ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか-魔王と英雄- 作:凌介
-ダンジョン11階層-
ベル兄との組手の後、インファントドラゴンを単独討伐したと聞いて自分も挑みたいと思い立ち11階層に降りて来た。
「降りて来たものの...どうやって探せば良いんだ?」
とりあえず現れたモンスターを【緋牙】【蒼牙】で狩っていくがインファントドラゴンは現れない
「11階層のモンスターを一定数倒すとかで出現してくれたら楽なのにな!」
とりあえず襲って来るモンスターは雑魚ばかっりで相手にならない
「せめてオークとかシルバーバックとか来てくれれば良いのに来るのはハードアーマードやインプにジャイアントバットとかばっかり...つまんねぇ」
なんて呟きつつモンスターを狩っているとゴブリンに遭遇する
「なんでこんなとこにゴブリンがいる?」
グギャアア゙ア゙ア゙!
雄叫びを上げてゴブリンが向かって来る
俺はゴブリンの爪を躱し蹴り飛ばす。
「ゴブリンにしてはちょっとだけ速いな」
俺はちょっとだけやる気が出たので緋牙・蒼牙を構える
「ちょっと本気で行くぜ!」
ゴブリンに向かって駆け出し蒼牙でゴブリンの爪を逸らし
緋牙でゴブリンにダメージを与えていく
「やっぱり普通のゴブリンじゃねぇな!」
緋牙・蒼牙のラッシュでゴブリンを追い詰める
「使いやすさは1番だけど、今一決め手に欠けるな...」
俺は腕輪に緋牙・蒼牙を戻し晶斬を取り出す。
「一気に決める!」
迅雷のアンクレットにも魔力を通し一瞬の加速と同時に剣を振り抜くと一瞬でゴブリンが魔石に変わる
「ゴブリンの魔石にしてはデカイな…まぁ、後でギルドかガンテツさんのとこ行って聞いてみるか」
そう呟いたのも束の間、嫌な予感がして咄嗟に【氷獄】を発動し氷の障壁を作り防御する。
「今のブレスだよな?」
俺はブレスが放たれた方向を見るとそこにいたのは...
「デカイトカゲ?ダンジョンリザードの強化種?」
「竜...なわけないか!竜なら翼があるもんだし、本で地竜っての見た事あるけど、アイツはもっと分厚い鱗してたしな」
とりあえず動きはさして早くないため今のうちに晶斬を鞘に納め
腕輪からヘスティア・ブレードを取り出し【氷獄】で刀身の長さと幅を延長する
「来いよ!デカトカゲ!」
グオォォォォォォ!
雄叫びを上げ猛スピードで突進してくる
俺は突進を躱し攻撃に移ろうとした刹那、鞭のように鋭い尻尾による攻撃が襲い来る
「ぐっ...この!」
咄嗟に身を捻って躱し晶斬を抜き尻尾の先端を斬り飛ばす
ヘスティア・ブレードを地面に突き立て体勢を整えた
瞬間再びブレスが放たれる
「【魔力収束】!【獄炎】!」
ギリギリでブレスを相殺した俺は地を蹴って加速し
デカトカゲの腹部を晶斬で斬り付けそこへヘスティア・ブレードで追撃し傷口を凍結させる
「デカイトカゲでも貴重な素材だからな!てめぇの牙も鱗も素材にしてやるぜ!」
俺はヘスティア・ブレードに冷気を纏わせると両手で持って上段から振り下ろすと氷の斬撃が飛ぶ
「【氷天斬】!」
「そろそろくたばってくれ!デカトカゲ!氷の龍が牙を剥く!」
剣身に纏われた冷気が【魔力収束】の力で龍の形が形成される
「終わりだ!【氷帝龍牙】!」
紫紺の氷龍がデカイトカゲを飲み込んで氷漬けにしそのまま砕け魔石と牙、鱗が数枚残った。
「ま、上出来、上出来!」
俺は素材を腕輪に収納すると地上に帰還した。
-地上・ギルド-
ガンテツさんのとこに寄る前に魔石だけでも換金してしまおうとギルドに寄ると遅い時間だったのもあって換金所はガラガラだ
とりあえずゴブリンとトカゲ以外の魔石を換金し3万ヴァリス程受け取ると書類仕事をしていたエイナさんに声をかける
「こんばんは、エイナさん」
「ベリル君!どうしたのこんな時間に...」
「少し遅い時間まで探索してました。それでちょっと、見て欲しいものがあって」
俺は魔石2つと鱗、そして素材を回収している時に見つけた腕輪を取り出して見せる
「帰り際にちょっと強いゴブリンとデカイトカゲ?みたいなモンスターにあって、戦ったんですけど...なんか知りません?」
「ベリルくぅ〜ん」
エイナさんは額に手を当てて嘆くような体勢になる
「この鱗は多分インファントドラゴンの近縁種にあたるインファイトドラゴンよ!近接戦でやり合うのが危険と言われるドラゴンなの!」
「いや、アイツがドラゴンなわけないじゃないですか!何言ってんですかエイナさん!ドラゴンってこうもっと見上げる程デカくて翼があるモンスターですよ!」
「インファントドラゴンとかは一応地竜に属するモンスターで攻撃が効き辛いのよ!それと、多分だけど強いゴブリンってのはゴブリンリーダーじゃないかな?」
「は?ゴブリンリーダー?なんすかそれ?」
「ダンジョンにもゴブリンの巣と呼ばれる場所がたまに見つかることがあるの、その巣の中でゴブリン達は競い合って強さの優劣をつけて強い個体ほど王様、つまりゴブリンキングになると言われているわ」
「へえ〜そうなんですか...」
「そうなの!この腕輪が何よりの証拠!強さを示す腕輪なの!」
「いや、初遭遇ですし、知りませんよ!それにあんなデカイトカゲがドラゴンだったなんて...」
「ドラゴンだからって翼があるとは限らないの!全く...これどうするの?」
「ドラゴン素材は俺が使いますけど、腕輪と魔石は欲しければあげますよ!」
「腕輪は一応ベリル君が持ってなよ...魔石は私が換金しておいてあげるから待ってて」
「わかりました。つか、時間かかります?」
「どうだろう?なんで?」
「魔物図鑑見せて欲しくて」
「わかった、ちょっと待てて!」
エイナさんは先に魔物図鑑を持ってきてくれた。
図鑑には過去に確認された事もあるモンスターが載っていて俺か討伐したモンスターも多数いた。
少しして魔石を換金してエイナさんが戻ってきた。
「ベリル君、魔石、2つで5万ヴァリスだって」
「インファイトドラゴンはなかなか出会えないモンスターだから高かったみたいだよ」
「ありがとうございました。」
「何度も言うけどベリル君は無茶しすぎ!少しは自分を省みなさい!わかった!?」
「気をつけますよ!」
俺は肩を竦めて返答しギルドを後にした。
その後ガンテツさんの店兼工房に寄ってみると遅い時間なので店自体はCLOSEの看板に変わっていたが、工房には炎の揺らめきが見えた。
俺は店に入るとそのまま店の奥にあるガンテツさんの工房に
入った。
作業中だったが、俺に気付いたようで打っていた剣を冷却し
その場に置いて作業用ゴーグルを額までずらし声をかけて来た。
「こんな時間になんぞ用か?」
「探索してきたんでメンテに寄ったんですけどね、後素材が手に入ったのでまた武器の相談を」
「そうか、早速試して来たんじゃな。出してみろ」
俺は緋牙・蒼牙と晶斬、そしてヘスティア・ブレードを取り出した
「まぁ、どれも簡単なメンテナンス程度じゃな!晶斬の方は多少研がないとじゃが、折れたり曲がったりはしとらんから問題ない」
ガンテツさんはそういうとさっさとメンテナンスを終わらせてしまった。
「それで、素材ってのは?」
俺はインファイトドラゴンの素材を見せる
「これインファントドラゴンじゃなくてインファイトドラゴンじゃな!また珍しい物を...」
「そういえばそんな名前でしたね、あのデカイトカゲ」
「トカゲって...お前さん、ありゃ竜種じゃぞ!」
「竜なら翼があるもんじゃないですか!俺はあれを竜とは認めませんよ」
「……まぁ、良いわい。しかしこの素材は武器には向かんぞ…」
「無理そうですか?」
「できなくは無いがどうしても耐久性の問題が付きまとう防具ならなんとでもなるがのぉ」
「出来ればせっかくのドラゴン素材なんで武器も欲しいんですよね...」
「すまんが武器の方は力になれそうに無いわい、お前さんの兄貴に専属鍛冶師がいるならそやつに相談してみるんじゃな」
「いるかはわかりませんが、最悪ヘファイストス・ファミリアに持ち込んでみますよ」
「防具なら力になれるがどうする?」
「ならこれで」
俺は逆鱗を渡す
「ほぅ、インファイトドラゴンの逆鱗か...」
「出来ますか?」
「お前さん、普通の鱗はどのくらいある?」
「ひと袋分ありますけど、数までは...」
「なら逆鱗と普通の鱗がそれなりにあれば何とかなる!」
「そういう事なら袋から適当に取ってください」
ガンテツさんは適当かつ無造作に掴むと小箱に入れた
「明日また来い!次はお前さんの兄貴と潜るんじゃろ?コートも明日渡す」
「わかりました。」
俺はガンテツさんの工房を後にしてホームに帰還した。
ホームに帰還するとベル兄が待っていた。
「ベリル!」
「こんな時間まで起きてたのか…」
「まあ、なんか僕が変に焚き付けた感じになったし、大丈夫かなって」
「心配いらないよ!自分の心配だけしろ」
そう言ってすぐ俺はガンテツの言葉を思い出しベル兄に質問した。
「ところでベル兄、専属鍛冶師っている?」
「え?まぁ、いるというか...今日出来たって感じかな?」
「なら、紹介してくれないか?」
俺はガンテツさんに言われた事をベル兄にも伝えた。
「そういう事なら明日行こう一応ダンジョンに潜るつもりだからその前に紹介するよ」
「頼んだ。俺は明日のうちに消耗品を買い揃えておきたいし、必要ならミアハ様の所ナァーザさんからのクエスト受けて新薬作成に協力もしたいしな」
「そう言うとこなら、ヴェルフやリリとも相談してそっち優先でも良いかもね、ベリルとはまだ本格的にパーティ組むわけじゃないからさ、連携確認しときたいなって」
「まぁ、装備は本調子の装備って訳じゃないけどさ、それでもいいなら相談して決めてくれ」
「わかった。」
それだけ言って俺は寝床に行きその日は就寝した。
-翌日-
ダンジョン探索に行く予定だったベル兄達はリリルカの都合が悪くなったらしく取りやめになった。
とりあえずヴェルフって言うベル兄の専属鍛冶師は紹介してくれるらしく待ち合わせ場所に向かった
目的地に着くと赤髪の青年がいた。
「おーい!ベル!こっちだ!」
「ヴェルフさん!おはようございます」
「おはようさん!ってか、ベルそいつ誰だ ?」
「初めまして弟のベリル・クラネル【魔王子-デモンプリンス-】の2つ名をトール様から賜った存在って言えば伝わる?」
「お前が【魔王子】か!ベルの弟だとは思わなかったぜ!」
「よく言われる。」
「それで、ヴェルフさん。今日なんですけど...」
リリルカの都合が悪く探索が難しい事を伝え俺が相談したい事があるとベル兄が伝える
「見たところ装備に困ってるようには見えねぇが?」
「まぁ、俺も俺で専属鍛冶師がいるんだけど、ちょっと難しいって言われてね、ドラゴン素材インファイトドラゴンっていうベル兄が倒したドラゴンの近縁種のトカゲ?の素材で武器を作って欲しくてな」
「なるほどな...とりあえずもう少し詳しく聞かせてくれや」
ヴェルフはその場にドサッと腰を落としたので俺達も座り
俺はその場で今日の予定を伝えた。
「どうだろうか?」
「なら、今回は男3人でちょっとした薬草採取クエストでも受けるとするか...それが済んだら武器作ってやるよもちろんお前さんたち2人のな」
「ベル兄はそれでいい?」
「僕は大丈夫!」
「なら決まりって事で!」
俺達は3人連れ立ってミアハ様の店に向かった。
店に着くと店番をしていたナァーザさんに声をかける
「おはようございます。ナァーザさん、ちょっと相談がありまして」
「何かな?」
「二重回復薬の在庫はまだありますか?」
「あるけど、残りはそんなにないよ。それなりに欲しいなら素材採取のクエスト受けてくれないかな?」
「そのつもりです。素材の量次第ですけど、咲いて1人3本は欲しいんですよね。」
「そのくらいなら採取さえしてきてくれたら今日中に何とかなるよ」
「必要なら新薬開発の一助になるかもしれませんね」
俺はインファイトドラゴンの肝を渡した。
「これ、竜の肝じゃない、インファントドラゴン数十体レベルで倒してやっと1個手に入るレベルのレアドロップだよね?」
「さぁ?デカイトカゲ氷漬けにしてぶっ倒したら牙や鱗と一緒にドロップしたので」
「デカイトカゲって...」
「ベリルっていつもそうなんですよ!強いモンスターと戦ったって言ってもクソカブトだとかめっちゃ強いだけとかそればっかりで」
「あんなのウザイだけのクソモンスターだよ!戦ってみたらわかる!次あのクソカブトにあったら俺流グランインパクトをお見舞いしてやる!」
「ね!」
「まぁ、ベリルらしいのかな?」
その後俺達は羊皮紙に素材を書き出してもらい素材採取クエストとして受けた後ダンジョン探索を開始する
「必要なのは魔力草と力の根っこ、それと日陰草か...」
「なぁ、着いて来といてなんだけどよ、サポーターいなくて大丈夫なのか?」
「俺のショルダーバッグはそれなりの量入るし腕輪なら実質無制限だ」
「ベリルは常に探索する時ソロだからこういうレアアイテムたくさん持ってるんだ」
「ほっとけ!それとベル兄、これやる」
俺は腕輪を放り投げる
「何これ?」
「ゴブリンリーダーってちょっと強いだけのゴブリン倒したらドロップした腕輪、力に1%補正入るんだと、俺いらないからあげるよ」
「1パーセントってなかなかだぞ!」
「俺はこの指輪があるので」
「その指輪は?」
「力のステータス補正50%で本来なら両手で持つ武器すら片手で持てる」
「なにそれすご!何処で手に入れたの?」
「超が付くほどの難試練突破して」
「え...なにそれ...」
「俺が使ったグランインパクトって技を使ってくる剛腕の大男に傷を付けた報酬としてこの腕輪と一緒に貰った」
「うわぁぁ...聞かなきゃ良かった。」
なんて話していると採取目的地に到着し採取を開始
それなりの量を採取して地上に戻る途中モンスターに囲まれる
「お!珍しくトレント・スクワッドが軍勢率いてるじゃねぇの!ベル兄!こいつら全部貰っていい?」
「いいけど、戦えるの?この数だよ」
「一瞬だ!一瞬!」
俺は声に出してスキルを発動する
「【魔力収束】そんでもって、右手に【獄炎】左手に【氷獄】!!」
魔力が両手に収束する
「そして!その力を解放する!膨冷熱波!」
左手の【氷獄】で周囲の空気を急激に冷やしたあと、右手のの【獄炎】で一気に熱することで、空気の急激な膨張による大爆発が起こる
「ちょっ!?ベリルのバカァアア!」
「うぉおおお!なんだってんだこの威力は!」
煙が晴れるとモンスターは全滅して魔石だけが残っていた。
「ドロップアイテムのひとつくらい落とせよな」
「そういう問題じゃなくて!何今の!」
「ん?今のはスキルの合成技」
「とんでもねぇな…」
「もしかしてあの時のグランインパクトや極寒の地獄も?」
「合成技」
「【魔剣創造】やら【氷天斬】【氷帝龍牙】使わなかっただけいいと思えっての!【炎獄斬】も【炎獄連斬】だって使わなかったのに」
「ベリルってどれだけ技があるの?」
「スキル1つにつき3つくらい?」
「お前さんもしかして炎と氷も融合させようとか考えてんのか?」
「スキル使ってもまだ無理だけどね」
「ボク、下手したらあの時ベリルに殺されてたのかも...」
「殺さない程度に加減はした」
「やっぱり!」
「うるせぇやい!悔しかったら俺に一撃でも入れてみろ!」
「待てベル!弟の方が強いってのか?」
「……うん、ボク冒険者になってから組手で一度も勝ててない」
「マジかよ……」
ヴェルフは呆気に取られつつも可能性の器を見つけたと言わんばかりにその目に炎を宿していた。
地上に帰還し素材を届けた時に明日の朝取りに来てくれと言われたので半日暇になる。
「それじゃあ武器作るか!」
「待ってました!」
「お願いします!」
俺達はヴェルフの工房に移動した。
-工房-
工房には本人曰く売れ残りの武器が幾つか置かれていた。
「いい剣なのに...」
「確かに、丹念に作り込まれたいい武器だな」
「お前らは魔剣を欲しがらないんだな」
「いらないよ、持ち主に寄り添えない武器なんて」
「どう言うこと?」
「ベル兄、ヘスティア様に聞いたんじゃねぇの?ヴェルフ・クロッゾ、鍛冶貴族って言われた没落した元お貴族様の家系だって」
「いや聞いたけど、それとこれとは話が違うと思うんだ」
「まぁ、話は後だ!とりあえず時間かかりそうなベリルの武器からだな!どんな武器が欲しい?」
「このインファイトドラゴンの素材を使った中、近距離戦ができる武器が良いな」
「ちょっと待ってろ!」
ヴェルフは世界中の武器が記録されている武器図鑑を持ってきてページを捲り見せてくる
「これなんかどうだ?青龍刀っていうらしい」
「良いね!じゃあこれお願いしてもいいですか?」
「おう!任せろ」
素材を渡して作成をお願いする
「あのさ、試してみて欲しい事がある」
「言ってみろ!」
俺は腕輪の中に入れておいたトレントの枝で作られた炭を渡した。
「これ、トレント材の炭かよ!良いのか?これ使っても」
「それと、俺の【獄炎】を使って見て欲しい」
「わかった。やってみるぜ!なるべく希望に沿う武器作ってやるよ!」
ヴェルフが炉に炭を入れ俺が【獄炎】で火を起こす
「漆黒の炎で武器を打つとはな…」
ヴェルフは最初こそ獄炎の熱に驚いていたもののすぐに順応し形を整え装飾し竜の口から刃が伸びる形を作り出す。
「ふぅ...できたぞベリル!俺、渾身の出来だ!名前は...そうだなぁ〜竜刀インドラ...いや竜の素材の剣だからリュウケン?」
「インドラを採用させてもらいます。」
「そうか...ならインドラにするか…」
その後すぐにベル兄の武器作成に取り掛かる
そんな中でヴェルフは何気なく呟くように言った。
「俺さ、魔剣は嫌いなんだ」
「え?」
「だと思ってたよ」
「''俺の作品''は放り出して、クロッゾの魔剣にだけ擦り寄って来る客はたくさんいた」
俺はどこかで聞いた話だと思った。
結局力を手に入れて増長してやりすぎた結果の話だ
そんな話の中でヴェルフの思いのこもった言葉が響く
「違うだろ、そうじゃないだろ、武器ってやつは政治の道具でも、成り上がる為の手段でもない。武器は使い手の半身だ」
「最もな意見だな、俺は武器は命を預けるもの命を狩りとるものだからこそ、共にあるべきものだと思ってる」
「あぁ、本当に最もな意見だ。俺達鍛冶師はそんな作品を送り出さなきゃいけない」
「極限まで熱い熱(ねつ)で、極限まで鉄と、鉱石とやり合う。俺達が真正面から向き合って、やっと1つの武器が出来るんだ。片手間で作って片手間で片付けてどうする、血で剣を作り上げてどうする、鍛冶の本懐を忘れてどうする?」
「俺は魔剣が嫌いだ。使い手を残して絶対に砕けていく」
散る火花、真っ赤な閃光。
ハンマーがドロップアイテムに命中する度、焼けた細かい金属片が飛ぶ。
「俺は魔剣が大っ嫌いだ。あれの力は人を腐らせる。使い手の矜恃も、鍛冶師の誇りも、何もかも。少なくとも俺達クロッゾの打つ剣はそうだ」
「俺は魔剣は打たない、打ったとしてもそれは売らねえ」
「良いんじゃねぇの?それがヴェルフさんの維持だってなら貫き通してもさ」
「ベリル...」
「まぁ、俺は俺で貫く信念があるから言えることだけどさ」
「そうか...ベル、お前のナイフ完成したぞ」
その手には紅緋色の短刀が輝いていた。
「こ、これひょっとしなくても、かなりすごいんじゃあ……」
「材料(モノ)が良かったんだろうな、俺の今までの作品の中では、間違いなく最高の出来だ」
ヴェルフは鞘も今日中に仕上げておくと言っているし今のうちに熱があるうちにやらないといけないらしい
「よし。コイツにも名前をつけるか…」
「牛若丸……いや牛短刀(みのたん)」
「最初のでいいだろ……」
「僕も賛成」
「ん?牛若丸が気に入ったのか?」
「むしろ他に何があるんだよって感じ」
「悩む必要皆無です!」
「そうか...じゃあ、ほれ」
「はい、本当にありがとうございます、ヴェルフさん」
「助かったよ!ありがとう」
「それ、やめないか?」
「それって?」
「呼び方だよ!ベリルの方はちょっとは砕けた感じになってきてるがよ、出会って数日で信頼丸ごと預けろとは言わねぇよ、ただリリスケみたいに俺の事もそれっぽく呼んでくれよ」
「わかった、ヴェルフ」
「俺も了解したよ、ヴェルフ」
俺達はヴェルフが作った武器をしっかり受け取った。
その後俺達はヴェルフと別れて再びギルドを訪れていた。
ベル兄が中層探索の許可を貰う為だ
俺はガンテツさんと行った時に報告しているし、先走りすぎだと鬼の形相で怒られた。
そしてベル兄のステータスを確認したエイナさんは
サラマンダーウールのクーポンを渡し全員分揃えることと言われた。
俺はいらないと固辞した。
ガンテツさんから明日コートと一緒に受け取る予定だからだ。
そして中層探索への準備が整い俺達は明日から本格的に中層探索に乗り出す。
「いよいよ明日だね」
「あぁ、英雄と魔王が再び手を取り合う日だ」
「明日はよろしく魔王ベリル!」
「半端な事したら置いてくからな!英雄ベル!」
俺達は拳を打ち合わせ明日へ向けて動き出した。
13話目です。とりあえず中層挑戦前夜ということで書きました。
次回から本格的に中層探索していきますのでお楽しみに
そしてベリルの新スキルが発現しますのでお楽しみに!
次回「中層探索と新スキル」