ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか-魔王と英雄-   作:凌介

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ベルとパーティを組み中層探索に乗り出すベリルは中層の脅威を目の当たりにする


第14話中層探索と新スキル

-ダンジョン12階層-

 

俺達は中層探索する前に連携確認の為12階層でモンスターと交戦している。

俺は今、前衛でベル兄と一緒にモンスターを倒している

「ベル兄!右!」

「わかった!」

ベル兄が右側から襲ってきたモンスターを倒し

俺は左側から来るモンスターを葬り

俺達の間を抜けたモンスターをヴェルフが倒し、リリルカが後方から援護する。

「ベリル!離れすぎないで!」

「知るか!スキルで援護はしてやるけど、俺は俺のやりたいようにやる!1人でずっとやって来たからな!」

「そうは言うがなベリル、お前が突出しすぎても連携なんてもんは生まれないぞ」

「ヴェルフ、悪いけど連携を求めてるわけじゃない。俺は自分の信念を貫きその果てに魔王と呼ばれたっていい!魔王になるなら全てを助けて勝つのは当たり前だ」

「傷付き勝って助けるのは英雄だ、俺は英雄になりたい訳じゃない」

「そうか...つまりお前はお互いやりたいようにやるその結果が連携になるって言いたい訳だ」

俺は肩を竦める。それが答えだと言うように

「リリルカ」

「は...はい!なんですか?ベリル様」

「お前が真ん中だ」

「え?」

「真ん中に立って辺りを見回してくれ、その代わり俺が後ろから来る敵は全部倒す」

「それはベリル様が後衛を担うと?」

「中、後衛ってところだな」

「なら俺とベルが前衛だな」

「そうなるね、でもベリル、お願いだからあの爆発は後ろから撃たないでね」

「もしも囲まれたら、保証はしないぞ」

「それで良いよ、囲まれた時は範囲攻撃しないと不味いかもしれないし、僕達に構っている余裕は無くなるかも」

「うん、本当に囲まれたらそうなるからな」

そう話しつつ俺達は13階層へと降りていった。

 

-13階層-

 

中層に降りてきた俺達はダンジョンが纏う空気が変わったのを肌で感じた。

「あの時はガンテツさんに引きずられてきたからなぁ〜」

「中層に引きずって来られるってベリル何したの?」

「クソカブトを火達磨にして、その後にエルダートレントを呼ぼうとしてものすごく怒られて拳骨くらって引きずって来られた」

「ベリル、お前さんが言ってるクソカブトってなんだ?」

「クソカブトはクソカブトだよ!デカくて左右と真ん中から角が長くてゴツイ角が伸びてるクソカブト」

「特徴だけ聞くとそれって上層に現れる大型昆虫モンスターのトライホーンビートルなんだが...」

「ベリル様あれと戦ったんですか!?」

「2回程な」

「あのモンスターって中々現れないって評判なのに」

「仮説で良いなら教えてやろうか?呼び出し方」

ベル兄も含めて全員が頷くが説明している暇はないらしい

ヘルハウンドの群れが襲ってきた。

俺は腕輪に魔力を通し緋牙・蒼牙を呼び出しヘルハウンドに向かっていく

「速!ベリル!」

「いい!任せろ!抜けたやつだけ頼む!」

俺は双剣を振るいヘルハウンドを屠っていく

「おいおい!どうした犬ども!もっと楽しませてくれ!」

「ベリル様...性格変わってません?」

「あっはは、ベリルは戦えば戦うほど高揚感が増していってあぁなるんだ」

「喋ってる暇あんのか馬鹿兎!」

俺は投擲用の短剣をベル兄に向かっていたヘルハウンドに向けて投擲し倒す

「全く...ベリルと一緒に戦うのも楽じゃない!」

「本当にな!お前の弟は力で引っ張るタイプかよ!」

「本当ですね!中、後衛って言っておきながら」

ベリルの行動に引っ張られるように次々にモンスターを屠っていく

「ベル兄モンスターを1ヶ所に集めてくれ!」

「!?わかった!」

ベル兄が魔法と自分の足を使って動きモンスターを牽制し1ヶ所に集める

「離れろ!凍てつけ!【氷獄】」

極寒の冷気が放出されヘルハウンドが氷漬けになる

「ぶち砕け!」

「「「わかった!(はい!)(任せろ)」」」

氷漬けのヘルハウンドを次々砕くがそれでもモンスターの波はおさまらない

「クソが!ガンテツさんと潜った時は特定のモンスターのテリトリーだったからこうならなかったって事ね...」

「ヴェルフ!使わせてもらう!」

「お前の武器だ!好きに使え!」

「竜刀インドラ!」

俺は竜の装飾が施された青龍刀を手に取る

インドラを一振するとモンスター達の半分がなぎ倒される

「良いね!ヴェルフ!本格的に【鍛冶】のアビリティが取れたらこいつの強化は任せるぜ!」

「ハハハ!この状況で未来を見据える余裕があるとかやるな!」

「逆だよ!余裕ぶってないと中層にのまれちまう!」

俺はインドラを地面に突き刺して手のひらを前に突き出す

「【獄炎】!」

漆黒の炎が辺りを焼き尽くすがそれでも休む暇をダンジョンは与えてくれない

ヘルハウンドに混じりベル兄そっくりなモンスターが襲ってくる

「くたばれベル兄もどき!」

「酷い!?」

聞こえてくる言葉には目もくれずにモンスターを屠り続ける

が油断していた...地面からの攻撃はないと...

唐突に地面が隆起し巨大なミミズが這い出てくる。

「あったまきた!」

俺は【魔力収束】【獄炎】【氷獄】を発動する

「離れろベル兄、ヴェルフ、リリルカ」

「!?2人とも離れて」

「膨冷熱波!」

空気が膨張し大爆発を起こす

ダンジョンが傷付き修復を優先する間に俺達は暫しの休息をとる

「さすがに疲れた...」

「そうだな...俺も疲れた」

「俺もだ!」

「リリもです」

口々に疲れを言葉にする

「ベリル、魔力は大丈夫?」

「まぁ、ずっと剣だけでやって来たから何とかな」

「その割には1番モンスター倒してましたけど?」

「後衛の役割はモンスターを自分より後ろに抜かせないこと、でも中衛の役目は前衛が戦いやすい状況を作り出し後衛に全力のサポートをやらせることだからな」

「それで、さっきの話なんだけど...」

「なんだっけか?」

「トライホーンビートルの呼び出し方」

「あぁ、トレント・スクワッドの魔石を砕けば魔石が保有する魔力に呼び寄せられて飛んでくるぞ!」

「多分だけどアイツらの餌は樹液とかじゃなくて魔力だ」

「簡単に言ってますけど、魔石を砕いて魔力を放出させたらほかのモンスターも寄ってきますよね?」

「それが?全部倒せば問題ない」

「この人はぁ〜」

「まぁ、とりあえず移動しようぜ!今日は13階層で中層の戦闘に慣れること優先って事で」

「そうだね、移動しようか!」

そうして移動し13階層の半ば辺りまで来て再び始まる息付く暇もない戦闘、今回はダンジョン・ワームも混じっている

「あのクソミミズ〜にベル兄もどきめぇ〜」

「だからなんで!?」

「見た目がベル兄そっくりだから」

「アルミラージだって!僕なんか八つ当たりされているみたいで嫌だよ!」

「うるさいな〜集中しろよ!」

「やってるって!」

俺はヘスティア・ブレードに【獄炎】を纏わせ【魔力収束】も使って炎を維持しつつモンスターを斬り裂いていく

モンスターを倒していく中で俺はずっと嫌な感覚に付きまとわれる

何かが引っかかるというか...ずっと嫌な感覚が付きまとうとしか言いようの無いもの

「リリルカ、13階層は中層の入口だし、熟練の冒険者程下に降りてるのはわかるがここまで冒険者がいないもんか?色んなパーティでサポーターしてきた観点から見てどう思う?」

腕に装着した小型のクロスボウでモンスターを牽制しながらリリが意見を述べる

「確かに、ベリル様の言う通り冒険者が少なすぎる気がします。実力のある冒険者は確かに15階層から18階層を行き来して戦いますが、それでもここは13階層半ばです。他に挑んでいるパーティがいても不思議ではありません」

「だよな!」

襲い来るモンスターを斬りつけ魔石に変えつつ俺は注意深く周囲を見回すとモンスターに追われて逃げてくる冒険者パーティがいた。

動きたいがこちらも囲まれて動けない

そうしているうちに怪物進呈(パスパレード)が起こる

「クソが!やってくれたな!」

「怪物進呈(パスパレード)です!」

ただでさえ物量に押しつぶされそうなのに余計なことしてくれやがって

「一旦退け!もう1発膨冷熱波を放って数を減らす!」

「わかった!」

俺は再びスキルを駆使し膨冷熱波を放ってモンスターの数を減らすがそれでも減った気がしない

「クソ!炎も氷もダメってか!」

俺は剣に【獄炎】を纏わせモンスターを屠っていく

「この!【炎獄斬】」

「ファイヤボルト!」

ベル兄も魔法で応戦しつつモンスターを倒していきヴェルフも大刀を振るいモンスターを倒しリリは腕に装備した小型クロスボウでモンスターを牽制しそこをヴェルフかベル兄がフォローする

「せめて水の力が使えたら...」

「ベリル?」

「水の力がもしも使えたら激流で押し流したり鉄砲水とかでこの状況を何とか出来るんだよ!」

「それ、氷で何とかならないの!?」

「俺の氷はどっちかって言うと防御向けだ!風魔の指輪の効果と【魔力収束】で【極寒の地獄-ニブルヘイム-】を発動できるけど、俺にできるのはそこまでで昔読んだ物語に出てきた神々の終焉(ラグナロク)みたいな事は出来ないんだよ!」

「膨冷熱波みたいな感じで氷を水にする事は出来ないのか!?」

「無理だ!少しずつ溶かすことは出来るが一気には無理だ!」

俺達はモンスターを倒しながら可能性のありそうなものを候補としてあげていく

俺はベル兄達と話しつつずっと自分のステータスに意識を割いている

今の自分に足りないのはこの物量を押し返す力だ

スキルはランクアップする事にしか得られないものじゃない。

ステータスは本当に必要だと感じたら答えてくれるはずなんだ!

だから...答えてくれ!友を...そしてまだ未完の器の英雄を守るために...俺は魔王として英雄の前に立ちはだかる強敵でいたいんだ!

その願いが届いたのか俺の背中にあるステータスが熱を帯び何かが目覚めた感覚が俺の中に残る

俺は手のひらに意識を集中させると小さな水球が現れる

「本当に答えてくれたんだな!全てを押し流せ!【水獄-ヘルアクアス-】!」

真っ青な水がモンスターを飲み込み押し流してダンジョンの壁に跳ね返り波を起こす

「氷壁!」

氷の壁を作り出し津波と化した水から身を守る

全てのモンスターを倒した訳じゃないがギリギリまで数が減ったので行動を起こせる

「地上に戻るよりこのまま18階層に行った方がいいかもしれないな」

「なんで!?地上に戻る方がいいよ!」

「考えてみろ!ここは13階層半ばから後半の方だ。つまりもう一度あのモンスターの群れに襲われたら地上に戻る前にポーション等の消耗品が尽きる。それなら18階層を目指してそこから地上に戻る冒険者パーティに混ぜてもらう方が堅実だ」

「リリもベリル様の意見を支持します。」

「確かにな...消耗品の心配だけは付き纏うしその方が楽なのか...」

「わかった!18階層を目指そう」

「荷物は最低限にしましょう」

「いや、その必要はない!俺の腕輪に入れて必要な時取り出すようにしよう」

「すみません。助かります」

「良いさ、ここで下手に装備を捨てたりする方が不味い気がするしな、とりあえず消耗品の確認だけしておこう」

それぞれ消耗品の残りを確認する

 

ベル-ポーション×3デュアルポーション×2マナポーション×2毒消し×2

 

ベリル-ポーション×3デュアルポーション×5マナポーション×2

 

ヴェルフ-ポーション×2デュアルポーション×3マナポーション×1毒消し×2

 

リリ-魔石複数その他道具や予備武器が数本、デュアルポーション以外のポーション等が各種2本ずつ

 

「ギリギリだな...」

「そうですね...」

消耗品を確認した後ポーションと最低限の装備以外を俺の腕輪に収納し動きやすさ重視で18階層へ向けて動き出した。

 

階層を降りつつ戦闘を避けるためリリルカには匂い袋でモンスターが襲ってくるのを防いでもらっている

「ひでぇ匂いだなおい」

「文句言っても仕方ないだろうが、リリルカの方が匂いの元凶に近い分辛いんだぜ」

「でもさ、わかっててもキツいよねこの匂い」

「悪いな、時々で良いなら風を起こして少しだけマシにはしてやれるから勘弁な」

「わかっています。確かに匂いはアレですけど、ないよりマシなので」

そうして匂い袋で牽制しつつそれでも襲ってくるモンスターはヴェルフの魔法で倒しつつ

俺は周囲を警戒し続ける

「ヴェルフ、そろそろマナポーション飲んでおいた方がいいと思うぜそろそろ魔力がキツイだろ」

「確かにな」

ヴェルフはマナポーションを飲み干しふぅーと息を吐く

「ベリルは平気?」

「気を張ってるからな、疲労がないと言えば嘘になるがまだ平気だよ」

なんて話しているうち匂い袋の効果が切れた

「効果切れか...」

効果が切れてすぐにヘルハウンドが2体現れる

「ベル兄、右のバカ犬は任せる」

「わかった!」

俺は腰に差していた合金のショートソードを抜き

風魔の指輪をしている左手を後方に据えて風を起こし加速し

ヘルハウンドを斬り裂き魔石に変える

「一瞬で勝負を決めないと囲まれる危険があるし四の五の言ってられないな...」

そして15階層を抜けもうすぐ16階層も終わるという所で

ミノタウロス数体に囲まれる

「【獄炎】!!」

一体を焼き殺し腰からヘスティア・ブレードを引き抜き

【獄炎】を纏わせ即座に斬撃を飛ばす

「【炎獄斬】!!」

ベル兄の方もミノタウロスを倒し切ったようだ

「行こう!もうすぐだ!」

「うん!」

16階層を一気に駆け抜け17階層に突入する

「ゴライアスがいないから静かだな...」

「あぁ、そうだな」

「でも、今のうちに18階層に行けば地上に帰れる確率は高くなるんだよね!」

「はい、18階層で地上に帰還する冒険者パーティを探して同行させてもらった方が堅実です」

だが、ここはダンジョンだ...入り込んだ獲物はそう簡単に逃がしてはくれないという事だろう

壁にヒビが入りズシンともドシンとも聞き取れる足音が響き渡り推定でも7メートルはある巨人が姿を現し雄叫びを上げる

「ベル兄...先に行け!俺がコイツを引きつける」

「でも、そんな事したベリルが!」

「大丈夫だ!死ぬ気はねぇよ!死神の眷属にはなりたくないんでね!とりあえずは足止めだ!早く行って救援を呼んできてくれ!」

「……わかった!行こう2人とも!」

「あぁ、はやく救援呼んだ方が良さそうだ」

「そうしましょう!」

ベル兄達が駆け出したのと同時に俺は【獄炎】を放ち意識を向けさせる

「こっちだ!ノロマ!」

ゴライアスの意識がこちらに向いた瞬間ゴライアスの拳が繰り出される

身体がでかい分、拳の風圧も半端じゃない

俺は腕輪からガンテツさんから貰ったばかりの籠手を取り出し装備すると【獄炎】と【魔力収束】風魔の指輪の力で風を拳に纏う

「俺流!グランインパクト!」

ゴライアスの拳を真っ向から受けて立つつもりで技をぶつけるが体格差もありグランインパクトを使ってなお、俺が後退しゴライアスは少しよろける程度に終わる

「マジかよ、結構本気だったぞ!」

ゴライアスはこちらを見下すように様子を伺っている

「さて、新スキルが発現したとはいえ……満身創痍に近い。

どこまでやれるかな……」

俺はヘスティア・ブレードを構えてゴライアスと睨み合う

「救援が来るまで持ち堪えてみせる!ここで倒れる訳にはいかない!」

ベリルは覚悟を決め階層主、ゴライアスに立ち向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 




14話目です。何とか今日中に出せました。
今回はベリルが時間稼ぎの為にゴライアスと戦うという形にしました。
次回はベリルが救援が来るまで戦闘してその後18階層で休息をとるように書いていくのでお楽しみに

次回「ギリギリの死闘/18階層での休息」
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