俺が女体化でツンデレとかありえない   作:Axelea

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今回で一応、二部は終わりです。


家族

「幸せにならないと、許さないからね」

窓の縁に座る背中から黒い羽を生やした白髪の美青年。

どう考えても外から入ってきたとしか考えられない。

 

「えっ、誰!というか羽!え、おいなんだよこれ!」

「…それは見てみたいね、でも、起き上がれない」

力が抜けて寝ている吉良の頭を持ち上げて俺の脚へ乗せてやる。これで見れるだろ。

「おぉ…これはっ…すごいね」

なぜ若干顔が赤くなっているのかはわからないが、やはり吉良も感嘆している。

うーん、こう言うの柄じゃないかもしれないけどさ、『美しい』って感じなんだよ。全体的に芸術的なんだよね。

まさに天使みたいな。

 

『サタン?!』

『サタン様?!』

これまた俺たちとは違う反応を見せる悪魔二人。

サタンって、えー…ルシファーとリリスの子供だっけ?で、ルキフゲが育ての親で…ってサタン?!

「吉良!やばい!遂に俺の部屋に悪魔の王が!どうしよう」

「僕に関してはこのまま死んでもなんら後悔はないね」

俺の膝の上で訳のわからんことを言っている吉良を、サタンの方に向けてガードする。

…こいつ見た目より重くないか?

「筋肉がついてるからね」

俺の考えていることをどう読み取ったのか吉良がそう答える。なんか腹が立つので鳩尾に一撃入れてやった。

「ぐふっ…鋼の筋肉も力が入らなければ意味がない…か」

 

「随分と仲がいいんだね、お二人さん」

いつの間にか部屋の中に入り込んでいるサタン。不法侵入だぞ!

「まぁ、いいじゃない」

綺麗に正座をして俺たちに向かい合うサタン。なんだ、今度は一体なんなんだ!

「いやぁ、治してあげようかなと思って。『魔力操作』…はい、動けるでしょ?吉良くん」

「いえ、どうにもまだ動けないみたいです」

「本当かい?うーん、僕の魔力を譲渡したからそんなことはないと思うんだけど」

「いえ、サタンさんは悪くないですよ。僕を縛り付けるのはこのむっちりとした膝枕(てんごく)ですから」

ゴンッ!

思い切り地面に打ち付けてやった。そうか、だからニヤニヤしてたのか。

天然で膝枕しちゃうとか恥ずかしすぎるわ!死にたい

 

「やれやれ」と座りなおす吉良。ひくわ!と思っていると、リリスも顔を引きつらせている。たまに気持ち悪いんだよな吉良って。

しかしその横で大きく頷いているルキフゲ。…こいつら危険だ。と思ってまたリリスの方を向けば顔が青ざめている。

多分俺の顔色も悪そうだ。

…なんというか、前より寒気が二倍感じるね。 そんななか

「そろそろ僕が来た理由について聞いて欲しいんだけど…」

とおいてけぼりサタンがいうのでとりあえず話すことに。

 

「じゃあ、父さん母さん。あらためてお久しぶり。あ、もう様なんてつけなくていいからね父さん。…今日は二人の魂が今までより強く結び付こうとしているのを感じて飛んでやって来たんだ!やっと出会えたんだね」

「いや、あの、えっと…」

リリスは返事化しづらそうだ。

「母さん、僕は何も恨んじゃいないよ。ずっと見守ってくれたじゃないか。大好きだよ」

「サタン…」

愛する息子の言葉に、涙を流すリリス。

「父さんも…やっぱり殺すのは辛かった。でも、約束は破っちゃいけないからね。僕も父さんみたいな一途な愛に憧れてるから」

『サタンさ…サタン…』

泣きそうになりながらも、少し頬を赤く染めている。照れているのかな。

「ちょっと揉めてたみたいだね。悪いけど優奈さんの記憶を見せてもらったよ。でもね…」

ここまで流れるように話していたサタンが、わざと一拍あける。

 

「二人が幸せに…つまり、その…一緒になってくれないと困るんだよね」

 

「困る?え、困るってどういうことだ?話の流れおかしくないか?いま家族愛が…え?」

なんとなく拍子抜けした俺はツッコミをいれてしまう。

「あはは、その、僕の両親って父さんと母さんでしょ?」

『そ、そうね?』

『お前がそう言ってくれるのなら俺はとても嬉しい』

二人は見つめあって頬を染めている。半透明なのに顔だけは真っ赤ってか!くっそ!みせつけやがって!ヒューヒュー!美男美女でお似合いだぜ!

…いや、片方(リリス)は俺とそっくりじゃねぇか。なんだよ美女って!…美女って!!

まぁ、吉良がかっこいいことは否定しない。と思って入るけど口に出すと恐ろしいのでこの邪念(・・)は払おう。

 

「あのさ、僕も結婚しようと思って」

『『え?』』

「母さんが生まれ変わる…いや、優奈さんの中で眠り始めて数年後に…初めて好きな人ができたんだ」

夫婦(・・)の顔が喜びに満ち溢れる

『ついにできたのね!私心配だったの!私が見てなかったここ数年…孤独じゃなかったのなら良かった!』

『そうか、サタンもそんな年頃か…』

そんな年頃って…いや、サタンって何歳だよ。年頃も何も人間だったら悟り開いてるレベルの年齢だよね?!

まぁ、そこらへんの悪魔の事情はわからなくても別にいいか。

 

「結婚といえば、両親に報告だよね?だからさ、早くくっついちゃってよ」

『で、でも…』

喜びから一転、またもやリリスの顔が暗くなる。

「ならこうしようよ、母さんは僕への償いとして、仕方なく(・・・・)父さんと幸せになってよ」

『『は?』』

この二人仲良すぎないか?ハモリすぎだろ…。

「母さんの贖罪は僕のために(・・・・・)仕方なく父さんと幸せになる。父さんの贖罪は僕のために(・・・・・)母さんを幸せにする」

『いや、サタン、それって…』

『おい、それはちょっとちがうんじゃ…』

「子供の初めてのわがままだよ?聞いてくれないの?」

サタン、悪魔の王。そんな存在が屈託の無い満面の笑みを浮かべて両親に語りかける。

ただ、家族みんなで幸せになりたい。それだけなのだろう。

数百年来の家族会議はここに終結した。

 

『そこまでサタンがいうなら、そんな幸せな贖罪でいいのなら、愛しい我が子が言うのなら、ルキと…幸せになってあげてもいいわ』

『俺が出来る唯一の贖罪は家族みんなを幸せにすることだろう。サタンに罪を償えと言われたんだ。仕方ない。精一杯幸せにして見せよう』

…ったく。重いというか、頑固というか…ツンデレ夫婦だなこいつら

涙を流しながらも、笑って抱き合う家族三人。いいよな、俺も将来的には…

「優奈ちゃん、僕達もはやく子供が欲しくなったね?…おっと、ちょうどいいベッドが」

「雰囲気を壊すな!この変態!」

「冗談!冗談だってば!優奈ちゃん!鉄拳制裁だけはっ…ぐぅ…」

俺たちを見て笑う悪魔三人。

そういえば、とかなり吹っ切れた様子のリリスが呟く。

 

『サタンのその…お相手ってどんなひとなのかな?』

『確かに気になるな』

「俺も気になるわそれ」

「なになに?恋バナかい?僕も混ぜてよ」

サタンを見つめてニヤニヤする四人。

「え、お相手っていっても、普通の可愛い女の子だよ。」

「またまた!サタンともあろうお方が普通の可愛い女の子だなんて!えげつない魔力と妖艶な姿を持った魔女とかと結婚しそうなのに!」

「優奈さんは僕をなんだと思ってるんだい?…普通の、普通の人間の女の子さ」

『『「「まさかの人間?!」」』』

四人の声が重なる。おい、なんだ!年の差がすごいことに!

「えーっと、それで、ここで優奈さんと吉良くんにお願いがあるんだけど?」

「なんだ?」

「なんだい?」

「精神体…というかもともと君達自身である父さんと母さん。二人のためにこれから新しく肉体を作るなんてことは僕にもできないんだよね。その…二人ともかなり上級の悪魔だからさ。だからこれからも1つの肉体で生きてもらうことになる」

あぁ、上級悪魔に作り物じゃ釣り合わないから、みたいなかんじか?

「まぁ、今までも一緒に生きてきたんだし、問題ないっつーかあたりまえだろ?」

「僕も優奈ちゃんと同じ意見だね」

精神体の悪魔二人が嬉しそうに、照れくさそうにしている

 

「そういうと思ってたけど、とりあえずよかった!で、ここからが問題。僕の彼女…まぁ結婚相手は普通の人間なんだよね」

「それは聞いたぞ」

「彼女には僕の正体を告げているんだけど…さすがに精神体を両親ですとは紹介できないよね…主に向こう方の両親に」

『それもそうね』

『俺たちの姿ではどうにもならないな』

「そこで、優奈さんと吉良くんへのお願いになるわけだ!」

 

「結婚式や、結婚の挨拶の時に二人の体を父さんと母さんに貸してあげて欲しいんだ!」




ちょっと変な終わり方ですかね…?
というわけで次回は、二部外伝となります。
二部も終わりということで、ルキフゲとリリスの『ツンデレ』で締めてみました。

さて、サタンやルシファーという新キャラ達。回収していない伏線(?)達。
一体三部はどうなるのやら。
姉ちゃんやお友達も最登場し女体化でツンデレな、萌を追求したお話に戻していきますよぉ!!

長文失礼いたしました!感想おまちしております!

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