ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか-魔王と英雄-   作:凌介

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訓練に誘われたベリルは第1級冒険者の力を目の当たりにし
その後魔法使いとタッグを組んでダンジョン探索に乗り出す


第8話合同訓練/魔法使いと剣士

-早朝-

 

昨夜の模擬戦のあとベル兄に誘われた俺は1日だけアイズさんとベル兄の特訓に参加することにした。

 

「本人の許可とってからでも良かったのに突然行くこともないじゃないか」

「善は急げだよベリル!それにほっとくとベリルまた数日潜るでしょ!」

「ほっとけ、こっちもこっちで希少種やら変異種やらを探さないと武器が次の段階に進まないからな」

「その変異種とか希少種って珍しいから中々出会えるわけではないんだし、少しでも訓練して強くなれば想定外にも対処出来るでしょ!」

「一理あるからついて来てる」

などと話つつオラリオを囲む市壁の上にやってきた

 

「おはよう。ベルその子が君の弟?」

俺達に気付いて挨拶してきたアイズさんに俺も挨拶をする

「おはようございます。以前ファミリアのホームで会った時は話しませんでしたね」

「そう...だね、君、ベリルで良いんだよね?」

「はい。ベリル・クラネルです」

「何処と無くベルに似てる」

「そりゃ兄弟なんで」

「今日は君も鍛錬に参加するって事で良いんだよね?」

「えぇ、まぁ、ベル兄がどうしてもって言うんで」

「ベルからは君の方が強いって聞いてるけど、そうなの?」

「えぇ、まぁ、ベル兄って良くも悪くも動きが素直なんで」

「確かに、ベルは技とか駆け引きとかが足りないし痛みにも慣れてない」

「ベル兄は避ける撃ち込むが基本ですから」

「君は違うの?」

「俺も基本は避ける主体ですけど、対人戦はベル兄だけですから」

アイズさんはすこし考える素振りを見せた後呟くように告げる

「ならまず、ベルと君の戦いを見せて欲しい」

「俺とベル兄で模擬戦ですか?」

「うん。二人がどう戦うのか見てみたい」

「俺は構わないですけど、ベル兄は?」

「昨日負けたばっかだけど、やってみるよ!」

ベル兄はそう言って、昨日の模擬戦で使ったナイフを構えた。

「それじゃあ、始めようか、今回の条件は?」

「ベリルはロングソード1本で装備なし、ボクは昨日と同じで」

「了解」

俺は装備を全て外しショルダーバッグに入れバッグも少し離れたところに置いてベル兄と向き合う

「準備はいい?」

「いつでも」

ベル兄がナイフを構え、俺もロングソードを構える。

その様子をアイズさんが静かに見つめていた。

 

先に動いたのはベル兄だ

「はぁあああ!」

ナイフを振りかぶった瞬間身体を捻り蹴りが繰り出される

俺は腕でガードし逆手に構え直したロングソードを振り抜くが紙一重でかわされる

「今度はこっちから行くぞ!」

俺はロングソードを逆手に持ったまま駆け出しベル兄に接近しそのまま身を低くして柄頭で腹部を打ち、蹴りで距離をあけ順持ち手に持ち替えそのままロングソードを振るうがそれを紙一重で避ける。ベル兄が反撃しようと態勢を整えるが俺は最初の一撃から連続して斬撃を繋ぎ反撃を封じ連撃が途切れる瞬間に拳を握り腹部を殴る

「グッ...この!」

繰り出されたナイフを剣の腹で受け流し張り手によって距離をあけ

ロングソードの間合いを確保しつつ再び連撃による攻撃を浴びせる

「ベル兄、まだ動きが単調なんだよ!それにナイフはリーチが短い分受け流して攻めるを意識しないと簡単に間合いを奪われる」

「それに、攻撃を読もうとしすぎだ!あくまで予測でいい違ったなら即座に対応できるよう戦闘を組み立てろ!」

「わかってる!」

ベル兄は再びナイフを振るって来る。

俺はそれを身体を捻りながら紙一重で躱していく。

そこにベル兄の蹴りが来るが俺も蹴りを放って相殺し再び距離が開く

俺は身を低くして剣を引き顔の横辺りに固定しもう片方の手を剣の腹に添える。

「ふぅーッ……いくぞ!」

脚のバネを解き放つように一歩を踏み出す。地面を蹴った力を腰へ、腰から腕へと伝え、その全てを剣先へと集約させ、鋭い刺突を放つ。

ベル兄は咄嗟に身をひねり躱すが躱しきれずに態勢を崩したところに剣を突きつける

「チェックメイト」

「また勝てなかった……」

「そう簡単に兄に追い抜かれてたまるかっての!努力あるのみだ」

俺はベル兄に向けて手を出す

ベル兄はその手をとって立ち上がって頷く

「うん!絶対追いつくからね!」

「それで、どうでした?」

「ベルはやっぱり一から教えて基礎を伸ばすのが良いけど、ベリルは我流とはいえ土台ができてるから、私からは対人戦のいろはを教えてあげる。」

「モンスターと人じゃ戦い方も変わってくるからその違いを覚えればダンジョンでも役立つはずだから」

「お願いします。」

「早速、やろうか」

アイズさんは剣の鞘を構える

「剣じゃないんですか?」

「ひけらかす訳じゃないけど、Lv差もあるし、怪我させちゃうかもしれないし…」

「全力を見せて欲しいなんて言いません。でもせめて武器は真剣を使ってください、追い詰められるほどの緊張感がないと成長が感じられないと思います」

「………君がそう言うなら」

アイズさんは剣を手に取って構える

「いきます!」

俺は今出せる全力でアイズさんにぶつかっていく

俺の攻撃はアイズさんに簡単にいなされる

「武器の構え方1つで攻撃の方向を誘導したりできるから、そこ意識してみるといいよ!君はロングソードだから、構え方だけなら私に近い持ち方もできるし、何より次の一手に繋げやすい場合もある」

「今は私が攻撃を受けてたけど、今度はこっちが攻めるね」

アイズさんは一瞬で身を低くし数歩で接近して来て剣を振るう

ギリギリで回避が間に合ったが、態勢が崩れる。咄嗟に手を付き転倒を防ぎそのまま蹴りを放つが、アイズさんは既に蹴りの範囲外に

態勢を立て直し構えを意識しながらアイズさんに攻撃を仕掛ける

「そう、そのまま構えから攻めに転じる瞬間をスムーズにそれでいて相手にギリギリまで攻撃の方向を読ませないように」

俺は頷き言われた事を頭の片隅に置きなるべくアイズさんの挙動を予測するがやはり歴戦の冒険者だけあり動きに無駄がなくその分速さと鋭さがある

「くっ……」

攻めあぐねる状況が続きアイズさんの剣が俺の喉元を捉える

「ここまでだね」

「みたいですね…降参です」

俺は両手をあげて降参するポーズをとると剣を鞘に戻す

「後半良くなったけど、まだ慣れてないからか動きに集中しすぎてた感じがしたよ。でも身体に覚え込ませようと意識してる感じだったから、自然体でそれが出来るようになれば君の剣は人でもモンスター相手でも通用すると思う。」

 

「どうする?もう1戦やる?」

「いや、1度考えを整理したいのでベル兄と交代します。アイズさんは休憩入れなくて大丈夫ですか?」

「このくらいなら平気だから、気にしないで」

「わかりました」

俺は少し離れた位置にいたベル兄と交代する

「ベル兄、バトンタッチ」

「わかった。でもベリル凄いね、アイズさん相手にあんなにくらいつけるなんて」

「手加減してもらってやっとだよ」

俺は肩を竦めて返答する

「それでも凄いよ!僕なんて反撃すら出来ないんだから」

「戦闘スタイルの問題だろ、ほら、行ってこいベル兄!」

ベル兄とアイズさんが向き合い組手が始まる

俺は先程の戦いを整理しつつベル兄の戦闘を自分に置き換えてシミュレーションする

そうして5分と経たないうちにアイズさんの蹴りでベル兄が気絶する

「もう少し持って欲しかったな…」

気絶したベル兄をアイズさんが膝枕する

ベル兄が目覚めるまで他愛ない話をする

「毎回こうなんですか?」

「よく気絶させちゃうから、お詫び?みたいなものかな?」

「そうしてるとベル兄のお姉さんみたいですね」

「そうすると君も私の弟って事にならない?」

「確かに、だとしたら俺は小生意気な弟ですね」

笑いながら返答する

「そうかもしれないね、でもベルと一緒にいる時に君がベル兄って呼んでたから弟だってわかったけど、多分君の方が兄に見られそう」

「ベル兄みたいな弟はごめんですね、危なっかしくてほっとけないかもしれません」

「弟だと違うの?」

「上手く言えないんですけど、兄だからで済むんですよ。弟だと」

「そっか」

「うわあああ!?」

ベル兄が突然飛び起きる

「やっと起きたか、ベル兄」

「あれ?僕、どうなったの?」

「アイズさんの蹴りで気絶して今までずっと意識飛んでた。」

「そんなあっさりと言わなくても……」

「なんで気絶してる兄の心配しないといけないの? ダンジョンとか戦闘中ならまだしも、組手ってか稽古だよ、これ」

「いや、それでも気絶してたんだけど!?」

俺たちのやり取りを見ていたアイズさんは

「大丈夫そうだね……」

「まぁ、多少の事じゃへこたれたりしませんよベル兄は」

「そっか…じゃあ気を取り直して2戦目やろうか」

「お願いします」

俺とアイズさんが一定の距離をあけて武器を構える

仕掛けたのは2人同時だった

お互いの剣がぶつかり火花が散る

俺は拳を握りアイズさんの腹部目掛けて拳を打ち出すが逸らされる

それは予測済で蹴りを放ち距離を確保して剣の連撃を繰り出す

剣の軌道が読まれているわけではないが対処が的確なためアイズさん相手に決定打にはなり得ない

俺は1度大きく距離を取り刺突の構えをとる

「教えたこと、上手く活かせてる。けど、まだ拙いからそれを自分なりに形にしていかないと、それが隙になる」

「えぇ、よくわかりましたよ!だから、今の俺が出来る最大の一撃を繰り出すことにします」

俺は地面を蹴り力を腰へ、腰から腕へと伝え、その全てを剣先へと集約させ、鋭い刺突を放つ。

力とスピードが十分に乗った鋭い一撃がアイズさんに一直線に迫る。

だが、その瞬間アイズさんが風を纏い素早い動きで回避し、反撃され

再び剣を突きつけられる

「今の回避……もしかしてスキルか何か使いました?」

「うん、一瞬だけ……じゃないと避けきれないくらい鋭かったよ」

 

今の一撃……判断が一瞬でも遅れていたら、確実に私に届いていた……。

一度教えただけなのに、もう身体の使い方を変えてきている。

とりあえず俺の番は終わりということで再びベル兄と交代するが

ベル兄はアイズさんに手も足も出ないどころかギリギリもって5分といった感じだった。

その後組手を終えると俺達はその足でダンジョンへ向かった。

 

-ダンジョン-

 

俺は階層を降りつつ目に付いたモンスターを倒していく

11階層まで降りた時山吹色の髪をポニーテールにし桃色の戦闘衣装(バトルクロス)を纏ったエルフの少女がインプ相手に魔法を放っていた。

「穿て、必中の矢、アルクス・レイ!」

光の矢が命中しインプが魔石に変わる

俺は戦闘が終わったタイミングで声をかける

「お疲れ様、レフィーヤ」

「あなたは...確か...ベリル!」

「うん、正解。改めて、俺はベリル・クラネル。よろしく」

「よろしくです」

俺達は握手を交わす

「とりあえずなんでここにいるか聞いてもいい?」

「はい、えっと...」

レフィーヤの説明を整理するとわかった事は

・ファミリアの遠征が控えてる

・そのために少しでも並行詠唱をモノにしたいこと

・そのために自分に合ったやり方を模索してるところ

の3つだ。

俺もダンジョン探索する予定だしちょうどいいかと思い1つ提案する

「ならとりあえず、前衛がいる状態でやってみるか?」

「え?それって…一緒に探索してくれるって事ですか?」

「そう、俺、Lv1だし普段ソロだから俺の方もパーティー組んだ時の連携の訓練にはなるしさ、どうかなと」

レフィーヤは少しだけ考えた後、頷いた

「そういうことなら、よろしくお願いします」

「じゃあ、パーティーとして改めてよろしく」

俺達は再び握手し臨時パーティーを結成し探索を開始した。

 

11階層を2人で探索し始めてすぐオーク2体と一体のインプが立ち塞がる

「とりあえず、援護よろしく!」

ヘスティア・ブレードを引き抜き、【獄炎】を纏わせオーク達に向かっていく

炎を纏わせた剣を振り距離をレフィーヤから引き剥がし蹴りを放ってインプをレフィーヤにけしかける

「一体任せるよ!オーク2体は引き受ける」

「うん!」

レフィーヤは杖を構えて詠唱に入る

「【解き放つ一条の光、聖木の弓幹、汝弓の名手なり。狙撃せよ、

妖精の射手。穿て、必中の矢アルクス・レイ!!】」

光の矢がインプに向かっていき一瞬でインプを貫き魔石に変える

「インプじゃあこんなもんか」

あえて倒さず牽制していたオーク一体をけしかける

「一体倒したからって油断してると足元を掬われるってね」

残ったオークを斬りつけ魔石に変える

「レフィーヤ!一体そっちに行ったぞ!」

「え!?きゃあああ!」

レフィーヤはオークに驚き背を向けて逃げる

「逃げるならそのまま詠唱しろ!注意を引き付けてから至近距離で魔法をぶつけるんだ」

「そんな事急に言われても〜」

わかっていてもと言うやつかなと思いつつとりあえず今回は俺がやる事にした

「全く...」

俺は腰の鞘からショートソードを引き抜き、投擲する。

「こっちだ!」

フガァァ!

 

「【炎獄斬】!!」

炎の斬撃を飛ばしオークを焼き殺し魔石に変える

「レフィーヤ、魔導師ってのは後衛の固定砲台ってだけじゃなくて移動砲台ができないとダメなんだろ?今の君はまだ固定砲台ってだけで1発撃って終わりなんだ」

「でも、戦闘中にいきなりは...」

「うーん...並行詠唱ってのは移動砲台として動けないとまず成立しないし、杖だって使いようだ」

「難しいです...」

「俺は魔導師じゃないからなぁ〜どう言えば良いのか……」

なんて話しているうちにシルバーバックとオークに包囲される

「参考になるかわかんないけど、ちょっと見てて」

俺はヘスティア・ブレードを鞘に戻すと投擲したショートソードの位置を確認して駆け出す

そして俺が動き出すのにつられて一体のシルバーバックが追いかけてくる

チラリと後方を確認し腰から投擲用のナイフを引き抜き、シルバーバックに投擲し牽制、その隙にショートソードを回収し

そのままスピードを殺さないように体を捻り更に脚に力を込めて

駆け出しすれ違いざまに膝を斬り付けるそしてオーク達をシルバーバックの方に誘導しひと塊になったところに【獄炎】を放つ

「【獄炎-ヘルブレイズ-】」

漆黒の炎に焼かれモンスターが魔石に変わる

「わかった?動きで誘導して1箇所に集中させれば1度の魔法で倒せるしレフィーヤがそれを詠唱しながらできるならそれはそれで並行詠唱として成立すると思うんだ」

「な...なるほど...動きを誘導して1発で仕留める為に動く...か...」

「できそう?」

「すぐには難しいです」

「まぁ、失敗してもいいさ、今日は俺がレフィーヤの方にモンスターを誘導するから俺の動きに合わせて詠唱して1発で仕留める。これをやってこうか」

「わかりました!」

そうして探索していると再び数体のオークが現れる

「オークか...」

「なんでそんな不満そうなの!」

「オークよりはシルバーバックの方がやり甲斐があるから」

「わたしはシルバーバックに囲まれる方が嫌です!ついでにオークも嫌です!だから焼き尽くしてあげます!」

「全く……」

俺はヘスティア・ブレードを抜き獄炎を纏わせオークに向かっていく深傷をおわせない程度にオークを斬り付け1ヶ所に誘導していく

 

レフィーヤは既に詠唱していたようでもう少しで魔法が放てるようだ

「いける?」

その問いに頷きが返ってくる

「今だ!」

「【雨の如く降り注ぎ、蛮族共を焼き払え】ヒュゼレイド・ファラーリカ!!」

炎の雨がオークを焼き尽くす

「さすがだね!一撃じゃん」

「ベリルが上手くモンスター誘導してくれたおかげです」

「前衛として当然の事をしたまでさ」

俺は肩を竦めて返答する

休憩を入れるつもりだったがダンジョンはそう甘くは無いようだ

「ハード・アーマードかよ!シルバーバックもいやがる!」

「どうするの?ベリル」

「もちろん!戦う!アルクス・レイでシルバーバック一体を倒してくれる?」

「う...うん!」

「さて...ハード・アーマードは硬い甲羅が特徴のアルマジロだし、使ってみるか…」

レッグホルスターに挿していた鎧通しの短剣を引き抜き構える

ハード・アーマードが身体を丸め突進してくる

「【獄炎-ヘルブレイズ-】!!」

ハード・アーマードは止まらない

「一瞬でもスピードが緩めばそれでいい!」

俺は右に転がって躱し側面から短剣を突き入れ短剣を抜き蹴りを入れて引き剥がす

「そう簡単にはやられてくれないよね…」

レフィーヤの方を見るとギリギリでシルバーバックの攻撃を避けながら詠唱はしているようだ

「獄炎じゃ焼き殺せないし鎧通しの短剣は通るけど決定打にかける...ならどうするか」

俺は突進を回避しつつハード・アーマードの体表を傷付けていく

「甲羅の1部が壊れてくれたら良いんだが...長引かせるのも問題だ」

ならどうするか?答えは多少の無茶を押し通す!

ハード・アーマードが突進してきた瞬間に鎧通しの短剣を傷付けた部分目掛けて突き入れる

「1発だけなら耐えろよ!【獄炎-ヘルブレイズ-】」

短剣を突き入れ強引に動きを止め内側から獄炎で焼き尽くす

それが今の俺にできる攻撃だった。

ハード・アーマードが魔石に変わり甲羅の1部がドロップアイテムとして残った

「短剣ボロボロだな」

俺はレッグホルスターに短剣を仕舞うと手を前に出し【獄炎】を発動する

「「【アルクス・レイ】【獄炎-ヘルブレイズ-】」」

俺とレフィーヤの攻撃が重なりシルバーバックが魔石に変わる

「ベリル!苦戦してたみたいだけど大丈夫?」

「平気、ちょっと身体が熱いけど」

「なんで?」

「俺のスキルは使いすぎると身体に熱が籠るんだ、ここに来るまで連発したし少し休みたい」

「なら階層降りて1度休憩にしませんか?」

「賛成」

12階層に降りる階段を下っている時レフィーヤから質問が飛ぶ

「ベリルって本当にLv1?」

「Lv1。まぁ、初めて会った時に比べたら強くなってるよそりゃ」

「そうじゃなくて...上手く言えないけど」

戦闘そのものに慣れている

自分が詠唱していても、その邪魔になる位置に入らない

モンスターを必要以上に自分へ引きつけない

逆に、私が1対1で戦えるようにまたは確実にトドメをさせるようにモンスターを誘導してくれる

周囲の敵を見て、私が囲まれないように自然に立ち回っている

Lv1だとその辺全てが拙いというか...全部が全部上手い訳じゃないと思うんだけど…

そんな事を考えてる間に12階層に到着した。

12階層に到着してすぐ音波攻撃が俺達を襲う

「ぐっ……なんだ!?」

「頭が……割れる」

周囲を見回すが何もいない...となると上空!

上を見るとコウモリのような魔物が

「バッドバット...」

「音波攻撃が得意な魔物...ですよね?」

「あぁ、ちょっと厄介だけど...【獄炎-ヘルブレイズ-】」

バッドバットが炎を避けるように散開する

音波攻撃が途切れた瞬間ヘスティア・ブレードを引き抜き【獄炎】を纏わせ放つ

「【炎獄斬】! 」

上空にいるため簡単に攻撃が躱される

「レフィーヤ!あの炎の雨でやれる?」

「大丈夫!」

「なら任せる!」

レフィーヤは詠唱に入る

俺はその邪魔にならないよう複数いるバッドバットを1ヶ所に誘導する

「準備は?」

詠唱を途切れさせる事なく、指で合図してくる

「了解!」

俺は剣に纏わせている炎を刀身全体から剣先に集中させ刀身を延長する

「まだ未完成な技だし、失敗する確率の方が高いけど、ここは賭けに出るべきだ!」

揺らめく炎が龍の形を成していく

「【獄炎龍牙!】」

炎の龍がバッドバットに襲いかかる

まだコントロールが甘い為途中で形が崩れるが隙が出来ればそれでいい

「時間は稼いだぜ!レフィーヤ!」

「【雨の如く降り注ぎ、蛮族共を焼き払え】ヒュゼレイド・ファラーリカ!!」

炎の雨が降り注ぎバッドバットが焼き払われて魔石が降ってくる

「ふぅーキッついな……」

「私も今日は疲れました...下りたばっかりだけど、もう帰りませんか?」

「賛成、もう身体が熱すぎて体調不良の時みたいだ」

「そんなにですか?」

「触れてみるか?」

俺はグローブを外して手を差し出すとレフィーヤが握手するように手を握ってくるがすぐに離す

「熱!熱すぎです!なんでそんなに平気な顔してられるんですか!?」

「ん〜?慣れ?」

「ベリルって頼りになるのか時々抜けてるのか分からなくなります…」

なぜかジト目を頂戴する羽目になったがとりあえず今日の探索は終了という事で俺達は地上に帰還した。

 

-地上-

ダンジョンから出るともう少ししたら日が傾く頃合いだった。

「今日はありがとうございました。」

「こっちこそ!良い訓練になったし、不謹慎かもだけど、ちょっと楽しかったし」

「私は見ていてハラハラしましたよ」

「生憎とLv1なもんでね、多少の無茶は見逃してもらいたいね」

肩を竦めて返答する

「もぉ〜そうやって誤魔化す!」

「まあまあ!そうだレフィーヤ、遠征当日の朝また会えるかな?」

「え?まぁ……大丈夫だと思いますけど...」

「なら当日の朝にまたここで」

俺は強引に話題を切り替えてその場を後にした。

「あっ!ちょっとベリル!」

なんだかなぁ〜と思いつつ私はベリルが見えなくなるまで見送るのだった。

 

 

 

 

 




8話目です。投稿遅くなりすみませんでした。オリジナル展開な為
中々構想を練るのに苦労しました。次回もオリジナル展開のため投稿遅くなるかもしれませんが今月中の出せたらと考えているのでお楽しみに
次回「杖と剣/今出来る最高を」
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