価値観置き場ー 作:なんで?
「そうだ、それが、答えかもしれんな。
努力はするな、か。革新的だな。」
「別にね。人は無意識に楽しんでるものさ。曲や、何気ない会話、やりとり。人生の楽しみなんてそれで事足りるんだよ。
だから、いつものレベルを一歩上げて、いつも通り過ごす。それだったらいくら遊び呆けてようとも、『いつも』は守られんだから、関係がない。
なんかさー。能動的な楽しさとか、幸せとか。そんな人生張り切らなくて良いんだよ。『いつも通り』に、楽しむ。それだけが全てさ。」
「なる、ほど。なるほど。そうか、そうか。」
そりゃ、そうだ。
「でも、君は周りに追いつかなければならない。君の理想に近づくためなら、より苛烈に、より高いいつもが求められる。
とは言っても、きみはその低いレベルですらこなせてないから無駄なんだろうけどね。さて、それを踏まえてきみには何が残ってる?
君は人生で、その勉学において特筆すべきものを持っているか?
化学が面白くて実験に明け暮れてた日は?物理について一日中考察していたことは?外国に行って英語力を蓄えたことは?数学で天才的な発想は?ショートスリーパーで一日三時間で済む能力は?他を凌駕するような集中は?
・・・ない、どれもないさ。ま、確かに積み上げられたものはあるかもしれないけど、それは理想とは程遠い。」
「それを対処するための答えは、なんて問いは愚問だな。」
「そうだね。ま、今までのツケを、アドバンテージをどれだけ活かせるかは君次第だ。とにかく、時間を注ぎ込めば上がるというのは確かだ。
ま、その効率が良ければ文句なしなんだけどね。」
「とにかく、いつも通りが。」
「ま、それでこの議論を終わらせても良いんだけどね。君の前言っていた能動的な楽しさ、というのは興味があるね。
さっき語ってた理想にはそれがなかったじゃないか。そんなのはきみにはないのか?」
「強いていうのなら、これだ。思いの丈を、脈絡もないまま書き綴る。ま、本当は面白い物語というのがあれば文句なしなんだがな。生憎と、それを練る構成力はない。」
「でも、それでも君は何個も書き切った。それは、君の能力として誇って良い。特筆するべき点というのがあるのならそれだ。
君はこの瞬間に、青春が終わったと言われたら納得できるかい?」
「あぁ、きっと、出来るさ。出来るとも。」
やりたいことは、全部やり切ったはずなのだから。
「そうか、俺は、亡霊だ。やりたいことを全て終えて、でもまだ何か楽しい、生き甲斐を求めて足掻いている。それが、俺だ。もうとっくに終わってたんじゃないか。」
「うん、そうだね。君は、終わってたんだ。青春の形は、君は形作ってたはずだ。」
「あぁ、あぁ、俺は、弱いな。」
まだみっともなく、まだ何かを求めてるなんて。
「それが、人生の醍醐味だね。
君は失敗した。あの瞬間に全て終えて、未来に全て投じるという誓約を。それは何とも絶望的な証だね。」
「なぁ、俺は、どうすればいい?教えてくれ。」
「口を開けばまたそれかい。もう答えは示しているだろう。」
「いつも通りに生きようぜ、いつも通りに!」