ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか-魔王と英雄-   作:凌介

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全てを知りながら守ると誓ったベリルは絶望を希望へと変えるために全力を尽くす


第20話絶望と希望

空を見上げて三日月を見た日から更に1週間が経過した。

こうしている間にも約束の時は迫っているのかもしれない

「全てを知ってる身としては辛いよな...」

「ベリル?」

「なんでもねぇよ!つか、遠すぎるだろ!エルソスの遺跡!」

ボヤいた瞬間アルテミス様が声をあげる

「下へ!」

「え?」

「早く!」

「は、はい!」

ベル兄が自分とアルテミス様が乗る飛竜を降下させる。

「おい待て!アルカス!頼む! 」

グォォォォォン!

飛竜・アルカスがひと鳴きし降下する

アルテミス様が弓に矢を番えるのが見えた。

「アルカス!速度を上げろ!」

アルカスが速度を上げると俺は剣を抜き【獄炎】を纏わせる

俺は振り落とされないギリギリで剣を振り蠍のモンスターを屠った後、追われていた親子を助ける

「ベル兄!槍だ!」

「わかった!いっけぇー!」

槍を投擲するとモンスターは全滅した。

「アルテミス様!無理をしないでください。俺は貴方の剣です。言ってくれれば貴方の障害となる物を斬り伏せます」

「すまなかったな、ベリル。慣れていないんだ、私は背中を任せることは多々あるが守られた事は無いに等しい」

「女の子は守るものらしいですよ、なぁベル兄」

俺は肩を竦めつつベル兄に話を振る

「う...うん、女の子は守るものだって昔からおじいちゃんに教えられましたから」

ベル兄のその様子にアルテミス様はクスクスと笑う

「そんな事を言われたのは初めてだ、こう見えて私はヘルメスやヘスティアよりずっと強いのだぞ」

「知ってますよ。狩猟の女神でもある貴方が弱いわけがありませんからね、ですが貴方の剣をもう少し信用してください」

「そうですよ!強くても1人じゃどうにもできない事もありますから」

そう話しているとヘスティア様が駆け寄ってくる

「おーいアルテミス!ベル君!ベリル君も!大丈夫かい!?」

「あぁ、問題ない」

「君が強いのは知っているけど無茶をしないでくれ」

「今まさに君の眷属達(こどもたち)にも同じ事を言われてしまった。」

その後助けた親子からお礼を言われた。

そして俺達はさっきの蠍のモンスターについて聞いてみると

他の村も襲われ逃げてきたという

「怪物強襲(スタンピード)ってやつでしょうか?」

「だとしても、あんなモンスター見た事ねぇぞ」

「オラリオの外だからなのな?」

「いや、多分エルソスの遺跡関係だ」

「なんでそう思うの?」

「1つの可能性の話だけどな、厄介なモンスターって言うのが虫や動物が産卵するみたいに分身体や兵隊を作れるとしたら?」

「!?あのモンスターがそうだっていうの!?」

「可能性の話だがな…」

「ベル君、危ないから槍はあまり使わないでくれ」

「はい、ヘルメス様この槍って……」

「それに...気付かれたくないしね...」

「やっぱりそうなのか...」

使えば使うほどリミットが早まるのだろう。そしてやはりあの槍だけがあの方を救える鍵となるものなんだ。

 

-夕方-

 

助けた親子にアルテミス様が食料の殆どを譲ったおかげで残りはパンだけになった。

アルテミス様は食べなくても平気らしいが俺達はそうもいかない

「アルテミス様、食事は大切ですよ、せめてもう少し俺達にも配慮して欲しかったですね...」

「う...うんアルテミス様には申し訳ないですけど、こればっかりはベリルに同意します。」

アルテミス様が一瞬キョトンとするが、皆の表情から察したらしく土下座した。

「申し訳ありませんでした!」

「なんなんですかこのポンコツは!ある意味ベリル様が遺跡探索の話をされていた時言ってたことが今ならわかる気がします!肝心な時に空回りするというか向こう見ずというか!」

「おいおい一応女神様だぞ!」

ヴェルフが窘めるがリリルカは尚も騒いでいる

「なぁんでこうなったかな…」

ヘスティア様もヘスティア様で自分の知るアルテミス様とかけ離れているという感覚が強いみたいだ

「そんなに違うんですか?」

「あぁ、天界にいた頃は毅然としてまさに女傑というか、沐浴を覗かれただけで激怒して弓を射って男神達を縛り上げて罵ったほどだよ...」

「あぁ〜そんな事もあったあった...」

ヘルメス様は何故かいい思い出風に懐かしんでいるようだが

「全く懲りてねぇんだなこの駄神」

結局その日は野営する事になったが食料問題は、たまたま見つけたマサラの実と俺が干し肉を提供して事なきを得た

そして夕飯の時も一悶着あったが、まぁお決まりの事が起きたとだけ言っておく

「ベル兄はやっぱりゼウス様に似て浮気者になるか、一夫多妻制を実現するか...はたまたってね…ハハッ」

「何言ってんだお前...」

ヴェルフがシラケた顔でそう言ってくるがスルーする

そして食事を終えた俺達はあのモンスターについて意見を交わす

「あのモンスターは一体なんだったんだ?」

「蠍型のモンスターはいますがあれは見た事がありませんね」

「ベリルはどう思う?」

「俺が言えるのはあのモンスターは働き蟻や働き蜂、または兵隊みたいなもんなんじゃねぇかってことくらいかな?情報が少なすぎてこれ以上の仮説は立たねぇよ」

「事の始まりはモンスターの異常な増殖が確認された事だった、原因を探るために多くのファミリアが派遣されたが全て消息を絶った。場所はかの地エルソス、そこの遺跡にはある封印が施されていた。」

「封印?何をですか?」

「決まってる。あのモンスターの大元だよ」

ヘルメス様が頷き話を続ける

「丘を腐らせ、海を蝕み、森を殺し、あらゆる生命から力を奪う」

「古代、大精霊達によって封印されたモンスター、アンタレス」

「アンタレス...」

「ベル兄、覚えてないか?爺さんから聞いたオリオンを殺した蠍がその功績で星になった話、その星の心臓部とも言われる星の名前だ」

「そんな事有り得るの!?あれって物語の話なんじゃないの?」

「現に今、アンタレスの名を冠した蠍のモンスターって存在が明らかになってる。オリオンに選ばれたベル兄はある意味では運命を捻じ曲げないといけないんだ。」

アルテミス様も頷き言葉を紡ぐ

「だが奴は長い時をかけて深く、静かに力を蓄えついに封印を破った」

「封印を破ったって」

「それじゃあ」

「あぁ、今回の件をオラリオも重く受け止めていてね、俺のファミリアを派遣したんだ、そこで同じ目的で赴いていたアルテミスと出会った。そして援軍を呼ぶためにオラリオに戻ったという訳さ」

「待ってください、それじゃあもっと強いファミリアを…」

「「無駄だ(だろうな)」」

俺とアルテミス様の声が重なる

「リリルカ、俺がホームで事情説明を求めた時、ヘルメス様になんて言ったか覚えてるか?」

「え?え……と」

「俺はヘルメス様にこう質問したぞ!要するにあの槍ってのは選ばれた存在にしか抜けない、その厄介なモンスターを唯一打倒できる可能性のあるもので

条件としてはベル兄みたいな純粋な気持ちで曇りなき心で手を差し伸べてくれる存在って事ですよね?」

「覚えているよ、それに対してその通りだと返答したんだからね」

「ベリルはわかってたの?」

「いや、知らなかったよ、あの時はな…でも、言い方は悪いがよ、あのアイズさんが抜けなかったんだぜ?つまりレベルは関係ない」

「ベリルの言う通りあの槍でなければアンタレスは倒せない、そして槍に選ばれたのは貴方だ」

アルテミス様がベル兄を見据える

「なぁに、槍さえあれば全て上手く行くさ!明日に備えてもう寝よ!」

俺達はそれぞれのテントに戻って休むことにした。

テントの中で俺は自分が渡された剣を鞘から引き抜き眺めている

「時が来たら...あの方は...」

俺は剣に刻まれたアルテミス様の紋章を撫でる

「俺はあの方の隣に立っていたい...あの人の剣として、背中を預けてもらえる友になりたい...」

俺は剣を鞘に納めると眠りについた。

 

-その頃-

 

ヘスティア様とアルテミス様はガールズトークならぬ女神トークに興じていた。

「それでね、この間もベル君もベリル君も起こしてくれなかったんだ。」

「それで、バイトには間に合ったのか?」

「うん、なんとかね。でも危なかったよ、遅れてたらヘファイストスに何を言われるか!」

「ヘファイストスも相変わらずだな」

「バイト無くなるとボクも困るんだけどね...」

「しかし、ヘスティアがファミリアを持つとはな」

「まぁ、ベル君達2人しかいないんだけど、でも2人とも危なっかしくてね…ベリル君はまぁ、放って置くと帰ってこないけどね、下手するとダンジョンに住み着きそうなくらい潜っているよ」

「それはヘスティアがオリオンにばかり構うからだろう?ベリルの事もちゃんと見てやらないとダメではないか?」

「わかってるつもりだし、贔屓しているつもりもないけれど、本人はあまり構われたくないようでね…」

「ヘスティア」

「なんだい?」

「あなたはオリオンの事をどう思っているんだ?」

「どどど……どうって可愛い眷属だと思っているよ!正確にはそれ以上というかボクにとって不可欠な存在というか...その……」

ヘスティアは毛布で顔を覆いつつ呟いた。

「ボクの宝物なんだ」

「そうか...ならベリルはどうなんだ?」

「彼もボクの大切な眷属だと思ってはいるよ...でも、ベル君とは違うね、大切だし、宝物だと言えるけど、ベル君とは大切のベクトルとでもいうのかな?それが違うんだ。」

「なるほどなぁ〜ベリルは多分それがわかっているのだろうな…あの歳にしてはかなり聡明だし、頭もキレる。だからこそ自ずとわかってしまうのだろうな、感情の機微ですら」

「かもしれないね...」

「私も似たようなものではある。オリオンといると胸がドキドキする、そしてベリルといると不思議と楽しいのだ。何なのだろう?この気持ちは」

「2人ともボクの眷属だぞ!」

「知っているぞ?」

「だから...そんな気持ちなっちゃダメだ」

「何故だ?」

「なんでもだ!大体君はそういうのダメだったじゃないか

アルテミス!恋愛アンチの君は何処に行ったんだ!」

なんて話していると思い出したようにヘスティアが質問する

「アルテミス、君のファミリアは今何処にいるんだい ?」

「ここにはいない。だが、私の帰りを待っている」

ヘスティアはアルテミスに抱きつきながら告げる

「君は変わったね」

「そうか?」

「あぁ、不変の神々のはずなのに君は変わった」

そんな様子を木の上から眺めているヘルメス様

「ままならないな…」

ヘルメス様は月を見上げつつ呟いたのだった。

 

-その頃・オラリオ-

 

ロキ・ファミリアのホームにて主神であるロキが声を荒らげる

「なんやて!?オラリオから出られへん?それどういうことや!?」

「どうやらギルドの命令らしい、オラリオの中にいるよう厳命されてしまったよ。」

「ウチらは港に用があるっちゅうねん!」

「当然中止だね」

「どういうことやギルドの連中アホか!」

その様子を見ていたレフィーヤはアイズに声をかける

「アイズさん、空がどうかしたんですか?」

「ううん、行こう」

アイズは何も言わずホームの中に戻る

レフィーヤも空を見上げるが浮かんでいるのは三日月だけで星のない月明かりが輝く夜というくらいしかわからない

そしてベリルとしばらく会っていないことを思い出す

「ベリル、大丈夫かな?」

そう呟きつつホームの中に戻っていった。

 

 

-翌日-

 

俺達は再び飛竜を駆りエルソスの遺跡を目指す中、途中から明確に風景が変わった。

真っ先にヴェルフが口を開く

「どういう事だ!?」

「なんですかこれ!?」

「おそらくアンタレス復活の影響だ、ヘルメス様が言ってたろ!丘を腐らせ、海を蝕み、森を殺し、あらゆる生命から力を奪うまさに今の状況と合致する」

「ベリル」

「なんだ?」

「アンタレスを倒したらこの森は元に戻るのかな?」

「普通なら戻るだろうけど、どうだろうな…」

「何とか出来ないの?」

「俺にどうしろって言うんだよ…」

「ベリルの氷で森全体を覆うとか」

「無茶言うなよ!【極寒地獄-ニブルヘイム-】を使ってもせいぜい3~5メートルが限界だし、キロ単位である森を覆えだ?ふざけんな」

「でも、何回かに分ければ...」

「それで肝心な時に俺が戦えなかったら?良いよ、やっても、ブースト剤使って限界まで魔力収束して、いっそ世界を氷に閉じ込めてやるよ!そうなったら俺はどうなる?世界を閉ざした魔王の出来上がりだ!それを英雄としてベル兄が倒しに来るのか?バカも休み休み言いやがれ!救うべき相手と、救うべき場所を弁えろバカが!」

「でも……」

「こればっかりはベリル君に同意だね、良いかい?ベル君、確かにベリル君の力を宛にするのもわかるけどそれで本当にベリル君が言ったような事になったらどうするんだい?」

「それは……」

「その責任は誰がとるんだ?バカ兄貴!結局【孤独】な英雄の出来上がりさ!」

「そんな事……!」

「いい加減にしないとぶっ飛ばすぞベル兄!」

「そこまでにしてくれ2人とも!私に免じて怒りをおさめてくれ」

「チッ...わかりましたよ」

「僕も問題ないです。」

「どこまでも甘ったれたヤツめ!もう着いて行けねぇ!アルテミス様!なんかあったら呼んでください!俺は単独行動します!行くぞ!アルカス!」

俺はアルカスを駆りベル兄達を追い越した。

 

少し進むと遺跡が見えてきたが、その時空から光の雨が降り注ぐ

「【水圧水晶刃-アブレシブジェット-】」

俺は水を操りながら光の雨を自分から逸らして進む

「ベル兄達は落とされたか……」

後ろを振り返れば緑色の光が見えた

「あの魔法はリューさんか!?つーことはヘルメス様も一緒か……」

俺は剣を抜き遺跡の前に降り立った。

「邪魔だ!蠍モドキ!【獄炎-ヘルブレイズ-】」

俺はひたすらにモンスターを狩り続ける

「近寄るなって言ってんだよ!【氷獄-コキュートス-】」

俺は開かない門の前でひたすらにモンスターを狩り続ける。

1匹でも多くただひたすらに...

俺はポーションで疲労を誤魔化しつつ戦い続ける

「ベル兄達は今、きっと備えている!俺にできるのはアイツらを先に進ませてやる為に今ここで1匹でも多く叩き潰す事だ!」

【魔力収束】を発動し【獄炎】を圧縮し高出力のレーザーで辺りを薙ぎ払う

「来いよ!モンスター共!駆逐してやる!1匹残らずな!」

俺はスキルを駆使し剣を振るいモンスターを屠り続ける

積み上がる魔石の山、無造作に掴み魔石を砕き更にモンスターをおびき寄せる

「ハッハハァ!良いね良いね!こうでなきゃ!」

俺は剣に【獄炎】を纏わせて襲い来るモンスターを倒していく

そうしてモンスターを葬り続けてどれくらいの時間が経ったか…わからないが声が聞こえてきた。

「え!?……ベリル!?」

「よぉ!おせぇじゃねぇの!」

「なんで!?あれからずっと姿が見えなかったのに!」

「ベリル、君はあの光の雨の後からずっと戦っていたのか?」

「はい、貴方が来るとわかってましたからね、貴方の剣としての務めを果たしてました。」

「ご苦労!そしてこの後も頼むぞ!我が剣よ!」

「仰せのままに」

アルテミス様が神威を込めると扉が開く

内部は侵食されていた。

「さしずめモンスターの腹の中ってわけだ」

「ベリル、あの爆発は使わないで」

「嫌だね!誰が好き好んでお前の言うことなんか聞くかよ!」

「ベリル!」

「俺に詰め寄ってて良いのか?」

俺はベル兄の腕を捻り上げる

「うっ……ぐぅッ……」

「甘ったれのお人好しは近寄るな!」

俺はベル兄達より1歩前を歩きつつ寄ってくるモンスターを倒すがキリがない

俺は剣を鞘に納めると【魔力収束】を発動する

「右手に【獄炎】左手に【氷獄】!その魔力を一気に解放する!【膨冷熱波】!」

「【ルミノス・ウィンド】!!」

俺とリューさんの広範囲殲滅で数は減ったがそれでも

まだ減らない

「仕方ねぇな……アルテミス様、貴方達は先に行ってください…後から必ず追いつきます!」

「どうするというのですか?ベリル」

「こうします!【魔力収束】!【獄炎】!」

魔力収束を使い獄炎を圧縮し更に水の膜を作り出す

「あの光の矢がいいヒントになりましたよ!炎と水は相反するものではあるけど、こういう使い方も出来る!」

水の膜から圧縮した熱線を飛ばすと

周囲のモンスターは熱線に焼き殺される

「対応される前に倒す!」

「頼んだぞ!我が剣よ!」

「お任せを!」

俺は剣を抜き地面に突き刺し、寄ってくるモンスターを

熱線で焼き殺す

「ここから先は通行止めだ!くたばれ!あの方の怒りを、悲しみを、俺が引き受ける!神之怒(メギド)!!」

熱線が地を這いモンスターを倒しつつ抜けてきた奴は剣で斬り裂き通路のモンスターを全て倒すとアンタレスのいる広間に辿り着いた。

そして俺は見てしまった……捕らわれたアルテミス様の本体を……

「やっぱりそうなのか...嘘であって欲しかったよ!」

「どうして……アルテミス様が...」

その直後アンタレスが雄叫びを上げると光の矢が降り注ぐ

「【水圧水晶刃-アブレシブジェット-】」

俺は攻撃を相殺するが周囲の崩落に巻き込まれる

「ここで倒れる訳にはいかないんだよ!俺は」

俺はアンタレスを追いかけて遺跡の地下に降りるとベル兄が吹き飛ばされてきた。

俺は蹴りを入れてベル兄を離れたところに蹴り飛ばすがベル兄を狙いアンタレスが攻撃を仕掛けそれを庇いアルテミス様が消える

俺は槍を拾いベル兄の前に立ち槍...否、矢を突き刺す

「立て!ベル兄!終わらせろ!」

ベル兄は首を横に振る

「いい加減にしろ!」

俺は胸ぐらを掴んで立たせベル兄を殴る

「いつまでも甘ったれてんじゃねーよ!英雄様がよ!あの人は英雄の助けを、救いを必要としてる!だから立て!」

「ボクからもお願いだベル君!アルテミスを救ってやってくれ!」

ベル兄はその言葉で立ち上がった。

「僕だけじゃダメだ!力を貸して!魔王!」

「いいぜ!今回は英雄に花を持たせてやるよ!」

ベル兄は力を蓄める

俺は剣を抜き【獄炎】【氷獄】【水獄】を発動する

「【魔天龍牙】!」

3体の龍がアンタレスに牙を剥くが大したダメージにはなっていない

「問題ねぇよ!まだまだいけるからな!」

俺は持てる技の全てを使って時間を稼いでいるとベル兄の準備は整った

「ようやくかよ!」

「うん、遅くなってごめん!」

「良いさ!走れ!」

「うん!」

俺達は左右に分かれて駆け出した。

俺はアンタレスが繰り出す攻撃をひたすらに相殺する

そして同時に剣に魔力を収束する。

魔力が限界まで剣に纏われた

「行くぞ!魔王の一撃を受けてみろ!【裂破斬】!」

魔力を限界まで収束し放たれた斬撃により攻殻が斬り裂かれる

「今だ!撃て!」

「約束したんだ!守るって!」

「うぉぉおおおおお!!」

ベル兄が渾身の一撃を放つと矢は黄金の輝きと共にアンタレスを貫いた

俺はヘスティア・ブレードを抜きベル兄に渡す

「俺の想いも託すぜ!ベル兄」

「わかった。借りるね」

ベル兄はゆっくりとアルテミス様が閉じ込められた水晶に近付き剣を突き刺し水晶を割りそのままアルテミス様の心臓を貫いた。

その瞬間辺りは光に包まれる

俺は目を開けるとアルテミス様が立っていた。

「アルテミス様...すみません。結局貴方を守れませんでした。」

「いや、君は良くやってくれた。感謝するぞ我が剣、ベリルよ!」

「勿体なきお言葉ありがとうございます。」

「ベリルは知っているかい?」

「何をです?」

「神も死んだら生まれ変わるんだ」

「そうなんですか...」

「あぁ、何時になるかは分からないが、必ずまた生まれ変わる。だから今度生まれ変わったら友になろう!苦楽を共にし、背中を預けお互いに気を許せる特別な友に!」

「はい!約束しましょう!アルテミス様!次会えたら俺は貴方の隣に並び立つ友になりに行きます!だから...」

「だから...その時まで……」

「「さよならだ(ですね)」」

俺達は握手を交わした後、現実へと戻ってきた。

少し離れた所でベル兄はみっともなく泣いていた。

俺は静かにアルテミス様との別れを惜しんだ。

 

その後色々落ち着いたもののベル兄は未だに膝を抱えて蹲っていた。

「アルテミス様、ベル兄にはなんて?」

「今度会えたら1万年分の恋をしようって」

「そうか...俺は友になろうってさ」

「そっか……」

ふと俺の中に言葉が浮かんだ。

俺はその言葉を歌うように口に出す

「いつかまた出逢えるために振り向かないで笑顔でまたね」

「ベリル?」

「なんでもねぇよ!さぁ、帰ろうぜ!オラリオに!」

俺は手を差し出す

「うん!帰ろうオラリオに!」

「「いつかまたあの人と出逢えると信じて!!」」

こうしてアルテミス様を巡る一連の騒動は幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




20話目ですこれにてオリオンの矢完結です!
次の21話目からアニメ2期、アポロンファミリアとの戦争遊戯の話に入りますのでこちらもお楽しみに!

次回「神の宴(パーティ)/一夜の戯れ」
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