TS特級呪術師 秋山凛子   作:オッパッピー

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諸君、私は対魔忍が好きだ。
諸君、私は対魔忍が大好きだ。

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第三話 呪術高専

「こちらです」

 

黒いスーツ姿の男に案内され、凛子は一台の黒塗りの車へ乗り込んだ。

 

男は運転席へ座ると、バックミラー越しに凛子を見る。

 

「改めて自己紹介します」

 

「私は補助監督です」

 

「そうか」

 

「……冷静ですね」

 

「何がだ?」

 

「初めて呪霊を祓った人は、たいてい気が動転しています」

 

凛子は静かに首を振る。

 

「急に見えるようになっただけだ」

 

「?」

 

「昨日までは見えなかった物が、今日から見えるようになった」

 

「それだけの話だ」

 

補助監督は思わず言葉を失う。

 

(なんて落ち着いた子だ……)

 

凛子の中では、すでに答えは出ていた。

 

(魔族が見えるようになった)

 

(なら、倒すだけだ)

 

それ以上でも、それ以下でもない。

 

 

---

 

しばらくして車は山奥へ入っていく。

 

木々に囲まれた長い坂道。

 

その先に、大きな門が見えた。

 

「着きました」

 

車を降りた凛子は、門の奥を見つめる。

 

広い敷地。

 

寺院のような校舎。

 

訓練場。

 

どこか神聖な空気が漂っている。

 

(学校……?)

 

補助監督が説明する。

 

「ここは東京都立呪術高等専門学校」

 

「呪術師を育成する学校です」

 

「学校なのか」

 

凛子は少し意外そうに呟く。

 

(退魔組織が学校を兼ねているのか)

 

そう解釈すると納得できた。

 

まさに対魔忍と同じだ。

 

 

---

 

校舎へ入る。

 

案内された部屋には、一人の大柄な男が座っていた。

 

サングラス。

 

黒い学ラン。

 

厳つい顔立ち。

 

男は静かに立ち上がる。

 

立ち上がると凄い、まるでAV男優かプロレスラーのような見た目のたくましさだ。

 

「初めまして」

 

「私は夜蛾正道」

 

「この学校の教師を務めている」

 

凛子は一礼した。

 

「秋山凛子です」

 

夜蛾は補助監督から報告書を受け取る。

 

「十五歳」

 

「一般家庭」

 

「術式持ち」

 

「未登録」

 

一通り目を通し、凛子を見る。

 

「まず確認したい」

 

「今日、呪霊を祓ったそうだな」

 

「ああ、だが私には魔族を倒した感覚しかない」

 

夜蛾は少し眉を上げる。

 

「魔族?」

 

補助監督が苦笑した。

 

「彼女は呪霊を魔族と認識しています」

 

夜蛾は納得したように頷く。

 

「なるほど」

 

「この世界では、あれを呪霊と呼ぶ」

 

「そうか」

 

凛子は素直に頷く。

 

「呼び方が違うんだな」

 

夜蛾は少しだけ笑みを浮かべた。

 

(面白い子だ)

 

 

---

 

「術式を見せてくれ」

 

夜蛾に案内され、二人は訓練場へ向かう。

 

厚い鋼鉄板が並ぶ演習場。

 

凛子は木刀を受け取る。

 

まだ真剣を持ったことはない。

 

静かに納刀の構えを取る。

 

呼吸を整える。

 

一瞬。

 

木刀が僅かに動く。

 

ズバンッ!

 

二十メートル先の鋼鉄板が、音もなく斜めに切断された。

 

ズズン……

 

地面へ崩れ落ちる。

 

夜蛾は目を細める。

 

(間違いない)

 

(空間を斬っている)

 

「もう一度」

 

凛子は今度は手刀を振る。

 

再び。

 

離れた鋼鉄板が真っ二つになった。

 

補助監督が息を呑む。

 

「木刀がなくても……」

 

夜蛾は静かに腕を組んだ。

 

(術式の発現も初日)

 

(それでこの精度か)

 

(末恐ろしい)

 

 

---

 

部屋へ戻る。

 

夜蛾は凛子へ向き直った。

 

「秋山」

 

「君には術師としての才能がある」

 

「そうか」

 

「呪術師になる気はあるか」

 

凛子は少し考える。

 

(この世界にも)

 

(魔を祓う者たちがいる)

 

(なら)

 

(やることは同じだ)

 

凛子は静かに頷いた。

 

「私で力になれるなら協力しよう」

 

夜蛾も静かに頷く。

 

「今日から君は、東京都立呪術高等専門学校の生徒だ」

 

こうして秋山凛子は、呪術師としての第一歩を踏み出した。

 

この学び舎で、生涯の仲間となる術師たちと出会い、自らの運命が大きく動き始める。

 

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