価値観置き場ー 作:なんで?
「で、お前は何をしているんだ?」
「いやはや、少し本を読み直していたのさ。10、というのはキリがいい数字だろう?だから私をこうやって読み直しているのさ。」
「それを本というのは侮辱だがな。」
「そうだね、まぁ、落書きより少しマシってところかな?」
俺は最初からどんどんと読み直していった。
「ほら、君が前触れたこと。何故人は時間を無意味に溶かすのかって問いに、一話で答えてるじゃんか。理想になるための夢、能動さが足りないって。」
「確かに、そうだ。もしこの小説がなければ堂々巡りとなっていただろうな。ならついでに書き加えてくるといい。闘争心は長続きしないと、特に何もない日ではな。」
「あぁ、そうだね。」
「でも、少なくとも今は滾ってるだろう?天王山を前にしてるだから」
沈黙が、おりた。
「悔しさ、というのは何故湧き上がってくると思う。何故人は努力して、結果が出ないと落ち込むのだ?
労力に見合った成果が出ないから、そうだろう?ただ、勉学でみるならそれを良しと見るはずだ。間違えたということは、成長の余地があるということだ。なのに人は、正解を求める。それは何故だ。」
「なんだ、簡単な話じゃないか。」
「プライドしかないだろう。そんなもの。」
「自分は優秀だ。そんな自分がこれだけやったのだから、それ相応の成果は出てないとおかしい。もし、出ないとしたら、それは自分の能力の欠如を認めることになる。そんなの、ごめんに決まっている。
誰だったら努力の次には勝利、成功を望むものさ。」
「だったら、勉学とは成功して当然、失敗したら不甲斐なさを押し付けられるだけのものではないか?」
「そうだ、そうなんだよ。でも、そう認識しちゃだめなんだ。優秀な人間の定義は、1発で正解することじゃない。失敗を100%学べるやつなんだよ。
間違いがない人間ないるはずないんだ。だから、恐るな。挑戦して、挑戦して、挑戦して、気の遠くなるほどの時間をつぎ込んで、死ぬほど頑張ったと断言できるほど自分に負担をかけて、その摩耗した先に、お前の才能を示せ。
それまでは、耐えろ。自分は天才だと言い聞かせろ。成功したら、喜べ、お前は学んでる。失敗したら、悔しがって、そして学べ。そしてその後お前は喜びを得るだろう。」
そうか、そうなのか。
「感情というのは、いつだって表裏一体なものさ。悔しがるというのは、そこに喜びの余地があるということだ。辛いということは、それを乗り越えた先に幸福があるということさ。そのチャンスを、虎視眈々と見極め続けろ。そして当たり前が全部揃った時、いつもより歩きやすくなってるはずさ。
何、実際登山もそうじゃないか。実際頂上に着いた時、一歩一歩の距離からは想像できないほどの距離にいる。なら、それと同じさ。」
「はっ、そうだ。」
当たり前を、揃え続けろ。そして、それは日の目を浴びるだろう。
「何、どん底にいるなら、そこから這い上がることしかできないということさ。」