価値観置き場ー 作:なんで?
「ふぅー。」
俺は一度シャープペンシルを置いた。
「おやおや、スマホに手を伸ばすのかい?感心しないねそれは。」
「何でお前がいるんだよ?」
はぁーどでかいため息をついた。
「いやいや、本当はきみの友人や他の登場人物をシミュレートしてここに現れても良かったんだけどね。生憎と、そういうキャラエミュというやつは体力を使うんだ。」
「はっ、不便なものだ。創作物ならもっと自由であってもいいだろうに。」
「うん、そうだね。もっと自由になっていこう。」
相変わらず、こいつと俺の会話は支離滅裂だ。
いや、そもそもこんなものは会話と呼ぶべきだ。妄想癖とか、そういうものを拗らせた結果と考えるのが妥当だ。
「やっぱ学校生活って大変だねー。色々現実が見えてしまうからね。自分だけ成績がダントツに悪くて、崖っぷちに追い詰められてる現実が。」
「あぁ、ほんとうに嫌になる。でも、それが、それだけが本当なんだよ。
俺は今まで積み上げてきたものがこれなんだ。」
「それで、君は周りより劣ると判明してしまったけど、どうしたい?」
「あぁ、確かに劣ってる。でもそれは完全じゃない、まだ絶望じゃないはずだ。」
「ふーむ。」
俺は手元にあるシャーペンを手に取り、それを中指と薬指で挟み込んだ。そしてそれを親指に引き寄せるようにグッと力を込めた。
まぁ、ペン回しをしようとした訳だ。
「さてさて、成功したのかな?」
「さぁ?多分失敗したんだろ。」
その結果出てる前に、シャーペンはふっと消えて、気づけばまた俺の手元に収束していた。
相変わらず、支離滅裂な世界だ。
「失敗か成功か。そんな単純な結果は明記したくなかったんだろうね。」
「くだらんことよな。」
はぁ、と落胆の息をついた。
何をしたいのかなんて、忘れてしまった。
「いやいや何言ってんのよ。勉強だよ、勉強。とりあえず迷ったらペンを握ればいいのさ。」
「そりゃ、そうか。」
ふっーと深く息をついて再び机と向き合った。
アークナイツのアクリルスタンドが辺りを囲っている。
「言い聞かせろ。自分は天才だと。そして信じるんだ。自分はやればやるほど成長できると。間違えた?ならそれ相応の要因がある訳だ?
知識不足。解法の閃き、ケアレスミス、解釈の間違え。なんでも、何でもいいから探し出して、そこを潰せ。それをしなければ成長は見込めない。逆にいえば、それさえすれば成長できる。
当然のことだろう?だから、そこは保証してやれ。学ぶというのはそういうものさ、人間は失敗する。例えば、食事前にモンスターをのんで、気持ちよく食事ができない、とかね?」
それ今の俺じゃねぇか。
「まぁ、なんだい。そういう似たようで、異なるミスをしながら人は生きていくのさ。人は最善と思える行動をとっていく。それがどれだけ愚かであれ、それは不変のことなんだよ?」