ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか-魔王と英雄- 作:凌介
ゴライアスに向かって駆け出してすぐゴライアスが雄叫びをあげモンスターを呼び寄せる
「クソが!倒しても倒してもキリがねぇ!」
「でも今はモンスターを倒すことがあのゴライアスへの近道だよ!」
「わかってる!でも頭くるぜ!吹き飛ばしたらダメか?」
「ダメ!」
「チッ」
舌打ちしながらモンスターを倒し続けるが正直我慢の限界だった
「【魔力収束】」
手のひらを起点に半径3メートル以内に魔力を広げていき
魔力が行き渡ったのを感じた瞬間【獄炎】を発動する
「【炎熱地獄-ムスペルヘイム-】!」
「ちょっ!ベリル!せめて氷にしてよ!炎が燃え広がって行くよ!」
「知るか!全部終わっても消えなければ俺が責任もって消火活動してやるよ!」
俺はヘスティア・ブレードを振り残ったモンスターを掃討しながらゴライアスに接近
「くらえ!【炎獄龍牙】!」
炎の龍がゴライアスに牙を剥き肌を焦がすがゴライアスは再生する
「クソが!【炎獄斬】」
剣を横薙ぎに振るいゴライアスに裂傷が与える
「その横っ面に一撃入れてやる!」
【魔力収束】と【獄炎】、風魔の指輪を使い拳を覆う
「俺流グランインパクト!」
横っ面に拳を叩き込むが効いてる気がしない
「かったい皮膚しやがって!」
その瞬間ゴライアスの拳が迫るが俺は真っ向から迎え撃つ
「もう1発くらえ!俺流グランインパクト!」
拳同士が撃ち合うが当然ゴライアスの拳に敵うわけがない
「2度も負けるかよぉぉぉぉ!」
俺はゴライアスの拳を撃ち返した。
「無茶な事を...」
「リューさん」
「拳が砕けたのでは?ポーションで傷は治せても砕けた拳は治りませんよ」
「知ってます。でも拳は砕けちゃいませんよ!砕けたのは籠手です。俺専属の鍛冶師が作ってくれました。竜牙の籠手がね」
「なら安心しました。」
「それに、力はあるんですよ!これでも」
力の指輪で底上げされていてもゴライアスに敵うわけはないがそれでも2度も負けるわけにはいかない
熱くなった身体を【氷獄】の冷気で冷ましつつ戦況を見通す
「今のところリューさんやアスフィさんの攻撃が1番効いてるみたいだ」
ベル兄の方は今はひたすらに雑魚を狩っているがもうすぐ来るだろう
「ベル兄が来るとあの青白い光の一撃に全部持ってかれそうだし、もうひと暴れと行きますか!」
魔法使い達はアスフィさんが囮になり注意を引いている間に
詠唱し最大威力の魔法をぶつける
そして駆け抜ける白い影、もちろんベル兄だ
「出し抜かれてたまるか!」
俺は身体の熱を冷ましつつ思い付いた技名試すことにした
【魔力収束】で再び拳に魔力を集めそこに【氷獄】の冷気を纏う
「ヴァルガのグランインパクトを模倣したくて炎の爆発力を使ったが冷気を纏った一撃ってのも試してみないとな!」
俺は【氷獄】で剣身を延長し拳にも魔力を纏ってゴライアスに向かっていく
「凍りつけ!【氷天斬】!もう1発!【氷纏撃-アイスブラスト-】!」
「ベリル!?」
「拳の撃ち合いはもう負けねぇ!炎と氷は感覚が掴めた。あとは水だ!」
「何する気!?」
「安心しろよ!できるかわからないが三位一体の龍牙を放つってだけさ」
ゴライアス相手に他のメンバー達も奮闘するがやっぱり決定打には足りない
「水を【魔力収束】で圧縮し剣に纏う!高圧水流は時には全てを斬り裂く水の刃と化す!【水裂斬】!」
水の斬撃がゴライアスに裂傷を刻む
「再生する暇なんぞやらねぇよ【氷天連斬】【水裂連斬】!」
氷と水の力を交互に使い裂傷を刻み傷口を凍らせる
ベル兄が【英雄願望】の力を限界まで蓄力した力を解放する
「【ファイアボルト】」
「【膨冷熱波】!」
俺達の攻撃に頭を失ったゴライアスだが、終わりじゃないと確信があった。
夥しい赤い粒子が巨人の首元から発生した
「!?」
「やっぱりな...頭ぶっ飛んでるってのに身体が消えないのはおかしいと思ったんだ」
そして俺は再び嫌な予感に襲われる
「ベル!ベリル!逃げなさい!」
「逃げる必要なんてないね!」
「波を起こせ!【水獄】!凍てつけ【氷獄】!」
波を起こしてそれを凍結させ壁を作るがゴライアスの放つ
【咆哮】により氷は砕かれ拳が迫る
そこへ割り込んでくる桜花(オウカ)
俺は咄嗟に氷を生み出し緩衝材にするがゴライアスの拳は止まらない
「グランインパクト!」
態勢が不安定だった為、力負けしそうになるが俺はこいつの拳には負けるつもりはなかった
「【氷纏連撃-ブリザードアーツ-】」
炎から氷にスイッチし連撃を叩き込むとゴライアスの拳が冷気で凍傷を起こしゴライアスは拳を引いた
俺は風魔の指輪で風を纏いベル兄と桜花を蹴り飛ばす
「動けねえやつは離れてろ!」
俺はゴライアスに向かって跳躍し更に風を纏って顔の辺りまで行くと足に【魔力収束】を発動しゴライアスの顔面に蹴り
を入れ当たった瞬間に【獄炎】を発動し爆炎を生み出し蹴り抜いた。
もちろんそれでくたばる巨人ではないが俺も負けてやるつもりはない
「ベル兄は必ずもう一度立って来る!英雄っていうのはな、最後には必ずやって来るもんだ!」
「だとしたらあなたはなんだと言うのです?常に最前線に立ち続け身体が壊れるかもしれない程の力を酷使し続けベルの隣に立ち続けるあなたは?」
「決まってます!英雄の前に立ちはだかる強敵たる存在!魔王ですよ!」
「フッ、なるほど...魔王ですか...それはいい!ならば魔王!今は私と共に英雄が駆けつけるまで一時の舞踏を楽しみましょう!」
「【───今は遠き森の空。無窮の夜天に鏤む無限の星々】」
リューさんが詠唱に入る
俺はヘスティア・ブレードに【魔力収束】、【獄炎】、【氷獄】、【水獄】を全て纏って龍を形作る
「ここで魔力が尽きても構わない!【魔剣創造】!」
【獄炎】から炎の魔剣が
【氷獄】から氷の魔剣が
【水獄】から水の魔剣が創造される
「龍よ!魔剣と共に!」
「【三位一体魔天龍牙】!」
炎龍、氷龍、水龍が創造された魔剣と共にゴライアスに牙を剥きゴライアスの右腕が完全に消し飛んだ
「再生できると思うなよ!【極寒地獄-ニブルヘイム-】」
消し飛んだ腕部から胸部までを凍結させる
「リューさん!」
「【愚かな我が声に応じ、今一度星火の加護を。汝を見捨てしものに光の慈悲を】」
高速戦闘下に置ける『並行詠唱』。
『魔法』を発動するために多大な集中力と正確な詠唱が求められるのは言うまでもない。
高出力───詠唱文が長ければ長いほどより高度な制御が強いられる。
そんな姿に触発された命も動き出す
「【掛けまくも畏き───】」
全精神力(マインド)をこの一撃に。
後先なんか関係ないと言わんばかり
「ったく...魔力がすっからかんに近いってのによ...」
俺は残った魔力を注ぎ腕輪から丸薬を取り出す
「ヴァルガの奴に感謝するのは癪だが、今だけは感謝だな」
俺は丸薬を口に入れ噛み砕くと力が漲って来る
「さて、もう一度お前を砕かないとダメみたいだすまねぇな晶斬」
俺は鞘から晶斬を引き抜き魔力を剣身に収束させる
「もう片方の腕も貰うぜ!ゴライアス!」
「【残線】!」
ゴライアスの左腕が切断された。
それと同時に晶斬はパリンと音を立てて砕け散った
「ありがとうな、晶斬2度もお前に助けられた。」
柄と鍔、護拳のみとなった晶斬を腕輪に仕舞うと再びヘスティア・ブレードを手に取ると【獄炎】を纏わせゴライアスに斬りかかる
「【いかなるものも打ち破る我が武神よ、尊き天よりの導きよ。卑小のこの身に巍然たる御身の神力を】」
命、そしてリューの詠唱が進む中、両腕を失ったゴライアスのそれでも俺達を踏み潰そうとその重い腰を上げる。
「チッ!腕を失くしても足があるってか!コノヤロー!」
「衆目の前で使いたくなかったのですが…!!」
「出し惜しみしてる場合か!良いから使えこの陰険メガネ!」
「な!?誰が陰険メガネですか!えぇ!やってやりますよ!『タラリア』」
サンダルに巻き付くように備わっていた金の翼の装飾が解けニ翼一対の翼を左右に広げアスフィは飛翔した。
そして快速をもってゴライアスの顔面へと肉薄した。
左逆手の短剣を振り鳴らし、一閃。
『────────────ッッ!?』
赤眼に吸い込まれた斬撃に、ゴライアスが絶叫を上げる。
「その眼もどうせ再生するんだろ!なら失明させてやる!」
アスフィさんが刻んだ斬撃に更に剣を突き刺し【獄炎】を
発動する
「【獄炎】!」
『────────────ッグオォォォォォ!』
「やかましいんだよ!その目玉抉りとってやる!【氷獄】」
【獄炎】で焼けて【氷獄】で強制冷却され俺の剣に串刺しにされた眼が俺の剣先に突き刺さったままゴライアスから取り除かれた
「消毒してやるよ!【水獄】」
空洞になった眼の窪みに激流が流し込まれ更に絶叫する
ゴライアス
「氷の眼でも作ってやろうか?【氷獄】!」
もちろん眼になるわけがない、目の中に氷を刺し入れられるようなものだ
「【───来れ、さすらう風、流浪の旅人。空を渡り荒野を駆け、何物よりも疾く走れ。星屑の光を宿し敵を討て】」
「【ルミノス・ウィンド】!!」
緑風を纏った無数の大光玉。リューさんの周囲から生まれ、一斉砲火された星屑の魔法がゴライアスに次々と叩き込まれる。
その黒い体皮を破り、ゴライアスを後退させていく-その直後
『ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙──────ッ!!』
「「っ!?」」
光玉を今もなお被弾しながらゴライアスが突進した。
「少しはじっとしてろってんだよ!【極寒地獄】!」
俺はゴライアスの足元を凍らせ身動きを封じる
「【天より降り、地を統べよ───神武闘征】!!」
「【フツノミタマ】!!」
ゴライアスの直上、一振の光剣が出現し直下する。
同時に発生する魔法円(マジックサークル)にも似た複数の同心円。
そして光剣が巨人の体を通り抜け、円中心に突き立った瞬間、重力の檻が発生した。
『~~~~〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッ!?』
半径10メートルに及ぶ巨大なドーム上の力場。
特殊空間はゴライアスを閉じ込め膝をつく
「そのまま足止めしとけ!」
俺はリューさんの魔法をヒントに新たな方向性を見出した。
【魔力収束】を使い魔力を集中させ辺りに収束し圧縮させた水球を生み出し超高圧縮した水の線をゴライアスに撃ち込む
「【水圧水晶刃-アブレシブジェット-】!」
高圧水流とそれに混ざった氷晶がゴライアスの皮膚を削り
穿つ
「命!もう少し耐えろ!」
俺は手に【水獄】を纏うと刃を振るように手刀として繰り出す
「【水刃】!」
ゴライアスの皮膚が更に裂ける
「もう少し這いつくばってろ!」
「【氷柱槍-コールドレイン-】!!」
太い氷柱が出現しゴライアスに突き刺さる
『──────グオオオオオオオオオオ!』
「その口閉じてろよ!【水流連斬】」
水を纏った斬撃でゴライアスの顔面を斬り裂き
手のひらに氷柱を出現させて声帯を潰しにかかる
「まだかよベル兄、さすがに2度目のブーストはきっつぞ!」
ヴァルガが俺の腕輪に入れていたのは強化と回復の丸薬で
強制的に回復力を強化しブーストするという代物だ
「まだ持つ!戦いの後に身体が動かなくなってもいい!まだ耐えろよ!俺の体!」
「ベリル!退けぇぇぇぇ!」
「ヴェルフ!?」
その手には魔剣を持っている
「なんで!?魔剣は嫌いだし作りたくないって!!」
「意地と仲間を天秤に掛けるのはやめだ!だからコイツを砕く!」
「破られます!」
「クソが!【氷鎖封縛-アイシクルチェーン-】!!」
【水圧水晶刃-アブレシブジェット-】を使った際に拘束技として思い着いた即興の技だが【魔力収束】があったおかげで全てが形になっている
「全く...【魔力収束】様々だぜ!」
「火月ぃいいいいいいいいいい!!」
放たれる真紅の轟炎。大上段、振り下ろされた剣身から巨大な炎流が迸り、一直線にゴライアスを呑み込む。
その巨躯をあますことなく覆い、燃焼の猛り声とともに従輪した。
「ダメ押しだ!【炎熱地獄】!!」
ゴライアスが漆黒の轟火に焼かれる
「あれがクロッゾの魔剣...そして魔王の焔……」
そして短いようでとても長かった時間が経過した。
「おっせぇぞ!英雄」
「待たせたね、魔王!」
「行け」
「うん!」
俺はヘスティア・ブレードをベル兄に手渡すと膝をつく
「さっすがにもう無理だ!歩くので精一杯って感じ」
「後は任せて」
ベル兄は漆黒の長剣を携え地を駆ける。
【英雄願望】の引鉄(トリガー)、重い浮かべる憧憬は『英雄
ダヴィド』。
巨大な敵との一騎打ちを経て、万の軍勢に立ち向かい打ち勝った、古国の覇者。
偉大なる英雄の姿を幻想し、ベルはゆっくりと、体を前に倒した。
「てめぇら道を開けろ!【獄炎】!」
俺は迅雷をアンクレットに魔力を通し無理やり身体を動かしベル兄に並走する
ベル兄の両手に満ちる力の奔流。
集束する光剣におのれの全てを賭し、ベル兄はその一撃を放った
「はあああああああああああああああああッ!!」
ゴライアスは脚を振りベル兄を迎え撃とうとするが
「させねぇよ!【裂破斬】!」
脚に収束した魔力を逆袈裟で剣を振るように脚を振り抜き
ゴライアスの脚撃を跳ね返す
「決めろ!ベル兄!!」
ベル兄はゴライアスに向け光剣を振り下ろした瞬間
辺りが光に包まれ凄まじい轟音が響いた。
そしてその場には下半身のみのゴライアスが
ベルは最後の力を振り絞って再度跳躍しヘスティア・ブレードで魔石を両断した。
そのまま瞬間ゴライアスは再生すること無く灰へと果てる
大量の灰の上にドロップアイテム───『ゴライアスの硬皮』が残される。
『───うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!』
次の瞬間、大歓声が巻き起こる
「うるせぇ……」
それだけ言うと俺は地面にぶっ倒れる
「ベリル!?」
俺を心配したのも束の間、ベル兄も地面にぶっ倒れた
「ハッハハ、ベル兄も俺もボロボロだな!」
「うん!でもやったよ!僕達!理不尽を跳ね返したよ!」
「そうだな!勝ったな!」
俺達は拳を合わせて笑いあった。
地面にぶっ倒れたままではあったが魔王と英雄が共闘し初めて強大な理不尽を跳ね除けた瞬間だった。
その後俺達は地上に帰還すると生還を喜ばれた。
今回の事については箝口令が敷かれるとの事で俺達も他言無用と言われた。
ヘスティア様とヘルメス様はギルドから罰則を受けることになり口外禁止を徹底させた。
「色々あったけど、帰ってきたな!」
「うん!帰ってきたね」
「「俺、(僕)達の日常に!」」
今の俺たちはまだ知らない一難去ってまた一難なんて事になるとは思いもしないのだから
『待っているよ……私のオリオン……』
17話目です!これにて1期完結です!
ラストからわかる通り次回から3~5話くらいに分けて
【オリオンの矢】を書いていきますのでお楽しみに!
次回「月の女神/新たな災難」