家に天使が来た話 作:ナニワのおっちゃん
俺は、悩み事がある。
「...なあ。」
「はい?」
「ん?」
「どうして、お前らはシリアスができないんだ?」
「え~。」
「えーと...」
「あ、ウノ。」
「あっ!早いですよ、亮さん!!」
「え~やば~、ウチまだあと8枚くらいあんだけど。」
「俺は結構こういうゲーム強いんだ。運が良いんでな。」
「ガブちゃんさん、協力しましょう。」
「よしきた。」
「おい卑怯者共、それでも天使か」
「はい。」「もち。」
...俺も原因かもしれない。
隕石が落ちてきたり、やばい見た目の天使のバケモンがきたりしてきたが、それでもこいつらが気楽なせいで、未だに本当にシリアスになった事がない。
まあ、こういう方が俺も気楽で助かるんだが。
「ってかナチュラルになんで俺の家いんの?」
「ウチ?暇だし。」
「熾天使って暇なのかよ。」
「社長が営業に行くことないでしょ~?書類とかも部長が管理するし。それと一緒一緒。」
「なんか現代社会みたいな事を天使が言うの中々に嫌だな。」
「あ、ウノです。」
「よし、リョっち、手ぇ組も。」
「よしゃ。」
「ひ、ひどい...」
今は何故か三人で酒を飲みながらUNOをしてる。
熾天使、曰く特別らしい謎の天使、ついでに人間。
どうなったらこんな3人(?)が集まって、人間の家でUNOをすることになるんだ?
というのも、遡って数時間前。
インターホンの音が鳴り、続いて声が聞こえる。
『メーちゃ~ん、来たよ~~』
なんと、迎えに来た日から一日しか経っていないのに来た。
さすがにメシティスも、少し驚いてた。
「...こういうのって、少し合間開けてくるものなんじゃないですか...?」
「俺に聞くな...」
「入れてあげます?」
『ね~~寒~~い!』
「まあ、いいんじゃね。悪い人?天使?じゃねえし。」
「はーい...よいしょっと。」
「どうぞ。」
「よっ。(ズビ)」
「天使って鼻水出るんだな。」
「出ますよ。特に、今は私もガブちゃんさんもヒトに近い身体の状態ですから、一丁前に体調崩す事だってできます。」
「できなくていいよそんなの」
「で、何の用だ?メシティスの一件は決着付いただろ。」
「遊びに来た。」
「暇だな、おい。」
「部下が優しいから有給消費させてくれんの。いいでしょ。」
「そこらの会社より天界の方がホワイトじゃないか?」
「ホワイトですよ。転生を望まない人は天界に居座り続けますから。」
「へぇ...」
「とりあえずご飯食べていきます?」
「やった~。」
居候が増えた予感がした。
で、なんで結局UNOしてるのかと言えば、知っての通り俺達は結構な酒好きだ。
晩酌がてら熾天使サマにも一杯飲ませてみたんだが、置いてあった安物のウィスキーがお気に召したらしく結構な量を飲んですぐに酔っぱらってしまった。
「これ美味しいねぇ~。なんてやつ?」
「頬張ってる奴の事を言ってんなら八宝菜だ。」
「亮さん、結構中華好きですよね。」
「ああ。母親が良く作ってくれたからな。」
「へぇ。親事情を貴方から聞いたのは初めてかもしれません。」
「ご挨拶したいですし、伺ってもいいですか?」
「とっくにくたばったよ。事故でな。」
「俺は若くして天涯孤独の身ってわけだ。」
「...ねえこれウチ聞いてよかった話?」
「...ええと。」
「いいんだよ、どうせ大して関係ないしな。」
「そうですか...」
...
さすがに若干気まずい沈黙が流れた。
ただ持前のコミュ力をもってして、ささっと話題を変える事に成功した。
「人間界の安酒もなかなかいい物だろ。」
「ね。天界にお酒なんてないし。」
「まずウチまともに下界のご飯食べたのタッパーのあれとこれが初めてだし。」
「そうだったんですか?てっきりもっとこっちに来てる物かと。」
「メーちゃんがまずあんまり降りてないのと一緒でウチもあんまり降りないの。」
「なるほど。」
「お酒飲むのもいいけどさぁ?なんか暇つぶしない?天界でもできそうな奴。」
「ゲームは?」
「天界にコンセントないです。」
「はぁ...」
「ちょっと。」
「トランプとかか?」
「トランプ...?あの記号書いてある奴ですか?」
「あーそっか。教えた事ないな。」
「ゲームの知識も電気を使う事しかわかりませんから。」
「ねぇ、何それ?」
「トランプっつーのはだな...いくつか遊び方があって...」
とまあ、こういう流れて卓上のちょっとしたゲームを遊ぶ流れになった。
負けた奴はコンビニ行くって流れもおまけでな。
トランプは大富豪、ババ抜き、ポーカーをやったんだが...
見事に3者それぞれが負けて、俺もそれ以外に詳しい物が大してなかったから、ゲームを変えて決着つけようって話になったんだ。
で取り出したのがUNOってわけだ。
ルールもさほど難しくないしな。
「...上がりました!」
「...メーちゃんUNO言ってないよね?」
「あっ。」
「順応が早いな。」
「ウチ天使だし。」
「この上司にしてこの部下ありか...」
「ひ~ん...」
「おっ、俺は上がりだ。UNOは言ったはずだぞ?」
「ちぇっ。」
「あ、UNO。」
「言い忘れで2枚ドローはひどくないですか?」
「「言い忘れた奴が悪いだろ(んじゃない?)。」」
「仲良くなるの早いですね...」
最終的にガブリエルが負けた。
「なぁんで最後まで緑出ないの!!!!!!!」
「ふふっ。私のワイルドカードが効きましたね。」
「お前結構ギリギリだったくせに。」
「良いですから!お酒お願いします!」
「しょうがないなあ...あっ。」
「ウチ、下界のお金ないや。」
「天使はこんなんばっかなのか?」
「そりゃあそうですよ。下界で働いてる天使なんて...ほとんどいません。」
「...じゃあ金はどっから出るんだ?」
二人が俺をちょっぴり見た後、すぐに目を逸らした。
...こいつら...
「...しょうがねえな...金はやるから、買って来てくれ。」
「俺はビール缶で。」
「私はチューハイでおねがいします!」
「ウチの分も買っていいんだよね?」
「ああ。」
「いぇ~い。」
ゆるいノリで適当に会食をして、この日はガブリエルのヤツが「ウチ泊まるとこもないし~、天界帰るわ。」
って言って帰ってった。
天使、ゆるいな。何もかも。
「ですよね?」
「心底同意するわ。てか読むな。」
「でもあそこまでゆるいのはガブちゃんさんだけですよ、熾天使の中だと。一番楽な...部署?みたいな扱いです。でも仕事自体は忙しいですけどね。」
「でもお前働いてないじゃん。」
「それはー...まあ、色々あるんです。」
「聞かない事にしておくわ。」
「助かります。」
で、いつも通りベッドで寝て...なんかいつの間にか抱き枕にされてて...引っ叩いて起こして...
いつも通り会社に行く。
それで家に帰って、同居人と駄弁り、酒を飲み、遊び、寝る。
また働き、帰り、寝る。
同じような愉快な日々を少し過ごした。...だいたい一週間くらいか?
いつの間にか年が明けたりもしていたが、生活はあまり変わらなかった。
「どうですか?おぞうにですよ、おぞうに!」
「中々美味いな。」
「もうちょっと素直になってくれてもいいんですよ。」
「お前そしたら調子乗るだろうが。」
「そうかもしれません。」
ブーっ。
携帯が振動した。
「...あ?」
徹からだった。
『合コン来ねえか?』
何故か知らないが、メシティスからすごい目で見られたような気がする。