先生がいないキヴォトスから来た一般生徒(覚悟ガンギマリ)   作:かまくら御前

9 / 10

 モチベがフル消滅していて、書くのが遅れました。
 すみません……
 



















 




 










  ──ずっと、 あなたに会いたかった。
 


5/1  Wiedersehen

 

  「社長!ムツキとハルカを連れて早く隠れよう!奴らが来た!ここまで追ってくるなんて!それもこのタイミングで……!いや、こんなタイミングだからこそ……!?」

 

  「!?離れろ!みんな!っぐ!」

 

  「ぐっ!くぅっ……!」

 

 飛来する迫撃砲、それが私と便利屋のすぐ目の前に来るのが見えた。私達は避けきれないが、アビドスの面々はまだ避けられる。久しく出していない大声を出し、逃げるように促す。そして、離れるアビドスの面々を尻目に着弾する迫撃砲。

 

   ──意識が闇に消える。

 

  "スゥ!!"

 

 意識が途切れる中、最後に聞こえたのはそんな声だった。

 

 

 

 

 ◇◆◇

 

 

 

 

  「信頼には信頼で報いるわ!それが私達──

 

   ──声が聞こえる。聞き慣れた声だ。

 

 私は……そうだ。迫撃砲を食らい意識を失っていたんだった。っ!?まずい、風紀委員会の彼女達が襲撃に来てる。早く起きなければ!

 

  目を開ける。暗闇に光が差し込み、最初に映った光景は……

 

  「──便利屋68のモットーだもの!」

 

 満面の笑みを浮かべ、そう宣言する陸八魔アルの姿だった。

 

  「はぁ……本当に。面倒くさい連中だ」

 

 何があったかは分からないが、状況的にはどうやらいつのまにかできていた風紀委員の包囲を抜けるのを、手伝ってくれるのだろう。

 

  『それにしても、ここまで意気投合が早いとは……その点は想定外でした』

 

 どこからか聞こえてくる声。

 

  「この声……天雨アコか。全く……この強引さは相変わらずか」

 

 ゲヘナ学園3年生。風紀委員会No.2の行政官。気の強い自信家だが、それに見合った能力を持っている。だが、その自信が毎度のこと失敗に繋がる。今回も何か思いつき、その自信のまま決行に至ったのだろう。

 

  「なら……ヒナはいないか」

 

 他校の自治区付近に攻め込む強引な計画。ヒナが居るなら絶対にやめさているだろう。

 

 ヒナには会いたかったが……仕方がないか。

 

  『……まあいいでしょう、それでは。風紀委員会、攻撃をか──「そこまでだ」……?あなたは……』

 

 攻撃の合図を送ろうとしていた天雨アコに割り込む。

 

  "スゥ!無事だったんだね!"

 

  「ああ、心配をかけてすまない先生。今起きた」

 

 私に気づいた先生が嬉しさを滲ませ、声を掛けて来た。それに対し、迷惑をかけたと返答をする。

 

  「さて……天雨アコ。目的は分からないが、どうせ禄な事にはならない。撤退をお勧めする」

 

  『その提案には乗れません。というかあなたは一体誰なんで──!?な、何故あなたが()()を羽織っているんですか!!』

 

  「痛っ!ったく……よくもショットガンの乱射なんて!……ん?お前……何で風紀委員の制服と委員長の()()()()()()を羽織ってるんだ?」

 

  「君は……銀鏡イオリか」

 

 銀鏡イオリ。真面目で融通が利かない、風紀委員の切り込み隊長。その実力は成長すればヒナの背中に追いつけるほどのポテンシャルを秘めている。

 

  "そういえば……アルもスゥを、その風紀委長の子と間違えてたよね?成る程、そのロングコートのせいだったんだね"

 

  「そ、そうよ!それのせいで私は赤っ恥をかいたんだから」

 

  「それは君が勝手に勘違いをしただけだろう……」

 

  「ぐっ!う、うるさいわね!」

 

  『間違いありません。所々赤色に染まり穴が開いて、風紀委員の腕章は付いていませんが……いつも委員長が来ているものと全く同じです。答えなさい!それをどこで手に入れたのですか!!』

 

 先生と陸八魔アルと会話をしていた私に、声を張りに張り上げこのロングコートの入手先を聞いてくる天雨アコ。

 

  「……何故、君に答えないといけないんだ?」

 

 ……これは、いい機会だろう。

 

  『なんですって!?そんなふざけた返しが通じると──「知りたいなら……力ずくで聞くといい」はい?』 

 

 少し気になってしまった。私がいない世界の風紀委員の実力を。だから挑発した、感情的な天雨アコならば………乗ってくるだろう。

 

  「丁度いい、かかってこい。少し、揉んでやろう」

 

  『……や、やってやろうじゃないですか!!総員攻撃!!』

 

 ……来るか。

 

 目の前に広がるのは銃先をこちらに向ける集団。このままだと膨大な量の銃弾が私に飛来し、一瞬にして蜂の巣になるだろう。その前に……

 

  「先ずは篩にかけさせてもらう」

 

  「!何か不味い、お前ら!さっさと撃て!」

 

 銃を構えた私に何か危機感を覚えたのか、銀鏡イオリは焦燥に駆られ指示を出す。それに従い風紀委員はすぐさま引き金に指を添えるが、僅かに遅い。

 

  「地獄を照らせ」

 

 放たれた弾丸は閃光となり、風紀委員の集団を薙ぎ払う。

 

  『な!?なんて規模の攻撃!イオリ、無事ですか!状況は!』

 

  「ぐぅ!あ、ああ……なんとか。だが、左翼右翼以外のすべてがやられた!」

 

 一番先頭にいた銀鏡イオリは無事だったか。所々に擦り傷は負っているが流石だな。

 

  「意地を見せろ、風紀委員。君たちは、委員長が居なくとも強敵を打ち倒せるということを証明しろ。でないと……そのプライドへし折るぞ」

 

 風紀委員の強さはその戦術性だ。

 

 煽ってはいるが優秀なオペレーターである甘雨アコの指揮を基に敵を着実に追い詰めることを得意としている。だが戦術が通用しない相手にはとことん通用せず、ヒナが出張ることになっている。

 

 私が居た世界では、その状況を作らないために鍛錬を積んでいた。だが、この世界の彼女たちはどうか……少し試して見たくなった。

 

  「……これ、私達いらなんじゃないの?」

 

  「ええー私、せっかく爆弾を使えると思ったのにぃ」

 

  「そ、そうです……!アル様を傷つけたあいつらを許せない……!」

 

  「まあ、私はこれで済むならいいと思うけど?私達は弾丸も爆弾も買えるお金ないし」

 

 どうやら私が気絶させたあの二人も起きたようだ。揃って話をしている。

 

  『っく!決して甘く見ていた訳ではありませんが、このイレギュラーは想定していないですよ!……いえ、ですが!決して無敵ではありませんね?先ほどの先生との会話を推測するに、迫撃砲を食らったらどうやら気絶する様子。それに……その手に持っている銃、ボルトアクションですか……つまり、連射できない。なら、いくらでも対応ができます。第八中隊。後方待機をやめて、突入してください』

 

  『風紀委員会、第三陣を展開してきました!』

 

 成る程、どうやらまだ待機させていた風紀委員が居たらしい。随分と沢山引き連れて来ている、甘雨アコにここまでの戦力を動かせる権限はないはずだ。

 

 つまりは独断の襲撃に無断の戦力動員。ヒナにバレたら激怒間違いなしだろう。

 

  「増援か……」

 

 さっきの攻撃は使えない。私は所詮弱者なんだ、神秘の総量は少ない。

 

 撃てたとしても戦闘の続行は不可能。別に無しでもすべて制圧できるのだが、時間がかかる。

 

 ……癪だが仕方がない。

 

  「便利屋、借りを返してくれるんだろう。少し手伝え」

 

  「え、ええ!分かってるわよ!」

 

  「いっよーし!やるよー!」

 

 準備万端の便利屋。敵だと厄介極まりないが、味方に居れば大きな戦果をもたらしてくれるだろう。真面目にやるなら彼女たちは、キヴォトスでも指折りの精鋭だからな。

 

  『……三度目の正直と行きましょうか。風紀委員会、攻撃を──』

 

 互いに銃を構え、さあ撃ち合うぞと空気が張り詰めた瞬間に鳴る電子音。

 

  『アコ』

 

  『……え?ひ、ひ、ヒナ委員長!?』

 

  「──ああ、この声は」

 

 機械越しから聞こえてくる懐かしい声、間違いない。

 

 ずっと、ずっとこの時を待ち望んでいた。私がこの世界に来たと分かったその瞬間から。

  

  "ヒナ……ゲヘナの風紀委員長……"

 

  『い、い、委員長がどうしてこんな時間に……?』

 

  『アコ、今どこ?』

 

  『わ、私ですか?私は……そ、その……えっと……げ、ゲヘナの市内辺りです!風紀委員のメンバーとパトロールを……』

 

  「よく回る口だ」

 

 最初は言葉が詰まってたようだが、まるで事実かのように上手く嘯いたな。

 

  『そ、それより委員長はどうしてこんな時間に……出張中だったのでは?』

 

  『さっき帰って来た』

 

  『そ、そうでしたか……!その、私、今すぐ迅速に処理しなくてはいけない用事がありまして……後ほどまたご連絡いたします!い、今はちょっと立て込んでいまして……!』

 

  『立て込んでる……?パトロール中なのに珍しい、何かあったの?』

 

  『え?そ、その……それは……』

 

 

 

 

 

  「他の学園の自治区で、委員会のメンバーを独断で運用しないといけないようなことが?

 

 

 

 

 会えないと思っていた。でも……聞こえてくるこの声は、機械越しの声では無く固い雰囲気に見合わない。気だるげな可愛いらしい肉声。

 

 視線を声の主へと向ける。そこには……

 

  ──鋭い目つきをしたヒナが立っていた。

 

  「ヒナ……」

 

 何度再会を願ったか分からない。久しく感じていなかった──喜び。

  

 感無量という気持ち、それがそのまま彼女の名前として口に出てしまった。

 

  "あの子が……ヒナ"

 

  「……アコ。この状況、きちんと説明してもらう」 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。