ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか-魔王と英雄- 作:凌介
新たな装備を手にモンスターへと立ち向かう
-ダンジョン7階層-
武器を注文した翌日から俺はダンジョンに潜り続けている
少しでもロングソードを扱えるようになるために潜り続けて戦い続けている
目の前にはラビットファングとウォーシャドウが複数体
ラビットファングはここ7階層から出現するモンスターで小柄で素早い動きがとても厄介な相手だ
俺は手を前に出し剣を自分の後方に据えてモンスターと対峙する
「いくぞ!」
俺は地を蹴って加速し群れに飛び込みロングソードを一閃し
そのまま斜め上段からウォーシャドウを袈裟斬りにし返す刃でさらに一閃しラビットファングを倒す。
「一度に繋げられるのはまだ3回が限度か……」
もう少しテンポよく攻撃を繋げられれば多対1の戦いが楽になるが
まだ剣の重さに引きずられている感じがしていて思うように攻撃が繋がらない
剣を鞘に戻し一息つく
「ふぅー、一度地上に戻るか...そろそろこの剣もメンテナンスしないとだろうし、頼んだ武器も出来てるだろうしな!」
3日間の探索を切り上げ帰ることにした俺は上階へと続く階段を昇り
地上へと帰還した。
ギルドで魔石を換金したあと俺はメインストリートを歩いているが
いつも以上に人が多いように感じた。
「そういえば、今日からモンスターフィリアか...」
「まぁ、時間があれば見て回るか...とりあえずはガンテツさんのとこだな!」
目的を口にし行動に移す
しばらくメインストリートを歩きメインストリートの終わり際に路地の方へ曲がりまた少し歩きガンテツさんの店に到着する
「こんにちは、ガンテツさん依頼してた武器出来てる?」
「おう、出来ちょるぞ!少し待て」
ガンテツさんは店の裏から黒い鞘に収められた剣を持ってきた
「ホレ、頼まれちょったもんだ」
「抜いてみても?」
「好きにせい」
俺は鞘から剣を抜くと紫紺の刀身が現となる
「綺麗な刀身ですね」
「当然じゃ、その剣は影や霊体に近い性質の魔物に対して高い効果を発揮するからの、名は影の剣(シャドウ・ソード)じゃ」
「例えば?」
「それ以上は自分で確かめるこった...作ったワシもそれ以上はわからん」
なるほど...実戦で掴めって事ね...
「ガンテツさん、もう1ついいですか?」
「なんじゃ?」
「鉄のショートソードじゃなくてもう少し上のモノないですか?」
「鉄以外か?なら普通に鉄の強度を上げた鋼か金剛鉄の武器しかなかろうよ」
「どっちがおすすめです?」
「持ってくるから待っちょれ」
そう言ってまた店の奥に引っ込んだガンテツさんを待つ間に店内を見て回っていると1冊の本が目に止まったのでちょうど戻ってきたガンテツさんに聞いてみる
「ガンテツさん、この本何?」
「手に取るのは構わんが中は見るなよ…そいつは魔導書(グリモア)じゃからな」
「ここ武器屋ですよね?」
「前に武器の代金が足りないと置いていったモノじゃ...チラリと中を見たが未使用じゃったから武器と交換という事にしたんじゃ」
「へぇ〜、ちなみに幾らですか?」
「ヘファイストス・ファミリアの1級装備で1式揃えてもお釣りが出るレベルじゃよ」
「うへぇ〜、そりゃ手が出ませんね…」
「そんな事より武器じゃろ!扱い易いほう選べ」
俺は置かれたショートソードを手に取って振ってみると鋼の方が少し重みがあるように感じたため鋼のショートソードを選んだ
「武器の作成費用と合わせて幾らです?」
「3万ヴァリスでええ」
「安すぎやしませんか?」
「今回の素材は上層のドロップアイテムと鉱石じゃからそんなに高く取るつもりはない!そんでもって鋼ショートソードは初心者向けの武器じゃからそんなものじゃ」
「まぁ、ガンテツさんが良いなら...」
俺は3万ヴァリスを払いショートソードを腰にシャドウソード右脇に差して店を出てダンジョンに向かう
上層すぎてもつまらないのでとりあえず7階層で試す
さっそく現れたオークを相手取る
俺は影の剣(シャドウ・ソード)を抜き地を蹴ってオークに向かっていく
オークは棍棒を振るって来るがそれを剣の腹で受け流しそのまま袈裟斬りにするが力の入りがあまく致命傷にはなり得なかった。
「浅かったな…でも、まだいける!」
再びオークに接近すると今度は拳を飛んでくるが身を低くして躱し
下から斬り上げた
グゴオォオ!
手応えがあったが俺は違和感を覚える
「今、何か……わからない...なら...試す!」
あと一撃で倒れるであろうオークに向かって剣を振るうが上手く棍棒が当たり軌道が逸れるがたまたまオークの影が伸びる地面を斬った時オークの腕が切り落とされた
「!?……もしかして...」
俺は棍棒を持っている腕の影を斬ると腕が落ちる
「トドメだ!」
剣を突き刺すとオークは灰になり魔石となる
「なるほど...影を斬りつけると本体にもダメージが行く、切り落とすことも可能と...」
「もう少し試してみるか…」
その後2体のオークを相手取りシャドウ・ソードの特性を確認しダンジョンを出る
「せっかくの祭りだしな!ダンジョンに籠るよりも祭り見物して美味いもの食べるとしますか!」
そうして俺は祭り見物に乗り出した。
-その頃-
大通りに面する喫茶店の2階。
温かい雰囲気のある店内で、彼女は通りを一望できる窓際の席に1人でいた。
その姿を極力人目に晒さないように長い紺色のローブを羽織っている。 それでも彼女の一挙手一投足がその場にいる者たちを魅了してしまう【美の神】、フレイヤは、視線を窓の外に起き続け静かにその時を過ごしていた。
「……」
通りを埋め尽くすたくさんの下界の者……多くの子供達。
ヒューマン、獣人、ドワーフ、エルフ。色とりどりの異種族の波には、市民に紛れて冒険者と思われる者たちの姿もちらほらと見られる
フレイヤがその顔を一つ一つ確認するかのように彼等を眺めていると、ギシリと木張りの床が軋む音と共に、こちらに近付いてくる複数の気配があった。
彼女は俯瞰するのを中断し、待ち人の姿を瞳に映す。
「よぉー、待たせたか?」
「いえ少し前に来たばかり」
手を上げ気軽に声をかけてきた神物にフレイヤはフードの下で浅く笑った。
ヘファイストスにような鮮烈な紅髪とはまた異なった、淡色の朱髪。黄昏時をれんそさせる髪を後ろで結わえる彼女はくたびれたシャツとパンツという服装で、どこかだらしない男のような印象を見るものに感じさせる。
欠伸を噛み殺しつつ、涙目のまま、ロキはにへっと笑みを作った。
「なぁ、うちまだ朝メシ食ってないんや個々で頼んでもええ?」
「お好きなように」
ズケズケとそんな事を言うロキにフレイヤは微笑を崩さず返答する
そして多少の軽口の応酬の後、ロキの護衛として着いてきている
アイズ・ヴァレンシュタインを紹介してもらいロキが夢中になるのも頷けると思った
ロキ曰く適度に誰かがガス抜きさせないといけないと話していた。
「それじゃあ、こんなところに呼び出した理由をそろそろ教えてくれない?」
「んぅ、ちょい久々に駄弁ろう思ってなぁ」
「嘘ばっかり」
「なら率直に聞く。何やらかす気や」
「何を言ってるのかしら?ロキ」
「とぼけんな、あほぅ!どうせまたどこぞの【ファミリア】の子供を気に入ったちゅう、そういうわけか…」
ロキの言葉に沈黙で返すフレイヤ
「ったくこの色ぼ女神が。年がら年中盛りよって、誰だろうがお構いなしか」
「あら、心外ね。分別くらいあるわよ」
「抜かせ男神(アホ)ども誑かしとるくせに」
「彼らと繋がっておけば色々便利だもの」
「で?」
「……?」
「どんなヤツや、今度自分の目に止まった子供ってのは?いつ見つけた?」
「...」
またしても沈黙を返すフレイヤ
「そっちのせいでうちは余計な気を使わされたんや、聞く権利くらいあるやろ」
「……強くは無いわ…貴方や私の【ファミリア】の子と比べても、今はまだとても足りない少しの事で傷付いてしまい、簡単に泣いてしまう、そしてそれとは正反対にどこまでも自分を信じてその子とは違う道を突き進む、目の前の敵すら自分が強くなる為の糧と見るそんな子達よ」
でも、と細い唇が震える
「綺麗だった。透き通っていた。今まで見た事無い色をしていたわとにかく穢れなき真っ白な魂、そして磨き抜かれた宝石のような紫紺の魂をしていたわ」
フレイヤはふと窓の外を見た瞬間立ち上がる
「ごめんなさい、急用ができたわ」
そう言って去っていった。
一方でベリルは...
露店で買った串焼きを食べながら街を見て回っていた。
「そろそろ闘技場に向かおうかな?」
独りそう呟き、闘技場に足を向けた時悲鳴が聞こえた
「……悲鳴!?どこから!?」
悲鳴が聞こえた方に向かうと1匹のヘルハウンド?まさに今ひとを襲う1歩手前というべき状況だった
俺は手近な石ころを拾いヘルハウンドに投げる
「こっちだバカ犬!」
グルルル!グガァァァ!
牙を剥いてこちらに襲いかかってくる
俺はシャドウ・ソードを抜きヘルハウンドを斬りつける
「浅い!でも大丈夫だ!」
俺はそのまま空いている手でショートソードを引き抜いて突き刺し
蹴りを入れて深く突き刺しヘルハウンドを灰に変える
「ここじゃ少しだけロングソードの取り回しは難しいな……」
俺は剣を収めるとそのままギルドの方に向かった
途中エイナさんに会ったので事情を聞いた。
「エイナさん!」
「ベリル君!」
「何が起こってるんです?ダンジョンの異常ですか?」
「違うの、どうもガネーシャファミリアで捕えたモンスターの一部が逃げ出したみたいなの!」
「途中ヘルハウンドとホーンラビットを倒しましたけど、まだいますよね?」
「うん、中型と大型のモンスターがまだ何体か」
「じゃあ、いきますね!戦闘で多少街とか壊れるかもしれないですけど勘弁してくださいね!狭いところとかだと建物とかどうしても壊れるんで!」
俺はそれだけ伝え屋根伝いにモンスターを探しているとヘスティア様を見かけた。
「ヘスティア様!」
「ベリル君!」
「何してるんです?こんなところで」
「実は...」
俺はヘスティア様から事情を聞いた脱走したモンスターに襲われた事、ベル兄が囮になってヘスティア様を逃がしたこと
そして俺達2人に武器を作ってもらったこと
「なるほど...となるとベル兄との合流を急がないとですね!」
俺はヘスティア様を背負うと立ち上がる
「来た道戻れば良いですか?ヘスティア様」
「あぁ!その先にベル君がいるはずだ!」
「分かりました!」
俺はヘスティア様が来た道を戻るとベル兄がシルバーバックに追い詰められていた。
「ヘスティア様、1度降りてください」
「わかった」
俺はシャドウソードを抜くとシルバーバック指の影を斬りつけると
指先が落ちる
「ベル兄!こっちだ!」
「ベリル!」
シルバーバックの死角となる場所に1度身を隠す
「いいかい、2人とも、君たちがあのモンスターを倒すんだ」
「無理ですよ!僕の攻撃全く通じなかったんですよ!」
「俺の場合、場所が場所なんで思いっきり力を振るえません」
「大丈夫!今この場で2人のステータスを更新する!」
「ボクが君達を勝たせてみせる!だから君達兄弟の絆を見せておくれ!」
俺達はその場でステータスを更新して貰った
俺はステータスオールCでベル兄は幾つかのステータスがEに上がったようだ
「ベル君にはこれを...そしてベリル君、君にはこれを託すよ!」
俺はヘスティア様から漆黒のロングソードを託された。
文字が俺の意思に呼応するように光る
「行こうぜ...ベル兄!」
「うん!行こう!ベリル!」
「英雄と魔王が同じ舞台で初の共闘だ!」
俺達は左右に別れてかけ出す
「こっちだクソ猿!」
俺はシルバーバックの脇腹を斬りつけベル兄は肩を斬りつける
「一気に決めるぞ!」
「うん!」
俺は後ろからベル兄が正面からシルバーバックに突撃し刺突を放った瞬間、魔石が砕ける音と共にシルバーバックが消滅した。
俺はその場に膝を着く
「何回ドッと疲れた...」
「うん、僕も疲れたよ」
大の字に寝そべるベル兄も苦笑しつつ答える
「ともあれ、お疲れ様!ベル兄」
「うん、お疲れ様!ベリル!」
俺達は拳を合わせて笑いあった。
???
先の戦いを巨大な水晶越しに見ていた集団...
「良いじゃねぇの!見所あるぜアイツ」
「我らの試練を受けるに相応しいな」
「己の信念を貫きいずれ【魔王】へと至ってくれるでしょう」
「誰から動きますか?」
「俺様だ!俺様にやらせろ!」
「なら任せますよ…バルガ」
ベリルは何者かに見初められ試練が課される事が確定した。
4話目です。何とか今日中に出せました。
AIチャットアプリや友人にも見てもらいつつこうすればああすればと書いているんですが如何せん主人公を蔑ろにされまくって中々進みません。ルールも決めてるのにそれに沿ってくれないなどで中々進まない現状です。
とりあえず次回はリリが登場しますのでお楽しみに
次回「サポーターと疑念」