試験四日目。
「さぁ、どーだ!」
と高遠は勢い良くラッシュガードを脱ぎ捨てた。その下にあるのは水着で身を包んだ魅惑のボディー。
白を基調とした派手過ぎず、しかし適度な露出を魅せるビキニタイプの水着だ。
「どーよ」とモデルっぽくポーズをとる高遠に、
「OK!、ナイスだ」と手を叩く。「マイは普段は可愛い系だけど、そういう感じだと格好いい系も行けるな」
素直にほめると、
「ありがとう」と言って再びラッシュガードを羽織る。その頬が微妙に紅いのは照れてるからだろうか?
ここは二日目にCクラスが拠点にしていた砂浜だ。
Cクラスは三日目には皆リタイヤしたようで、この砂浜は無人となっていた。孤島なので当たり前と言えば当たり前なのだが、水際はほとんど崖で、大人数で遊べる砂浜はここしかない。
二日目と三日目は色々忙しかった。採取組?がトウモロコシの畑を見つけたのだ。他にもないかとローラー作戦で探したり、キャンプ組は川?で魚を釣ったり。だけど流石に狭い島だ。二日掛けて探したので、他に見落としがあっても大した稼ぎにはならないだろう。
というかトウモロコシって。何かで聞いたんだけど、あれは水やりや肥料の追加とかしないとちゃんと育たないとか。つまり試験の前まで誰かがこの島にいて、管理していた筈。ますます自然公園だね。
ということでやることもなくなった四日目の今日、手隙のクラスメイトでここに遊びに来た次第だ。
須藤や伊集院たち野郎どもに、櫛田や松下たち女性陣。変わったところでは佐倉さんも。というか佐倉さんには俺のラッシュガードを取られた。俺は日焼け対策で持ち込んでいたのだが、恥ずかしそうな佐倉を見かねた松下さんに剥ぎ取られたという次第だ。
仕方ないので日焼け止めを追加でぬりぬり。手が届かない背中側はどうしようかと思ったのだが、何故か松下さんたち女性陣が塗ってくれた。男の体に触れるのは嫌がるかと思ったのだが、『マッスルだ!、マッスル♪』などと鼻歌交じりでやってくれたので問題ないと思いたい。手つきが少しアレだったのはきっと気のせいだ。
私物の日焼け止めはそのあと女子に獲られてしまったが、まあ仕方ないか。女の子が日焼けでヒイヒイいうのはよろしくない。
野郎ども? 須藤達は何も対策しないで泳いでいる。日焼けでヒイヒイ言うが良い。
考えることは同じようで、俺たちのすぐ後にやってきたのはBクラス。
平田と軽井沢が居ないため、俺と櫛田で対応。一ノ瀬と神崎とお話しして一緒に使おうということになった。全員来ているわけではなく、BクラスとDクラス合わせて40人位。なら少し離れて遊ぶなら問題ない。
ここはスポットのようだが、見晴らしがよすぎで所有するためカードをかざす時、丸見えになる。
なので占有は難しいので誰でも使用可能だ。
と言っても海遊びができるのは川を使える俺達Dクラスと、井戸を使えるBクラスだけだろう。遊んだ後には、海水で潮っぽくなった体を洗い流す必要があるのだが、それには十分な水が必要。Aクラスは難しいという訳だ。
面白いというか情けないというか、BクラスとDクラスの女子の違いは一目でわかる。Dクラスの女子は学校指定の競泳水着なのに対して、Bクラスの女子は自前の水着を着けている。これがプライベートポイントの差というものだ。野郎ども? 興味はないな。
最初は別クラスと戸惑っていたのだが、もともと猜疑心の高い人は遊びに来てないのだ。
俺と高遠で、伝説のバカップルのお約束、
『おーい、待ってくれよ~』、
『うふふふ、捕まえてごらんなさい!』
などと砂場を走っていると、両クラスも緊張が抜けてきたようだ。クラス間で話す者も出てきた。
トラブルとか起きそうにないと俺は草地で一休み。なぜか高遠の膝枕付きで?
「何故?」と問うと、「一回やってみたかったんだ」とのこと。お嬢様の心の琴線はよくわからない。
太腿の感触は素晴らしいのだが、高さがどうも合わないなと何処か失望。
手持ち無沙汰なのか、高遠が髪を梳いてくるが、その感触が微妙に心地よい。
外から見ると自分たちの世界を作っているように見えるだろう。まともな神経の奴は雰囲気を読んで、近づいてこない。
ちゃんと揺れるんだなと、なんとは無しに高遠の南半球を見上げていると、
「ねえ、気付いてる?」
という彼女の小さな問い。一瞬何のことかと考えそれに気づくと、俺は左腕を上げることで答える。
左腕の腕時計は画面を切り替えることで、体温脈拍のほかに気温や湿度、気圧なども表示してくれる。緯度経度も表示できるらしいのだが、秒の位は表示されるのだが、分と度の桁は表示されない仕様になっている。徹底していることだ。
大事なのはそこでない、実は有意な情報のほかに意味不明な表示もされている。その中にわかる者だけがわかる暗号が隠されているのだ。
しかし、高遠が暗号のことを認識していたとは思わなかった。普通に忘れていたと思ってたよ。やはりこの美人さんは侮れない、そう思うが、しかしそれを顔には出さない。だから、
「笑えることになりそうだね」
「私としては有難いよ♪」
俺の髪をなでる高遠の手つきが柔らかくなった。
そのあと高遠が一ノ瀬に飛びついて歓声を上げたり、
高遠が佐倉に飛びついて悲鳴を上げさせたり、
高遠が松下に飛びついてカウンターくらったり、百合百合を堪能して解散した。
で、試験五日目の夜。
俺は豪華客船のデッキで夜空を眺めていた。
試験三日目以降、誰が何処で何をしているか、原作にないんですよね。キャンプ地でずっと駄弁っていたのでしょうか?
狭い島なので畑とかもそうないと思われるけど、平田や池は(無駄に)頑張ってる気がします。だけどポイントを気にしないオリ主なら海で遊んでも不思議はないと。相方と二人きりというシチュエーションも考えたのだけど、違うクラスだから不自然かとクラスごとになりました。
プール回をどうするかアイデアがないのでそっちはスルーするかも、という訳で先行して水着回でした。
アニメ版でも水着回(プール回)は無人島試験前に変更しているので良いよね。原作小説のプール回は夏休みの終了直前なのです。
また腕時計の暗号はアニメ版から。綾小路くんが無人島試験中に意味ありげに時計の画面をいじってるのですよ。使えそうだ、というところから引っ張って来ました。