FAIRYTAIL~錬鉄の魔導士~【凍結中】 作:深淵の守人
ララバイの処までのデータがあるので。
今日中にするかはともかく、なんですけどね。
~二話 駆け抜ける地獄と怨念と悔恨と 《後編》~
「駄目っ!!みんなあきらめないで!!戦わなきゃ駄目なの!!」
散り散りに散っていく仲間にエルザは叫ぶ。
そんなエルザに魔法兵が杖を向ける。
「エルザー!!」
「姉さーん!!」
ウォーリーとショウが叫ぶ。
劫火はエルザに向かった飛んでいく。
気づいた時には私の目の前に劫火が迫っていた。
だが、それは間に入ったロブおじいちゃんに当たった。
「ロ、ロブお爺ちゃん!!」
背中から焼け焦げた臭いが私の鼻を刺激した。
「こ……こんな老いぼれでも……少しは……役に立てて……良かったよ。……お爺ちゃんはとっくの昔に『魔力』はなくなっちゃったけどね……エルザちゃんには、まだ無限の可能性があるよ」
「おじいちゃん!!」
「こんな場所で、あんな笑顔が見れるとは、思わなかった。」
そう言って、ロブお爺ちゃんは膝をつく。
「自由とは心の中にある。エルザちゃんの夢は、きっと叶うよ」
そうして、ロブお爺ちゃんは息絶えた。
「あああああああ!!」
喪った。
傷つくだけじゃ済まなかった。
私は声上げる。
それに呼応するように辺りに散らばっている剣が、槍が、浮き上がって、魔法兵達に向かっていった。
「ギャーーー!!!!」
「逃げ――うわああ!!!!」
武器の群れが魔法兵を次々と貫いた。
魔法兵達の悲鳴がやんだ頃、辺りは静まり返っていた。
エルザ「これが……魔法……」
私は拳を強く握る。
これなら――
「あっ、まだだ、エルザ!!」
ウォーリーが何かに気付いて声を上げる。
「危ない、姉さん!!」
ショウが叫ぶ。
右を見ると倒した魔法兵の生き残りが、杖を向けて劫火を放っているところだった。
避けられない、そう直感した。
そんな私の前に、再び人影が入った。
地面に叩きつけられた。
シモン、流石に痛いぜ?
……あれ?
何でシモンが倒れているんだ。
……!?
素人の俺ですら解る位、顔が焼け、煙が上がっていた。
俺が寝ていたから……守れなかった……?
ハハ……ハハハハ………………………ふざけるなよ。
何の為に、力をもらったんだよ。
軋む身体を奮い立たせて立ち上がる。
―――身体など知ったことか。
近くにあった、今は身の丈程ある剣を拾う。
―――何だか力が湧いてくる。
ああ、やっと使えるようになったのか。
……シモンが傷つけられた後に!!
周りを見回す。
そこには、エルザとエルザに杖を向けた兵がいる。
「
魔術回路を何かが流れる感触を感じながら、強度を上げる。
駄目だ、もっと……アイツが放とうとしている魔法を防げるだけ……強く、より強固に!!
魔法兵から炎が放たれた。
間に合えっ!!
エルザの前に飛び出し、剣を下に向け、盾のようにする。
ガツンッと衝撃に押され、しかし脚に力を入れて踏ん張る。
炎と剣がこかつする。
拙い、このままじゃ二人とも炎に呑まれる。
「うおぉぉぉぉ!!」
剣を腹の部分においた左腕を支点に、炎の軌道を上にずらした。
「サクヤ!!」
エルザが後ろから歓喜の声を上げる。
しかし、今はそれもまともに届かない。
「ば、馬鹿な!剣で魔法を弾きやがった!?」
魔法兵は在り得ない事だと言わんばかりに否定する。
俺はそのまま剣を手にゆっくり近づく。
「ま、待ってくれ!見逃してくれ!」
畏怖した魔法兵が命乞いをし始める。
「……見逃す?………お前をか?」
「そ、そうだ!お願いだ!」
「……なあ、お前は何で剣は重いんだと思う?」
自然と口が動いた。
「……サクヤ?」
エルザが何時もと違うだろう俺に声をかける。
しかし、それにこたえる気にはならない。
「な、何の事だ」
魔法兵は突拍子も無い質問に疑問に思う。
「答えろよ。言っておくけど、物量の事聞いてんじゃねぇぞ。知ってるか?相手を剣で斬るとき、重みが増したように感じるんだ。それは何故だと思うか聞いているんだ」
握っている剣が段々と重くなってきている。
「し、知るか!」
魔法兵はまともに取り合わなかった。
それを聞き、咲夜の目は光った。
「だろうな。一度もそんな事、考えた事ない奴に答えられる訳がない。剣っていうのは、敵を斬る道具、即ち
これは、俺の単なる思い込みだ。
剣を握ったことが無い俺が、今握ってそう思っただけ。
しかし、不思議と間違った気はしない。
その場にいる誰もが、サクヤの言う事に耳を傾ける。
「命を絶つという事は、その命を背負うという事なんだ。斬る事を許されるのは、斬られる覚悟を持っていて、尚且つその命を背負える人だけだ。撃つ事を許されるのは、撃たれる覚悟を持っていて、尚且つその命を背負える人だけだ。……だが、アンタ等はどうだ?アンタ等は従わないから、口答えしたから、そんな理由で意味なく命を奪った。姿形は違えど、人の命は、いや、生き物の命は全て等しく同じ価値があるんだ!アンタ等はそれを何の気無しに奪ったんだ!!命の重さを分からない人でなしが、命乞いなんかしてんじゃねぇ!!」
噴きあがるのは怒り。
「ま、待ってくれ、等しい価値の命なんだろ!?なら見逃してくれ!!」
醜い、憎い。
そんなドス黒い感情が胸の内を支配する。
「人が剣に重みを感じるのは人を斬る時だけなんだ。人が背負える命も人だけなんだ。でもな、俺はアンタを人とは思わない。だから重みを感じることもないし、ましてやアンタの命を背負おうとは思わない!!」
振り下ろされた剣は魔法兵の胸を貫き、魔法兵は息絶えた。
畜生なんかにやれる感情なんか無い。
そう思ってしまうのは俺も畜生だからなのか。
初めて人を殺した。
肉を裂く感触、骨を砕く感触が、手に残る。
約束された平和を享受できた俺の世界とは違うんだと、改めて思う。
現実なんだ、これが。
この世界にとっての。
酷い話だ。
創作物じゃ済まないんだ。
生きてるんだ、この世界で、エルザ達は。
そして、何より酷いのは
俺は、どこかゲーム感覚だった。
駒を動かし、盤上を支配し、望んだ通りの結果へ導く。
俺は
何でも思い通りになると勘違いしていた。
ふと未だ電撃を受けたような痛みが走る右目の傷に触れる。
これはそんな俺へ罰なんだ。
「サクヤ!!」
エルザが安堵した表情で駆け寄ってくる。
嬉しそうに駆け寄ってくる。
そんな……そんな顔で俺を見ないでくれ。
「よかった。サクヤ、もう大丈夫だね」
そんな言葉をかけないでくれ。
「サクヤ?」
「……めん」
「え?」
俺から漏れた言葉は、
「御免」
ただ今までの謝罪だった。
「どうして謝るの?」
仲間に運ばれていくシモンを見る。
「俺なら守れたかもしれないのに」
倒れ伏したロブお爺さんを見る。
「俺なら救えたかもしれないのに」
俺がもっとちゃんとしていれば防げたかも知れない
「でも、サクヤは私を助けてくれたよ。だから―――」
「それじゃ駄目なんだ!!」
広い空間に俺の叫びが木霊する。
「それじゃ……駄目なんだよ」
「サクヤ……」
「俺は最低だ。傍観者気取って、真面目に受け止めてなかった。俺はお前達を軽く見ていた」
沈黙が走る。
その沈黙を先に破ったのは、
「サクヤは凄いよ」
目の前の
「皆に優しくて」
違う。
「達観していて」
違う。
「素直で」
違う。
「だから、サクヤは最低なんかじゃないよ」
「違うんだ、エルザ。俺は、そんなにできた人間じゃないんだ」
情けない話だ。
生きていたのはこの少女より長いくせに、俺は餓鬼そのものだ。
温かい手が俺の手を持ち上げ、包む。
「ううん。きっとね、サクヤは物凄く優しいんだ。そうじゃなきゃ―――」
手を離し、俺の右目の傷に触れる。
「―――私の身代わりにこんな傷受けたりしないよ。間違ったことを謝ることなんてできないよ。私はね、サクヤが来てから変われたんだよ?だから、これからも私はサクヤを信じるよ」
ああ、なんて―――
―――なんて
「今度は……」
―――もし
「エルザを」
―――この少女との出会いが運命だったならば
「皆を」
―――俺は、この少女を
「守るから」
「うん」
―――華のような笑顔で応えてくれた彼女に誓おう。何があっても、『絶対に守り抜く』、と
「ジェラールは?あいつは何処に?」
ジェラールにはエルザのことを頼んだ。
あいつが此処にいないなんておかしい。
「サクヤを助ける為に囮になって」
エルザの言葉に目を見開く。
「捕まったのか!?」
「……うん」
嫌な予感がする。
もし、もし
剣を拾い上げ、俺が押し込められた懲罰房に走ろうとする。
しかし、エルザに腕を掴まれた。
「私も行く!」
「だ―――」
いや、待て。
此処で彼女を置いて行けば、彼女は此処に囚われることになるかもしれない。
危険と解っている。
ならば誓いを守るためには、彼女を連れて行くしかない。
結果辛い思いをするかもしれないけれど、それでもまだ救いがある。
同時に、先に海岸に向かわせた仲間達の事を考える。
……全ては救えない。
どちらかを切り捨てなければならない。
そして思った。
まるで、
常にこの二択に迫られ、彼はより多くを救うために戦った。
一を切り捨てた。
俺は如何すべきなのか解らなくなる。
俺はエルザもジェラールも助けたい。
皆も助けたい。
どうすれば―――
「サクヤ!!」
目の前でエルザに叱責され、現実に引き戻される。
「考えるのは後!!ジェラールを助けなきゃ!!」
そう言って、彼女は走り出す。
止まらない。
止められない。
だから、俺は―――
「待て!俺が先攻する!」
―――エルザを選んだ
御免なさい。
俺は、貴方達を見捨てる。
懲罰房で腕を縛られ、吊されたジェラールを見つけた。
「ジェラール!!」
「ジェラール、大丈夫!?」
俺達は駆け寄り、縄を斬る。
「終わったぜ、何もかも。」
「そうだよ!!私達は自由なんだよ!!」
そう言い、倒れ込んだジェラールを抱き起こす。
けれど、彼の瞳には
「……サ……クヤ……エルザ……もう逃げる事はないんだ。」
何もかもが遅すぎた。
「本当の自由は、ここにある。」
ジェラールは、エルザに手を伸ばす。
パシンッ
俺はその手を払いのけ、エルザを持ち上げて後ろに下がった。
「何を……!」
俺の行動にエルザが疑問を投げかける。
「ジェラール、俺達の自由は此処にありはしない。ゼレフなんて、手を出してはならない」
「ゼレフ……?」
一人だけ理解していないエルザはおろおろする。
だが、ジェラールは歪んだ笑みを浮かべた。
「なんだ、お前は知ってたのか。なら、俺が言いたいこと分かるだろ?ゼレフの世界こそ、本当の自由だ!」
違う。
「今なら奴等の気持ちも、少しは分かる。あのゼレフを復活させようとしていたんだ。だが、奴等はその存在を感じる事が出来ない哀れな信者どもさ」
間違えるな。
なあ?、なんて言いながら、ジェラールは近くに横たわる看守の頭に足を乗せる。
「この塔は俺がもらう。俺がRシステムを完成させ、ゼレフを蘇らせる」
「ど……どうしちゃたの?ジェラール……」
様子がおかしいジェラールに動揺するエルザをジェラールは見据える。
そして、ジェラールは不適な笑みを浮かべ、看守の頭を―――
グシャッ!!
―――踏み潰した。
その後も、ジェラールは魔法でどんどん看守達を殺していく。
「アハハハハハハハハハハハ!!」
無惨な看守達を見て、ジェラールは笑い狂う。
気付けたのに。
如何して。
手が届かない。
「ジェラール……しっかりしてよ……。きっと何日も拷問を受けていたせいで―――」
エルザがジェラールの異常に涙する。
しかし、ジェラールは否定する。
「俺は正常だよ。サクヤ、エルザ……一緒にRシステムを……いや、『楽園の塔』を完成させよう。そして、ゼレフを蘇らせるんだ」
既に手遅れだ。
「ジェラール駄目だ。お前は間違ってる」
「馬鹿な事言ってないで、私達はこの島を出るのよ!!」
俺達は拒否した。
その瞬間、ジェラールの目が光った。
「
剣に強化をかけ、補強する。
魔法は防ぎきったが、勢いは殺せず、エルザと共に後ろの小さな崖まで吹き飛ばされた。
二人ともゴロゴロと転がり落ちる。
「っ~!エルザ、大丈夫か?」
「なんとか」
ふらふらと立ち上がる。
ジェラールが崖の上に歩いてきた。
「いいよ、そんなに出て行きたければ二人でこの島を離れるといい」
「二人?」
ジェラールの言葉にエルザが疑問を返す。
「ジェラール!!」
止めなければ。
「他の奴等は全員俺がもらう。心配するな、俺は奴等とは違う。みんなに服を与え、食事を与え、休みを与える。恐怖と力での支配は、作業効率が悪すぎるからな」
「ジェラール話を聞け!!」
だが、ジェラールは黙って、右腕を何かを掴むように突き出す。
すると、下から黒い手が俺とエルザの首を掴み、締め上げ始めた。
「く、苦しい!」
息苦しさにエルザは苦しい悲鳴を上げる。
「お前達は、もういらない。殺しはしないよ。邪魔な奴等を排除してくれた事には感謝してるんだ。島から出してやろう。かりそめの自由を堪能してくるがいい」
「ジェラ……ル…お…ねが…だ…話を……」
聞いてくれ。
「分かってるだろうけど、この事は誰にも言うなよ?政府に知られるのは厄介だからな。バレた暁には、証拠隠滅で、この塔及びここにいる奴等を消さなければならない。お前達が近づくのも禁止だ。目撃情報があった時点でまず一人殺す。そうだな……まずはショウあたりを殺す」
止められないのか?
「ジェラ………ル。」
エルザはボロボロ涙を流す。
俺じゃあ、何もできないのか?
「それがお前達の自由だ!仲間の命を背負って生きろ!アハハハハハハハハハハハ!!」
そこで俺達の意識は途絶えた。
気がついたら浜辺に流れ着いていた。
エルザは俺がしっかり抱えていた。
エルザはまだ気絶しているようだ。
歯車は狂いだしてしまった。
「ジェラール……俺は必ず
そう、胸に誓った。
この部分は改良しました。
話に違和感出てないといいんですけど。
そして情報覗いたらもう見てくれている人がいて更に評価が一ポイント付いていた。
嬉しくて泣けてくる。
次回頑張ろうかな、と。