ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか-魔王と英雄-   作:凌介

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ダンジョン探索を進める中で兄、ベルは他派閥のサポーターと組むことに、しかしそのファミリアには悪い噂も多く周囲には不穏な気配が漂っていた


第5話サポーターと疑念

-早朝-

 

ヘスティア様から武器を貰って数日が経った今日、俺達は2人でギルドに経過報告に来ていた

 

「ななぁかぁいそぉ〜?」

 

「は、はいっ!?」

 

エイナさんから怒気を感じてたじろぐベル兄

 

「キィミィは!つい最近5階層で危ない目に遭ったの忘れたの!?」

 

「で、でも僕……あれからステータスが更新されて、幾つかの能力値がEまで上がったんです!」

 

「……E?ホントに?」

 

「はい!」

 

「……ねぇ、ベル君」

 

「は、はい?」

 

「キミの背中に刻まれてる【ステイタス】、私にも見せてくれない?この目で確かめれば信じられるからさ…」

 

「もちろん君のことを信用してない訳じゃないからね」

 

まぁ、最もだろうその目で見た方が信用、信頼は持ちやすい

そう思いつつ傍観していたが何やら責任だの服従だのと言い出したのでとりあえず割って入る

 

「エイナさん、そもそも【神聖文字(ヒエログリフ)】読めますっけ?」

 

「うん、ちょっとだけど…」

 

「なら見せて信用してもらった方が早いし、見せてお墨付き貰えよベル兄」

 

「そうだね、そうするよ」

 

ベル兄がいそいそと上着を脱いで背中を向ける

 

エイナさんはじっとステータスを確認して目を上下に動かして何度も確認しているようだった

 

「まぁ、これなら7階層での探索を許可しない訳にはいかないな~」

「なら僕、これからも7階層探索してもいいですよね!」

 

「うん、良いよ。でもだよ、ベル君!」

「無茶はしないこと! 良いわね!」

 

「はい!」

そしてベル兄がボソッと余計な一言を言った…

「で、でも僕よりもベリルの方が下に潜ってて……。」

 

「……え?」

 

「どういう事かな〜、ベリルく〜ん?」

鬼の形相でこっちを向くエイナさん

 

俺は気にせず事実だけを告げる

「俺は8、9階層を中心に探索してますけど……何か?」

 

「何か?……じゃなあぁぁい!」

「は、8階層と9階層よ!?」

「ちょっとベリル君!なんでそんな下まで行ってるの!?」

 

「いや、だって、俺の方もステータス更新で能力値が全部Cに統一されましたし」

「それに、未知を探求、探索してこその冒険者でしょ!」

 

 

「冒険者は冒険しちゃいけないの!」

しっかり身の丈にあった探索をして安全に帰ってくるのが仕事なの!」

「……それに!君は1度潜ると数日帰って来ないじゃない!」

 

「安全マージンは十分取ってますよ!」

 

実際、水、食糧、ポーション等の消耗品の減り具合と魔石が麻袋いっぱいになった頃に帰還している

 

「ちゃんと毎日帰って来たら良いじゃない!」

「だったら遠征してるファミリアにも遠征中でも毎日ホームに帰りなさって言うんですか?」

 

「そ…それは……」

 

「まぁまぁ、2人ともその辺で…」

 

ベル兄が割って入る

 

「あっ……ご、ごめんね、ベル君。」

「君が7階層まで探索してるって聞いて驚いたのもあるんだけど……。」

「ベリル君がそのさらに下まで潜ってたって聞いたから、つい余計に驚いちゃって。」

 

「でも、ベル君どうしてそんなに冷静でいられるの?」

 

「いや、だって、ベリルは1度こうと決めたら譲りませんし、できない事はしない主義なんで」

 

「まぁ、否定はしないよ!無理無茶無謀を押し通してもその場しのぎだからね」

 

「もぉ〜とにかく!2人とも無茶はしない!良いわね!」

 

「はい!」

「一応気をつけま〜す」

 

それぞれ返事をして俺達はギルドを出る

 

-ギルド-

 

自分の実務机に戻ってきた私は机に突っ伏す

 

「お疲れだねぇエイナ」

 

「2人とも焦ってるわけじゃないけど、探索が早い気がしてねぇ」

「それで、また言いくるめられたんだ、エイナ。」

「言いくるめられてなんかない!」

「でも、はたから見たらいつもエイナが後輩君相手に折れてるように見えるけどね。」

「もぉ〜……。」

 

私は再び机に突っ伏すのだった。

 

ベル・ベリル視点

 

俺達はギルドを後にしダンジョンに向かって歩いていた。

 

「ベリル...さっきの事だけど...」

 

「さっきの?」

 

「エイナさんとの事だよ」

 

「あぁ、あれが何?」

 

「ベリルの考えも理解できるけど...心配してくれてる人もいるんだからさ…」

 

「わかってるさ、それでも俺は..自分が信じた道を行くよ」

 

「ベリルらしいね」

 

ベル兄が苦笑する。

 

ダンジョンに入り7階層に到着した

 

「ここからは別行動な、ベル兄。」

 

「ちょっとだけ僕も8階層に行ったらダメ?」

 

「構わないけど、俺は奥の方行くから入口から遠くないあたりを探索しなよ。じゃないと、さっそく到達階層増やしてエイナさんに怒られるぞ。」

 

「でも、どうせならベリルと一緒に戦ってみたいし……。」

 

「今は積み重ねろ。しっかり7階層探索して追いついて来い。」

 

「……うん!分かった!行ってくる!」

ベル兄が見えなくなるまで見送ってから俺は呟やく

 

「俺達の道はまだ交わらないんだ……まだその時じゃないからな……。」

そう呟き、俺は8階層の探索を開始した。

 

-ベリル視点-

「【獄炎】!!」

植物系モンスタートレントを【獄炎】で焼き払うが攻撃から逃れた個体が枝を伸ばし襲いくる

 

「見えてるよ!」

枝をロングソードで切り刻みそのまま接近し両断するがそこに突進してくるアルミラージ

「邪魔!」

突進を躱し蹴りを入れて引き剥がし四方から突進してくるアルミラージを斬りつけて魔石に変える

「さすが、8階層...一筋縄じゃ行かない感じ...これでこそだ!」

アルミラージを相手取るならロングソードよりは取り回しとスピードで勝負する!

俺はロングソードを鞘に戻し腰からショートソードを引き抜きすれ違い様にアルミラージを魔石に変える

 

キィィィィィ!!

「な!?ぐっ……」

俺は頭を抑える

「ジャイアントバットか...」

音波攻撃で平衡感覚を乱されるがそれならそれでやりようがある

「ふぅーっ【獄炎】!!」

その場で回転して周囲一帯を焼き払うとその場に魔石だけが残る

「結構疲れたな…」

俺は周りの炎が消えるまで一休みし魔石を回収しさらに下

9階層へ足を踏み入れる。

 

9階層に到着してすぐ丸太が飛んでくるがヘスティア・ブレードで斬り裂き丸太が飛んできた方向を見ると久しぶりに見る白い大猿

「よぉ、ダンジョンでは初めましてだな...シルバーバック!」

 

グオォォォォォ!!

雄叫びを上げドラミングすると木を引っこ抜き棍棒のように握る

 

「へぇ〜、良いね!そう来なくちゃ!」

 

ヘスティア・ブレードを構えてシルバーバックに接近するが棍棒を持つ手とは反対の拳を繰り出してくる

「それは読めてるよ!」

バックステップして躱し拳が地面にめり込んだタイミングで拳、腕を足場に跳躍し後ろに周り肩を斬り裂く

グガアアァ!

棍棒を振り回すが間合いは掴めてるので当たらない

「腕、使えなくしてやるよ!」

ヘスティア・ブレードを鞘に戻すと再びショートソードに切り替える。

そのまま左右に動き回り腕を重点的に攻撃する

「傷が浅いだろうけどそれでいんだよ」

そのまま手首から肘に掛けて斬り裂くと両腕がだらりと垂れ下がる

「おしまい...【獄炎】!!」

 

グギャァァァァ!

 

断末魔の叫びと共にシルバーバックは魔石に変わった

 

「ソロ討伐...完了」

 

魔石を回収し少しの間休憩をとる

 

水分と軽食を取り気を取り直して探索を再開してほどなく

俺はトレントに遭遇する

「??トレントか?」

「まぁ、いいや!」

俺は鞘からヘスティア・ブレードを引き抜き構えてトレントに向かって行くがトレントが地面から根を伸ばして俺を捕らえようとしてくるが俺は全てを切り払い近づくがトレントが叫ぶ

ギイィィィィィ!

トレントが叫ぶと周りにトレントが5体程集まってくる

「な!?コイツ...トレント・スクワッドか!」

トレント・スクワッドは本体を倒さない限り周りを減らしもキリがないが近付くに周りを倒さないといけない

「非常にやり辛い相手に当たったな...」

とりあえずまずは雑魚掃討!

トレントから繰り出される根や木の枝をなぎ払いつつトレントスクワッドに迫るがあと少しって所でトレントに邪魔されそいつを倒せば補充されるから多少イライラが募る

 

「はぁ〜、キリがないな」

トレントを切り伏せて魔石に変えるがすぐに別個体が現れる

 

「とはいえ【獄炎】で焼き払っても本体に届かなきゃ意味かない...」

 

俺はトレントを相手にしながら自問自答する

せめて雑魚を全て掃討出来れば一気に距離を詰められるのに

そう考えながら補充されるトレントをなぎ払い魔石に変えていく

中で1つの仮説が立つ

「やってみるか...」

 

俺はヘスティア・ブレードに獄炎を纏わせるがすぐに霧散していく感覚が襲う

「なら霧散しないうちに放つ!」

1度目は維持しようとして霧散したがなら霧散する前に放てば関係ない!

「行くぞ!【炎獄斬】」

剣を横薙ぎに振るい炎の斬撃がトレントを一掃した

その瞬間に俺はトレント・スクワッドに接近しトレントスクワッドを両断した。

足ともには複数の魔石と枝のドロップアイテム

「ドッと疲れた...トレント何体倒したんだ?」

魔石とドロップアイテムを拾いつつボヤく

全部拾い集めたあと休める場所を探していると洞窟を見つけたがそこでオークに遭遇する

「はぐれ...か?まぁ、いいや数は3体、速攻で倒す」

「【獄炎】!!」

2体を焼き払いそのままもう一体に近付き両断する

「そろそろ休もうと思ってたのに邪魔しやがって」

魔石を回収し洞窟に入ると周りを傷付ける

多少大きく深めの傷を刻み修復を待つ間に休息を取った。

 

-2日目-

 

2日目の探索もなかなかハードだった。

集団戦が多く、1体1で戦うよりも大きく消耗した。

そして、1日目にやり合ったトレント・スクワッドに再び遭遇したのがまた厄介だった。

何せ今回はトレント以外にも別のモンスターが混ざっていたため、余計に苦戦を強いられた。

 

「そろそろ夕方か?」

 

「予定では3日のつもりだったんだがなぁ〜」

 

今回の探索は複数回にわたる集団戦で武器も精神的にも消耗した。

 

すれ違う冒険者が上層に戻って行くダンジョン内でも地上では夜行性とされるモンスターの出現が増えてきた。

 

行こうと思えばまだいけるが無理に続ける必要も無い

「……帰るか...」

探索を切り上げてダンジョンを出てギルドに行く

ギルドに行くとベル兄を見かけたが連れがいたためとりあえず魔石を換金する

ベル兄が連れと分かれたようで声をかける

「ベル兄、サポーター雇ったんだな」

「ベリル、うんまだお試しって感じだけど」

「そっかそっか」

そこへ何か資料か書類を持ったエイナさんがやってくる

「2人ともいいところに!明日、防具を見に行かない?」

「防具ですか?」

「いきなりなんで?」

「ベリル君も聞いたかな?ベル君がサポーターと一応契約したって話」

「なんかお試しでって話でしたね」

「それでどうせなら防具も新調た方がいいと思って」

「だってさ」

「僕は良いけど、ベリルは?」

「一応行こうかな?普段ブレストプレートくらいしか身につけないし」

「じゃあお昼前に噴水広場で待ち合わせね」

「わかりました。」

「俺も構いません。」

その後ギルドを後にしガンテツさんの店へ

 

店に入るといつも通り声をかける

「ガンテツさんいますか?」

「戻ったか…早かったな」

「ちょっと集団戦で消耗したんで」

「武器見してみ」

「シャドウ・ソードは今回使ってないですけど、出した方が?」

「ぜんぶ出せ」

言われた通り今ある武器を出す

「整備費用、5000ヴァリスじゃな」

「なら大丈夫です」

「それと、明日なんですけど、エイナさん。俺と兄貴の担当アドバイザーなんですけど、3人で防具見に行くことになりまして」

「そうか」

「え?それだけですか?」

「別にワシの武器、防具のみに拘る必要はない、必要なら色んな武器、防具試せばいい」

「そういう事なら」

「それとな…これ、お前さんにやる」

ガンテツさんがショルダーバッグを放り投げてきた

 

「これは?」

「収納魔法が付与されとるそれなりの容量があるけん探索にも役立つじゃろうて」

「ワシのお古じゃがまだ使えるもんをしまって腐らせるのももったいないからなお前さんが使え」

「ありがとうございます。今後の探索に活かします」

「あぁ、そうしろ」

武器のメンテが終わり俺はガンテツさんの店を後にする

 

その後夕飯を買ってホームに帰る

 

「ただいま帰りました。」

「おかえり、ベリル君」

「おかえりベリル」

「これ、夕飯です。」

「ありがとう早速食べようじゃないか!」

そうして食事する中で気になった事を聞いてみた

 

「そういえばベル兄、あのサポーターどこのファミリア?」

「え?えっと確か...ソーマファミリアに所属してるって言ってた」

「ソーマ……ファミリア」

以前魔石の換金で揉めてたのも確かソーマファミリアだったな...

ベリルの中に小さな疑念が生まれた。

 

-次の日-

 

俺は予定の時間より早くホームを出てギルドに向かった

目的はソーマファミリアについての情報収集だ。

「金銭トラブルが絶えないとか、他の冒険者と諍いを起こしたとか、絶対なんかあると思うんだよなぁ」

独り呟きつつギルドの扉を潜り受付にいたエイナさんの同僚の

ミイシャさんに声をかける

 

「おはようございます。少しいいですか?」

 

「あれぇ〜後輩くんじゃん!どうしたの?」

 

「少し気になることができて、ソーマファミリアについて教えて貰えませんか?」

 

「ソーマファミリア?またどうして?」

 

俺はベル兄が雇ったサポーターがソーマファミリア所属であること、以前魔石の換金で揉めているソーマファミリアの冒険者を見かけた事、そこから何か金銭トラブルが絶えないのでは?と疑問が出来たことを伝えた。

 

「なるほどねぇ...一応私もギルド職員だし、話せる範囲になるけど大丈夫?」

「ある程度情報が分かれば大丈夫です。」

 

「それならある程度教えて挙げられると思うからちょっと待ってて」

少しミイシャさんが資料を持ってきてくれた。

 

資料に目を通すとお酒も販売している事が載っていた

 

「へぇー、お酒も売ってるんですね」

 

「うん、そうなの結構売れてるからお金に困ってるとかはないと思うんだけど...」

「あの、噂でもいいんですけど、こういう話を聞いたとかなんかありません?」

 

「う〜ん...あ!そういえば!いつだったかそのソーマファミリアの冒険者がね、これじゃあ、いつまで経ってもアレにあり付けない!とか言ってたよ」

「アレ?」

「うん、アレとしか言ってなかったけどね」

 

アレって言うのが何かわからないけど特別なものなのは確かだな...

資料から目を離し周りを見ると冒険者が集まりだし、外もすっかり日が昇りきって明るくなっている

 

「そろそろ時間か?」

 

俺は資料を返却する

 

「ありがとうございました。用事があるのでこれで失礼します」

「役に立てたなら何よりかな。」

 

俺は少し忙いで待ち合わせ場所に向かう

待ち合わせ場所にはまだベル兄だけだった

 

「ベル兄!ごめん用事済ませてて遅れた」

「まだエイナさんも来てないから大丈夫でしょ」

 

なんて話しているとエイナさんがやってきた

 

「お待たせ2人とも、待たせちゃったかな?」

「俺用事済ませてて今来たんで大丈夫です。」

「僕もそこまで待ってないので...その...大丈夫...です」

 

俺はベル兄を肘で小突く

「何そんな挙動不審になってんだよ」

「だ...だって...エイナさん私服だし...」

「だから?」

「……」

「はぁ〜」

ヘタレの兄貴に変わって会話を繋ぐ

「エイナさん今日は私服なんですね、てっきり仕事の一環として来るから制服だとばかり」

「あぁ〜うん、一応プライベートでもあるから制服はおかしいかなって...感想はそれだけ?何かほかに言う事はないの?」

「だってよ、ベル兄」

「え!?……その...いつもより若々しく見えます…」

「確かに、歳上のお姉さんって感じですねいつもはもっと凛とした雰囲気なんで」

「私はこれでもまだ19だよ!年相応にお洒落する事だってあるよ!」

「ですよね...まぁ、新鮮ではありますね、なぁベル兄」

「う...うん」

「まぁ、とりあえず褒め言葉として受け取っておくね!さぁ、行きましょう」

エイナさんは歩き出したので着いていく

 

「ところで目的地って何処なんです?」

「バベルだよ」

「店あるんですか?」

「知らないか...あるんだなぁ〜これが」

 

なんて話しつつ歩き目的地のバベルに到着する

 

バベルに到着するとエレベーターで上の階に行き1度降りる

「ここってヘファイストスファミリアのお店ですよね?しかも高そうですけど?」

「目的地はこの上だけど一応ここも見ていこうか!」

店のショーウィンドウに飾られてる武器を見てみるとかなりの高額だ

「1級品ですね」

「ベリル君わかるの?」

「いい武器だってことくらいです。」

「俺の武器や防具を作ってくれてる鍛冶師さんからもっと目を養えって言われて細かく見るように気をつけてるんです」

「そうなんだ」

「ベリル…いつの間に鍛冶師の知り合い出来たの?」

「つい最近、言ってなかった?」

「聞いてない!」

「まぁまぁ、とりあえず一通り見てみよう」

そう言われれ店の扉に近付いた時扉が開いた。

 

「いらっしゃいませ〜何かお探しですか?……ってベル君!ベリル君も!」

「「神(ヘスティア)様!なんでここに!?」」

 

「最近忙しそうだ思ったらバイト掛け持ちしてたんですか?」

「まぁ、色々あって...ところで誰だい?このハーフエルフ君は」

「俺達の担当アドバイザーなんです」

「初めまして、神ヘスティア、私はお二人の迷宮探索アドバイザーをしているエイナ・チュールです。以後お見知りおきを」

 

ヘスティア様が何やらエイナさんを警戒してるようだけど、考えてる様なことは特にないと思うんだが…

「そうかい、君が担当なんだね、今後とも2人を頼むよくれぐれも色目を使わないように」

 

「いくらなんでも公私の区別はつけるでしょ!何言ってるんですか!ヘスティア様」

「そ...そうですよ!」

「ベリル君が言った通り公私の区別はつけてるのでご心配なく」

 

「なら、いいんだが…」

「とりあえず、目的地に行きましょう、ヘスティア様のバイトの邪魔になってもアレだしさ」

 

「それもそうだね」

「って訳なんでエイナさん案内お願いします。ヘスティア様はバイト頑張って下さい」

 

それだけ言ってその場を後にし更に上の階に向かった。

 

「相変わらず変わった神様だね」

「見苦しいところを見せてすいません」

「まぁ、ヘスティア様だし、俺らもまだまだ駆け出しの極貧ファミリアだし、しゃーないさ」

そうしてエレベーターで時間をかけて八階へと昇っていった

「はい、到着」

「しちゃいましたね……」

「目的地ってここですか?」

静止した昇降機の手動ドアを開けると、同じような光景が俺達を出迎えた。

剣、槍、斧、槌、刀、弓矢、盾、鎧、その他防……様々な種族の武具専門店が広いフロアに展開されてる。

あと何より冒険者の姿が多い

「2人とも【ヘファイストス・ファミリア】みたいな高級ブランド、自分には縁がないって思ってるでしょ?」

「俺はそうでもないです。今、必要としてないってだけで」

「ベリル君はそうかもね」

「実際、頼れる鍛冶師がいますから」

「それについては深く聞かないけど、とりあえず同じ【ヘファイストス・ファミリア】の武具でもここはそうでもないんだなぁ」

 

「まぁ、とりあえず着いてきて」

ベル兄が武器を1つ手に取ると金額を見て驚いている

「手が届きそうって?」

「うん...これなら...」

「なるほどねぇ」

「ベリル?」

「おそらくここって新米鍛冶師とかの作品が並ぶ店なんじゃね?」

「どういう事?」

「おそらく新米鍛冶師と新米冒険者を繋ぐのがこの店なんじゃない?」

 

「さすが、ベリル君は気付くのが早いね」

 

「実際その通りで店側としても悪い話じゃないからね」

 

「何より、特定の誰かのために打つ武具ってのはね、思い入れが深い分、より特別な力を発揮するの。……なーんて、今のは他の人の受け売りなんだけど」

なんて言って小さく舌を出すエイナさんをお茶目だなぁと思いつつ

俺もガンテツさんが言ってた事を思い出す

「誰かのために打つ武器も大事じゃが、そやつに使ってもらいたい

と願って打たれた武器はその天寿をまっとうするまで寄り添い続けるって言ってたな」

 

「長くなったけど、とりあえず2人とも予算はどのくらい?」

「俺は特に決めてないですけど、2万くらいですかね?」

「僕はその半分の1万ヴァリスくらいです」

「モノによっては防具1式揃えられるかな...中には掘り出し物もあったりするんだよ。さぁ行こう!」

それから俺達は店内をバラバラに見て回る事になった

いくつか武器を手に取り振ってみるがどれもこれも作り手による癖があってピンと来るものがあまりない

「ベリル君、なんかいいものあった?」

「特別ないです。なんせ癖が強い作品ばっかで」

「癖?」

「短剣でも振った感じが軽すぎたり、ちょっと重心がブレたりとかして」

「普段はどうしてるの?」

「知り合いの鍛冶師が調整してくれて自分に合うように作らてたり、成長見越してちょっと引きずられるように作られてたり」

「なるほどねぇ...」

「ところでベル兄は?」

「なんかいい防具と出会えたみたいなの、だからベリル君はどうかなと思って来てみたの」

「なるほど、とりあえず俺は今は大丈夫です。」

「ちなみに何を見てたの?」

「ナイフです。ベル兄ナイフ使ってますし、俺も使いますけど、もっぱら投擲でしか使わないんでまともに武器としての運用考えてみようかなと」

「そうなんだ、それで目ぼしいモノは見つからなかったの?」

「候補はあったんですけど、あんまりしっくり来なくて」

「ちなみにどれ?」

「この2本で悩んでたんです」

赤と黒の入り交じった刀身のサバイバルナイフと翡翠色の刀身のナイフを見せる

「掘り出し物っぽい感じもするけど、何が不満なの?」

「普段運用が難しいんですこれ2つともこの赤黒いのが固い装甲のモンスター相手に特化しててこっちの翡翠の方は毒系のモンスター相手に特化してるみたいで」

「どっちもこの先の探索には必要になりそうだけど…良いの?」

「えぇ、とりあえずやめときます」

そう言ってナイフを置きベル兄と合流するためその場を後にした。

店を出ると街は既に夕日に照らされて茜色に染まっている

「今日はありがとうございました。エイナさん」

「いいよ、私もなんだかんだ言って楽しかったし」

「俺も、貴重な時間になりました。ありがとうございます。」

「そう言うってくれるなら声掛けたかいがあるよ。それと、2人ともこれは私から」

ベル兄にはエメラルド色のプロテクター、俺には赤黒い刀身の

ナイフを渡された。

「これ、貰っていいんですか?」

「うん、私からのプレゼントでもあり、願掛けみたいなモノかな、無事に帰ってきてくれるようにって」

「そういう事なら受け取らない訳にはいかないですね」

「そうだね、僕達の助けになるだろうし」

装備を受け取ったあともう一度お礼を言ってエイナさんと分かれたあと帰り道でベル兄にソーマ・ファミリアの事を伝えておく

「ベル兄」

「何?」

「ソーマ・ファミリアだけど、なんかある」

「なんかって?」

「確証がないから断言は出来ないけど、一緒にいるサポーターもなんか訳ありだろうから気をつけろ」

「ベリルが善意で言ってくれてるのはわかるけど、何があっても僕は誰かを見捨てる事はしないよ」

「ベル兄らしいな」

そう話しつつホームに帰還するのだった。

 

──────────────────────────

-次の日-

 

まだ本来ダンジョン探索には早い時間だが俺は早めに出発し9階層に来ていた。

 

「まずは新装備、このショルダーバッグの容量確認と相手によってはエイナさんがくれたこのナイフの使い道も出てくるだろうし装備の確認としてとりあえず3日潜りますか...」

「探索終わった帰りにヘスティアにお酒とおつまみでも買って帰ろうかな」

ひとり呟き9階層の探索へと乗り出すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




5話目です。投稿遅くなりすみませんでした。ある程度構想練って書いての繰り返しなので多少遅れることもあると思いますが着実に更新していくのでお楽しみに

次回「魔導書(グリモア)/魔法の杖」
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