夢見鳥、ウマソウルを啜る   作:名前は思いつきませんでした

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虐殺はまだ始まったばかり

騎士は観客席へ向かっていました。

次の瞬間。

消えた。

違う。

消えたんじゃない。

よく探して見ると騎士は観客席にいました。

目で追えなかった。

気づいたときにはそこにいた。

目にも留まらぬ早さで観客席へ飛び込んだんだろうか。

逃げ惑っていた人々が凍りついたかのように止まる。

まるで時間が止まっているようでした。

騎士が着地した先には親とはぐれたであろう小さな子どもがいました。

人の流れに飲まれ親とはぐれたのだろうか。

騎士はその子へ向かってゆっくり歩き出します。

子どもは何も理解していない様子でした。

自分に何が迫っているのかを。

自分に構えられる"それ"の意味を。

騎士が剣を構えたその刹那。

斬られた。

一瞬だった。

観客席が血で真っ赤に染まる。

「いやあああああああああああ!!」

誰かの悲鳴が沈黙を終わらせた。

それが合図だった。

その場にいた全員が理解する。

次は自分の番だ。

止まっていた人々の流れが一気に崩壊する。

逃げ惑う人々の絶叫や怒号で観客席は混沌と化しました。

誰もが出口へ向かって走っていました。

でも。

人が多すぎました。

前に進めない。

後ろから押される。

転ぶ。

踏まれる。

起き上がれない。

その全部を。

騎士はただ見ていました。

そして。

一段。

また一段。

騎士がゆっくりと階段を上がる。

腰を抜かしたと思われる男の人が騎士から必死に逃げようとします。

次の瞬間その男の人は斬られていました。

騎士は止まらない。

ゆっくりと、確実に、上へ進む。

騎士はゆっくり歩いているはずなのに。

どんどん人々との距離は縮まっていく。

騎士は観客用出口へ向かっていました。

人が最も集まる場所。

唯一の逃げ道。

だからこそ。

一番効率がいい。

人々は前へ前へと人を掻き分けながら出口へ向かっていきました。

しかしそれでも大して前には進めない。

人が詰まりすぎている。

騎士がついに止まる。

ゆっくりと騎士が剣を構える。

騎士が空を何度も斬った。

次の瞬間。

三日月のような斬撃が沢山放たれた。

そして、出口は希望ではなくなく絶望へと変わりました。

避けられない。

逃げられない。

人が多すぎる。

出口に詰まっていた観客達のほとんどは斬撃に当たり細切れになりました。

運よく当たらなかった人も次の瞬間には斬られていました。

怒鳴り声 。

泣き叫ぶ声。

助けを求める声。

その全てが消えた。

その場が静寂に包まれる。

もう出口は詰まっていない。

騎士はゆっくりと剣を下ろす。

そして何事もなかったかのように。

反対側の出口へと飛んで行きました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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