ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか-魔王と英雄- 作:凌介
-ホーム-
ホームへと帰還した俺はヘスティア様にステータス更新をお願いしヘスティア様も了承してくれたので現在ステータスを更新してもらっている
「終わったよベリル君。君はまたとんでもない力を手に入れたね……」
「どういう事ですか?」
「自分の目で確かめて見なよ」
俺はステータスが写された羊皮紙を見ると
ステータスは現在オールA
スキルが1つに纏まり【魔獄の力-ヘル・リミテッド-】に
そしてもう一つ【鬼人化】
スキルの説明としてはスキルを発動と同時に魔法
【鬼の血-ブラッドオーガ-】が発動し身体能力が強化され見た目が鬼に近付き、魔力が妖力へと変換される
そして魔法の欄には【鬼の血】が追加されていた
「ヘスティア様、妖力ってそもそもなんなんです?」
「ボクにもわからないよ!どうせ刀の使い方を教わりにタケミカヅチの所に行くんだろ?その時にタケに聞いてごらんよ」
「ヘスティア様が知らないならそうするしかなさそうですね」
「ところでさベリル、この招待状の件なんだけど...」
「なんだっけ?」
「アポロンファミリア主催のパーティーの話だろう...タケもミアハも巻き込んで盛大に行こうじゃないか!」
「眷属1人が同伴可能なんだって」
「こういう場合はベル君よりもベリル君の方がいいかなと思っているんだけど、どうかな?」
「嫌です。お断りします。宴に興味はありません」
「言うと思ったよ...」
「やっぱり僕が行くんですね…」
「いってら〜」
「ベリル君はどうするんだい?」
「とりあえずはダンジョン探索しますよ!どうせパーティーの為にドレスやらなんやら仕立てるか買うかするんでしょ?ならどっちかが残って其れを補填しないと不味くないですか?」
「それは...確かに...」
「そういうわけで俺はパスで!1人でどこまでやれるか試したいんで」
「頼むから日帰りしてくれよ…」
「わかりました。ヘスティア様達が帰る頃に俺も戻ります。」
「それで構わない、くれぐれも無茶はしない事!良いね!」
俺はそれにたいして肩を竦めてあえて無言の返答を返しその日は就寝した。
-次の日-
俺は朝からダンジョンに赴いていた。
「さて、中層ソロ攻略開始と行きますか!」
俺はまず緋牙、蒼牙を手にしてモンスターを倒していく
もちろん【魔力収束】を発動して新たに統一スキルとなった
【魔獄の力】から【獄炎】と【水獄】の2つを同時に発動し圧縮しレーザーのように放ち圧倒的物量ともいえるモンスターを屠っていく中で双剣としての新たな課題というか、俺にとっての問題点が出てきた。
「取り回しは抜群ではあるけど、やっぱり一撃が軽すぎて連撃になるし剣自体も短いからなぁ〜もっとこう双剣なんだけど、もう少し俺の周りをカバー出来れば...」
緋牙、蒼牙を振りモンスターを屠りつつ自分が使う双剣の理想系を模索していく中で中層で初めて遭遇するクリスタルマンティスだが、俺には関係ない
「【水圧水晶刃-アブレシブジェット-】」
一瞬にして細切れになり攻晶殻がドロップする
その後もモンスターを倒しつつ進んでいると鉱床エリアに入った。
そしてクリスタルマンティスがモンスターを取り囲んでいるが次の瞬間激しい暴風と共にクリスタルマンティス達がズタズタに切り裂かれる 俺は咄嗟に氷の壁を作り出し身を守る 「なんだ!?アイツ!?」
クリスタルマンティスよりも大型の体躯に鎌、そして紺碧とでも言うべき体色のカマキリモンスター
「もしかして...変異種...なのか?」
その答えは暴風を纏った鎌による斬撃だった。
「おっと!【氷獄】」
俺は先程と同じく【氷獄】を発動し氷の壁を作り出し身を守る そんな中でずっと腰に帯びていたウラマサがカタカタと鳴る
「抜けって言っているのか?俺はまだお前を十全に振るってやれねぇぞ」
そう言っても刀は鳴り止まない
「わかったよ!使いこなせなくても文句言うなよな!」
俺は鎖を解きウラマサを抜くと妖気が溢れ出す
「へぇ...そういう事...【鬼人化】!」
俺はスキルを発動すると額の右側から角が伸びる
そして体内の魔力が妖力に変わって行く感覚が俺を支配する
「言っとくが俺がお前を振るうんだからな!力貸せや!ウラマサ!」
それに答えるようにぶわっと妖刀が吹き出す
「これ、纏えんのか?物は試し【魔力収束】!」
空気中の魔力が妖力に変換され刀に纏われる
「いけるな!」
俺は地を蹴って駆け出すと3歩で変異種に届いた
そして刀を逆袈裟の要領で斬りあげるが鎌で受け止められる
「予測済だ!」
鎌を弾き刀を裏返し袈裟斬りを放つがまたしても鎌に阻まれるがウラマサは折れも曲がりもしないどころか変異種の鎌が
まるで刃こぼれしたように所々が欠けている
ウラマサはカタカタと鳴り続ける
「あの変異種の血が欲しいのか?それともあいつを斬りたいのか?まぁどっちでもいいや!妖力の状態で俺のスキルって使えんのか?」
どっちにしても使ってみない事にはと思いとりあえず【獄炎】を発動する
「【獄炎】!」
放たれたのはいつもの漆黒の炎ではなく紫炎と呼ぶに相応しい紫の炎だった
「マジかよ!漆黒の炎が紫炎に変わりやがった!」
変異種は羽根を広げてその場から離脱する
「逃がすか!【水圧水晶刃-アブレシブジェット-】」
妖気を纏っているからなのか水は蒼々としたものから漆黒の水に変わり変異種に襲いかかり羽根を貫く
「なるほどな〜なら氷はどうなんだ?【氷獄】」
氷は無色透明だった。
変異種の方は風を纏った鎌で俺が放つ氷を切り裂くか弾くかして攻撃から身を守りつつ素早い動きで俺に接近してくる
俺は攻撃を避けつつ隙を伺う中ウラマサは相変わらずカタカタとなっている
「少し黙れよ!あいつの鎌を何とかしないとこっちが危ねぇんだよ!」
それでもウラマサは鳴り止まず妖気を発してくる
「全く...堪え性のない鬼だなぁ!」
俺は迅雷のアンクレットを起動し変異種に向かって行く
変異種は鎌を交差させ振り抜き、さらに連続してかまいたちを飛ばしてくる
俺は迅雷のアンクレットと【鬼人化】による身体能力の向上により攻撃を掻い潜り変異種に迫り繰り出される鎌を躱し
側面に回り込むとウラマサを反転させ振り下ろし変異種の右の鎌を斬り落としたが変異種が雄叫びを上げ全身に暴風の障壁を纏うと残った左の鎌で無造作に振り回し襲いかかって来る
俺はウラマサで鎌を弾き左右にいなすが暴風の障壁が邪魔をして俺は攻撃に移れないでいるそして【鬼人化】のタイムリミットが迫る
「グッ...身体が悲鳴を上げてるな…ブーストの丸薬を今使えばもう少し持つが…さすがにキッついぞ...」
ウラマサが未だに鳴り続け妖気を放ち続ける
「ウラマサ...そんなに血が欲しいのか?ならくれてやる!一撃であの障壁ごと斬れよ!」
俺はウラマサを鞘に納めてウラマサに全ての妖気を収束させる
「一撃で決めろよ!ウラマサ!」
俺は鞘ごとウラマサを反転させ抜刀する
「【妖魔斬線】」
妖気を纏った抜刀で暴風の障壁ごと変異種を断ち斬った
そして魔石と左の鎌が残りウラマサは鳴り止んだ。
俺は【鬼人化】を解除すると一瞬フラついた
「妖気が逆に魔力に戻りつつある反動か...」
俺は二重回復薬(デュアルポーション)で回復すると
ドロップアイテムと魔石、多少の鉱石を回収し今日は切り上げる事にした。
-ギルド-
その日のダンジョン探索を終えた報告をしにギルドに来ていた。
そして俺が報告に行くといつもエイナさんが怒るのがお決まりだ
「ベリル君!あなたはなんでいつもいつもそう無鉄砲なのよ!」
「いや、無鉄砲じゃないですよ別に...変異種と久々に殺り合ったってだけで...」
ランクアップの時は変異種3体を討伐した事になっているので辻褄合わせとして話している
「君はいつも聞かないけど冒険者は冒険しちゃいけないの!」
「遠征してるファミリアに同じこと言って認めさせてから言ってくださいよ!遠征なんてするな、安全な探索だけしてろって」
「あのねぇ〜遠征ってのは目的があってやる事なのよ!」
「知ってますけど?でも冒険してダメだって言うなら遠征なんて危ない真似はやめなさいって言えばいいじゃないですか」
「そういう事じゃないの!危ない事はするなって言ってるのよ!この変異種はガルードマンティスって言ってクリスタルマンティスが変異したものなのよ!」
「へぇ〜あのカマキリそんな名前だったんですね…やたら強いなぁ〜とは思ってたんですけどね…」
「強いなぁ〜で済ませちゃダメでしょ!挙句にソロ討伐するなんて...しかも使い慣れない武器の初陣でしたって…怒るなって方が無理でしょ!」
「いや、へぇ〜凄いねって流してくれて良かったんですよ?」
「出来るわけ無いでしょ!」
机をバンッと叩いて立ち上がる
「俺にどうしろと?あ!冒険するなはナシですよ!」
「あのねえ……もう良いわよ、魔石とドロップアイテムどうするの?魔石は風属性が宿ってるわよ?」
「どうりで見たことない色なわけだ...売っても良いけど金には困ってないんですよね…」
「ベリル君って武器、装備系以外にお金あまり使ってないわよね?」
「まぁ、今の生活が気に入ってるってのもあるんです。質素倹約なんて言いますけど、ある程度自由が効いて、帰れる場所があるからこそ俺は自分の信念を貫き通せるんですからね!」
「もう……そう言われたら怒るに怒れないわよ…」
「まぁ、そういう訳なんでコイツらは俺の専属鍛冶師にでも頼んで加工して貰いますよ!いい武器になれば良いんですけどね!」
「ベリル君は武器以外にももう少し目を向けるべきだと思う……」
俺は肩を竦めて無言でなんとも言えない表情をするしか無かった。
-帰り道-
ギルドを出るともう日が暮れて空には月が輝いている
「今生では会えないとしても遠未来で俺達は背中を合わせて戦えていますか?アルテミス様……」
あの事件から少し時が経っても俺はあの人を忘れるつもりはない
ふと頭に詩が浮かぶ
「時が経っても遠く離れてもずっと変わらない僕らかけがえない友さ...なんてな!」
苦笑しつつ止めていた歩みを再開するとベンチに座り魔石灯の明かりに照らされる妖精の影一つ
儚く悲しげな妖精に声をかける
「森の妖精さん、そんな悲しげな顔でどうしたの?」
「え...?……ベリル?」
「あぁ、俺だよ、久しぶりだねレフィーヤ」
「うん……久しぶり」
「もう少し再会を喜んで欲しいところだけど、なにかあったの?」
「実は……今日、アポロンファミリアが主催のパーティーがあったんですけど…アイズさんとロキが参加してるんです。」
「リヴェリア様じゃないの?」
「はい...ロキがなんかノリノリでアイズさんを連れていきました。」
「意外だな...てっきりフィンさんとかリヴェリアさんが行くもんだとばかり...」
「アイズさんはロキのお気に入りですから」
「あぁ〜なるほど、それで?そのパーティーに自分も行きたかったわけだ...華やかな場でアイズさんと談笑したり、派閥を越えた息の合う友人ができるかもって……」
「……はい、そうなんです。」
「そりゃ、残念だな……」
「ベリルは行かなかったんですか?」
「興味無いし、それに俺のファミリアが零細ファミリアなの知ってるだろ!貸衣装にしろ、仕立てるにしろ、金は掛かるから損失補填って意味でも俺は残ったんだよね」
「そうなんですか……」
俺は立ち上がるとレフィーヤの前に傅いた。
「素敵な森の妖精さん、今宵一夜の戯れと思って、俺と踊って頂けませんか?」
「え!?」
「パーティー会場みたいに華やかな場所ではないけれど、一夜の戯れに静かな場所で踊るのも一興だろ?」
「えっと……じゃあ、はい、よろしくお願いします」
レフィーヤは俺の手をとって立ち上がる
そして2人踊り出す。
踊りというにはぎこちないかもしれないけど俺達だけの静かな一夜の戯れとしては十分だろう
「ベリルはこういうの慣れてるんですか?」
「まさか!たまたまだよ!うちの爺さんはよく言ってた女性に対しては紳士であれ、それが仲違いしたくないと思えるような相手ならなおのことってね…」
「それは私がベリルにとっては仲良くしたい相手って事ですよね?」
「もちろん!君とは仲違いしたくないしこれからも仲良くしたいけど、お互い冒険者だから怪我をすることだってあるさ、俺は君に傷付いて欲しくはないから君を守り時に君を傷付ける存在から助けて勝つ魔王になるさ…」
「魔王に...」
「変か?普通なら英雄にって言うところだもんな!」
「ううん、ありがとうベリル!元気出ました」
「まだ空元気かな?」
「いいえ!大丈夫です!ありがとうございました!」
「なんともないさこのくらい!」
そうして一夜の戯れの時間は終わりを告げた。
22話目元々の予定通りこのタイトルは前回の21話の予定でしたが、前回はベリルの武器に対する興味を優先させました。
次回から戦争遊戯に向けてまた話を書いていきますのでお楽しみに
次回「抗争勃発/戦いの時間」