『うるっさい!』
俺は心の中でつぶやいた。というか天丼は食べ飽きたんだ。
クラスメイトの悲鳴と怒号の中、茶柱先生は冷笑を浮かべながら、嬉々としてSシステムについて説明している。
曰く優秀な順でABCDとか、卒業特典はAクラスだけだとか、入学前に説明のないことばかりだ。
この説明だと訴えたら勝てるのでは? とか思ったが、この学校は国策で国営だ、裁判所も丸め込めるだろう。
俺は学生証に目を降ろした。
クラスポイント0で支給ポイントも0。
なので残金は昨日と同じ107000ポイント。
初期の10万ポイントより多いのは、もちろん実家からのお小遣いが入ったからだ。
1人暮らしを始める子供に、多めのお小遣いをくれるのは保護者としてごく自然なことだ。
高育は外部と直接連絡することは禁じられている。なので保護者は一旦高育にお金を入れ、それがポイントとして支給される。
流石に10万とか100万とかいう非常識な金額は無理だが、2万程度なら許容内だ。
なお、お年玉は無理らしい、畜生め!
お小遣い分は支給されるとはいえ、プライベートポイントは大事だ。
できるだけ残せるように、俺は買い物はなるべくクレジットカードを使っていた。だけど、昼食やクラスメートと遊ぶ時はポイントを使わなきゃならないので、思ったより残せなかった。
クラスメイトにクレジット決済してるとバレるのはやばい。これからも注意が必要だ。
でもなぁ、高円寺あたりは絶対クレカかなにか持ち込んでるよな。そこからバレるかなぁ?
実は俺と高円寺の仲は悪くない。この前の競泳のあたりから、ケヤキモールや早朝ランニング中に会うと、普通に挨拶するようになっている。
コースが同じだと並んで走ることもある、途中でおいて行かれるけど。
なので高円寺の金遣いが荒いのは知っている。
彼はよく年上のお姉さま達とお茶しているが、彼の性格的に、年上とはいえ女性に払わせるのは良しとしないだろう。
絶対にポイント以外の支払い方法を持っている。クレカか話に聞くおサイフケータイ、それは無理か。俺たちが使っている携帯電話は学校支給の物、そんなアプリは間違いなくブロックされている。
なので彼は、ポイントしか使えない校舎内に居つかず、ポイント外が使える校舎外にいるのを好む、そんな所なのかな?
茶柱先生は黒板にでかい紙を張り出した。書いてあるのはクラスメイトの名前と数値、なるほど。
「先日やった小テストの結果だ。揃いも揃って粒ぞろいで、先生は嬉しいぞ。中学で一体なにを勉強してきたんだ? お前らは」
酷い言われようだ。
俺は? と順位を調べると同率三位。で三位はいっぱい。
仕組みは簡単だ。この試験、内容はほとんど中学レベル『以下』。ケアレスミスがなければある程度までは解ける。
ただ、『こんな問題! 解けるかー!!』と叫びたいくらい難しいのが、三問混じっていた。なのでここが天井になる。
ミスなくこの三問のどれかが解けたのが一位。解けなかったのが三位だ。トップな高円寺達はアレが解けたんだな?ちょい驚き。
というか、あの難易度で同率三位が10人いないほうに俺的には驚いた。
「この学校では中間テスト、期末テストで一科目でも赤点を取ったら退学になることが決まっている。今回のテストで言えば、33点未満の生徒は全員対象ということになる」
俺は同率三位な85点級だから問題なさそう。退学候補者は七人。
……残念だけど伊集院とは次の試験でお別れか。送別会くらい開いてやらないと。
さて、ほかのクラスの様子でもミてくるかな、と腰を上げるとガバっと伊集院に服の裾をつかまれる。
何?と見下ろすと、
「富士宮、お前頭いいんだろ!」
悪くはないぞ。
「勉強教えてくれ!」
必死に懇願。俺はそういうタイプではないのだが?
「お願い、私も!」
と反対側を松下さん、あなた赤点には遠いでしょ?
繰り返すが、俺はそういうタイプではないのだよ。
放課後まで粘られて、俺は結局二人の面倒を見ることになってしました。
後から聞いたのだが松下さんがこっちに来たのは、軽井沢グループは平田に縋りつくのが目に見えていたからだそうな。
平田の負荷が大きかったらグループの誰かをこっちに引っ張るつもりと。俺の負荷は良いのか?
寮の部屋に帰ると、なんか疲れを感じる。
ギャーギャー煩い三馬鹿にオタオタする平田。なんとかしようとする櫛田に、ツンツンする堀北幸村。
ドリンクでファイト一発してリフレッシュ。部屋備え付けのデスクトップではなく、ノートパソコンを開く。
偽装しているアイコンをクリックして『Eシステム』を起動する。
E計画なら私はチルドレンかもしれないが、残念ながらシステムである。
システムが起動してウィンドが開くと、まだ見慣れない人物のバストアップが映る。もう入っていたようだ。
「富士宮くん、ご苦労様です」
恰幅の良い人物は私にそう呼びかけた。
『校内では現金は使用できない』、二次小説では茶柱先生が最初のHRでよく言っているセリフですが、そんなこと原作小説でもコミックでもアニメですら言ってないです。原作二巻で綾小路君が地の文で言ってるだけです。
ともあれ、現金が使えなければクレジットカードや電子マネーを使えば良い、というのは現代社会の常識ですよね。
ただしリアルな電子マネーの最大手、PayPayは2018年創業、原作開始時の2015年にはサービス開始していません。ならクレジットカードが最強でしょう。
問題は15歳の子供にカードを発行してくれる会社があるかということですが、外資とか裏技を使ってなんとかしたということで。
原作でお小遣いとかクレジットカードの話が出ないのは、一人称小説の語り部である綾小路くんが、そういうことに疎いから、ということでOK? そもそも彼にはお小遣いくれる人も、クレジットカードに紐づく銀行口座もないだろうし。
あと、高育では通販も使えるらしいですが、密林さんはポイント払いは受け付けてくれないと思いますよ。外資だし。