ミに来た、実力至上主義の教室を   作:Iota

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茶柱の綾小路への脅しが無効化されたらどうなるか? そんなことが何となく頭に浮かんだので書いてみた。
本編に組み込むか、IFな流れにするか、ご意見いただければありがたいです。
それによりこの先の流れが変わることがありますのでよろしくです。

ところでマイナス1巻、まだ手に入れてないのですがどうなんでしょう?



XX話 こういう展開ってあり?

 

「ほう、私ではそんなことはできないとお前はいうのだな」

「当たり前でしょ、この学校は国策機関ですよ。一介の教師にそんな権限あるわけないですよ」

睨みつけてくる茶柱に、俺は肩を竦めてみせた。

 

話の発端が何だったかは忘れた。誰かが騒ぐか何かして、茶柱教諭が「退学にするぞ!」とか脅してきた。その態度に思うことがあり、俺が「できる訳ないだろ!」と突っ込んだのが始まりだ。

そういえば最近、茶柱の雰囲気が変わってきたする。柔らかくなったのではない。緩くなったというか、タガが外れたというか、浮かれてるというか、悪い方向の変化だ。以前から態度が悪い教師ではあったが、さすがにこんな稚拙な恫喝は行わなかった。

「ほう、いい度胸だな!」

生徒に反論され、引っ込みが着かなくなったのか茶柱は声を荒げた。

教師としてのメンツがあるから発言を引っ込められないのだろうが、こっちも自分から折れてやるほど優しくはない。

「そうか。なら富士宮、お前は退学だ。即刻教室から出ていくがよい!」

ならと、俺は椅子から腰を上げた。これは公休扱いになるのかな?

「ちょっと! 富士宮くん、茶柱先生!」

悲鳴のような平田の声に笑いかける。

必要なモノを鞄に入れ、わざとユックリと教室『前』に向かい、扉に手をかける。

「そうだ」とそこで振り返り、かすかに安堵の表情を浮かべた茶柱を無視して、必要な連絡を。

「今日の勉強会はモールの方でやるから」

遅れるなよ、と言い残し教室をでる。あとは必要なところに、必要なルートで、必要な事情を入れるだけ。勉強会までなんで時間をつぶすかな?

 

 

「おはよう!」

次の日の朝、俺はいつも通りの時間に教室の扉を開けた。

「あ、富士宮くん」

「グッドモーニング、フジヤマボーイ」

まず声をかけてきたのは平田と高円寺。

昨日勉強会で顔を合わせたメンツはいつも通り。

何故か不満そうな山内と、意外なことに安堵の色を見せる須藤と、反応は色々。

「大丈夫なのか?」と問う綾小路に問題ないと返す。

 

しばらく待つこと数刻。HRの時間になり顔を出したのは茶柱、ではなくあまり見慣れない副担任。

「えーと」彼は教室を見渡し、俺に見咎めるような視線を送ると口を開いた。

「茶柱先生はしばらくお休みになります」

「退職じゃないんですか?」

と問うと、『一週間程度で戻ります』とのこと

停職一週間か、長いのか短いのか?

茶柱としては心外な話だろう。彼女がしたのは表面的には単なる叱責だ、品がないとはいえ厳重注意くらいで済むと思っていたのだろう。

それが停職処分、つまり人事に×が着いた。

 

昨日俺が駆け込んだのは高育の事務方、所謂相談窓口だ。

この学校ではクラス間競争の結果で教師への評価も変わる。なので上の方、というか管理部門では教師の公平性は信用されていないのだ。

そのため生徒教師間で問題が起きた時の相談窓口が用意されている。その存在が知られていないのは、教師サイドがそのことを説明したがらないからだ。この一点を採っても教師が信用できないのがわかる。

俺達が知っているのは堀北先輩に聞いたから、ということになっている。実際には堀北先輩が喋るように高遠が誘導したのだけど。

 

この学校は実力至上主義だ。これは教師にも当てはまる。

稚拙な恫喝を使わなければクラスを管理できない教師は、実力があると判断されるだろうか?

中でも悪かったのは、俺を教室から追い出したことだ。

いまでこそ都市伝説だが、昭和の時代ならバケツを持って廊下に立たせるとかあったらしい。だけどそれは生徒から学習の機会を奪うことになる。『平成』なこの時代、教育機関として許されることではない。

『令和』? 知らない年号ですね、今は平成2X年だよ。

 

 

……細井さんの依頼とはいえ、実に俺らしくないことをした。

茶柱の瑕疵を見つけろ、それが細井さんからのミッションだ。何度も言うようだが、俺にはこんな依頼を受ける義務はない。だが俺も高遠と同じで、佐倉を泣かせた茶柱には恨みがあるのだ。

 

細井さんに言わせると、今回の件は次期教員採用方針を決める裏工作の一環だとか。

理事会の中で、高育の教諭はどうあるべきかという二つの派閥があるらしい。

一つは国を代表する教育機関なのだから、公私ともに実力のあるベテランを採用すべきというもの。

もう一つは高育の特有の事情を理解しているプロパーを採用すべきというものだ。

俺としてはベテラン一択だと思うし、細井さんもこっちだ。

なのだが理事会としてはプロパー派が多いらしい。その結果がまともな教師とは思えないウチの茶柱とか、Bクラスの星乃宮だ。

その状況を変えるためなら、協力するのもやぶさかではない。

 

親切にもそんなことを教えてくれるとは、Need to Knowの原則は何処に行ったのか、という話だが……

……

………

…………

……………

………………

…………………

……多分、半分嘘だ。

 

この前の審査の時、佐倉は教師達に色々虐められたそうだ。

これが敵であるCクラスの坂上教諭ならまだわかる。問題は彼女の担任である茶柱もネチネチ佐倉を責めたことだ。

高遠としては茶柱による、自分の生徒である佐倉への攻撃が許せなかったらしい。

高遠は身内である細井氏に泣きついて、細井氏は状況が利用できると判断して、俺への依頼になった。

で、俺は茶柱のパワハラ? モラハラ? を利用してプロパー教師の茶柱を陥れた。

つまり、任務完了、である。

 

 

「多分だけど、この学校の生徒は何かの基準に沿って、お役人様が選んだメンツなんだよ」

昼休み、食堂でスペシャルランチを片付けながら俺は力説する。

今回の詫びということで、学校側から少なくないポイントをもらっている。だから多少の贅沢はできる。

 

この学校の生徒は選良とは言わないが、何とかスタッフだ。

「それをモノを知らない教師が、恣意的に勝手して良いわけないんだよ」

「うーーん、そういう考え方もあるんだね」

「……」

事情を聴くためについてきた平田が頷くと、綾小路がなにか考え込む。

 

「『先生と呼ばれるほどの馬鹿でなし』なんて川柳もあるでしょ。

教師なんて結局モノをしらない世間知らずなんだから、そんな人に迂闊な権限は与えられないよ」

特にプロパー組は。

 

 

今回のイベントはこれで終わり。茶柱には恨まれたかもだけど、来年にはお別れできるから問題ないでしょう。

最後に一つ、俺にはプライベートポイントのほかに、お詫びとして与えられたナイショの権利がある。

『プロテクトポイント』

退学を一度だけチャラにできる魔法のお札。今まで与えられた人はいても、使われた事のない権利。

恨みに思った教師からの攻撃に対抗するためのモノ、として与えられたものだが……

 

さて、どう使うかな?

 




原作では、高育同期卒業の三人が教師として、同じ学年のクラス担当になっています。本人たちは偶然とかほざいていますが、そんなことを言えるのは結局彼女たちが非常識だからでしょう。なにか裏で恣意的なことが動いていないとおかしいです。その辺の意図を突っついてみました。
なお、この少し前に綾小路君と茶柱先生が、イカロスが宝具になったとか、ダイダロスがアタックしたとか話してます。
要するに綾小路君に「退学させるぞ」攻撃がクリットしたので、調子に乗って一般生徒にも多用したらカウンターくらったという訳です。
このあと原作でもアニメでも、イカロスがどうのこうのと言うシーンが多いですですけど、原作綾小路君は三巻で『俺はどっちかというとルーク・スカイウォーカーではないだろうか』という感想を漏らしています。
ホワイトルームってスターウォーズは視聴させたのですね、一般教養扱いでしょうか?
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