The Reversed Star――逆位置の星―― 作:ほいみん
※独自解釈/女性体オリジナルサーヴァント/ギルガメッシュ×アトラス/本文に文章生成AI補助あり
※掲載イラストは作者による手描きです。
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砦から戻って、いくつかの作戦を挟んだ後だった
夜のカルデアで、酒盛りの気配はよく響く。
談話室の手前まで来たところで、立香は足を止めた。
「だから、それを酒と呼ぶには薄いと言っている」
「ははは! 飲めば同じよ、英雄王!」
「同じなものか。其方らは、味覚というものをもう少し尊重せよ」
三者三様の大声だった。
扉を開ける前から、誰がいるか分かる。
立香が中を覗くと、予想どおりの王たちが卓を囲んでいた。
イスカンダルは大ぶりの杯を手にし、始皇帝は細身の酒器を光へ透かしている。ギルガメッシュの前には、見るからに高価そうな瓶が二本。
そして、その間にアトラスがいた。
小さな杯を前に置き、卓上へ広げた記録へ血色の瞳を落としている。
「何の集まり、これ?」
全員が立香を見た。
会話が一拍止まる。
「おう、来たか!」
イスカンダルが笑い、空いていた椅子を足で押し出した。
「立っておらんで座れ。其方が入ってきたのだ、席くらい詰めようぞ」
始皇帝が当然のように手で示す。
アトラスは何も言わず、自分の前に広げていた記録を寄せた。
ギルガメッシュは、立香が席へ着く前に虚空へ手を入れた。
黄金の波紋から、透き通った瓶が一本落ちてくる。
「貴様にはこれでよい」
立香は受け取った瓶を光へ透かした。
「ありがとう。……これ、ジュース?」
「我の蔵から出した果汁だ。市井の水物と同列にするな」
「やっぱり普通のジュースじゃなかった」
「我の蔵から出た時点で、普通であるはずがなかろう」
栓を抜くと、甘い香りが広がった。
一口飲む。
果汁、と言われて想像する味よりずっと濃い。それでいて重くなく、酸味が舌の上で綺麗に消えた。
「おいしい」
「当然だ」
なぜかギルガメッシュが勝ち誇った。
イスカンダルが卓を叩いて笑う。
「酒を飲ませぬくせに、随分とよいものを出すではないか」
「我のマスターを貴様の悪酔いに付き合わせる必要がどこにある」
「朕にも一口寄越せ」
「嫌だよ。もう自分の飲んでるでしょ」
「ほう。王の要求を即座に退けるか。ますます面白いな、其方」
立香は瓶を抱え直し、改めて卓を見回した。
「それで、本当に何の話をしてたの?」
「酒の格についてだ」
「世界を平定した王にふさわしい酒とは何か、であるな」
「違うぞ! 王が酒を選ぶのではない。王が飲めば、それが王の酒となるのだ!」
「やはり薄い酒を正当化しておるだけではないか」
話がまとまっていないことだけは、すぐに分かった。
立香は笑い、果汁の杯を置いた。
「ごめん。話、止めた?」
「止めてはおらん」
イスカンダルが大きく首を振る。
「おぬしが来たゆえ、見ただけよ!」
「当然であろう。入室者を確認せず話を続けるほど、朕らは無警戒ではない」
「その程度のことへ、いちいち理由を求めるな」
三人が好き勝手に答える。
アトラスだけは、立香を見たまま何も言わなかった。
「でも、みんな一斉に見たよね」
「それを我だけの異能のように考えておったのか」
ギルガメッシュが杯を傾ける。
「え?」
立香が聞き返すより先に、イスカンダルが身を乗り出した。
「なるほど。では、ちょうどよい!」
「何が?」
「今宵の問いが決まった!」
「また其方が勝手に決めるのか」
始皇帝が呆れた声を出す。
イスカンダルはまるで気にせず、杯を高く掲げた。
「カリスマとは、王の徳か、民の癖か!」
談話室に声が響いた。
立香はしばらく瞬いた。
「二択の立て方が雑であるな、征服王」
「雑でよい! 答えるうちに細かくすればよかろう!」
「酒席の問いとしては及第点だ」
ギルガメッシュまで乗った。
アトラスは卓上の記録端末を引き寄せ、無言で新しい項目を開いた。
「記録するの?」
「問いが発生した」
「そうなんだ……」
立香は記録端末を覗き込み、それから卓を囲む王たちへ視線を戻した。
「それで、カリスマってスキルの話?」
「名称へ逃げるな」
ギルガメッシュが立香を指した。
「今、貴様が入ったことで全員の視線が動いた。まずはそれだ」
「私は王様じゃないけど」
「王でなければ人を惹きつけぬと、誰が決めたか!」
イスカンダルが豪快に笑った。
*
「王の徳に決まっておろう!」
最初に答えたのも、イスカンダルだった。
「早いね」
「迷うところがあるか?」
杯を卓へ置く。
「余が夢を示せば、見た者が胸を躍らせる。走り出した者どもを見て、王はさらに遠くを目指す」
大きな手が、空に見えない道を描く。
「どちらが先かなど、どうでもよい! 王と臣下が互いを大きくする。その渦こそ王道よ!」
「でも、それって」
立香は言葉を選んだ。
「ついていった人が、本当に自分で決めたのか分からなくなる時もあるんじゃない?」
イスカンダルは笑わなかった。
「ならば王が、何を望むかを何度でも問えばよい」
「王が?」
「巻き込んだ以上、ついてきた者の果てまで見る。それも王の仕事だ」
その声には、酒席の勢いとは違う重さがあった。
「王の夢を見て走った者が、途中で己の夢を見つけることもあろう。離れることもあろう。それを恐れて、最初から胸を震わせぬ王がどこにいる」
立香は少し考えて、頷いた。
「人を動かすこと自体が悪いわけじゃない、ってことだね」
「当然だ! 動かぬ者ばかり集めて、何を成す!」
「征服王らしい答えであるな」
始皇帝が酒器を置いた。
「民が王を仰ぐこと自体を、朕は否定せぬ」
「お、始皇帝も分かるか!」
「最後まで聞け」
始皇帝はイスカンダルを一瞥する。
「だが、王を仰がねば己の足を定められぬというなら、その世界はいまだ王の完成を待っておる」
「ほう」
イスカンダルの目が楽しげに細くなる。
「ではおぬしは、誰も王を見ぬ国がよいと?」
「違うな」
始皇帝は即座に返した。
「王が見えぬ時にも揺らがぬよう、王が世界の側へ組み込まれておればよい」
「それって、王様がいなくても動く仕組み?」
立香が尋ねる。
始皇帝は心底不思議そうな顔をした。
「朕がいなくなる前提を、なぜ置く?」
「あ、そこからなんだ」
「当然であろう。世界を預かるならば、王は世界より先に欠けてはならぬ」
冗談ではない。
法を残すのでも、後継を置くのでもない。
王が世界そのものの機構となる。
一声で兵を立たせるのではなく、その声がなくとも、王の意思が世界の隅々で実行され続ける。
「一声で立ち直る兵は美しい」
始皇帝はイスカンダルへ向けて言った。
「だが、その一声がなければ崩れるなら、仕組みとしては未完成よ」
「完成しすぎた仕組みは、つまらんぞ」
「其方が退屈するかどうかなど、統治の評価項目には入らぬ」
イスカンダルが大笑いした。
アトラスが記録から顔を上げる。
「完成後、汝以外の判断主体は残るのか」
始皇帝は彼女を見る。
「不要であったからな」
ためらいはなかった。
「飢えぬ。病まぬ。争わぬ。誤った判断で命を失うこともない。ならば、個々が判断を抱える必要がどこにある」
「訂正者も残らない」
「朕が誤らぬよう、朕を完成させればよい」
立香は杯を持ったまま、二人を見比べた。
似ているようで、まるで違う。
始皇帝は、迷いの全てを一つへ引き受けようとする。
アトラスは、迷いを消さずに、戻る場所を作ろうとする。
「其方は採らぬのであろう?」
始皇帝が言った。
「採用しない」
「であろうな。其方は、未完成な者どもへ随分と気長だ」
「未完成であることを、裁定権の欠格とはしない」
「ふむ」
始皇帝は不快そうにはしなかった。
異なる答えを、異なるまま眺めている。
「危ういが、筋は通っておる」
「汝の形式も、完成している」
「では採ればよいものを」
「目的が違う」
「そこが惜しいと言うておるのだ」
始皇帝は少し笑った。
*
「それで、ギルガメッシュは?」
立香が問う。
「我に問うまでもなかろう」
金の王は杯を傾けた。
「我が何かを与えねば、雑種どもが我を仰げぬとでも思ったか」
「思ってないけど」
「我が在る。見た者が勝手に己を正す。それだけだ」
「ならば、それは王の徳ではないと?」
イスカンダルが問う。
「徳と呼びたければ呼べ。だが、我が配したものではない」
ギルガメッシュは笑う。
「ゆえに、返せと言われても返しようがない」
「便利な理屈であるな」
始皇帝が口を挟む。
「功績は王の存在へ集まり、害だけ民の勝手と申すか?」
「我が言ったこと、我がしたことは我のものだ」
ギルガメッシュの声が低くなる。
「我が言ってもおらぬことを、勝手に沈黙から作ったなら、それは作った者のものよ」
「じゃあ、間違った受け取り方をされても放っておく?」
「目に余れば正す」
「正せなかったら?」
「それでも、我が言わなかったものまで我の言葉にはならぬ」
立香は、その線引きを頭の中でなぞった。
自分の行為は引き受ける。
相手の解釈まで、最初から自分の所有物にはしない。
「そもそも」
ギルガメッシュの赤い瞳が、立香へ向いた。
「貴様も持っておろうが」
「え、私が?」
本気で驚いた。
立香は卓を囲む王たちを見た。
イスカンダルの大きな身体。始皇帝の揺るがない姿勢。ギルガメッシュの、そこにいるだけで中心を作る存在感。
アトラスは静かだった。血色の瞳が向くと、立香は言葉を一度選び直した。
「でもカリスマって言われると、やっぱり王様たちみたいな……圧? かなって思うよね」
一拍。
イスカンダルが腹を抱えて笑った。
「圧! ははは、確かに我らにはあるやもしれん!」
「征服王、其方は圧というより声量であるな」
「同じことよ!」
「違うでしょ」
立香も笑った。
始皇帝は、立香を観察するように目を細める。
「其方の場合、威圧ではなく参加を誘発するのだな」
「参加?」
「制度上の命令権より、同道の履歴が求心力となっておる」
「一緒に来てくれるのは、みんなが優しいからじゃない?」
「優しい者が、誰にでも同じようについていくと思うか?」
ギルガメッシュが呆れた声を出す。
「貴様が来れば、英霊どもが勝手に席を空ける。十分であろう」
立香は、自分が部屋へ入った時のことを思い出した。
イスカンダルが椅子を出した。
始皇帝が席を示した。
アトラスが記録を寄せた。
ギルガメッシュが果汁を出した。
頼んでいない。
命令もしていない。
「それは……いつも一緒にいるからじゃない?」
「同じことだ」
「違うと思うんだけどなあ」
「王は先頭に立ち、背を見せる」
イスカンダルが言う。
「だが、隣を空けて進む者にも、人はついてゆくものよ!」
「隣を空けてるつもりはないんだけど」
「空いておるから来るのだ!」
「説明になってない」
「いや、存外正しいぞ」
始皇帝が頷いた。
「其方は目的地を完成品として示さぬ。ゆえに、同行者は途中で自分の答えを加えられる」
ギルガメッシュが、身も蓋もなく口を挟む。
「要するに、放っておけば勝手に増える」
「その言い方だと、菌みたいなんだけど」
ギルガメッシュは愉快そうに笑った。
アトラスが立香を見る。
「汝は、同行を確定しない」
「うん。来てって頼むことはあるけど、最後はその人が決めることだし」
「ゆえに、同行した者は己の選択を保持する」
「それもカリスマなの?」
「分類名は重要ではない」
「そう言うと思った」
*
「では大洋王」
イスカンダルが杯を掲げる。
「おぬしはどう見る?」
アトラスは記録端末を伏せた。
「己の兄も、人を一つの方向へ集める王だった」
卓の空気が少し変わった。
立香は、アトラスの兄である至高王を思い出す。
彼女の上にあり、国の王冠を戴いていた王。
「兄が立てば、人は己の位置を定めた」
アトラスの声は平らだった。
「兄が進む方向を示せば、国は同じ方向へ動いた」
感傷を混ぜない。
事実を置く。
「それによって国は保たれた」
一拍。
「ゆえに、その形式を誤りとは裁定しない」
「うむ!」
イスカンダルが満足そうに頷く。
始皇帝も異論を挟まなかった。
ギルガメッシュだけは杯を置き、アトラスの言葉を聞いていた。
「じゃあ、アトラスもカリスマは王様の徳だと思う?」
立香が問う。
「所有者を一人に定める必要はない」
「一人に?」
「王が条件を置く」
アトラスは卓上の杯を一つ動かした。
「見た者が応答する」
別の杯を、その向かいへ置く。
「双方で成立する」
「ならば、やはり王道ではないか!」
イスカンダルが言う。
「それと裁定権は別だ」
アトラスの血色の瞳が、卓上の全員を見る。
「カリスマは、誰を見るかの話だ」
静かな声だった。
「誰が決めたかの話ではない」
酒席が、ほんの一瞬だけ静まった。
兄を見ていた。
兄を王として認めていた。
その光の下で、自分の位置を知っていた。
それでも、アトラス自身の裁定まで兄のものだったわけではない。
「注意は集まる」
アトラスは置いた杯を離した。
「権限は移らない」
「見る者と決める者を分ければ、責もまた分かれる。朕は、それを非効率と見る」
「記録した」
「なるほどな」
イスカンダルは楽しそうに顎を撫でた。
「見ることと、従うことを分けるか」
「従うことと、決めることも分ける」
「細かい!」
「必要だ」
「うむ、そこがおぬしらしい」
立香はギルガメッシュとアトラスを交互に見た。
「でも、二人ともやってることは結構違うよね」
「違うから面白いのだろう!」
イスカンダルがまた笑う。
「ギルガメッシュは……」
立香は言葉を探した。
「自分が何とかするって言って、考えなくていいことを減らす」
ギルガメッシュの眉が上がる。
「アトラスは、何を見ればいいかを決めて、考えるための地図を渡す」
「随分と平たくしたものだな」
「誤りではない」
アトラスが言った。
始皇帝が二人を見る。
「目的は同じか」
「各自を、各自の持ち場へ戻す」
アトラスは答えた。
「ならば並べて使えばよい!」
「貴様に言われるまでもない」
ギルガメッシュが即座に返した。
「おや」
始皇帝が面白そうに笑う。
「そこは否定せぬのだな、英雄王」
「使うなどという表現が気に入らぬだけだ」
「同意はしておるではないか」
「黙れ」
*
「ところで」
始皇帝が最初の問いへ戻した。
「民の側でも成立する力を、王の功績として数えるべきか」
「当然だ!」
イスカンダルは迷わない。
「ただし、ついてきた者の果ても王が負う!」
「勝手に見たことまで、我の功績へ数える必要はない」
ギルガメッシュも迷わない。
「其方は、結果が良い時にも所有を拒むのだな」
「当然だ。安い勲章を我へ貼るな」
「安いかどうかは内容によるであろう」
「我の価値に、雑種どもの視線を足して嵩増しするなと言っておる」
「じゃあ、誰のものなの?」
立香がアトラスへ問う。
アトラスは少し考えた。
「王は、おのれが置いた条件を記録する」
一つ目。
「民は、おのれが選んだ応答を保持する」
二つ目。
「制度は、その応答を何へ変換したかを記録する」
三つ目。
「一人の徳、または一人の罪として閉じるな」
「また分けたね」
「分かれている」
始皇帝が肩を竦める。
「いちいち三者へ返すから、誤差が生じるのだ」
「じゃあ始皇帝なら?」
「朕ならば、王と制度を一致させる」
始皇帝は当然のように言った。
「誰が見ても、誰が決めても、最終的な責は一つへ戻る。実に明快であろう?」
「明快だけど……その一つが間違えたら?」
「朕が誤らぬよう、朕を完成させる」
「やっぱりそこなんだ」
「当然だと言うておろう」
立香は苦笑した。
始皇帝は、そこでふとアトラスへ視線を戻した。
「とはいえ、其方の分配も理解はする」
「採用はしない」
「朕も採用せぬ。ゆえに並べて見る価値がある」
アトラスは短く頷いた。
結論は揃わない。
それでも、卓は割れなかった。
*
「じゃあさ」
立香は果汁の杯を指先で回した。
「光が強すぎて、他のものが見えなくなる時は?」
「目を鍛えよ!」
イスカンダル。
「遮光の機構を作れ」
始皇帝。
「見るものを選べぬ己を恥じろ」
ギルガメッシュ。
三人とも早かった。
「みんな違うね……」
立香は最後にアトラスを見る。
「アトラスは?」
「光を消す必要はない」
アトラスは答えた。
「照らされたものと、光源を分けて記録しろ」
「光のおかげで見えたものを、全部その光の持ち物にしないってこと?」
「そうだ」
ギルガメッシュが口元を上げる。
「聞いたか、征服王。我が光を弱める必要はないそうだぞ」
「誰もおぬしへ弱まれとは言っておらん!」
「ならばよい」
「でも」
立香はふと思いついた。
「たとえば機械があって、それが王様を選ぶなら何を見るんだろう」
「最も大きく世界を引き受けられる者を選ぶべきであろうな」
始皇帝。
「最も遠い夢を見せる者よ!」
イスカンダル。
「選ぶまでもない」
ギルガメッシュ。
「はいはい」
「何だ、その返答は」
アトラスは少し考えた。
「注意の集中を、王権と同一視する機構は存在する」
「それだと、誰を選ぶ?」
血色の瞳が、ギルガメッシュへ向く。
「最も強い光を通す」
「当然だ」
一拍。
「そして、他の裁定者を弾く」
ギルガメッシュは笑った。
「ならば、弾いた機構の方が狭い」
「自分が選ばれるのは疑わないんだね」
「疑う理由がどこにある」
「まあ、ないか」
「貴様まで納得するな」
「だってギルガメッシュだし」
イスカンダルが大笑いし、始皇帝も愉快そうに杯を傾けた。
*
「結局、答え出てないよね」
立香が言った。
イスカンダルは酒を飲み干す。
「出す必要があるか?」
「問いが粗かったからな」
「まだ言うか!」
「結論を一つにすることだけが議論ではあるまい」
ギルガメッシュは新しい酒を杯へ注いだ。
アトラスは端末へ最後の記録を入れる。
「各自の定義は記録した」
「本当に記録してたんだ」
「問いが発生した」
「最初に言ってたね」
立香が果汁を飲み終えた、その時だった。
カルデア内へ、次の作戦準備を告げる放送が流れた。
短い報告。
指定時刻。
集合場所。
放送が終わると、全員が立香を見た。
立香も、今度はすぐに気づいた。
「……ほら、また見た」
イスカンダルが笑う。
始皇帝は面白そうに目を細めた。
「ゆえに、持っておると言ったであろうが」
ギルガメッシュが呆れた声を出す。
「でも、やっぱり圧ではないと思う」
「圧である必要はない」
アトラスが言った。
立香は杯を置き、椅子から立つ。
王たちも、それぞれ自分の杯を置いた。
誰も、立香の後ろへつかなかった。
誰も、先頭の位置を取ろうとしなかった。
列は作られない。
イスカンダルは戦場を楽しむために。
始皇帝は全体を見定めるために。
ギルガメッシュは己の戦いを行うために。
アトラスは必要な裁定を届けるために。
立香は、彼らと共に進むために。
異なる理由が、同じ方向へ向いた。
王たちは、光を一つとは裁定しなかった。
ただ、それぞれの光が、誰の道を照らしたかを見ていた。
この作品の興味をもったところは?
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アトラスのキャラクター性・内面
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ギルガメッシュとの関係性
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王としての在り方・王権のテーマ
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ストーリーの展開
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その他