ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか-魔王と英雄-   作:凌介

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十人十色と言うように人の感情の機微が騒動を起こし
更なるイレギュラーが発生する


第16話18階層2つの騒動/イレギュラー発生

ヘルメス様が元凶の沐浴騒動の件については

俺が何とかレフィーヤを宥めて拠点へ戻ってくる

借りている天幕に戻ってきた俺は動ける程度に回復したとはいえまだ少し無理があったのか疲れが押し寄せ俺はすぐに眠りについた。

 

次の日

朝になって俺はステータスを更新してもらっていた。

「はい、終わったよベリルくん魔力と敏捷がかなり上がっているよ」

ゴライアス戦もあってステータスは魔力と敏捷が

F、他がGになってるとヘスティア様が説明してくれた。

「まぁ、こんなもんか…もう少し下かなって気もしてたしまぁ悪くないわな」

 

その後、俺達は細かな消耗品の補充のため再びリヴィラで買い物中だ。

俺はポーション等を買うがたまにボッタクられそうになってその度に【獄炎】を手のひらに出現させて

「ふっかける相手選ばないと大事な髪の毛様とおさらばするぞ?」

と店主の毛先をチリっと焦がして定価で取り引きする

それをベル兄が見ていたようで

「やりすぎだってベリル!」

「やかましいわバカ兄貴!吹っかけられて黙ってられるか!」

何てやり取りをしつつ目的の物を揃えていると

たまたま同じく買い物をしていたレフィーヤに会った。

ベル兄が昨日の事を謝罪するが、まだ怒りがおさまらず思い出してまた追いかけっこがはじまる

「やれやれ、まぁたやってるよ!」

「つか、改めて見ると面白い構図だなっ兎狩りするエルフって...」

まさにうさぎおいしかのやまと言うやつかなとくだらない事を考えつつ2人の後を追いかけた。

 

2人を見失わないようについて行く俺はふと思い出した事があって呟く

「あいつら時間的に昼抜いてるよな?多分夕飯時にも間に合わないぞ…」

俺は腕輪に魔力を通し携帯食があったか確認する

「そういや中身を詳しく知りたければなんか唱えろとか何とかヴァルガの奴がなんか面倒くさそうに言ってたな…」

「【ストレージ】」

呟くように唱えると頭の中に腕輪の中身が浮かんでくる

「干し肉と果物が数個、黒パンが2つにチーズが1つか...まぁ何とかなるかな」

そう思いつつ追い立てられる兎と追いかけるエルフの魔法使いを追いかけた。

その後も見失わないように追いかけていたが途中ベル兄が腹を抑えて赤面している

「やっぱりな...」

俺は予想通りだと思いつつ声を掛ける

「おーい!2人ともどこまで行くんだ!」

「ベリル!いい所に!なにか食べるもの持ってない?」

「あるぞ!ほらよ」

俺は干し肉と果物が入った袋を投げ渡す

「レフィーヤも」

「ありがとうございます」

レフィーヤの方にはパンに干し肉とチーズ、ちょっとした野菜を挟んだ即席サンドイッチと果実の炭酸水の袋を渡す

「ベリル...レフィーヤさんの方がなんか豪華じゃない?」

「レディーファーストだ!貴重な食料分けてやっただけ有難いと思ってもらわないとなぁ〜」

「う゛...」

「それにパンが1つしか無かったからな!」

もちろん嘘である。パンはレフィーヤ用に取っておくつもりだ。

その代わりにベル兄の干し肉は少し厚めの物を渡しているからそれで妥協してもらうしかない

レフィーヤの方もひとまず休戦という事で体を休めることにした。

「ベリル、貴重な食料ありがとうございました。」

「別に良いさ、2人を見失わないように着いてきたのは俺だしな…まぁ、ベリル兄がレフィーヤの杖に1発くらい殴られればと思ってはいたけど」

「ベリルはどっちの味方なの!?」

「どっちかって言うと、レフィーヤ」

「やっぱり……」

「元凶がヘルメス様とはいえ唆されたベル兄が悪い」

日が暮れ始めて夜の帷が降り始める

「ベリル、さすがに火を起こせたりは...」

「俺の炎が周りを照らせると思う?」

「た...確かに...」

『―――ウオォォォォォォォォン!』

「「ひっ」」

どこからか雄叫びが響いてきた。

がレフィーヤとベル兄が同時に肩を跳ねさせる

「安心しろ、まだ遠いし俺達が気付かれた訳じゃない」

「ベリルはなんでそんなに平気そうなの?」

「俺、1度ダンジョンに潜ると3日は潜り続けてるから」

「それって...ベリルはダンジョンでの夜営に慣れてるってこと?」

「夜営って程立派なもんじゃないさ慣れてるのは確かだけど」

俺はそう言って立ち上がると2人に向けて手を差し出す

「こんなところにいつまでも留まるより移動した方が懸命だ、夜営地の方向はなんとなくわかるし行こうぜ!」

2人は頷くと俺の手を取り立ち上がる

「今更なんですけど、2人とも年は幾つなの?」

「俺もベル兄も14、同じ日に生まれた双子だよ」

「私の方が上だったんだ...ベリルは同い歳くらいかと思ってたのに…」

「レフィーヤって15~18くらいじゃないの?実はフィンさん並に歳上?」

「そんな訳ないでしょ!ベリル達より1つ上の15です!エルフは確かに長命種で見た目から年齢がわからないって言われる種族の代表ですけど、団長並は言い過ぎです!」

「そうだな、それは俺が悪かったよ!」

「わかれば良いんです!」

俺より1つ上のくせに妙に子供っぽいんだよなぁ〜レフィーヤって...

「ベリル...なんか失礼な事考えてない?」

レフィーヤにジトっとした目を向けられる

「まさか!」

俺は肩を竦め返答する

とりあえず拠点を目指しつつ歩みを進める中俺達は巨木を見つけては登り方角を確かめる

「今回は私が上に登って確認します!ベリル!上見ちゃダメですからね!」

「そういうならそんな短いスカート身につけなきゃ良いのに...リヴェリアさんみたいなローブでもいいんじゃないの?」

「戦闘衣(バトルクロス)とはいえ少しはオシャレしたいんですぅ〜!」

「まぁ、良いけどさ...」

「と・に・か・く!私が登る間上見ちゃダメですからね!」

「わかったって!」

なんて返答しつつも俺はレフィーヤが登る方とは反対側に周り込み助走をつけて一気に駆け上がり見晴らしが良い位置に陣取り辺りを見回す中で人影が見えた。

「レフィーヤ、俺じゃあよくわかんないけど、人影が見えた!俺の指さす方向を見てくれ!」

「わかりました」

レフィーヤは俺が指さす方向を確認してすぐ枝葉の影に身を隠してベル兄に灯りを消すよう要求

「灯りを消してください!今すぐ!」

「ベル兄、言う通りにしろ!なにかある!」

「わっ...わかった!」

俺は素早くレフィーヤの近くの技に飛び移ると声を掛ける

「レフィーヤ、俺には人影程度にしか見えなかったけど、レフィーヤの反応から察するにヤバい奴等なんだよな?」

レフィーヤは頷き返答する

「詳しく説明してる暇は無いですから簡潔に言うと私達とか敵対している組織です。」

「なるほどな...まぁ、詮索はしないがどうする?」

「追います」

「了解」

茂みを抜け水晶の柱に身を隠しつつ奴等を追う途中で

大地が割れる

「!?【氷獄】!」

地面に空いた穴に落ちることは避けられなかったがかろうじて怪しい液体に浸かることは免れた。

「助かった...の?」

「いや、コイツは溶解液だ!俺の氷も持って数分だぞ

それに...上見ろ!ここはモンスターの胃の中だ!」

人型の上半身を象る怪物が、上下逆様の体制で、呆然とする俺達を見下ろすでかい目玉

「極彩色のモンスター……!!」

「知ってるのか?」

「えぇ、あのモンスターは私たちが幾度となく交戦してきたモンスターの言わば変異種です。」

「ふーん、とりあえずここから出れば良いんだろ?」

「なんでそんなに落ち着いてるんですか!?」

「胃の中だってならその胃を荒らせばいい胃が荒れるとか胃が痛いとかよく言うだろ?【魔力収束】【獄炎】!」

ギギャアアア!

「やかましいわ!ついでに鬱陶しいからその目閉じとけ!【氷獄!】」

【氷獄】による目潰しを行い更に周りにもう一度氷の足場を作る

「ベリルのスキルって魔力で氷を生み出せるスキルでしたっけ?」

「正確には氷と冷気を放ったり纏ったりできるスキルだな」

「とりあえず、助かります」

「ベル兄!ボサっとしてないで限界まで力を貯めろ!」

「わかった!」

ベル兄は【英雄願望-アルゴノゥト-】を発動し力を蓄積する

「ベリル!私は詠唱に入ります!少しの間私を守ってくださいね」

「任された!胃の中洗浄してやるよ人喰い花の化け物め!【水獄】!」

手から水を放出して溶解液の効果を薄めさらに鉄砲水が押し寄せるような勢いで再び目を攻撃する

ギギャアアアァァァ!

「音波攻撃のつもりか?うるせぇだけだっての!失明させてやる!【獄炎】!」

ギギャアアアァァァ!

モンスターがまたも奇声をあげる

「やかましい!コノヤロウ!」

俺はモンスターが上げる奇声に頭痛が抑えられないが平静を装いつつ込み上げるイラつきをぶつけるように投擲用のナイフを取り出しモンスターの目玉に向けて投擲し突き刺す

「ベリル!こっちはイケるよ!」

「レフィーヤ!」

レフィーヤの方にも確認すると頷きが返ってきた

「あと一歩ってわけね…なら俺も【魔力収束】! 【獄炎】【氷獄】!」

「ちょっ!ベリル!まさかあれやる気!?こんな狭い所で!」

「一気に決めるしか無いだろうが!良いからやるぞ!」

「う……うん!」

「【ファイヤ・ボルト】!」

「【膨冷熱波】!」

「【アルクスレイ】!」

空気膨張による大爆発が起こりそこに重なるようにして青白い炎と光の矢が目玉に直撃しモンスターが跡形もなく消える

「あぁ〜疲れた...頭いて〜」

「大丈夫?」

「まぁ、なんとかね」

心配してくれるレフィーヤを他所にベル兄は俺に文句を言ってきた。

「ベリル酷いよ!」

「あぁ?何が?」

「あの爆発!」

「あのなぁ〜あれでも風魔の指輪で風起こして一方向に集中させたんだぜ」

「それでも!あの威力に僕吹き飛ばされたんだから!」

「文句があるならせめておれに一撃当ててからにしろよ!【氷炎龍牙】すら引き出せなかったやつがよく言う」

「……!?なんでそんなこと言うのさ!」

「少し黙れ!頭いて〜んだから、それに最初の方呆けて動けなくてレフィーヤに迷惑掛けたのはベル兄だぞ」

「そうなんだけど!」

「確かに...戦闘面ではベリルの方が役に立ってくれたしね、戦況把握が早くて詠唱する間の私の盾役もこなしてくれましたし」

「とりあえず、ベル兄はもう黙れ!」

俺はベル兄の腹部を殴って気絶させた。

「良いの?」

「あぁ、どうせあの爆発技使った時点で文句言う事はわかってたし」

「どうしてそこまで?」

「あぁ〜あの爆発技でベル兄吹っ飛ばした事あってさ、パーティ組んでる間はあれ、禁止って言われてたんだけど、あの狭い空間じゃ俺の武器は取り回しが悪かったからステゴロでやるしか無かったんだ」

「そういえばベリルの獲物はロングソードだったもんね」

俺は頭を振って立ち上がりベル兄を肩に担いでからレフィーヤに向き直り言った。

「拠点に帰ろうぜ!レフィーヤ」

「はい!」

そうしてレフィーヤ達と敵対する組織の計画の1部を潰す事には成功したのだった。

 

 

その後俺達は拠点へと戻ってきたと同時にフィンさんに何があったかを大雑把にだが説明した。

「なるほど、そんなことがあったのかい、ベリル。ファミリアの団員の命を助けてくれてありがとう」

「いえいえ、なんか訳ありっぽいですし、詮索するつもりもないですけど、一つだけ、あのモンスターは物語とかで言う堕天使ならぬ堕ちて穢れた精霊なんですか?」

「なぜそう思ったんだい?」

「あのモンスターからはダンジョンにいるモンスターから感じる気配とか、モンスター独特の殺気みたいなものがまた違う感覚で感じたもので、上手く言えなくてすいません。」

「いや、構わない。とりあえず、君の推測通りだとだけ言っておくよ」

「それが聞ければ十分です。自分が感じた違和感の正体を知りたかっただけですんで」

「なら良いさ、とりあえず小難しい話はここまでにしよう!ささやかだが、宴を開くから楽しんで行ってくれ!明日には我々は引き上げるからね」

「という事は団員の皆さん回復したんですね」

「そういう事だ」

「わかりました。」

 

その後フィンさんが音頭をとり、ささやかな宴が催された。

その席であのバカ犬が絡んで来た。

「アイズの水浴びを覗いただぁ〜てめぇふざけてんのか!?あぁ?」

「その件はもう終わってるんだよ!文句ならヘルメス様に言えバカ犬」

「あぁ?なんだって?もういっぺん言ってみろゴラ!」

「バカ犬!都合のいい事しか聞こえてねぇ耳ならいらねえだろ!斬り落としてやろうか?」

「やる気かコノヤロー!」

「あの〜睨み合ってるところ悪いんだけど、いい加減俺の事を降ろしてくれないかな?」

「「うるせぇ(うっせぇ)黙ってろ!この駄神!」」

ベリルの拳とベートの蹴りがヘルメス様に突き刺さりヘルメス様は気絶した。

「おい!ガキ!」

「なんです?クソ犬さん?」

「俺様はてめぇが気に食わねぇ!」

「偶然ですねぇ〜俺もあんたが嫌いですよコボルトの同族さん」

ベートはカチンと来たのか額に青筋を浮かべて声を荒らげる

「上等だゴラ!表に出やがれ!今すぐ蹴り殺してやる!」

「その足を氷で壊死させてやりますよ!」

俺は全身に冷気が纏う

「ちょっ!ベリル!やめなよ!」

「そうですよ!ベリル!ベートさんに突っかかってもいい事なんて無いですから!」

「ベートも!落ち着きなよ!」

「そうよ、あの時のことはヘルメス様が悪いって事で解決してるし、今あんたが蹴り入れたのヘルメス様よ」

「知るか!離しやがれバカゾネス共!」

「来いよ!今の俺がお前相手にどこまで張り合えるか確かめるいい機会だ!」

「やめなって!」

「そこまでだ!宴の雰囲気を悪くするのは僕が許さないよ。」

フィンさんが槍を俺達2人の間に突き入れる

「……他ならないロキファミリア団長のフィンさんに言われたら引き下がるしか無いですね…」

「チッ!次あったら覚えとけ!」

「貴方が忘れてなければね、クズ犬さん」

「あ゛あ゛!?」

「ベート!3度目はないよ!」

「チッ!」

ベートはそのまま何処かに行ってしまった。

「血の気の多い犬だこと...」

「あの〜ベリル...ベートさんって一応ワーウルフだよ」

レフィーヤが種族名を教えてくれたが、知っていたし、どうでも良いと言うのが本音だ

「知ってるよ!初めて会った時から気が合わないのは感じてたから、皮肉だよ皮肉」

「ベリルってベートさんにはずっとそんな感じなんだね」

「あの犬は心底嫌い」

「で...でも、ベリルがそこまで嫌悪感示すのも珍しいよね、言い方はアレかもだけど、普段は分け隔てないというか、誰にでも丁寧に接するほうなのにさ」

「第一印象からして最悪だったからなぁ〜」

そんな感じで一悶着ありつつも楽しい時間が過ぎていった。

 

-次の日-

 

フィンさん達ロキ・ファミリアの1部のメンバーが朝早く18階層を出発すると言うので俺は見送りのため個人的に18階層入口に集まっていた。

「短い間ですけど、お世話になりました。」

「こちらこそ、レフィーヤが世話になったね」

「団長!」

「事実だろ?彼がいなければ、君もベル・クラネルもどうなっていたか...」

「それは...そうかもですけど...」

「まぁ、終わった事なんで良いですよ!俺としてはロキ・ファミリアに借り1つだと思ってますのでこの程度で返したつもりは無いですから」

「そうかい?なら、何かあったら頼らせてもらうよ」

「大事でなければいんですがね」

俺は苦笑しつつそう返答した。

「どうだろうね...残念な事にそれが保証できそうもない」

フィンさんも苦笑しつつそう言った。

そうしてフィンさん達を見送った俺は皆の所に戻ると

ロキ・ファミリアの後続組のメンバーと鍛冶師達が残っていた。

「ヴェルフ、ちょっと良いか?」

「ベリルか...ちょっとだけ待ってくれ」

ヴェルフは今やっている作業を終わらせると俺の方を向き話を聞く体制になる

「で?何をして欲しいんだ?」

「あぁ〜、コイツを修理というか、修復になるのか?とにかくもう一度使えるように出来ないかなと思ってな」

俺は数日前のゴライアス戦で砕けてしまった晶斬を見せる

「なんだこりゃ?ロングソードだよな?」

「あぁ、耐久性は捨てて斬ることに特化させた剣だ」

「なるほどなぁ〜ミスリルを芯にしてるのか、ちょっと時間貰っていいか?ある程度構造を理解してから出来るかどうか判断したい」

「わかった、また後で来るよ」

俺はベル兄達の準備の進捗を確認しようと天幕に近付くと2本の試験管が目に入った。

「なんだこれ」

拾って中身をみるとヘスティア様の身柄を拘束した返して欲しければ俺とベル兄の2人だけで来いと書かれていた。

「クソが...」

俺はこの事をベル兄に伝えた

「おいベル兄!大変だぞ!」

「な...なに!?」

「ヘスティア様が攫われた。俺たちだけて来いとよ」

「わかった、行こう!」

俺達は指定された中央樹の真東の一本水晶まで来た

「来たぞ!俺達の主神様を返してもらおうか」

「その前に俺達が冒険者のいろはってやつを一から教えてやるよ」

モルドとパーティを組んでいる他2人も加わり3対2になる

「とりあえず、このまま乱戦で良いのか?」

「あぁ、買ったらてめぇ等の装備は全部金に変えてやる」

「俺達が買ったらヘスティア様を返してもらうか?バカだろ」

「んだと!?」

「買ったらてめぇが有り金はたいてこの街で1番高い武器を俺達に用意するそしてヘスティア様も返してもらう俺達は2人だしベル兄は主神様を返してもらう、俺はお前らの金で武器を買うそれで良いだろ」

「上等だ!やってやるよ。これは―――てめぇ等を嬲り殺しにする見世物だ!」

モルドが足元に大剣を叩きつけ土煙を起こす

土煙が晴れるとモルド達が消えていた

「はぁ...消えただけかよ...ベル兄、目を閉じて自分の感覚で戦ってみろよ」

「どういう事?」

「5感を研ぎ澄ませって言ってんだよ!」

俺は透明になった奴らの攻撃を風切り音や小さな音から判断し回避に務める中で【魔力収束】を発動し魔力を収束し続ける

そしてベル兄の方も最初は戸惑いが勝り攻撃をくらっていたが徐々に対応できるようになっていた。

「ベル兄、離れろ」

「うん!」

俺は収束した魔力を一気に解放する

「【凍結領域-フリージア-】」

その場にいて観戦していた冒険者も含め透明になっていた連も氷漬けになる

「ベリル!?何これ!?どういう事?」

「俺を起点に半径3メートル以内にいる奴等を氷漬けにしただけ」

【凍結領域】を使った影響か身体が冷え切っていて動きが鈍い

即座に【獄炎】を発動し体温調節を行うとそのまま

【膨冷熱波】を発動して一気に勝負を決めた。

その場にいた連中は白目を剥いて気絶していた。

「ふぅ〜、一件落着と」

「どこが!?」

「ベル兄、色々言いたそうな所悪いけど、ヘスティア様助けなよ」

「そうだった!」

ベル兄はヘスティア様を助け戻ってくる

「ベリル君やり過ぎだよ!」

「お怒りは最もですけど、ちょっと待っててください」

俺はモルドが被っていた兜をひっぺがし身に付けると姿を消す

ベル兄の後ろに忍び寄り肩を叩いて兜をとる

「いつの間に!?」

「この兜は人の視覚に干渉して見えなくするみたいだよ」

「そうなんだ...ベリル、それどうするの?」

「ちょっとやっておくことがあってね」

再び兜を被って姿を消しヘルメス様を探すと俺達の状況が1番見える位置に陣取っていた。

俺は即座に魔力収束を行い炎を拳に纏いグランインパクトの態勢をとり、一緒にいるアスフィさんにバレないように近付き一瞬で姿を現しヘルメス様にグランインパクトのボディブローをお見舞いする

「俺流グランインパクトブロー!

ヘルメス様はくの字を描くように身体が曲がり吹き飛んだ

「1発殴られる覚悟はしてたんですよね?ヘルメス様」

「1度ならず2度までも!?何をするのですか!」

「何をって報復?」

「まぁ、色々言いたいことはありますが自業自得とも言えるので今回は見逃します」

アスフィさんは見て見ぬふりをしてくれるようだ。

「まぁ、何かするなら報復というか1発殴られる覚悟はしておかないとってことですよ」

俺は【獄炎】で兜を融解させるとその場に投げ捨てた。

「全く...ベル君はともかくベリル君には嫌われたもんだ」

ヘルメス様は殴られた腹部を抑えつつ呟くのだった。

 

その後俺はヘスティア様とベル兄の所に戻るとベル兄が詰め寄ってきた。

「ベリル!いくら神様を人質に取られたからってやり過ぎだよ!見物してた人達まで巻き込むなんて!」

「文句があるなら力を示せよ!俺は試練で力を示して認められて力を得たならベル兄もそうして見せろよ」

俺は【獄炎】を発動し手を覆うように纏う

「たまには兄である僕の意見も聞いてよね!」

「だから力を示せって言ってんだよ!」

お互いに臨戦態勢をとった瞬間ヘスティア様が神威を解放した

「2人ともいい加減にするんだ!主神命令だよ!お互い矛を納めるんだ!」

「わかりました……」

「チッ...わかりましたよ!」

俺は手の中に握り込むように【獄炎】を消した。

そこへ騒動を聞きつけヴェルフやリリ、タケミカヅチファミリアの面々が駆け付けてくる

「おい!何があったんだ!?」

「なぁに、俺達をよく思わない冒険者に絡まれただけさ」

俺は肩を竦め返答する

「でも、ベリル酷いんだ!周りの人達まで纏めて氷漬けにして空気膨張させて爆発させてさ!皆白目剥いて倒れちゃって」

「それは...やり過ぎだろ...」

ヴェルフがそう言うと他のメンバーも皆頷く

「ほらね!」

「知るか!大体な!俺らが馬鹿みたいにやられてるとこ見て楽しもうとしてる頭のおかしい連中相手に灸を据えるくらいでガタガタやかましいんだよ!」

「そうは言うがなベリル、何事にも限度ってもんがあるんだぞ!」

「やり過ぎくらいがちょうど良いんだよ!あぁ言う頭のネジがイカれた連中はキツく灸を据えるくらいがちょうどいいんだ!」

「ベリル様は何でもかんでも力で解決しようとしすぎです!」

「リリルカまでそういう事言うのかよ…」

「何事にも限度があるってことだろ」

タケミカヅチファミリア団長のオウカがそう言うと

また皆が頷く

「へぇ〜、ならお前達がした事は限度を超えてるってことにならねぇのかよ?」

俺はオウカに向けてプレッシャーを放つ

「...っ!?」

たじろぐオウカ

「ベル兄達は納得して矛を納めたけどな、1人くらいてめぇ等を攻め立てる奴がいねぇとまた同じ事をするだろうよ!」

「……確かに...二度としないというのは口約束でしかないが...どうしろと言うのだ」

「これからの行動で示せよ!次俺達に同じ事して見ろ!お前を火炙りにしてから氷漬けにしてやる!それで仮に神と敵対する事になろうともな!」

「わかった...」

オウカが頷いたのを見て俺はプレッシャーを抑える

「はぁ...シラケた!ゴライアス復活してねぇかな〜、なぁ〜んかイライラムカムカするからアイツとガチでやり合いてぇな」

「またそんな危ない事を!良いかいベリル君、強さを求めるのは悪い事じゃない、けれど、強さの意味を履き違えてはいけないよ」

「わかってます。信念無き剣に、拳に強さは宿りません」

「なら、良いんだけどね」

その瞬間だった...18階層が揺れる。

「地震か!?」

「何!?どういう事?」

「ベル兄、これはある意味俺達が撒いた種だ」

「どういう事?」

「俺とベル兄の喧嘩をヘスティア様は神威を解放してまで止めた」

「それが何?」

「まだわかんねぇのか?バカ兄貴!つまり、ダンジョンにとって神は異物なんだよ!その異物を排除する為ダンジョンがイレギュラーを起こしてるんだ!」

「それって...つまり...」

「来るぜ…とびっきりのイレギュラーがな!」

「全員備えろ!」

「ベリル!」

俺はヘスティア・ブレードを引き抜き臨戦態勢になった瞬間ヴェルフが鞘に入った剣を投げ渡してきた

「何とか修理が間に合ったぜ!」

「もう一度砕く事になるかもしれないが、礼を言うぜヴェルフ」

「いいって事よ!」

俺は晶斬を腰に差すとヘスティア・ブレードに【獄炎】を纏わせる

───バキリッ

天井の水晶に亀裂が入り漆黒の巨人が生まれ落ちた。

「ダンジョンは''憎んでいるのさ。''こんな地下に閉じ込めている、神々(オレたち)をね」

「ヘルメス様」

「どういう事ですか?」

「ヘスティアのせいでも君達のせいでも無いって事さ...」

「いや、やっぱり俺達せいでもありますよ。神威を解放して神がいることを気付かせてしまったんですからね…」

「覚悟決めろ!ベル兄、俺達の全身全霊をもってしても勝てる可能性は1%あるかないかだ!」

「それでもやるんだよね?」

「当然!ところでさ、魔王と英雄どっちにも共通してる事が一つだけあるの知ってるか?」

「多分ね...でも一応聞いてもいい?」

「あぁ、それはな...」

「「どんな理不尽も跳ね除ける事!」」

「だよな!」

「当然だよ!」

「行くぜベル兄!」

「うん!行こう!ベリル!」

俺達は武器を構えて漆黒のゴライアスに向かって駆け出した。

 

 

 

 

 

 




16話目です。次回、本格的にベリル、ベルの他全冒険者も含めた漆黒のゴライアス戦を書きますのでお楽しみに

次回「英雄と魔王の賛歌」
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