ミに来た、実力至上主義の教室を   作:Iota

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書いていて、この夏はまだトウモロコシご飯を炊いてないのに気が付いた。
なので慌ててトウモロコシを買いに行きました。


9話 隠しカメラって何?

 

パタパタパタ

高遠が俺のベットで上機嫌で脚をパタパタさせている。携帯を見ていてなにか楽しそう。

制服のミニなスカートの下は、スパッツやインナーパンツの類だとわかっているのに目がひきつけられてしまうのは、男の業というものだろう。

 

Eシステムを介して、高育のサーバーに潜り込む。階層がなんか面倒くさい。直感的でなく、造りが古い。そう、なんかお役所くさいんだ。潜って、諦めてまた潜る。で、やっと見つけた。

「高遠さん」

と彼女を呼ぶと、なんか不満気な顔。

「舞と呼べぃ!」

脅すように俺の首を、後ろから軽く締めてくる。

背中に当たる膨らみは嬉しいが、首にかかった腕が的確に急所を狙っているので怖い怖い。

「はいはい、マイ」

降参とばかり腕をチョークすると、見つけた録画データを『高遠』の前で再生する。

 

須藤とCクラスらしき三人の男子。殴る、と言えるか微妙なちょっかいに、激高した須藤が殴りかかる。

「あーーこれは……」

「微妙だね?」

二人して頭をひねる。これを正当防衛というには無理がある。Cクラスの三人は明らかに殴られる意図があるが、須藤はそれに気づいてない。

 

結局、Cクラスは上手くやったということだ。そこに善悪はあるのかもしれないが、実はそれは俺達には関係ない。

俺たちの仕事は事の正否を計ることではない、そこにどういう意図があるか知ることだ。

Cクラスがなにを考えて事を起こしたのか、、Dクラスがそれを受けどう対処するのか、その流れを見極める。それだけだ。

今のところCクラスが一歩、いや三歩くらい有利。Cクラスは司令塔が駒を回しだしたのに、Dクラスはそれに誰が対処するのかすら決まっていない。当事者の端にいる俺としてはこれからの状況にワキワキしたいところだ。個人的にはCクラスで糸を引いた人間に興味が湧くが、残念ながらそれを調べるのは俺の担当ではない。

 

「ところでこの動画、なに?」

知らないのか、この娘?

「監視カメラでなくて、隠しカメラの画像だよ」

教室や廊下に監視カメラがあるのは、注意深い人間なら入学すぐに気づいていただろう。Aクラスなんて入学初日に笑みを送っていた杖突き少女がいた。注意喚起のためか、あからさまで隠す気がない設置状態だ。

 

だけど、監視カメラには変な穴がある。それに気づいた俺はEシステムを使って学校のシステムにアクセスし(さり気に権限が与えられていたのでハッキングではないよ)隠しカメラの存在に気づいた。

よく考えると、校舎裏とか、寮の隅とか、体育倉庫とか、伝説の木とか。

何かイベントが起こりそうなところにカメラがないのは不自然だ。クラス間競争させるなら、逆に盤外で何か起きないか監視の目は必須だろう。ここは国が管理している高校なのだ。ギャングみたいな抗争が許される訳がない。

あえて隙を見せていても、本当に隙があるとは限らない。そういうことだ。

マジレスすると個室はさすがにNGだけど、トイレには隠しカメラを仕掛けておいたほうが良いと思う、いじめの温床だし。

 

……そういえば隠しカメラか。

隠しカメラのことを考えていると、ふと今回の審議に絡みそうな人の事を思い出した。生徒会長の堀北先輩。あれがあったっけ。なので、

「そうそう、こんな動画もあるよ」

と、前に見つけた画像を再生する。

暗い屋外、眼鏡をかけた中背の男が女生徒を壁ドン。なんか不届きなことをしようとして、無表情な男子生徒に止められる。二、三手かなり高度な組手をし、眼鏡がなにか言い残してその場を去る。誰もいなくなった後美少年が一人現れ、何故か肩をすくめて終わり。「これ、貴方じゃない?」

「いやいや、通りすがりの美少年だよ」

「おい!」

「あははは」

 

この時、何があったのかを説明しようと思ったら、それを遮るチーーンという美味しい音。

「あ!」

「ご飯炊けたか」

今日は運よく朝もぎトウモロコシが手に入ったので、それを使ったトウモロコシご飯。夏はこれでご飯三杯行ける。

「……とりあえず」

「ご飯にしようね」

 

高遠がご飯四杯行ったあとだ、話は五月頭のSシステム発表直後にさかのぼる。

そのころ俺はEシステムを使いこなすため、ノートPCでシステムにアクセスしていた。

この当時、監視カメラの生画像はサーバー経由で見られるとわかっていたので、ポチポチ切り替えて眺めていた。……要は暇つぶしだ。

時間的に遅いので人気はない。人が動いているのはコンビニの前くらいか。面白くないので切ろうとしたが、動体センサが誰かを捕えた。なので、何となく1年生寮のエレベーターを映してみたら、そこにいたのはウチのクラスの堀北さん。

夜遅くだというのにばっちり制服を着こんでいる。ふと興味を覚えたので彼女を追ってみることにした。こういうのは肉眼が良い。必要そうな機材を身に着け、エレベーターに急ぐ。

そこで見たのは"あの"綾小路くん、当時はそれほど注目していなかったのだが、彼は堀北さんを追っているようだ。面白いシーンが見られそうだと、気配を殺して後に続く。

で、あの乱闘シーン。早朝ランニングで会長の顔は覚えていたし『堀北』という名前も覚えていた。兄妹の壁ドンか、俺もお姉によくやられたなと唇をムニムニしながら見ていると、綾小路が乱入。

流石ピアノで体を鍛えている男は違う。顔を狙った裏拳、下半身への急所蹴り、抜き手から襟をつかもうとしたのか。すべて危なげなくいなしてしまう。なかなか良い攻防だ。

しかし堀北さん、助けてもらって『友達じゃありません』は少しひどいぞ。気配的に綾小路が落ち込んでいるじゃないか。

 

「死にもの狂いで足掻け。それしか方法は無い」

などと中二病くさいセリフを吐くと、堀北会長はチラリとこっちを見た。気付かれた? なので、俺は用意していたファイルを再生。

『ニャーォ』

自宅近所の地域猫から採取した鳴き声だ。ごそごそと隠れていた藪を揺らすのも忘れない。

なにか納得した顔で堀北会長は帰っていく。堀北妹と綾小路が寮のエントランスに向かったのを確認してから、俺も寮に帰る。向かうのはエントランスじゃない、寮の裏手に回って非常階段を昇る。綾小路とは寮の階が違うので出くわすことはなかった。

 

「で、その時の画像がこれね」

俺はモニタにその時撮った動画ファイルを映す。堀北会長と綾小路のバトルに、二人の顔がばっちり映っている。

「いい感じじゃない。これ、なにで撮ったの?」

これ、とビデオカメラを見せる。ヘッド分離型の小型カメラだ。スパイ道具みたいで格好いいので通販で買いました。経費で落としてくれた細井さん、ありがとうございます。

「なんかあったら貸してね」

もちろんです。

「で!」

とにっこり笑うので、もう一つのファイルを再生。

家から持ち込んだニャンコのファイル。芝生の上で黒猫がゴロンと腹をみせ、ニャー。

「地域猫の夜一さんだよ、さんまでが名前」

「キャー、可愛い!」

地域猫とは言え、ご飯を上げない人にはなつかないので撮るの苦労しました。

「でもホームズじゃないのね?」

「三毛猫でないのになんでホームズ?」

「なんとなく?」

 




堀北会長は寮の裏には監視カメラがないと知っていて、鈴音ちゃんにDVしようとしたと。実はこれは間違いです。
監視カメラの設定がでたのは二巻になってから。なので一巻ではそんなモノないとして、原作では皆結構無茶をしています。
元祖?な旧姓戦場ヶ原のひたぎさんでも、実際に未来の旦那様にコンパス攻撃はしていません。
ツンドラ同系の鈴音ちゃんがコンパスの針を本当に綾小路にぶっ刺して、「どこにそんな証拠があるの?」とか嘯けるのは監視カメラの設定がなかったからです。もし1巻にそんな設定があったら、鈴音ちゃんの暴力行為でクラスポイント引かれていたかもです。もしかして、だから六月のポイントも0だったのかな?
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