ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか-魔王と英雄-   作:凌介

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ダンジョン探索の中で新たな武器に興味を持つベリル
そしてベルに届くアポロンファミリア主催のパーティー招待状、これが意味するものは……


第21話宴の誘い/そして刀

-夜-

18階層での1件そしてアルテミス様の1件を経てランクアップしたヴェルフのお祝いと言うことで集まっている俺とベル兄とリリルカ、そして主役のヴェルフ

裏路地の一角の酒場でジョッキを手に乾杯する。

「「「「乾杯!!」」」」

笑みと一緒にエールの泡が弾け、ジョッキから酒がこぼれ落ちる。

俺達の声にあたかも随伴するように周囲で騒ぐ冒険者達のテーブルからもガチン、ガチン!とグラスを叩き合う音が鳴った。

俺達がいるのはヴェルフ行きつけの酒場『焰蜂亭』。繁華街の裏にあるこの店と酒がヴェルフのお気に入りらしい

「改めてランクアップおめでとうヴェルフ」

「サンキューなベリル!」

「でも、良かったのか?」

「何がだ?」

「この店のことだよ!ヴェルフの行きつけなんだろ?あんまり人に教えたくないもんなんじゃねぇかなってさ」

「あぁ、そういう事か...確かに気の合わない奴に教えるつもりはないがお前さん達は別さ!」

「ならいいんだけどよ」

俺はヴェルフオススメの真っ赤な蜂蜜酒を呑む

「美味いなこれ」

「だろ!ってかよ、ベルは飲まないのにお前は呑んでも良いのか?」

「爺さんに酒の味は覚えさせられたしな...ガキの頃に呑めるようになっていきなり酒に溺れないようにって少しずつ酒の味覚えさせられたし、飯も酒に合うようにって教えられたもんが殆どだよ」

「ベルはそれでも呑めるようにならなかったのな...」

「うん、ベリルの方がお酒の耐性は強いみたいでこういうお祝いの時とかはベリル普通に呑んでるよ」

「なるほどなぁ〜」

「一体ベル様達のおじい様はどんな教育をされてたのやら…」

「どんなって言われてもな…」

「暇があるとよく英雄譚や星の神話を話してくれて色々教えてくれたよね?」

「まぁな〜つっても俺の場合は爺さんの酒の相手をさせられてたけど」

「そうですか……なんとも変わった教育を受けられたんですね…ところでお二人とも次のランクアップはまだですか?」

「俺は魔力以外のステータスがB、魔力がAだってさ、ランクアップには1歩届かずって感じらしい」

「僕も似たり寄ったりだよ」

「つか、ランクアップなんて勘弁してくれよ!やっと追い付いたってのにまた突き放されてたまるか」

「でもこれで……パーティ解消、だよね?」

ヴェルフがパーティに入ってくれてたのは【鍛治】のアビリティを手に入れるためだ。

上級鍛冶師(ハイ・スミス)になった今約束の期限はもう切れてしまっている。

「あのなぁ〜ヴェルフがこれではいさようならな訳が無いだろベル兄!」

「そうだぞベル!そんな捨てられた兎みたいな顔するな」

「お前達は友人だ。用が済んで、じゃあサヨナラ、なんて言わないぞ!」

「だろうな、それにヴェルフは''戦える鍛冶師''な訳だし、ベル兄と一緒にパーティ組んでる方が専属鍛冶師としては楽だろうさ」

「その通りだな。毎回とはいかないが、呼んでくれればいつでも飛んで行って、これからもダンジョン探索してやるぞ!」

だから心配するなとヴェルフは快活に笑った。

「ベリルは?」

「あ?俺?」

「うん、ベリルはこれからどうするの?」

「今まで通りだな、この先はソロに戻る」

「やっぱり...一緒には来てくれないの?」

「道は再び交わるさ...下手すりゃ近いうちにな」

「なんでそんな事簡単言えるの?」

「目指す先つか、目指すべき場所か?それはもう決まってるんだ、英雄と魔王が共闘する物語は一度終わったんだよ!」

「でもよぉ〜ベリル、お前さんこの先どうするんだ?マジで」

「ソロで潜るって言ったぞ」

「いや、そうじゃなくてだな…具体的な目標と言うかそんなのだよ」

「変異種や希少種探しだなぁ〜中層なら出会える確率上がるかもしれないしな...それに...次はゴライアスをソロでぶっ飛ばすって目標がある!その為には中層のモンスターを倒す」

「ゴライアスって一応レベル4相当のモンスターだよ?」

「アホか!レベル4になってからじゃなきゃ挑んじゃダメなんて決まりはねぇんだよ!レベル3になったら絶対ソロで挑むね!じゃねぇといつまでもあの巨人に負けたままだ」

「それともなにか?ベル兄は俺に黙って安全な上層だけ探索してろって言うのか?」

「いや、そこまでは言わないけど...」

「けど、なんだよ?」

「ゴライアスは階層主だし、ソロは無理じゃないかな…って」

「よし、わかった!つまりベル兄は俺に階層主と戦うなって言うんだな!なら俺は毎日ダンジョン探索から帰ってきたベル兄をボコボコにしていいんだな?」

「違う違う!ダメって言ってる訳じゃなくて!」

「ベリル様、ベル様を困らせないでください!」

「俺は悪くねぇ!兄貴ヅラしてダメだって言う方が悪い!」

「まぁ、そこまでにしてくれや祝いの席なんだからよ」

ヴェルフがそう言うので俺は引き下がりつつちょっとだけベル兄の飲み物に細工する

気付かれない程度、指先に【獄炎】を発動しベル兄の果実水を熱した。

そしてベル兄がそれを口にした瞬間驚きの声をあげる

「熱!なにこれ!?ボク果実水飲んでたはずなのになんで火傷しそうなほど熱くなってるの!?ベリルなんかした!?」

「知らねぇな...」

「白々しい...」

「ある意味大人気ないなベリル...」

「うっせぇ!」

それから話題はあの時、18階層で戦ったゴライアスの話に

「あの時のゴライアスはなんだったんだ?」

「異常事態(イレギュラー)としか言いようがありませんが…間違いなく前代未聞でしょう、安全階層(セーフティポイント)に階層主が生まれ落ちるなんて」

「能力(ちから)も普通の階層主(やつ)より上なんだろう?上級冒険者が虫みたいに吹っ飛んでたぞ。あんなことがこれからも続くようなら、命がいくらあっても足りない」

「そう、だよね……でも、ベリルはよくあのゴライアスの拳弾き返したよね」

「普通のゴライアスにも力負けしたんだ!特殊個体とはいえゴライアス相手に2度もやられてたまるか!意地とプライドと今持てる全部を使って打ち勝ったに過ぎねぇよ!」

「お前さん結局力を無理やり引き上げてアイツの両腕吹っ飛ばしてたろ」

「あの後、全部終わってからぶっ倒れたけどな」

「ヘスティア様は何か知っていたようでしたが…」

「言っとくがヘスティア様はあの件については黙りだぜ」

「そうなんだよね...ベリル、仮説とはいえあのゴライアスの出現した理由は想像ついてるんじゃないの?」

「仮説はあるが荒唐無稽すぎるし、何より神威が関係してるってだけじゃ情報不足だ」

「でも、仮説とはいえ可能性があるなら教えて欲しいです」

「だな、聞かせろベリル」

「嫌だね、憶測でものを言う気はねぇよ」

「そこをなんとか頼むぜ」

「……つってもな〜ベル兄、これはある意味俺達が撒いた種だって言ったの覚えてるか?俺とベル兄の喧嘩をヘスティア様は神威を解放してまで止めた」

「それが何?」

「つまり、ダンジョンにとって神は異物なんだよ!その異物を排除する為ダンジョンがイレギュラーを起こして本来生まれるはずのない存在、つまり異常事態が発生してあの黒いゴライアスが生まれた。ヘスティア様とヘルメス様にも確認したが、神という存在がダンジョンにいること自体がある意味禁忌なんだそうだ」

俺は酒で口を湿らせ続ける

「つまり、さっも言ったように、神という異物を排除する為にダンジョンが生み出したある意味絶望としても言う存在があのゴライアスってわけ」

「なるほどなぁ〜、だが、ある意味確信をついてないかそれ?」

「確かめる術がない以上仮説の域を出ないよ」

「だとしても、少ない情報からそこまで仮説を組み立てるとはさすがですねベリル様」

「本来考えるのはベル兄の役目だぞ!」

「でも、こう言うのはベリル得意じゃんか…」

「あのなぁ〜仮にもパーティのリーダーがしっかり周りみて指示して考えないと、パーティは成り立たないんだぞ!」

「でも、参謀って立場もあるし…」

「ロキ・ファミリアのフィンさん見てみろよ!」

「そう言われると…」

「結局、ベリルの仮説を証明する手立てはなしか……まぁ

これ以上話しててもしょうがないか……世間の方はどうなってるんだ?」

「ギルドが真っ先に箝口令を敷いたおかげで目立った混乱ないみたいだ、詳細を知ってるのは当事者である俺等だけって話だな」

「絶対に口外するなって徹底されたし...」

「罰則(ペナルティ)も厭わないって鬼気迫ってたな連中」

「18階層の『リヴィラの街』既に機能を取り戻してるようです。ダンジョンもあれから変わった様子はなく平通りだと」

そういう情報は本当にどこから仕入れてくるんだと言いたくなるほど詳しいと俺は素直に感心する。

「そういえば、ベル様、ベリル様【ファミリア】の方は大丈夫なのですか?」

「あぁ〜ペナルティな!【ファミリア】の総資産の半分持ってかれた!そんでもって俺が立て替える事になっておかげで貯金が減った」

「ベリル様実際貯金お幾らくらいあるのです?」

「さぁ?ちょっと前に確認した時は7桁はあったな…」

「ベリルそんなに貯金あるの!?」

「基本装備品以外で金は使わないし、贅沢する気もないからな…零細ファミリアなんて言われてるがなんだかんだ言ってこの生活を気に入ってるんだ」

肩を竦めつつ答える

「そういや、ベリルって今装備品と言うか、武器っていくつあるんだ?」

「武器か?ロングソード4本、短剣3本、双剣一対、竜刀インドラと使うつもりはもうないが、アルテミ様の剣だな」

「あの剣まだ持ってたんだ...」

「約束したからな…次に会えたら友となり、互いに背中を合わせられ、気兼ねなく何事も話せる友になるってさ」

「でも、使わないのはそれ以外にも理由があるの?」

「あの剣はあの人といる時にしか振るわないって決めたからな、今生で振るう気はないよ」

「そっか……」

「ところでお二人とも、今回の件で名声が轟いたのでは?」

「まぁ、それなりに」

「まぁ、変に軽視される事は無くなったな」

リリルカが話題を切り替えた。

何か思い悩む事があるのかもしれないが今はまだその時ではないのだろうと俺達はあえて踏み込む真似はしない

時が来たら相談してくれるはずだからと俺達は静かに頷き合う

そこに聞こえよがしに大声が響く

「何だ何だ、どこぞの『兎』と『獣』が一丁前に有名になったなんて聞こえてくるぞ!」

「チッ!ベル兄、相手にするなよ」

「う……うん」

6人がけの椅子に座る小人族(パルゥム)の冒険者が、なおも煽るように大声で叫ぶように言う

「新人(ルーキー)達は怖いものなしでいいご身分だなぁ!世『界最速兎、世界最速獣(レコードホルダー)』といい、嘘もインチキもやりたい放題だ、オイラは恥ずかしくて真似出来ねぇよ!」

「あぁ〜、めんどくせぇ〜アポロンファミリアだ」

「知ってるの?」

「まぁ、少しだけな、神ロキの所のクソ犬並に気に食わない連中の集まりだし、なるべく関わり合いになりたくなかったんだけどな…」

俺の声など聞こえていないのだろう、俺とベル兄を貶す言葉がスラスラと出てくる

そしてヴェルフとリリルカにも矛先が向いたので俺は

【氷獄】を発動し小さな氷の塊を騒いでいる小人族の額目掛けて弾き飛ばすと眉間にクリーンヒットし仰け反ったところでうっすら凍らせておいた靴裏と足元にさらにバランスを崩して転倒し頭を打った。

「自業自得だな、ハハ」

「やり方がひでぇな...」

「俺は知らないぜ」

あえて知らぬ存ぜぬを貫き通すが薄々俺が何かしたとわかったのかついにはヘスティア様を貶す

「取り消せ!」

さすがに黙っていられる限界だったのかベル兄が立ち上がる

「【水獄】」

ベル兄の頭に水を浴びせる

「ベリル!?」

「落ち着け、相手の思惑に乗せられてんなよ!とはいえ...主神様バカにされて黙ってもいられないわな…」

俺は小人族の冒険者を睨みつけプレッシャーを浴びせる

「!?」

「おい、どうした?小人族(パルゥム)腰が引けてんぞ!俺をただの獣呼ばわりしたんだからその獣が威嚇してる姿にビビってるってか?」

「………ふん!そうやって高圧的な態度で来ればビビると思ってるのかよ!」

「膝が笑ってんぞ!」

俺は【獄炎】をコントロールして陽炎を生み出しつつ小人族の冒険者の方には冷気を浴びせるがその小人族の冒険者を庇うように他のメンバーが俺に掴みかかろうとしたのを足元から火柱を出現させ威嚇する

「お前らさぁ〜人を煽るだけ煽って騒動を起こしといてさらに俺に掴みかかるとか覚悟出来てんだろうな?」

ガシッと腕を掴みその腕を凍らせていく

「は……放せ!」

「ほらよ!」

放した瞬間拳に風魔の腕輪から風を纏い鳩尾を殴って1人気絶させる

「ベリル!やりすぎ!僕より熱くなってどうするの!」

「放せ!」

全身から炎を迸らせベル兄をさがらせる

「全員氷漬けにしてやる!」

俺は【魔力収束】を発動し周囲に魔力を満たす

「極寒地...」

技を発動する一瞬の隙に俺に1人の男が肉薄してきたので発動を中断し拳に冷気を纏い殴る体勢になるが相手の反応速度が上とわかると俺は冷気を拳から足にスイッチし蹴りを放つが容易く受け止められる

「初めまして、アポロンファミリア団長様、俺達を煽り散らして何がしたい?」

「よくも私の部下をやってくれたな【魔王子-デモンプリンス-】【リトル・ルーキー】」

「おいおい、先に言葉の凶器で向かってきたのはそちらさんだぜ?俺達は正当防衛だ」

「そうか、ならば相応の報いは受けてもらう!」

一瞬で距離を縮めて懐に飛び込まれベル兄は為す術なく吹っ飛ばされ片足を軸に俺に蹴りを入れてくるが

俺は咄嗟に水の膜を張り衝撃を緩和すると迅雷のアンクレットに魔力を通し拳に炎と風を纏う

「ぶっ飛ばす!」

「来い!」

俺が1歩踏み出した瞬間、木を蹴り砕く音が高々と鳴り響く

俺達の視線の先にいたのは俺が最も嫌いなクソ犬だった...

「揃いも揃って、雑魚が騒いでんじゃねぇよ」

「おい!すっこんでろクソ犬!」

「あ゛あ゛?てめえは相変わらず口が減らねぇなクソガキ!」

「てめえらのせいで酒が不味くなるだろうが。クソ目障りだ消えやがれ」

「お前を消し炭にすればいいのか?クソ犬」

「やってみろ!その前に蹴り殺してやる!」

「殺られる前にてめえに大火傷負わせてやる!」

嫌悪感と殺意丸出しで睨み合う2人に他の冒険者達がそそくさとその場から逃げるように立ち去り揉めていたアポロンファミリアの連中もいつの間にかいなくなっていた。

そんな事は露知らず俺達はまさに殺し合う1歩手前という雰囲気だ

そしてクソ犬が足を振り上げかかと落としを俺目掛けて放ってくる

「【炎熱地獄-ムスペルヘイム-】!」

「ぐっ……アチィな!」

「へぇ〜さすがは第一級冒険者、この程度じゃその毛を焦がす事も出来ないか」

「ただアチィだけの炎で俺様がどうにかなるかよ!」

クソ犬が再び蹴りを放ってくるが俺はグランインパクトで真っ向から受け止めると大きな衝撃が広がりお互いに距離が空く

「チッ!シラケたぜ!」

「全くだ...その毛を黒焦げに出来ない事が残念だよ」

「舐めんなやガキ!次は本気で蹴り殺す!」

「次はマジで黒焦げにしてやる!」

俺達はお互いに鼻を鳴らして別方向に歩き出した。

 

-ホーム-

 

ホームに帰還した俺達は事の顛末を説明しつつ怪我を手当している

俺も拳に包帯を巻き付けている

「ベル君が思ったよりもやんちゃでボクは嬉しいような、悲しいような……」

「言ってる場合ですかヘスティア様」

「いや〜ベル君ってば本当に男の子かい?って思うほど大人しいからね...ベリル君も普段は落ち着いているのにベル君よりも先に手を出すなんてね…」

「いや、主神様をバカにされて黙ってられませんよ!それにあのクソ犬は黒焦げにし損ねるし、絡んできた連中は興が削がれたとかでいなくなるし!不完全燃焼だ!」

「ベリルくらいだよ...ベートさんに喧嘩売るの」

「あのクソ犬はマジで嫌いだ!神ロキは好感が持てる相手なのに...あのクソ犬と来たら…思い出しただけでも腹立たしい!」

「ん〜ある意味ではボクとロキみたいな感じなのかな?」

「どうなんでしょうね…」

「ベル様はヴェルフ様の影響を強く受けています!ヴェルフ様に会ってからベル様はどんどん性格が乱暴になってます!」

「いや、それは言い掛かりだろ!どっちかって言うとベリルじゃねぇのか?」

「弟の俺に影響されてどうするんだよ!逆ならまだしも!」

「まぁ、言いたいことはわかるけどね…君達が僕のために怒ってくれるのは嬉しいけど、それで危険な目に遭うほうがボクは悲しいな……」

「そうは言いますけどヘスティア様だって神ロキとは犬猿の仲じゃないですか!しかもロキと会うと必ず頬を腫らしてますよねヘスティア様...」

「それはそうなんだけど……」

「ベリルは一体いつどこでそんな話を聞いて来るの!?」

「神ロキから聞いたのもあれば他の神様から聞いたのもあるよあの神様よく言うんだよ、あのどチビは気に食わんけど、俺個人なら仲良くしても良いってさ」

「まぁ、ベリル君の交友関係にとやかく言いたくないけどね…あまり他の神達と仲良くしない方が良いよ...気まぐれな連中だからね」

「知ってますよ!気まぐれで興味持ってくれて、俺が個人的に交流しても良いかなと思った神様とだけ交流出来ればそれで構いませんから」

「まぁ、それなら良いんだけどね...」

ヘスティア様はあえて口うるさくは言うつもりはないようでそこは俺としても助かるなと思いつつその日は身体を休める事にした。

 

-2日後-

 

ベル兄からの強い要望でタケミカヅチファミリアの命を加えた5人でダンジョンに潜っているが俺はこのパーティーにいる時は常に中、後衛にまわる形になる

「つまんねぇ...」

「ベリル様!シャキッとしてください!」

「してるだろ!現にモンスターの撃ち漏らしは1匹もいねぇし」

俺は自分の周りに水球を浮かばせて周囲の敵を薙ぎ倒している

「ベル兄!前で戦わせてくれ!」

「お願いだから後ろを守ってよベリル!」

「つまんねぇんだよ!いっそ単独でやった方が楽しいまであるぜ」

「そうは言うがなベリル、お前が後ろにいるだけで俺達は安心して前衛に専念できるんだぜ」

「そうですよベリル殿!ベリル殿のスキルで私達が抑えきれない分を補って貰ってますからね!」

「………あのなぁ、俺は確かにスキルと魔法で後方支援もできるが魔導師じゃねぇんだよ!それをなんで後ろに控えさせられてんだよ!いい加減我慢の限界だ!暴れさせろ!」

「もう……わかったよ!命さんすいませんけど、リリの護衛に回って貰えますか?リリも戦えない訳じゃないですけど、不意打ちとかはどうしても対処遅れてしまいますから」

「わかりました。私は構いませんよ!というわけで思う存分暴れてくださいベリル殿!」

「そう来なくちゃ!【緋牙】!【蒼牙】!」

俺は双剣を握ると現れたモンスターに突っ込みヘルハウンドやアルミラージ、ライガーファングを斬り倒していく

「うわぁ……ベリルが双剣使うの見るの2回目だけど、ベリルに手数が増えるとあぁなるのか……」

ベルを筆頭に他のみんな棒立ちである。

なにせベリルはスキルを発動して敵を焼いたり、凍らせたり

水圧で押し流したりしつつ撃ち漏らしがないように双剣を振るい敵を圧倒する

「ん〜、飽きた!」

俺は双剣を仕舞うと今度はめっきり使う機会が減っていた灰色のロングソードとシャドウ・ソード改を出現させ今度は

手数ではなく片手を完全に防御として使い灰色のロングソードで敵を倒す

そして暴れているベリルの前に地面を突き破って現れるダンジョンワーム

「ミミズは土の中にいろよ!【氷獄】!」

動きが完全に止まりベリルは両手に持った剣でズタズタに斬り裂いた。

「ダンジョンワームが瞬殺かよ!」

一通り暴れてもまだ満足しないのかベリルがとんでもないことを言い出す

「なぁ、ゴライアスに喧嘩売ったらしいダメか?」

「「「「ダメ!(だろ!)(です!)(に決まってます!)」」」」

ベル兄達にダメ出しされる

「ゴライアスに挑むのはベリルがレベル3になってからじゃないの?」

「いや、もう少し苦戦するかと思ったら全然なんだもん!せめてもうちょい面倒な相手ならと思ったけど変異種もいねぇしつまんないぜ!」

「ベリル様はどうしてそうも戦いになると好戦的になるのですか!」

「悪いか?」

「ベリル、ごめんもう少しだけゴライアスは我慢して」

「仕方ねぇな〜その代わりもう少しだけせめて15階層辺りで暴れさせてくれ!」

「わかったよ!今は13階層だし、順番にね!」

「わぁったよ!」

それから14階層はベル兄達にまかせて再び後衛で大人しくしていたが改めて命が振るう武器に興味が湧いた

「命、ちょっといいか?」

「なんです?」

「その武器、刀だろ?剣とは違う感じがして興味があるんだけど、使い方とか教えてくれないか?」

「ならばまずは刀を入手してきてください、そうしたら私ではなく私達の主神タケミカヅチ様を紹介します」

「わかった。ただ、刀について少しだけ命が教えられる範囲で教えてくれ」

「わかりました」

それから戦闘の合間に命から刀の種類やそれによって変わる要素等を教えてもらった。

中でも興味深いと感じたのは大太刀だ扱いが難しく基本は両手で扱い薙ぎ払う感じが近いと言っていたが俺が片手で振ったらどうなるのかは気になるところだ。

その後15階層でミノタウロス相手に少し暴れさせてもらうが

ミノタウロスの皮膚は厚く硬いと聞いていたが晶斬で瞬殺だった。

「ベリルのその剣って斬る事に特化した剣だったよね?」

「使ってみるか?」

「良いの?」

「壊したら修理代貰うけど、それでもいいなら振ってみろよ!」

「私も良いでしょうか?」

「命もか?」

「私は刀をメインに使いますが、おそらくその剣が1番刀に近いのかもしれないと思いまして、振ってみればわかるのかなと」

「なるほどな、ならこうしようぜ!俺がお前達に武器貸し出してやるからそれぞれミノタウロス一体討伐してみろよ」

「おもしれえなそれ!鍛冶師としてベリルの武器に興味あったんだ!」

「実は僕もベリルの武器で気になってたのが幾つか」

それから俺はあえて戦闘に参加せずに俺の武器を貸し出し

俺以外が使ったらどうなるのかを観察する

「なるほどなぁ……ベル兄はやっぱり速さと手数で攻めるから【緋牙】【蒼牙】は意外と向いてる、ロングソードはちょっとぎこちないな。」

次にヴェルフ

「ヴェルフは元々重さのある武器を使ってる分竜刀インドラは使いこなしてるな…その分他の武器は重さが無い分逆に武器に引っ張られる感じ」

そして命

「全体的にバランスは良いが、重さのある武器は苦手と」

俺は得手不得手を確認しつつ戦闘を終えて戻ってきた3人に聞く

「どうだ?俺の武器は」

「僕はこの【緋牙】と【蒼牙】が特に使いやすかったね、他のは神様の剣(ヘスティア・ブレード)くらいかな?他のはやっぱりベリルに合わせて作られてるからなのか扱いが難しかったよ」

「ベル兄の場合手数で勝負するか一撃で決めるかのどっちかだからな、俺はスキルを使ってそれを応用してるけど、そうじゃないならそんなもんだろうな…」

「ヴェルフはどうよ?」

「竜刀インドラは俺が作ったからこそ上手く扱えたが、他のはてんでダメだな、普段から重さのある武器使ってるからなんだろうが、どうにもロングソードは軽く感じでしょうがねぇ...それに晶斬って言ったか?あのデタラメな斬れ味はなんなんだ?あればっかりは真似出来る気がしねぇよ!邪道だぞあんなもん!」

「だろうな…作ってもらった時も言われたし、俺が全力で振るったら砕ける前提で考えろって都度修復しないといけないから修復と言うか再生する鉱石で作るのが理想らしい」

「そんな鉱石聞いた事ねぇぞ!」

「だろうな、俺もない」

肩を竦め返答する

「命はどうだった?」

「私は晶斬が1番使いやすかったですよ!刀で斬ることに特化し耐久性を削るってのは発送としては面白いかもしれませんね!」

「命、刀貸してくれ」

「どうぞ」

刀を受け取ると1度抜いて命に刀身について質問する

「こっちの刃じゃない方は名称あるのか?」

「そちらは峰と言います、受ける、流すといった防御面で役立つとお考え下さい」

「なるほどな...例えば、この峰の部分も刃に変えるのは可能なのか?」

「可能です。シンプル両刃作りまたは両刃と書いてもろは作りと言う呼ばれ方をする刀になります。一般的には今自分が使っているのが一般的ですが、無いわけではありません」

「なるほどなぁ〜」

「何か考えがあるのですか?」

「あぁ、両刃の刀で峰の部分は凹凸と言うかギザギザしてるというかな、そんな感じの刀で峰側の方が鋭く斬れ味も数段上って感じの刀ならどうかなと思ってな」

「妖刀のような感じでしょうかね?」

「妖刀ってのがどんなもんか知らねぇけど」

俺は言葉を区切りその手に鎧通しの短剣を出現させる

「この短剣みたいなカラーリングで赤い刃、峰側の黒い刃って感じでな名はそのままウラマサでいいだろ」

「極東にも同じ名の妖刀が存在しますよ!それに鬼の角と骨、牙で作られた妖刀もあると聞きます」

「なにそれ超使ってみたい」

「やめておいた方が良いかと...下手すると意識を持っていかれるほどの強い念が宿ると聞きますし...」

「タケミカヅチ様って極東の神様だよな?」

「はい、それは間違いないですが、何か?」

「極東の神で有名なのはスサノオ、アマテラス、ツクヨミが有名どころだよな?その神様達は極東にいるのか?」

「さぁ?そこまではわかりませんね、タケミカヅチ様なら知ってるかもしれませんが」

「スサノオ様に会えたなら是非とも天叢雲の剣を見せて貰いたかったんだがな〜」

「それは...恐れ多いと言うかなんというか…」

そんな話をしつつある程度探索した所で今日の探索は終わりとなった。

 

その後ギルドで俺は魔石を換金して全員に分配するために

1人頭の金額を小分けにした後ベル兄の所へ行くと何やら

手紙を受け取っていた。

「ベル兄、今の誰?そんでもってそれは何?」

「今の人達はアポロンファミリアの人で、これはファミリア主催の宴に招待するって渡された招待状」

「そっか、とりあえずヘスティア様の返事次第だな」

「うん、そうだね」

その後全員に今日の成果として1人頭5万ヴァリス程渡して解散した。

「俺は、ガンテツさんの所寄ってくからまたホームで!」

「わかった。先に戻ってるね!」

そうして俺達はその場で分かれた

 

-工房-

ガンテツさんが工房に到着した俺は扉を開けて店兼工房に入る

「こんばんは、ガンテツさん」

「おう!来たか!今日はどうする?」

「メンテと新武器が欲しくて」

「新武器?何が欲しい?追加の双剣か?ロングソードか?」

「いや、刀を1本お願いします。」

「刀かぁ〜これまた珍しい武器を...刀のイメージはあるのか?長さがこのくらいとかなんかあるじゃろ」

「普通の刀より少し長いくらいで両刃で峰が黒いノコギリのような形状をしている感じでお願いします」

「大雑把でいいからデザイン書け!」

羊皮紙と羽根ペンを渡されたので簡単に絵を書いて渡す

「なるほどのぉ〜、これならあの素材が使えるかもしれん!ちょっと待っちょれ!」

ガンテツさんは工房のさらに奥から鎖が何重にも巻かれた宝箱を持ってきた。

「なんですそれ?」

「今開ける」

ガンテツさんは鍵束を持ってきて1つ1つ鎖につけられた南京錠を開けていくと中から禍々しい気配が漂ってきた。

「うわぁ〜なんですかそれすげぇ〜禍々しい気配しますけど」

「これはワシが現役じゃった頃にファミリアのメンバー全員で討伐した変異種なんじゃが...ありゃ変異種というより危険種じゃ!」

「危険種?」

「遭遇したら生きて帰れる保証が出来んくらいヤバいやつとでも思っちょれ」

話しつつ最後の南京錠を開けさらに蓋も開けると

角と牙そして骨が入っていた。

「なんのモンスターです?」

「ブラッドオーガじゃ!ベリル、とりあえず角持ってみ」

「はい」

言われるがまま角を掴みとる

「そいつに向けて思っきりプレッシャー放ってみ」

「コイツに?」

「そうじゃ」

言われるがままにプレッシャーを解放すると溢れていたオーラが消えた。

「さすがじゃな!これで加工出来るわい!」

「え?今まで出来なかったんですか?」

「あぁ、無理じゃったが今ならできる!少し手伝え!」

俺はトレントの枝を炭にしたものに【獄炎】で火をつける

「ほう...炎のコントロールは1級品じゃな」

「ずっと使ってますから」

「鉱石は使います?」

「ほんの少しだけだ、後は素材でどうとでもなる」

ガンテツさんは特殊な鉱石を織り交ぜて刀を打っていく

「ベリル!氷と水も出せ!全部お前さんのスキルで補う」

「わかりました。【水獄】【氷獄】!」

水で桶を満たしさらに氷も浮かべる

「ベリル!炎の温度を上げてくれ!」

「了解です!【獄炎】」

炎を圧縮してさらに温度を上げる

「もう少し炎を圧縮出来るか?それで刀身を包め」

「やってみます!」

剣に付与する容量で刀身を包む

「今じゃ!」

獄炎で熱された刀身を水獄と氷獄で作り出した氷水に浸し

辺りは水蒸気が満ちる

「出来たぞ!お前さんの刀ウラマサじゃ!」

要望通りの刀が出来上がった

「持ってみ」

「はい」

俺は刀を受け取った瞬間俺の中に鬼の妖気が満ちる

「なんだ?」

「どうかしたのか?」

「いや、体の中に何か魔力とは別の力が満ちる感覚が...」

「おそらく鬼の妖気じゃな...漏れ出とったもんがお前さんの中に収まったんじゃろ!ステータス更新してもらえばわかるじゃろ!今鞘もう少し用意するからちょっと待っちょれ」

ガンテツさんが残りの素材で鞘を作りさらに鎖もセットで渡してきた。

「なんで鎖?」

「抜きとき以外はそれで封じておけ!一応大丈夫だとは思うが鬼の意志が具現化でもしたら面倒じゃからな」

「さすがにないと思いたいですけどね…」

「その刀で神でも殺せば神殺しの妖刀じゃな!ガハハハハハ!」

「笑い事じゃないですよ!誰を狩るんですか!」

その後店兼工房を出ると辺りは真っ暗になっていた。

「これじゃあタケミカヅチ様を紹介してもらうのは後日だなぁ〜」

そう呟き出来たばかりの刀を手にホームへの道を辿るのだった。

 

 

 

 

 

 

 




21話目予定を少し変更してベリルの新武器獲得回としました
元々の予定の話は次で書きますのでお楽しみに

次回「神の宴/一夜の戯れ」
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