二周目スティルは全てを手に入れる(仮題)   作:首領ドラコ

4 / 4
初めてのGⅠレース

 スティルインラブと担当契約を結んでからしばらく経って、いくつかわかったことがある。

 

 

 まず、スティルインラブはハチャメチャに強いということ。今すぐシニアに放り込んでも、それなりに通用しそうな完成度だ。

 

 

 将来トゥインクルシリーズで活躍するウマ娘は、早いうちから頭角を現す。目に見えてわかりやすい才能を持っているのが普通だから。でもスティルインラブは少し違った。他のウマ娘がフレッシュな高卒投手だとすると、スティルインラブは年季の入ったベテランのような風格があった。

 

 

 すでに技術は一級品だ。初めて体験するような強度の高いレースでも、すでに知っているかのような顔で走り抜ける。とにかく場慣れしているような印象を受ける。今はまだ体の成長が技術に追いついていないけど、それも時間の問題だよね。

 

 

「というわけで、獲りたいGⅠとかある? 今の君なら何でもできるよ」

 

 

 同世代を相手にするなら、スティルインラブが負けることはないだろう。私が実績ゼロの駆け出しトレーナーであることを加味してもお釣りがくる。担当ウマ娘とトレーナーの実力が釣り合っていないのは、嬉しくもあり悲しくもあるけど。

 

 

「では……トリプルティアラを望みます」

 

 

 メイクデビューで完勝した直後に、スティルインラブはそう答えた。

 トリプルティアラは歴代でもメジロラモーヌしか達成者がいない、ほとんど幻のような称号だ。特定のGⅠレースを3勝するという狂った条件は、トゥインクルシリーズ最難関である。菊花賞3000mを走ることになるクラシック三冠も大概だけど。

 

 

 ただし私はスティルインラブならいけると判断したので、早速それに向けて予定を組んでいく。スティルインラブの適正距離はざっくり1600~2200くらい。そこから諸々を逆算して次のレースは……12月の朝日杯だ。

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 それからトレーニングを繰り返しているうちに、あっという間に12月になった。スティルインラブの技術は申し分ないので、基本的にはフィジカルを伸ばす方向で筋トレや食トレなど。後から体を作ろうとするとかなり大変なので、来年の3月までに間に合わせたい。

 

 

 スティルインラブにとってはいきなりのGⅠだけど、私は問題ないと思ってる。私が目利きを誤っていない限り、GⅡ以下のレースだとぶっちぎるイメージしか湧かなかった。スティルインラブの実力を測りつつ今後の課題をあぶり出すには、ハイレベルなレースに出る必要があるんだよね。

 

 

 そしてスティルインラブは

 

 な ん か 大 差 で 勝 っ た 。

 

 

 まれに見る圧勝だ。

 ハイレベルなレースはスティルインラブの華麗な走りで粉砕され、今後の課題は特に見つからなかった。わかったことはスティルインラブが想像以上にやべーウマ娘だということ。私を含め全てのトレーナーが思い知ることになったのだ。その規格外の実力を。

 

 

「トレーナーさん、勝ちましたよ」

「うん。いや、マジで圧勝だね。うん」

 

 

 当然だとばかりに微笑んでいるスティルインラブとは対称的に、私は動揺してばかりだった。君意外と自信家だよね? このチート級のウマ娘を担当するということがどういうことなのか、今更になって実感が追いついてきた。

 

 

 これ、この子が負けたら私の責任だなぁ……。

 本当に私がトレーナーでよかったのだろうか。彼女なら誰と組んでも結果を残すことができる。スティルインラブを勝たせることができないなら、それはトレーナーとしての腕が足りてないのだ。あぁ、プレッシャーを感じる。

 

 

 レース後のウイニングライブをこなしているスティルインラブと同時に、私はレースの後処理を進める。トレーナーの悪いところというか、担当ウマ娘のウイニングライブはレース後のドタバタで見ることが難しい。

 

 

 フリフリの衣装で踊るの、絶対可愛いけどね。本人も一生懸命練習してたみたいだし、どうせなら生で見たかった。

 

 

「次のレースをどうするか……考え直さないとね」

 

 

 プレッシャーで胃が痛いけど、それと同時にとっても嬉しかった。私はトレーナーとして初めてGⅠレースで勝った。それがウマ娘の実力でも、私は本当に嬉しかったんだ。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

ナイスネイチャがトレーナーと契約するまでのお話(作者:灯火011)(原作:ウマ娘プリティーダービー)

ナイスネイチャっていいですよね。▼※長くなりそうなので連載に変更しました。一日一話、夜9時ごろ更新します。なんか50話ぐらいになりそう。


総合評価:1351/評価:8.36/連載:38話/更新日時:2026年08月06日(木) 21:00 小説情報

ステイゴールドになったけど(作者:灯火011)(原作:ウマ娘プリティーダービー)

気づいたらステイゴールド。▼っても、既にいろんなステゴの記憶がある彼女。その中に一人、おっさんが混じってもまぁそれはステゴ。▼19話からは蛇足編です。おっさんステゴの旅路をご覧になりたい方は、是非。


総合評価:2120/評価:8.52/完結:48話/更新日時:2026年06月29日(月) 21:00 小説情報

5連続出走だ! ダービー!!(作者:首領ドラコ)(原作:ウマ娘プリティーダービー)

転生トレーナーがサイレンススズカを5連続出走させる話。2022年のウマ娘に囚われているトレーナー達へ捧ぐ。


総合評価:18661/評価:8.23/完結:29話/更新日時:2026年06月30日(火) 22:00 小説情報

競馬ミリしらウマ娘ファンがウマ娘化されていないモブ(?)ウマ娘に転生したので、頑張って百合ハーレムを作ろうとする話(作者:雅媛)(原作:ウマ娘プリティーダービー)

 ウマ娘に転生したから百合ハーレムを築きたい競馬ミリしら民のお話。▼ なお、名前はディープインパクトという。


総合評価:2343/評価:7.84/連載:20話/更新日時:2026年04月04日(土) 11:39 小説情報

ウマ娘は『前の貴方と歩んだこと』を覚えている。(作者:あばなたらたやた)(原作:ウマ娘プリティーダービー)

▼ 私達は、彼のことを二度好きになった。でも彼にとって、私達は初対面だった。▼ 彼は何度も人生を繰り返している。しかし、彼の記憶にその痕跡は残らない。▼ 彼が愛した人。▼ 彼と未来を誓った人。▼ 彼を救った人。▼ その全てを覚えているのは、彼ではなく、過去のウマ娘たちだった。▼「初めまして」▼ そう言う彼を見るたびに、彼女たちは失った恋をもう一度経験する。▼…


総合評価:556/評価:7.42/連載:38話/更新日時:2026年07月16日(木) 23:47 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>