ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか-魔王と英雄- 作:凌介
-ホーム-
ホームに戻るとベル兄も帰っているみたいだったので声をかけるためベル兄が寝室にしている部屋に入った
部屋ではベル兄が手当てされた状態で寝ていた。
看病していたのかヘスティア様が椅子に座って
眠っていた。
「報告はあとで良いかな」
俺もとりあえず休むことにした
寝床に戻ると乱雑にコートを脱ぎベッドに横になり眠りについた。
-その夜-
ベル兄も起きて平気なようなので俺達はとりあえずヘスティア様を交えて情報共有を行う事にした。
「ベル兄は大剣を持った真っ赤な体毛のミノタウロスと殺り合ったのね」
「うん、もうボロボロだよ!自分でも勝てたのが不思議なくらい」
「俺も12階層で死にかけた」
「ベリルが!?なんで!?」
「変異種3体に襲われて3対1で殺り合って倒したけど、マジで死に物狂いでやった結果だけどな」
「僕より凄い事してない!?」
「どっちもどっちだろ!俺よりベル兄の方が凄いって!ミノタウロスってベル兄にとって因縁のあるモンスターだった訳だろ!自分で自分の因縁に決着付けたんだベル兄の方が凄いよ!」
「ボクから言わせればどっちもどっちなんだけどね…」
ヘスティア様がジト目を向けてくる
「ベル君もベリル君も無茶がすぎるよ!」
「そうは言いますけど、ヘスティア様、俺はともかくベル兄は因縁を断ち切ったんですよ!凄い事です」
「それを言うならベリルだって!変異種3体ですよ!」
「わかったわかった!とりあえず2人とも、数日はしっかり休んでから探索を再開する事!良いね!」
「「はい...」」
ヘスティア様にそう言われては休まない訳にはいかないなと思った今日だった。
その後ステータスを更新してもらうと俺もベル兄もLv2へと至ったとヘスティア様に言われた
「Lv2か...」
「ベリル君は新スキルと、後、魔法が発現しているよ」
「新スキルと魔法?」
俺はステータスを写してもらった羊皮紙を見せてもらうと
スキル欄に【氷獄-コキュートス-】【魔力収束】
魔法欄に【魔剣創造】
と記載されていた。
-3日後-
最後の探索から3日経ち十分な休息を得た俺達は、ランクアップの報告と探索を再開するためギルドに来ていた。
ギルドはいつも以上に慌ただしい
当然と言えば当然だ、何しろベル兄が倒したミノタウロス
''俺が倒した事になっている変異種''の件が冒険者を騒がせている
ミノタウロスの件は今回を含めて2度目なため余計だろう
1度目の時は【ロキ・ファミリア】の『遠征』帰りのアクシデントであると再三説明しているはずだけど、疑いたくなるのも無理はないだろう
それに加えて変異種までとなれば余計にだ
なんて考えているとベル兄が俺の肩を叩く
「大丈夫?なにか考え事?」
「ギルドがいつも以上に慌ただしい理由がね...」
「あぁ〜」
俺達は苦笑するしかない
「とりあえずエイナさんのところに行こうか」
「だな」
俺達はエイナさんを見つけて声を掛ける
「おはようございます、エイナさん」
「どうも!」
「おはよう、2人とも久しぶり。探索は頑張ってる……なんて聞くまでもないかな?特に...ベリル君の方は聞くだけ野暮だもんねぇ〜」
俺は肩を竦めて返答する
「文句があるなら俺じゃなくて襲ってきたモンスターに言ってやってください。襲ってくるなって」
「そんな事できる訳ないでしょ!」
「分かりませんよ!案外話が通じるかもしれないじゃないですか!人の言葉がわかるまたはモンスターと意思疎通ができるならですけどね」
「ベリル君は何を言ってるのかな〜?」
「ベル兄、どうしよう?エイナさんが話を聞いてくれない」
「僕に振らないでよ…!!」
「ゴホンッ!ごめんごめん。ベル君の方はどう?」
「頑張ってます!今は僕もベリルも最後に潜ってから時間が空いてますけど」
「休息も大事だからね。休む時はしっかり休まないといけないから、ちょうどいいんじゃないかな?」
俺とは打って変わって顔を綻ばせながら上機嫌なベル兄と会話するエイナさんを見て俺は再び肩を竦めた。
「それで、2人ともなにかいい事でもあったの?」
「わ、わかりますか?」
「そんな顔してちゃあ、誰でもわかっちゃうよ?」
「ベル兄は顔に出すぎ、ポーカーフェイス気取ってる俺が馬鹿みたいじゃんか」
「ベリルって時々クール振るというか大人びた言動する時があるよね」
「ベル兄が子供過ぎるんだ」
エイナさんは手を叩いて意識を向けさせる
「はいはい、そこまで!とりあえず2人ともいいことがあったんだよね!是非聞かせてくれないかな?」
「あぁ、はいすみません」
「俺とベル兄、2人とも3日目にLv2になりました」
話が聞こえていたのだろうミイシャさんが書類を落として慌てて拾っている
「ごめんね...もう1回言ってくれる?」
「俺とベル兄がLv2になりました。つい3日前です。」
「Lv2?」
「はい」
「えぇ、そうです」
「3日目?」
「はい!」
「そう言ってます」
「嘘なんかついてないよね?」
「はい!」
「嘘ついても何の得もないですよね?」
「2人とも、冒険者になったのいつ?」
「「1ヶ月半前です」」
「1ヶ月半で、Lv2〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!?」
周囲のざわめきを丸呑みにする大音声。
本部にいた者全てを振り向かせる叫び声が、雷鳴のように響き渡る。
俺達は身を大きく仰け反らせる。ついでに俺は耳を塞ぐ
「声デカ……」
俺の呟きは周囲のざわめきに掻き消されるのだった。
その後エイナさんが素に戻り謝罪して貰ったが俺達は気にしないと返答した。
「どうせLvは公開される訳ですからね、俺もベル兄も気にしませんよ」
「そうですよ!ベリルが言った通り公開される情報ですから」
「うん、ありがとう。とりあえず先にこっちのお願い聞いてもらっても良いかな?せっかく来てもらって悪いけど……私もお仕事しなくちゃいけなくて」
「大丈夫です。元々報告に寄ったので」
「僕も大丈夫です。」
個室に移動し俺達は活動記録を報告した
「ミ、ミノタウロス...ベリル君は1ヶ月前に倒したって聞いてたけど…今回はベル君が……それにベリル君の方は変異種3体よね……」
エイナは頭を抱えたくなる衝動をぐっと堪えた
この子達は……ベリル君は元々私の言う事を聞かない方ではあったけど……
「……はぁ。大体わかったよ、2人が私の言いつけをち〜っとも守ってくれる気がしないって事は」
「ベリル君に至っては最大で3日間潜って上位種も討伐してるし……しかも面倒だったので大体焼き殺しましたって...」
「いや、まぁ、事実ですし…」
「ベリル君は冒険するなって言っても無駄だし、なんでか強いモンスターと戦ってるし、他の冒険者が見たら正気を疑うレベルよ!」
「よそはよそうちはうちって言うじゃないですか」
「またそうやって口ごたえする〜」
「2人ともさ……その場にいなかった私の言葉は見当違いかもしれないけど、安易に逃げようとしなかったのは最善だったのかもしれない...でもね...死んじゃったら、何も意味ないんだよ」
「元より死ぬ気なんてないですよ!死神の眷属になんてなりたくないですしね」
「ベリル...それちょっと笑えない」
「なら死んだ魂が戻ってくるのかよ!」
「生き返るって意味ならそれは無理だよ!」
「知ってる。言ってみただけだ」
「ベリルって考えているっていうより思った事言ってない?」
「猪突猛進を地で行く馬鹿兄貴にだけは言われたくない」
「酷!?猪突猛進って!」
「真面目に聞きなさい!」
「「あ...はい」」
「とにかく無茶は絶対ダメ!わかった?」
「は、はい!」
「約束はできませんね!」
俺は肩を竦めて返答した。
「とりあえず、今日は【ランクアップ】の報告だけって事で良いのかな?」
「俺はそうなんですけど、ベル兄はエイナさんの意見も聞いた上で自分でも考えたいって言ってる事があって」
「そうなんです。実は【発展アビリティ】の事で……」
【発展アビリティ】は『基本アビリティ』に加えて発現する能力だ。
発現するタイミングは【ランクアップ】時
Lvが上がる都度、【ステータス】に追加される可能性がある。
基本アビリティとは毛色が異なり特殊的《スペシャル》、あるいは専門的《プロフェッション》の能力を開花、強化させる
「それじゃあ、もしかして、選択可能アビリティが複数出てきちゃったのかな?」
「はい。神様とも話し合ったんですけど、エイナさんの意見も参考にしてから慎重に選んだ方が良いって……」
「ちなみにベリル君はもう決めたの?」
「はい、俺は2つしか選択肢なかったので」
「何をとったのかな?」
「【幸運】を俺の武器ってモンスター素材から作られてるのが多いのでドロップアイテムの確率あげたくて」
「もう一つはなんだったの?」
「【耐異常】です」
「なるほどね、それなら悪くない選択肢だと思うよ」
「俺もそう思います。」
「それでベル君が選択可能なアビリティっていくつ?」
「3つですね。それでちょっとよくわからないアビリティがあって……」
エイナさんは頷きながら、ベルの発展アビリティの詳細を羊皮紙に記していく。
1つ目はベリルも選択肢にあったという【耐異常】。地味ではあるが、迷宮で何かと異常効果(アクシデント)に襲われる冒険者には重宝される。
ダンジョン上層にて『パープル・モス』の毒鱗粉を浴びる機会多いオラリオの冒険者は、比較的早い段階でこのアビリティを入手しやすい。
「ベリルはなんで【耐異常】選ばなかったの?こっちもこっちで重宝しそうだけど...」
「さっきも言ったけど、モンスターのドロップアイテムの確率を上げたかったのと、パープル・モスくらいなら鱗粉飛ぶ前に焼き尽くせる」
「……そんな事できるのベリルだけだと思う」
「ベル兄の魔法でも出来るだろ」
「……とりあえず次ね!」
次のアビリティは対モンスター専用の【狩人】。1度交戦し
【経験値】(エクセリア)を獲得したことのある同種モンスター戦に限り、能力値(アビリティ)が強化される。
Lv2の【ランクアップ】時にしか発現できず、貴重なアビリティとして数えられており、冒険者は勿論、神々からも人気の高い項目だ。
そして3つ目がベリルが選択した【幸運】
これについてはおそらくレアアビリティだということしか分からない
「ベリル君はドロップアイテムの確率を上げたいってそれを選択したんだよね?」
「はい、ベル兄みたいに【狩人】が出れば迷ったかもしれませんが、俺はベル兄程モンスター討伐してないか、特定のモンスターに絞って討伐してる分多分3~5千体は討伐してるはずなんですけどね…」
「多分だけど、色んなモンスターと戦わないとダメなのかもね」
「俺もそう思う」
「とりあえず【幸運】ってアビリティについて神ヘスティアは何も言ってなかった?」
「ちょっと検討がつかないって……」
「でも、こうも言ってたよな、勘だけど『加護』に近いかもしれないって」
「うん、それを聞いてベリルは【幸運】に決めたって言ってたもんね」
「あぁ、しつこいようで悪いけど、俺の装備がドロップアイテムに左右されるから確率が少しでも上がるならそれを選ぼうと思ったんだ」
「確かに……現金な言い方にはなるけど、ドロップアイテムが出やすくなる可能性はあると思うね、ベリル君の考えは私も一考の余地ありだと思うよ」
「ベル兄自身は希望無いのかよ?つか、それについてはヘスティア様はなんて?」
「神様には【幸運】を進められたよ。こう、拳を握って『君にはこのアビリティが必要だ!』って」
「なら【幸運】を取るべきなんじゃねーの?」
「1番簡単なのは、目指すものの違いで考えてみることだと思う」
「目指すもの?」
「うん。着実に堅実にダンジョン攻略をしたいって言うなら【狩人】はこの上なくベル君の力になってくれる。ベル君がしっかりコツコツと進んでいきたいって言うなら私も是非そっちをお勧めしたい」
エイナさんが言葉を切ったタイミングで口を挟む
「ベル兄、冒険者にとって『運』ってのも大事な要素だと思うぜ!ベル兄の憧れに手が届く可能性があるとしたらそれは間違いなく『運』の要素も入ってくる。これは俺自身にも言える事だ」
「ベリル……」
「エイナさんも言ったようにベル兄が最終的に決めることだ。だからさ有り体の言葉かもしれないけど、俺からはこう言わせてもらう。後悔しない選択を選んで欲しい」
「うん、わかった。ありがとうベリル」
「別に良いさ!優柔不断な兄に助言するのも弟の役目だしね」
俺は肩を竦めて返答する
「アハハ...ベリルは相変わらずだなぁ...」
「エイナさんも相談に乗ってくれてありがとうございました」
「ううん私も仕事だから気にしないで」
俺達はギルドを後にした。
ギルドを出ると俺はベル兄に声を掛ける
「ベル兄、こっからはまた別行動な!俺、行くとあるから」
「どこに行くの?」
「頼りにしてる鍛冶師と、杖職人のとこ」
「?鍛冶師はわかるけど、杖職人?」
「あぁ、俺がつけてるアクセサリーアンクレットと指輪はその杖職人の作品なんだ」
「あぁ、そういうこと、わかった。じゃあ僕はホームに戻ってステータス更新してもらうね」
「あぁ、じゃあまた後で!」
俺達はギルドで別れそれぞれの目的に向かってまた歩き出した。
-ヘスティア視点-
ベル君とベリル君がLv2にランクアップした為ボクは今
『神会(デナトゥス)』の会場を訪れていた。
「何としても2人に無難な2つ名を勝ち取ってみせる!」
神会(デナトゥス)とは元をたどれば1部の神々が退屈しのぎの企画した一種の集会だった。
ある程度自派閥(ファミリア)の実力と地盤を築き上げた神は今を生きるという苦労を忘れた堕落期に突入する
なんて説明しているが要は暇つぶしに集まった神々が相互の『ファミリア』だけでなくて【ギルド】と提携して都市全体を巻き込む『催し』を企画するまでに至った。
ほぼ有名無実とは言え、諮問機関として認められている
神会は一定の力を有し、その影響力は冒険者にも及んでいる
称号の進呈もその一端で、今ではもう恒例行事である
「今回【ランクアップ】した子供は多いらしい」
「あぁ、豊作って聞いた。楽しみだな」
神会の会場は都市中央に位置する摩天楼(バベル)、その地上30階
「ここに顔を出す神もかなり増えたか」
「ひひっいなくなったやつも多いけどなぁ」
一定間隔を空け円形の卓につく神の数は、ざっと数えただけでも30は超える。つまりその数だけ、上級冒険者-Lv2以上の冒険者-に匹敵する構成員を保有し、実力を認められた【ファミリア】がオラリオの中に存在するということだ
「案外落ち着いてるわね?」
「緊張する理由も無いだろ?」
そう話している間にも議題は次々進んで行く
ボクには関係ないなと思いつつ始まる命名式酷い二名が決められていく
「ほい、次。タケミカヅチんとこの……おおぅ、めっちゃ可愛えぇ、この子。えーと、極東の方の生まれで名前が後やから……ヤマト・命ちゃんやな」
あらかじめギルドに請求していた、手元の資料にロキは目を落とす。
資料にはプロフィール等々細かい事が記載されている
「こいつは……レベル高いぞ」
「やっぱ黒髪はいいなー」
「う〜ん、流石にこの子にはちょっと……」
「そうだな、こんないたいけな娘に残酷な真似をすると胸が熱くなる、じゃなかった、良心が痛むな」
「ほ、本当かっ!?」
神会にて悪意だらけの2つ名を回避する方法はいくつかある
手っ取り早いのが本当に早い話が賄賂だ、だがこれは大抵法外な額を要求されるので、発展途上で財産力が整ってない【ファミリア】には難しい。
総じて多いのは今議論が起こっているように、構成員の人物像がよっぽど神達に気に入られた場合だ。
こちらは比較的、女性の方が見込みは高い。
暗雲に差し込んだ一筋の光明に、頭髪を角髪(みずら)にした男神、タケミカヅチはあわてて席から立ち上がる。
「だがタケミカヅチ、てめーがダメだ」
「この天然ジゴロがぁ…」
「女神だろうが子供だろうがぞっこんさせやがって…」
「このロリコンめッ!」
等々他の神々から恨み節が届く
そしてこれまたよく言うだろう…神より気まぐれな存在はいないと…
そして次々に上がる恥ずかしい2つ名そして決まる
【絶✝︎影】となった。
そして頭を抱えるタケミカヅチ
そしてこれまたお決まりの美の神同士の腹の探り合いもとい
口喧嘩
「ほいほい、茶番はそこまでにしとき。話を戻すでー。今度の冒険者は……ぬふふっ大本命、うちのアイズや!」
「【剣姫】キタァー!!」
「姫は相変わらず美しいな」
「ていうかもうLv6かよ……」
「アイズちゃんは無理に変えなくてもいいんじゃないか?」
「だな変えるとしたら【剣聖】とか?」
「え〜?」
「アイズたんのイメージとはちょっと違うだろ、それ」
ここで1人の神が手を挙げる
「トール…珍しな、参加してもただ黙っとるお前が」
「あぁ、くだらぬゆえな、まぁ、我の事は良い、意見を述べても?」
「なんかええ名前があるんか?」
トールはロキやフレイヤのファミリアには及ばないものの
Lv5をファミリアの団長に据えLv3や2が多く所属する古参のファミリアの主神であり、ロキと同郷の神だ
「我から名を提案しよう【神の剣(アテネ)】だ」
「どういう意味で言うとんのや?」
「ロキ、貴様のファミリアが誇りとし、あまつさえ貴様が目をかける存在、そして此度Lv6へと至ったのであればひとかどの戦士であろう、故にロキ、お主のファミリアが誇る一振の剣という意味を持たせたのだ」
「まぁ、戯れにすぎん。戯言と聞き流してくれても良い最終的に決めるのはお主ぞ、ロキ」
「トール…お前そこまでウチのアイズを評価しとったんか……」
「当然であろう、我のファミリアではなくとも名が広まれば我とて注目するそしてそれがひとかどの戦士となれば【戦神】でもあり、【雷神】でもある我が気にかけぬのはおかしな事よ」
「わかった。トール、お前の意見を採用しようやないか!アイズに相応しい名をありがとうなと言わせてもらうわ」
「気にせずとも良い、言ったであろう一時の戯れよ」
トールが発言するとそれだけで巫山戯半分だった男神達は黙る
それだけ発言力がある神なのだ。
出来れば味方に引き入れたかったが、土台無理な話だ。
「さて、次で最後やな」
ヘスティアはぐっと息を吸って、溜めた
手元の資料は残り2枚。そして2枚とも自分のファミリアのものだ
ついこの間まで完璧に無名であった、【ヘスティア・ファミリア】所属
ベルとベリルだ。
「本当にLv2になったのねあんたのところの子達……」
確かに【ランクアップ】を認めたという印影が羊皮紙に施されているのを見て、ヘファイストスが目を細める
親友の呟きを聞くわけでもなく耳にしながら、ヘスティアは視線を周囲に走らせた。
最初で最後の正念場だとヘスティアは自分に言い聞かせる
正直ロクな対策も用意してないのだがそこは「ボク達の愛と勇気の力で……!」と気概を募らせていた-その直後
ロキが静かに席から立ち上がった。
「……ロキ?」
「2つ名決める前になぁ、ちょっと聞かせろやどチビ」
周囲の反応は一切無視し普段にはない棘を滲ませながら、彼女はその細い目をすっと開く
「1ヶ月半でうちらの『恩恵』を昇華させるっちゅうのは、一体どういうことや?」
「うちのアイズでも最初の【ランクアップ】を迎えるのに
1年、1年かかったんやぞ?それをこの少年は1ヶ月やと?何アホ抜かしとんねん」
八年前だ。
''当時8歳の少女''が身の程も弁えない異常な速度でLv2に登りつめた事は記憶に新しい
「うちらの【恩恵】は''こういうもんや''ない。1ヶ月そこそこで子供ら皆が器を一変させたら世話ないっちゅう話しや。それができひんから、どいつもこいつも苦労しとるんやろうが」
詰め寄るロキ、そしてこれまた1人の男神が口を開く
「ヘスティア、1つ問うぞ我らが力を使ったわけではあるまいな?」
「そんなことするわけないだろうっ!」
「ならばこの場にて嘘偽りないといえるか?」
男神、トールから絶大なプレッシャーが放たれる
「……うぅ...」
「どうしたのだ?さぁ答えよ!」
万事休すかと諦めかけた次の瞬間。
意外な助け舟が出る
「あら、べつに良いじゃない」
美しいソプラノの声が響き渡った
「何のつもりだ?フレイヤ」
「ヘスティアが不正をしてないというのなら、無理に問いただす必要は無いでしょ?【ファミリア】の内部事情には不干渉、とりわけ団員の能力(ステイタス)は禁制(タブー)なのだから」
「どうりではあるが今1度明確にしてもらわねば我は納得せぬぞ」
「だそうよヘスティア」
「誓って言う。ボクは力を使って不正を働いたりはしていない」
「ならば良い」
トールはプレッシャーを引っ込める
「1ヶ月やぞ?その数字の意味わかっとんのか、色ボケ女神にトール!」
「ふふ、どうしてそこまで強情になってるの、ロキ?私には、今の貴方の態度の方がよっぽど不思議に見えるけれど。
……もしかして焼きもち?自分のお気に入りの子供の記録がヘスティアの子に抜かれたから?」
「んなわけあるか」
「なればなんだと言う?我はヘスティアの言葉を聞き納得し矛を収めた。それに資料によれば片やミノタウロスを片や変異種三体を共にソロで討伐してのけた。Lvという差を覆してだ!まして変異種ともなればLv差などミノタウロス以上に開くものだ」
「それに関してはトールに同意するわ、それに強引に推理してもいいのなら、このミノタウロスが因縁の相手だった場合、獲得した【経験値】はこの子にとって特別な意味を持つ……【ランクアップ】する事だってありえるかもしれない……と私は思うけれど?」
「一理あるな、変異種を討伐してのけた小僧も一度に3体、それもギルドでも過去に一度確認されただけの変異種を1人で倒して退けたなら【器が昇華】されても不思議はなかろうな」
フレイヤ、トールの一言一言で神会が翻弄される
「それにこのベリルと言う小僧だがな、ロキ、お前の所の不手際に巻き込まれているようだ。そしてそれを跳ね除けている。それに加えて此度の騒動の中心にいたとなればまた話も変わろう」
そしてまぁそういう事ならと納得し始めた者達が大半となったところでフレイヤは立ち上がる
「あれ。フレイヤ様、帰んの?」
「えぇ、今から急用があるから、失礼させてもらうわ」
「せっかくだからロリ神の眷属の二つ名決めてからにしない?最後の最後だしさ」
「ふふ、悪いけど、そういうわけにも行かないの。でも、そうね……」
フレイヤは立ったまま資料を手に取り、ベル達2人の似顔絵を見下ろして言った
「どうせなら、可愛い名前を付けてあげてね?」
「「「「「「「オッケーッ!」」」」」」
1人を除き男神達は満場一致して見せた
「女狐め……」
「聞こえてるわよトール」
「早く失せるがよかろう」
「ふふ、また会いましょう」
「我はお断りだ」
フレイヤは最後にもう一度笑みを漏らし、円卓に背を向けた。
「ヘスティア」
トールが再びヘスティアの名を呼ぶ
「我からその少年達の事について問いかける。彼の者らは何を求め何を目指す?」
「1人は勝って助ける英雄に1人は信念を貫き魔王と呼ばれても助けて勝つ存在になる事とよく言っているよ」
「そうか……なればそのベリルと言う少年には我から【魔王子-デモンプリンス-】の二つ名をくれてやろう」
「!?ベリル君に、直々に2つ名をくれるとはね...有難く受け取るよ」
「ならば良い。我はもう飽きたゆえ帰るとする」
「トール様も帰るの?」
「英雄に興味はない」
「えぇ...そんなこと言わずにさ...トール様」
「2度言わせる気か?」
「「「「「「「「サーセン!!!!!!」」」」」」」」
トールは最後に鼻を鳴らして帰っていきその後すぐにベルの2つ名も決まった。
-ベリル視点-
ベル兄とギルドの前で分かれて俺はガンテツさんの店にやって来た。
「こんにちは、ガンテツさんいますか?」
「お前さんか、なんか用か?」
「まぁ、特別用って訳じゃないんですけど、1つ報告があって来ました。」
「報告?なんじゃそりゃ?」
「実はこの度俺はLv2へと至りました。」
「なんじゃと...すまんがもう一度言ってくれ...」
「Lv2になりました。」
「お前さん冒険者になってまだ2ヶ月たっとらんのにか?」
「はい」
「ワシですら2年かかったんじゃぞ!んなわけあるかい!」
「ギルドからの報せと言うか通達来てませんか?」
「そういや、なんぞ騒いどったの...」
「そういう事です」
「はぁ〜1ヶ月半でLv2のぉ〜まぁ良いわい!ちょうど良い!明日は暇か?」
「ちょうど探索再開するつもりでしたけど?何かあるんです?」
「ワシがサポーター務めてやるけん素材集め付き合え!」
「は?ガンテツさん引退したんじゃ...」
「引退はしたが戦えん訳じゃない!自衛くらいはできる。だからワシの素材集めに付き合え!ついでになんぞ武器でも作ってやるわい」
「なら、双剣とロングソードをもう1本お願いします」
「なんじゃ?シャドウ・ソードはともかく普段使い用の武器に不満があるのか?」
「いえそうじゃなくて、ちょっと趣向を凝らしたロングソードをと思いまして」
「ふむ...ちと聞かせてみ」
俺は考えていた事をガンテツさんに伝えた。
限りなく刃を薄くし斬ることのみに特化した細身のロングソードを使ってみたいと
「なるほどのぅ……そんな邪道な武器欲しがるのなんざお前さんくらいだろうが...良いじゃろう!作ってやるわい!それと双剣の方はどうするんじゃ?」
「そうですね...逆に少し幅があって反りがあると良いんですけど」
「わかった。作る際はお前さんの意見を反映した物にしてやろう」
「感謝します」
「それとユアにもランクアップの事伝えとけ」
「わかりました」
俺はガンテツさんの店を出てからユアさんの店に行きランクアップ報告するとお祝いにともう一つアンクレットをくれた
なんでもお祝いと余った素材を譲ってもらった礼でもあるらしい
その後俺は一度ホームに帰還する事にしてホームへの道を辿った。
ホームに帰還するとヘスティア様とベル兄が向かい合って座っていた。
「やぁ、おかえりベリル君」
「はい、ただいま帰りました。ところでベル兄なんでそんな微妙そうな顔してるんです?」
「2つ名がね...無難すぎてあまりお気に召さないらしい。
ちなみに君の2つ名もあるよ」
「俺のですか?」
「聞いて驚け!なんとあの【戦神】トール自らが君に付けてくれた2つ名だ!」
「そうですか…トール様が」
「反応薄くないかい?」
「いえ、まず俺はトール様を名前しか知りませんから」
「あぁ、そういう事か...まぁ、その辺は今は置いておくとして……ベリル君の2つ名は【魔王子-デモンプリンス-】だ!」
「魔王子...ですか...」
魔王じゃなくて魔王子か…まだ魔王には届かないって事か...
「ベリルの方が2つ名かっこいいじゃん!」
「知るかよ…つかベル兄の2つ名は?」
「【未完少年-リトル・ルーキー-】」
「無難だな」
「でしょ!神様は無難で良いって言うんだけどさ…」
「だから、知らねぇよ!決めた神様達に文句言えよな」
「だって...」
「はぁ……せっかく付けてもらった2つ名だ無難であれなんであれ意味のあるものだろ!それに目指す先が
違うんだベル兄はまだ未完成の器って話だろ!」
「まぁ、そう捉えるなら...マシなのかな?」
「ったく…つかこの後どうするんだベル兄」
「それなんだけど、リリも誘ってシルさん達のお店で打ち上げとお祝いパーティーしようかなって、ベリルもどう?」
「知り合い呼んでもいいか?ガンテツさんとユアさん」
「あぁ、ベリルの専属鍛冶師と杖職人さんだっけ?」
「俺はアクセサリー関係で世話になってるけどな、杖使わないし」
「じゃあ、今日のお祝い件打ち上げの席で紹介してくれるって事?」
「あぁ、そのつもりだよ。あの人達がベル兄の力になれるかは良くも悪くも本人次第だけどさ、人脈が多いに越したことはないだろ?」
「そうだね、じゃあお願いしてもいいかな?」
「構わないぜ、とりあえず2人連れて行くから先行っててくれ」
「わかった。」
「2人はこの後お祝い兼打ち上げなんだね、そういう事なら楽しんでおいで。ボクはボクでミアハやタケ、ヘファイストス辺りを誘って神友同士でパァーっと騒いでくるよ!」
「他の神様に迷惑かけないで下さいよヘスティア様、ただでさえミアハ様に迷惑かけた前科持ちなんですから!」
「大丈夫さ!いざとなればヘファイストスがいる!」
「そのうち見放されたなんて泣かないでくださいよ!」
「そんなことあるもんか!」
そうしてヘスティア様は意気揚々と出掛けて行った。
「とりあえず俺達も行くか...」
「だね、先に行って待ってるよ!」
「頼んだ」
俺達はホームを出て再び別れた。
俺はガンテツさんの店に行きちょうど一緒にいたユアさんも誘い豊穣の女主人へと向かった。
「言ってみるもんじゃな!酒の勢いがあったとはいえまさかお前さんが本当に誘ってくれるとはのぉ」
「本当にねえ〜しかもお兄さん紹介してくれるんでしょ!」
「兄も魔法使いじゃないからユアさんのアクセサリーにはお世話になるかもですね」
「彼に合うものがあればね」
そう話しているうちに豊穣の女主人に到着する
店内に入るとベル兄が手を振って俺を呼ぶ
「ベリル!こっち!こっち!」
「行きましょう、ガンテツさん、ユアさん」
「おう!美味い酒と飯がワシを呼んどる!」
「右に同じく〜私を呼ぶ〜」
俺達は席につくと飲み物を注文して待つ間に話をする
「ベル兄とリリルカだけだと思ってたけど、シルさんやリューさんも参加してくれるんですね。」
「えぇ、私達を貸してやるから楽しく呑めそして金を使えと」
「そういう事なら奮発しますよ!」
俺は変異種3体の魔石を換金した金額の半分をドンとテーブルに乗せる
「これでパァーっと豪遊しましょう!」
「いいんか!?」
「本当の本当に!?」
「元々ガンテツさんユアさんにはご馳走するつもりでしたしね!ベル兄達にもせっかくだからご馳走するよ!」
「ベリル!?正気!?」
「良いんだって!シルさんにリューさんもせっかく祝いの席にいるんだからパァーっと使って今日は楽しく飲み食いしようぜ!」
「ベリル様太っ腹!」
「とりあえず今回だけだ!」
飲み物、食べ物が揃ったところで俺達はグラスを持ち上げる
「ベリル、音頭とってよ!」
「ベル兄がやれよな!なんで俺なんだよ!」
「お願いだから!」
「しゃーねーな!じゃあ!俺とベル兄のランクアップと今宵一時の宴、そしてこれからもよろしくって事で!乾杯!」
「「「「「乾杯!!!!!」」」」」
ガンテツさん達は一心不乱に飯を食って酒を煽っている
「ガンテツさんさすがの飲みっぷりですね!」
「そうじゃろそうじゃろ!」
「ところでベリル君、君のお兄さんを紹介してくれるんじゃなかった?」
「あぁ、そうでしたね!ベル兄!」
「何?」
「改めて紹介する。俺が頼りにしてる鍛冶師のガンテツさんとアクセサリー件杖職人のユアさん」
「よろしゅうな!」
「よろしくね!」
「こちらこそ!」
そうしてお互い軽く自己紹介したのを見計らってリューさんが声をかけて来た
「ベリルさんに、ベルさん、お2人はこれからどうなさるのか聞いても?」
「俺は武器、防具の修理は終わったので明日からダンジョンに潜ります。ここにいるガンテツさんからの依頼で一緒に素材集めにいきます。」
「そうですか、すぐに【中層】に向かうつもりですか?」
「行っても13階層までじゃな!とりあえず11、12階層でこやつの器合わせをせにゃならんからの!」
「そうですね、ランクアップしてからの初戦闘ですから身体のズレを修正しないと」
「まぁ、それが懸命でしょう」
リューさんはきっと俺達を心配して言ってくれているのだろうがその辺は俺もガンテツさんと相談済である
「ベルさんの方はどうなさるので?」
「僕はひとまず、11階層で今の体の調子を確かめようと思ってます。もしそこで攻略が簡単に行くようなら12階層までは足を伸ばすつもりです」
「いい判断です。お2人はこれからも別々に探索するのですか?」
「そのつもりです。元々目指す先が違うんで」
「リュー様、それはリリとベル様では中層に太刀打ちできないとそうお考えなのですか?」
「はっきり言ってしまえばそうです。ベリルさんの方は行っても13階層まで、そして過去に【戦鎚の主-メイスロード-】と呼ばれた彼が一緒で13階層までなら問題無いでしょう」
リューさんは一度言葉を区切ると飲み物で口を湿らせ再び話し出す
「上層と中層では''違う''各個人の能力の問題ではなく、
''ソロでは処理しきれなくなる''。中層とはそういう場所です。」
「そうじゃな...確かに上層と中層ではダンジョンそのものの質が変わってくる」
「そうだねぇ〜、しかも1人じゃ限界がすぐにやってくるだろうね、そこのお嬢ちゃんがどれだけ助力出来るかはわかんないけど、サポーターじゃ限度があるよ」
「ならどうしろと?」
「パーティメンバーを増やせばいい」
「俺はそんな環境なら余計にソロで潜りたいです。自分の信念を貫く強さがその器となる肉体がどれだけ着いてこられるか試したい...」
「その考えは危険すぎるぞベリル」
「ガンテツさんが言いたいことはわかりますけどね、俺とベル兄は歩むべき道が違うんです。それに俺は【孤高】を求めても【孤独】になるつもりはありませんよ」
「ベリル...ベリルの信念はわかるけどさ、今回だけお願い出来ないかな?」
「俺に、お前の下に着けって言ってんのか?兄貴」
「そうじゃなくて...あくまでも1度だけ!今回だけ一緒に戦おうよ!」
「……ベル兄、明日時間取れるか?」
「なんで?」
「今は祝いの席だからこんな事言いたくなかったんだけどさ、俺がベル兄のパーティに入るってんなら今の実力を見せて見ろ!じゃなきゃこの話はナシだ!そんでもって今回はハンデは無しだ!」
「そんな……ベリル!」
「やかましい!いつまでも甘ったれた理想掲げてんな!ガンテツさんも、ユアさんも、リューさんも俺達を心配して言ってくれてるのはわかるけどさ、それとこれとは話が違うんだよ!」
「落ち着いてくださいベリルさん」
シルさんが剣呑な雰囲気を察して止めに入る
「これでも冷静なつもりです。破滅願望を持ったヤツと組みたくないってだけです。信念、いや、プライドと言い換えてもいいです。そういったものの、もっと言えば俺個人の気持ちの問題です。」
「ちょっと待て、ベリル1つ聞かせろや、そこのお前さんの兄貴よりお前さんの方が強いのか?」
「えぇ、俺は常に武器、防具を制限して戦ってますからねベル兄と組手する時は」
「なるほどねぇ、そういう事なら確かにベリル君の言い分も最もかな…少なくとも私はガンテツと組め、ベリル君と組めと言われたら賛同するけどベル君、君とは組みたくないね」
「どうして!?」
「言わなきゃわかんない?兄弟だからって簡単に甘えていいって事にはならないんだよ!せめてベリル君の本気を目の当たりにした上でもう一度頼むべきだね」
「それに関してはワシも賛成じゃ」
「なるほど、お二方はベリルさんを高く評価しているようですね、ベルさん。パーティを組めと言いましたが信頼するに足る相手をしっかり見極め探すべきです」
多少空気が悪くなったかもしれないが冒険者は綺麗事がまかり通る程甘いものじゃない。
ガンテツさん、ユアさん、リューさんはそれを身をもって知ってるからこその意見が出せる
少し熱くなりすぎたかとグラスに入った蜂蜜酒のソーダ割りを一気にあおり一息つく
そしてこれまた嫌なタイミングで近くにいた冒険者が声をかけてきた
「はっはっ、パーティの事でお困りかあっ、リトル・ルーキー」
酔っ払った冒険者だろう、頬や額に傷痕のある冒険者が絡んだ来た
曰く自分達は中層にも行ってるし連れても行けるだから
リューさん達を自分達にも貸し出せと言っている
「失せろ」
「あ"あ"?なんだって小僧」
「失せろと言ったんだよ」
「喧嘩売ってんのか?あ"あ"ん?」
「ここは飯と酒を楽しむ場所だ、そんなにやりたいなら外に出ろ!ちょうど良い退屈しのぎにはなるだろうよ!」
「んだとゴラァ!」
「燃やされるか氷漬けにされるか選べよ!」
俺は右手から漆黒の炎、左手から薄紫の冷気を出す
「ちッ覚えとけ!」
冒険者の男は金を置いて出て行った。
俺はその場にいる全員に聞こえるように声を張り上げる
「お騒がせいたしました。お詫びに1人1杯!俺からご馳走させて下さい!」
俺がそう言うと他の客達は機嫌を良くし各々好きな飲み物を注文する
「良かったんですか?ベリルさん」
シルさんが心配そうに俺を見る
「お金なら気にしなくて良いですよ?」
「そうじゃなくて、あの言い方だと恨みをかったりとか……」
「そん時はあの冒険者の頭髪が無くなるだけですね!」
「お前さんなんちゅう事言うんじゃ!お前さんの炎で頭髪焼かれたら毛根すら残らんぞ!」
「嫌な話だねぇ〜」
ガンテツさんとユアさんが茶化すように言う
「とりあえず今は笑って飲み食いしようぜ!リューさんにシルさんも」
「お言葉に甘えさせてもらいます。」
「私もそうしましょう」
そうして楽しいお祝い兼打ち上げとなったのだった。
-次の日-
装備を整えた俺はガンテツさんと待ち合わせしているダンジョン入口へと向かった。
「ガンテツさん、お待たせしました。」
「良い、別に待っとらん」
「随分大荷物ですね」
「まぁ、お前さんに使わせようと思っての、色々武器用意して来てきたんじゃ!壊さん程度に振るってみてくれやい」
「わかりました。じゃあいきますか!」
「行くとするかの!」
そうして2人連れ立って素材集めの探索に向かうのだった。
11話目です。完成したと思ったらあとがき忘れてました。
とりあえず2つ名が決まり、次の冒険に向かう序章のつもりで書きました。
次回から本格的にまた主人公が探索していきますのでお楽しみに
次回「新武器と組手」