ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか-魔王と英雄- 作:凌介
-オラリオ-
18階層での黒いゴライアス騒動も落ち着き
俺達は一時の平和を楽しんでいた。
本日は神月祭である。
神月祭で賑わうオラリオはいつも以上に活気に溢れている
そんな中で
豪華特典があるよという謳い文句で客引きするヘルメス様の姿が
「見ろよ、ベル兄、ヘルメス様がまぁたなんかやってるぜ」
「本当だ!何してるんだろ?」
「どうせロクな事じゃないさ!」
「ですね、俺もそう思います。」
ヘスティア様に激しく同意である。
だが以外にもヘルメス様の催しは人気があるようで数多くの冒険者が挑戦している
「ロクなもんじゃないってのは同意なんですけど、せっかくなんで見ていきません?」
「ん~まぁ、見るだけただって言うしね、いいだろう」
俺達がステージ近くに行くとちょうどアイズさんが挑戦するらしい
近くのレフィーヤもいたので声を掛ける
「こんばんは。レフィーヤ」
「あ!ベリル!こんばんは。ベリル達もお祭り見物ですか?」
「ああ、ヘルメス様がなんかやってるから気になってね」
「ちょうど今、アイズさんが挑戦してます」
アイズさんは槍に力を込め抜こうとするが槍はビクともしない
「ダメみたい……」
アイズさんはそういうと槍から手を離し戻ってきた
「アイズさんでも無理ですか…ベリルならどうですか?」
「アイズさんが無理なら俺にも無理だと思う」
「せっかくだからやってみたら?」
アイズさんにそう言われたので俺は肩を竦め了解の意を示して壇上に上がる
「挑戦するかい?ベリル君」
「ええ、せっかくなんで」
柄を握った瞬間わかった。
あぁ、これは自分には無理だ、俺が抜けるものじゃないと
一応挑戦した手前すぐに諦める素振りを見せるのもと思い軽く力を込めて抜く素振りを見せる。
「無理そうです」
とリタイアした。
「ベル兄、タッチ!」
「ええ!?ベリルでもアイズさんでも無理なら僕だって無理だよ!」
「せっかくだからやってみろよ!」
「そうですよベル様!」
一緒に祭りを見物してたヴェルフとリリルカからもやってみろと言われベル兄はせっかくだからとやってみることに
俺はベル兄にバトンタッチして壇上の上がるベル兄
そしてベル兄がその槍に触れると突き刺さっていた水晶が砕け槍が抜ける
「だと思った」
ベリルは厄介事の予感を察した。
「へぇ、あの方は君を選んだか……」
ヘルメス様が含みのある言葉を呟いた
歓声が上がる中ヘルメス様が大仰に告げる
「では、今回の旅のスポンサーにおいで頂こう!」
「スポンサー?」
「何が始まるんだ?」
現れたのは青い髪の女神様だった。
「アルテミス!アルテミスじゃないか!」
「ヘスティア様、こちらの女神様とはお知り合いですか?」
「天界でも交流のあったボクのマブダチさ!」
ヘスティア様は再会を喜んで抱擁を交わそうと近付くが
アルテミス様はヘスティア様をスルーしてベル兄の元へ
「見つけた!私のオリオン!」
「オリオン?」
聞いた事あるなと思いつつ記憶を探る
アルテミス様...オリオン...槍?
「あっ!思い出した!アルテミス様!爺さんから聞いた事がある!純血と狩猟の女神様!」
「え!?おじいちゃんが言ってた女神さま!」
「ああ、どうもそうらしい」
とりあえず騒ぐヘスティア様を宥めてホームに移動する
「それで?アルテミス様、俺もベル兄も貴方とは初対面なはずですよね?」
「これがアルテミスだって!?どういう事なんだい!ヘルメス!」
「アルテミスも下界の生活に染まっちゃったんじゃないかな?」
「元々はどういう神様なのですか?アルテミス様って」
「俺の知る限りでは純潔を尊び、狩猟を得意とする女神さまでかなり厳格な女神様なはずだ、ですよね?ヘスティア様」
「ああ、概ね間違っていないよ!」
【氷纏撃】の構えを取りつつヘルメス様に詰め寄る
「それで?説明して貰えますか?場合によってはその顔が霜焼けする覚悟はあるんですよね?」
「待って待って!ちゃんと説明するから!君の拳は勘弁だよ!ベリル君!」
俺は冷気を纏ったままヘルメス様に早く説明しろと催促する
「実は...オラリオの外にモンスターが現れたんだ」
「強いんですか?」
「強い、それに厄介なモンスターでね、アルテミスファミリアが見つけたんだけど、どうにもならない状況に陥ってしまってね...」
「ああ、もう良いです!【氷纏撃】!」
「ぐはっ!」
ヘルメス様が腹部を抑えて蹲る
「なんでだい...ベリル君...」
「要するにあの槍ってのは選ばれた存在にしか抜けない、その厄介なモンスターを唯一打倒できる可能性のあるもので
条件としてはベル兄みたいな純粋な気持ちで曇りなき心で手を差し伸べてくれる存在って事ですよね?」
「その通りだよ...でも殴る事ないじゃないか!」
「やかましい!疫病神め!」
「疫病神とは失礼だな!俺は旅の神であり、伝令を司る神なんだけど」
「爺さんが言ってたのは盗人、詐欺師、狡猾さの神様で冥界の案内人の役でもある神だと聞いたんですけどね」
「事実だから否定しないが…ベリル君よく知ってるね」
「うちの爺さんがそういうのが好きでね、物知りな爺さんだったからな」
「とにかく、そういう訳だ力を貸してくれるかい?」
「私からも頼む」
俺は冷気を霧散させると肩を竦めた
「ヘルメス様の頼みならともかく、他ならぬ女神様の頼みとあれば引き受けますよ!良いですよね?ヘスティア様」
「もちろんさ!マブダチが困っているなら助けるのが当たり前さ!」
「ありがとうヘスティア!本当にありがとう!」
「まぁ、君とベル君を2人きりにする訳にはいかないからね」
「それならリリも行きます!後で報酬は弾んでもらいますけど」
「まぁ、乗りかかった船だしな!」
「後は君次第だけど、ベル君、答えは決まっているんだろ?」
「えぇ、そのクエストお引き受けします」
「改めて」
俺はアルテミス様の前に片膝をつき剣を抜き自分の眼前に固定する
「俺はあなたの眷属ではありませんがこのクエストの間、俺は貴方を護る剣となりましょう!」
「ベリル君!?なんだいその態度は!?ボクにはそんな事してくれた事無いじゃないか!」
「同じ純潔の司る神なのに酷いじゃないか!」
「ヘスティア様は良い意味で親しみやすいって事ですよ!
アルテミス様は敬意を払いこの一時剣を捧げるに相応しいと思ったからこそ、俺はこうしたまでです」
「ありがとう、優しい子供たち。貴方達は私の眷属ではないがこれからは旅の仲間、どうか契りを結んで欲しい」
アルテミス様が手を差し出す
俺は迷わず手の甲に口付けする
ベル兄、ヴェルフ、リリルカと続きアルテミス様と一時の仲間となった。
その後俺達はヘルメス様オーダーメイドで装備を整えてもらった。
俺は白地に黒と金の装飾が施されたロングコートにスペードをおもわせるブレストプレート等々ほとんどが白で統一された戦闘衣装(バトルクロス)だ
「ヘルメス様、カラーリングもう少し何とかならなかったんですか!?」
「アルテミスの剣を名乗るならそれに相応しい衣装じゃないとね!」
「白はベル兄で良いじゃないですか!俺は基本黒なんですよ!せめて黒騎士にしてもらわないと!」
「女神の剣が黒騎士って言うのも面白味がないだろ?」
「俺流グランインパクト!」
ヘルメス様が含み笑いにイラッと来たので俺はグランインパクトをお見舞いする
「そう、カッカするな。似合っているぞベリル」
アルテミス様が仲裁する
「アルテミス様の剣となると誓いましたしね…まぁ、厳格なる女神様に褒められて悪い気はしませんね」
俺は肩を竦め答える
「それとベリル君、君にはこれを渡しておく」
渡されたのは殆ど白で作られた剣だった。
「これは?」
「ミスリルとオリハルコン、アダマンタイト、その他諸々の金属を合わせて作られた特殊合金の剣さ!並大抵の事じゃ折れない曲がらない優れものさ!」
「……アルテミス様」
「どうしたのだ?」
「この剣に貴方のシンボルを刻んで貰えませんか?」
「どうしてだ?」
「俺の腰にある剣は、ヘスティア様から頂いたものですので剣を捧げるにしても貴方に捧げるに相応しい剣が必要と感じました。」
「わかった。」
アルテミス様は剣に月と弓矢が重なった紋章を刻んでくれた。
「改めて、この剣貴方に捧げます。この旅の間ひいてはこの件が解決するまでは俺は貴方の剣である事を誓います」
「頼むぞ、我が剣よ!」
「仰せのままに」
「ベリル君!どうしてアルテミスにはそう畏まるんだ!」
「敬意を持って接しているに過ぎません」
「ぐぬぬ...」
それからオラリオの外壁に移動すると飛竜が4体止まっていた。
「4体?数足りないですね」
「ぶっちゃけ揃えられなかった!」
「まぁ、4体も揃えてもらっただけ有難いです。感謝します。ガネーシャ様」
「俺がガネーシャだ!」
「知ってます...」
そして4体の飛竜にはベル兄とアルテミス様、ヘルメス様とヘスティア様、ヴェルフとリリルカのペアで乗り俺は1人で騎乗する。
「それじゃあ出発だ!」
そうして飛竜を駆り俺達はオラリオの外へ飛び出した。
18話目です。今回はかなり短いから読みやすいと思います。 構成的には全3話を予定していますのでお楽しみに!
次回「旅の仲間/女神との交流」