくら御前

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 スゥとアビドスの面々、先生との関係が少しと言っていいか分かりませんが希薄なので一章が終わったら幕間という形で絡みを出します。
 
 その中でも先生との幕間は重要なことをやろうと思うので、ぜひ見ていただけたら。

 まあ、そこまで続くか分かりませんが……会話させるの難しいよーー!
 
 では、下からほんぺです。


























   ──真相は間近まで来ている。
 


一般生徒、真相に近づく。

 

  「……ここまで来れば大丈夫でしょう」

 

  “うっぷ……よ、酔った……“

 

  「すまない……先生。今降ろす」

 

 抱き上げていた先生を降ろし、顔を青く染め口に手を押さえて吐きそうになっている先生の背中をさする。

 

  「うへ、それにしても。ヒフミちゃん、なんで逃げたの?篝ちゃんがいっぱい敵を減らしてくれたおかげで、すぐに制圧出来そうだったけど」

 

  「……ブラックマーケットで騒ぎを起こすと、ここを管理している治安機関に、見つかってしまうかもしれません。そうなったら本当に大事です……」

 

  「ふむ……なるほどなるほど。おじさん達はこの場所に詳しくないから、ヒフミちゃんが言うならそうなんだろうね〜」

 

  「ヒフミはここをかなり危険な場所だって認識してるんだね」

 

  「え?と、当然です。連邦生徒会の手が及ばない場所の一つですから……」

 

 どうやらちゃんと危険な場所と認識しているらしい。だが、ちゃんとそう認識しているのに何故……

 

  「そう思っているなら、何故トリニティの制服そのままでこの場所に来ている。しかも一人で……」

 

  “そ、そうだね、ヒフミ。それは私も許容できないかな……“

 

 先程まで酔っていた先生も少し良くなったのか、未だに青い顔色の中私に賛同した。

 

  「え!?えっとその……実は、学校を抜け出して来てるんです……」

 

 阿慈谷ヒフミは隠せないと判断したのか、驚愕の事実を暴露した。

 

 ……トリニティのお嬢様が学校を抜け出した?あの規律を重んじる、頭の硬い連中の生徒が?学校、ゲヘナと間違えているんじゃないか?抜け出して来るのがブラックマーケットとは。

 

  「そんなに欲しかったのか、()()()鳥が?」

 

  「あんなじゃなくてペロロ様です!!」

 

  「うおっ!わ、分かった。すまない」

 

 少しおどおどした感じの阿蘇谷ヒフミは、私があんな鳥といった瞬間とんでもない気迫を醸し出し、声を張り上げた。

 

 あんなと言っただけでこの反応、ペロロという鳥は、何が彼女をこうさせるのだろうか?

 

  「まあまあヒフミちゃん、落ち着いて。それよりさ、ヒフミちゃん。ここのことについて意外と詳しいんだね〜」

 

 小鳥遊ホシノはそう言っているが、明らかに何度もここに来ているだろう。あれほど熱狂的なファン具合だ、念入りに調べて来ていると思うが。

 

  「え?そうですか?危険な場所なので、事前調査をしっかりしたせいでしょうか……」

 

 その言葉を聞いた瞬間、小鳥遊ホシノは顔に満面の笑みを浮かべる。何故だろうか、その顔を見た私にはいたずら好きの少女が浮かべる笑みに見える。

 

  「よし、決めた〜」

 

  「……?」

 

  「助けてあげたお礼に、私たちの探し物が手に入るまで一緒に行動してもらうね〜」

 

  「え?ええっ?」  

 

 まあいい案だ、私達はこの場所の地理には詳しくない。誰か案内人がいてもいいかもしれない。

 

  「わあ☆いいアイデアですね!」

 

  「なるほど、誘拐だね」

 

  「はいっ!?」

 

 全く……何故砂狼シロコはそう物騒な方向に持って行きたがるのだろうか?

 

  「誘拐じゃなくて、案内をお願いしたいだけでしょ?もちろん、ヒフミさんが良ければ、だけど」

 

  「あ、あうう……私なんかでお役に立てるか分かりませんが……アビドスのみなさんにはお世話になりましたし、喜んで引き受けます」

 

  「よーし。それじゃあ、ちょっとだけ同行頼むね〜」

 

 

 

 

 ◇◆◇

 

 

 

 

  “はぁ、はあ。も、もう無理……“

 

  「だね〜、おじさんもこれには参ったな〜。膝も腰も悲鳴を上げてるよ〜」

 

  「えっ……ホシノさんはおいくつなのですか……?」

 

  「ほぼ同年代っ!」

 

 歩みを進めて数時間。お目当ての物は見つからず、とうとう先生がダウンした。

 

  「先生、また私が抱き上げよう」

 

  “うぅ……生徒にお姫様抱っこされる先生って……“

 

 仕方が無いだろう、私は身長が低いんだ。先生の身長は170以上はある。背負うと地面と脚が接触してしまう、そのまま歩くと脚を引きずることになるのでこれが一番いい案だ。

 

 「嫌ならそのヒョロヒョロな体をどうにかしてくれ」

 

  “……仕事が忙しくて運動できないんだよね“

 

 私の問いに目を逸らす先生。分かってはいるがやらない、駄目な大人の典型見たいな答えが返ってきた。

 

  「あら!あそこにたい焼き屋さんが!」

 

 先生を抱き上げ会話をしながら歩くのを再開していると、十六夜ノノミが何やら見つけたらしい。

 

  「あそこでちょっとひと休みしましょうか?たい焼き、私がご馳走します!」

 

  「え!?ノノミ先輩、またカード使うの!?」

 

  「先生の“大人のカード“もあるよ〜」

 

  “うん。みんなの分、私が払うよ“

 

  「ううん、私が食べたいからいいんですよ☆みんなで食べましょう、ねっ?」

 

  「私は遠慮しよう、みんなで食べるといい」

 

 どうせ味なんかしないんだ、お腹も空いていない。食べる理由が見当たらない。

 

  「え~?篝ちゃん、いらないの〜?たい焼き、美味しいよ?」

 

  「ああ、甘い物はあまり好きではない」

 

  「……そう?じゃあ、無理強いはできないね〜。だってさ、ノノミちゃん」

 

  「そうですか〜残念です……では、スゥ先輩意外の皆さんの分を買ってきますね?」

 

 少し、悲しい顔をした十六夜ノノミ。

 

  「それじゃあ、しばしブレクタイムだね〜」

 

 

 

 

 ◇◆◇

 

 

 

 

  「ここまで情報がないなんてありえません……妙ですね。お探しの戦車の情報……。絶対何処かにあるはずなのに、探しても探しても出てきませんね……」

 

 休憩も終わり、また探索を再開した。そしていくら探しても欠片の情報がないのを訝しんだ阿慈谷ヒフミは、そう発言する。

 

 まあ、そうだろう。情報が統制されているから滅多なことでは尻尾を掴むことは出来ない。()()()()()それが出来るほどの大企業であるから。

 

  「そんなに異常なことなの?」

 

  「異常というよりかは……普通ここまでやりますか?という感じですね……ここに集まっている企業は、ある意味開き直って悪さをしていますから、逆に変に隠したりしないんです」

 

 ブラックマーケットに居を構える企業のほとんどはネジが外れている、隠すなんて頭にも無いだろう。

 

  「例えば、あそこのビル。あれがブラックマーケットに名を馳せる闇銀行です」

 

 ブラックマーケットで最も大きな銀行の一つ。キヴォトスで起きている犯罪の15%の盗品が流れているそう。

 

 横領、強盗、誘拐、etc......様々な犯罪により獲得した財貨は、違法な武器や兵器に変貌を遂げ、また他の犯罪に使われる。

 

 ここ、ブラックマーケットでは銀行は犯罪の推進を行なっている犯罪組織である。

 

  「ひどい!連邦生徒会は一体何やってんの?」

 

  「必要悪と言うやつだ、黒見セリカ。ブラックマーケットは大きくなりすぎた、全てを消し去るには莫大な時間と資金がかかる。なら、放置していたほうがいいだろう?金も時間も労力も、全てが有限なのだから」

 

 それに、ここが無くなると不良やチンピラなどの居場所が無くなる。彼女達は何をすると思う?暴動を起こすんだ、店を襲ったり、人を襲ったり。金も居場所も必要だから。

 

  「だからブラックマーケットで“飼う“んだ、自分達で管理できる場所で」 

 

  「そんな……」

  

  「現実は、思った以上に汚れているんだね。私たちはアビドスばかりに気を取られすぎて、外のことをあまりにも知らな過ぎたかも……」

   

  「そう悲観することは無い、君はまだ時間がある。今から学んでいけばいい」

 

  “そうだね。知りたいことがあったら、私も教えれるから“

 

  「……スゥ先輩、先生。ありがとう」

 

  『お取り込み中失礼します!そちらに武装した集団が接近中!』

 

  「!!」

 

  『気付かれた様子はありませんが……まずは身を潜めた方がいいと思います……』

 

 言われ、即座に身を隠す。阿慈谷ヒフミも驚いていたが、どうやらブラックマーケットでも最上位の治安機関の組織、マーケットガードがいる。見た所、現金輸送車の護衛をしているらしい。

 

  「あのトラック、闇銀行に入っていったな」

 

 トラックは闇銀行の敷地内で止まった。そのトラックから出てくるのは、スーツを着たロボット。

 

 そのロボットは、近くに立っているヘルメットを被った少女に近づいて行く。

 

  「今月の集金です」

 

 そう言ってロボットは取り出したトランクケースを、少女に渡した。

 

  「ご苦労様、早かったな。では、こちらの集金確認書類にサインを」

 

  「はい」

 

 ロボットは提示された集金確認書類に、サインをする。

 

  「いいでしょう」

 

  「では、失礼します」

 

 そんなやり取りが終わり、去っていくロボット。

 

  「見てください……あの人……」

 

  「あれ……?な、なんで!?あいつは毎月うちに来て利息を受け取ってるあの銀行員……?」

 

 どうやらあのロボットは、アビドスに集金をしに来ているロボットらしい。つまりあの“企業“の従業員ということ。

 

  『ほ、本当ですね!車も“カイザーローン“のものです!』

 

  「か、カイザーローンですか!?」

 

  「ヒフミちゃん、知ってるの?」

 

  「カイザーローンと言えば……かの有名なカイザーコーポレーションが運営する高利金融業者です……」

 

 カイザーグループ。犯罪自体は起こしていないが、合法と違法の間を上手く踊っている多角化企業。

 

  「そういえば、いつも返済は現金だけでしたよね。それはつまり……」

 

  「君達が汗水垂らして稼いだ金は、ブラックマーケットの闇銀行に流れていたと……」

 

  「じゃあ何?私たちはブラックマーケットに、犯罪資金を提供してたってこと!?」

 

  “……もしそれが本当だとしたら、私は許せない。みんなの努力を無に返す彼らが“

 

  いつも笑顔を浮かべている先生。その先生が顔に出るほどの怒りを滲ませている。

 

  『ま、まだそうハッキリとは……証拠も足りませんし。あの輸送者の動線を把握するまでは……』

 

  「……あ!さっきのサインしていた集金確認の書類……それを見れば証拠になりませんか?」

 

  「おお、そりゃナイスアイデアだね〜、ヒフミちゃん」

 

  「あはは……でも考えてみたら、書類はもう銀行の中ですし……無理ですね。ブラックマーケットでも最も強固なセキュリティを誇る銀行の中となると……そ例外に輸送車の集金ルートを確認する方法は……ええっと、うーん……」

 

  「うん。他に方法はないよ。ホシノ先輩、ここは例の方法しか」

 

 何だ……この流れは、嫌な予感がする。砂狼シロコが言う例の方法……少なくとも碌でもない気がする。

 

  「なるほど、あれか〜。あれなのかあ〜」

 

  「あ……!そうですね、あの方法なら!」

 

  “あー、もしかしてあれかなぁ?“

 

  「何?どういうこと?……まさか、あれ?まさか、私が思ってるあの方法じゃないよね?」

 

 その問いは砂狼シロコの目を見れば分かる。肯定を思わせる、キラキラした目をしている。

 

  「う、嘘っ!?本気で!?」

 

 ここまで情報が出れば流石に私も理解した。

 

  「……あ、あのう。全然話が見えないんですけど……“あの方法“って何ですか?」

 

 阿慈谷ヒフミは混乱している。まあ、あのやあれだけで会話されても分からだろう。

 

  「残された方法はたった一つ」

 

 砂狼シロコはからっているバックから何かを取り出し、それを頭に被った。

 

  「──銀行を襲う

 

 額に2と書かれた青い目出し帽を被り、彼女はそう宣言する。それに続きアビドス面々も、額に数字が書かれた色付きの目出し帽を被っていく。黒見セリカすらも吹っ切れたのかノリノリで被っていた。

 

  「はぁ……」

 

 予想していた言葉、分かってはいたが頭の痛くなる提案にため息が漏れる。

 

  「あ、うあ……?あわわ……?」

 

 阿慈谷ヒフミもコレには理解が追いつかないのか言葉にならない声を上げ、周りにいる覆面集団をキョロキョロ見やる。

 

  『……はぁ、了解です。こうなったら止めても聞く耳を持たないでしょうし……どうにかなる、はず……』

 

  「ごめん、ヒフミ。あなたの分の覆面は準備がない。それに、スゥ先輩のも」

 

  「ああ、問題ない。私は参加しないからな」

  

  「え〜、篝ちゃん。来てくれないの?」

 

  「ん、スゥ先輩にも参加して欲しい。先輩がいてくれたら制圧が楽になるから」

 

  「すまない。委員長に迷惑はかけられないんだ」

 

 私の格好はヒナをよく知らないものからしたら、そう勘違いをされる格好をしなくもない。ゲヘナの風紀委員長が銀行強盗したなんて噂が流れた日には、生徒会長、羽沼マコトが嬉々としてヒナを蹴落としにかかるだろう。

 

  「うへ〜、そう言えば、社長ちゃんは勘違いしてたね〜。じゃあ、仕方がないか〜」

 

  「ん、それは仕方ない。諦める。でも、ヒフミには参加して欲しい」

 

  「ヒフミちゃん。覆面がないならバレた時は全部トリニティのせいだって言うしかないね〜」

 

  「ええっ!?そ、そんな……覆面……何で……えっと、だから……あ、あう……」

 

  「それは可哀想すぎます。ヒフミちゃん、取り敢えずこれでもとうぞ☆」

 

 十六夜ノノミが取り出したのは、彼女達が先程食べたたい焼きが入っていた紙袋。その紙袋を阿慈谷ヒフミに近づき被せていく。

 

 そして出来上がる数字の5が書かれた、申し訳程度に目元を開けた紙袋を被った少女。こうしてなし崩し的に犯罪に加担させられる阿慈谷ヒフミ。

 

  「それじゃあ先生。例のセリフを」

 

  “よし……それじゃあ。銀行を襲うよ!“

 

 今回はあちらが悪だから問題はないが……一つ言いたいことがある。

 

   ──先生は止めるべきだろう普通。

 

 ニッコニコで宣言する先生にそう思った。

 

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