閃光の月虹蝶   作:tatararako

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ニディガアニメが終わったので、書きました♡

一話を投稿させて頂きます。
……短いけど。
   
   


月虹蝶

    

    

この世界は狂っている。

 

SNSの登場以来、容姿、人気、収入、友達の人数、恋愛遍歴、知能指数。

あらゆるステータスが数値化され、監視され、みんなは異常性に気付いているけれど、誰も声をあげることはできない。

思想の危険度、面倒臭さ、炎上経験、目立った分だけ余計な数字が増えて社会性を測られる。

 

社会性の低さはダイレクトに生活と繋がる。誰も数字と監視社会からは逃れられない。

他人を気にしないふりをしてスマホを叩き割れない。

 

……この世界は狂ってる。狂いきっている。病んでいる。

 

 

「エナドリ買って来て?」

「今日出勤。」

 

私かちぇは、彼氏にそう言って、私は出勤しに行く。

 

その出勤の途上で電車に揺られながら、後ろのFollowers数が低そうなおっさんに障られるし、触られる。

……この世界は狂っている。

 

だから私はスマホという板を見て、気にしないようにした。

 

そうして、駅に着いたあとは、煌びやかなだけの、明るいだけの繁華街の途を歩いて出勤場所へ向かう。

途に転がる携帯というスマホという画面が割れた板を見ながら私は思う。

 

他人を気にしないふりをしてスマホを叩き割れない。

 

…………この世界は狂ってる。狂いきっている。病んでいる。

 

そうして、壁が汚れた雑居ビルに入り、息が詰まりそうなエレベーターに入って、目的の階に着いたら、目的のコンカフェ……私の出勤場所のコンカフェに着く。気の抜けた「おはようございまーす。」で入ると。

 

「ミルクで感覚が鋭くなる。」

 

と言って、客に媚びを売る。

"若さ"を武器に、その代償として"若さ"を浪費して……そのせいなのか、その成果なのか、お客は歓声を上げていた。

 

「ウルトラバイオレンスの~……じゅんびー、かんりょーう!!」

「「かんりょーう!!」」

 

嬉しそうに叫んでた。

 

「ねね?でさでさ、ナイショで連絡先教えてよ?」

 

教えるワケないだろ?此処は結婚相談所じゃねーぞ。

 

「パパ活とかにも、キョーミあったりしない?」

 

ねえよ。立ちんぼに聞け。

 

「整形したいから韓国行きたくて、200万ぐらい貯めないと……。」

「ムリムリ、貯まらんて。この前言ってたおじから、引っ張れないの?」

 

そして、遠くから同じ職場で働く同僚の話が聴こえる。

……狂ってる。

 

「じゅんかんりょーう!」

「「じゅんびかんりょーう!!」」

 

……病んでる。

 

「無理、アイツもう金無い。っていうか聞いて?最悪性病を感染されたかも。」

「うわ……マジ?汚物が接触してくんなっての。」

「それな。……はぁ~、パッチリ二重に産まれなかった時点で親ガチャ失敗だし。」

「じゅんびかんりょーう!」

「「じゅんびかんりょーう!!」」

 

……狂いきってる。

 

「かちぇちゃん?かちぇちゃん?」

「……え?……あ、うん?」

 

私は客の声にハッとなる。

……そうだ。今は接客中だった。

 

「ねえねえ?男とか居んの?」

「……居ないよ。」

「じゃ、今度二人で"いいところ"行こうぜ?」

「……え?」

 

……低俗。

 

「オレ、この前パチで勝って、金が有んだよ?」

「……ぶへへ、あ、何?酔った?」

「ねえねえちょっとぐらいで良いからさぁ~?」

 

……死んでくれ。

……死んでくれ。

……死んでくれ。

 

 

 

 

 

 

 

~~~♪

 

こうして、私は家に帰る。

私はメイクしながら、私の彼氏が珍しく弾いているのを見て、驚く。

 

「……その美血華って娘。かちぇの同級生なんだろ?」

「……うん。今でも偶に遊ぶ。」

「ん……そっか、気にし過ぎなんじゃね?……今のフレーズどうかな?」

「どうしたの?急に?」

「なんか急に創作意欲が湧いてよ?」

 

家に入り浸って、近所迷惑とか言われて、もう殆ど練習なんかしてなかったのに……。

 

「……殆ど練習もしてないクセに。」

「うっせ、オレはこれから成功するんだよ?」

「……仕方ないじゃん?私達には"特別な才能"が無いんだから?偉そうに神様みたいにさ?」

 

私達には"特別な才能"なんか無い。

自分で言っておいて……なんかムカつく。……なんか腹立つ。

 

『――――アイツラはインフルエンサーを"別世界の人間"だと扱って、好き勝手に言う。

"同じ人間"だと認めちゃうと、「なんで自分は"アレ"になれないんだー?」って狂っちゃうから。

人間じゃない「物」としてイジメるか。過剰に推して崇めるか……。』

 

すると、超てんちゃんのインタビュー放送が始まっていた。

 

「偉そうに言っても、みんな直ぐ炎上したりするよね?超てんちゃんだって、何度も批判されてるワケじゃん?」

 

……私も超てんちゃんと同じようなことを言う。

 

『燃やしたがりだよねー?

手は届かないから、火を点けたがる。

発言や行動にいちいち揚げ足を取って気持ちよくなる。

 

……"革命中毒"。

 

生きるための革命じゃなく、革命の状況を見たくて生きてる。』

 

……そして、私は思う。

 

じゃあ、どうしろっていうんだよ?

 

『他人と比べなければ良いのに。

無限の不特定多数と接続されるスマホを自分から開きに行く。

勝手に上と自分を比べてメランコリー。

 

幸せを知っているのに、不幸なフリを繰り返す。

 

……誰かが、痛みを引き受けないと、この場所で救われた誰かが……次の誰かを救済す――――』

 

すると、超てんちゃんのインタビュー放送を私の彼氏が閉じてしまう。

 

「……見てたのに?」

「ワリィ、何か聞いてると、創作意欲が無くなるんだよな……。それより、」

 

そして、私の彼氏は珍しく、超てんちゃんを見ると、

 

『辛いせきに♰昇天♰しそうなアナタへ♡早めの――――』

「……何か、こういう?へんな女人気だな?」

 

 

 

 

 

ふざけんな。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

…………私………あめちゃんは、テレビを珍しく観ていた。

理由は、皆が思う超てんちゃんを見る為だ。

 

……要するにエゴサ。

 

『本日は、インターネット文化に詳しい専門家の方にお越しいただきました。

……本日は、よろしくお願いいたします。』

『……はい。よろしくお願いいたします。

今、若者たちは、すっかり"推し文化"に洗脳されています。……自分達が推しているスターをまるで神様のように崇拝し、盲目的に引っ張られていきます。

そんな巨大な影響力を持ちながら、例えば"不謹慎な発言"や"薬物を使用したり"など、過激なパフォーマンスを行うモラルの無い配信者が問題になっているのです。』

 

……フフ♡

 

『ウチの娘もすっかり影響されて……ああいうモラルの無い配信者に、自分と重ねたりして、ちょっと怖いですね。』

『子供達が配信者なんて"虚像"に憧れて、まともに育たなくなることが心配です。』

 

……フフフ♡

 

『ぶっとんだ常識外れだからこそ、若者が憧れるっていう理屈も分かるんですけどねぇ~?あんなのが流行ってるなら、ネットも終わりでしょう。』

『このまま、インフルエンサーによる"悪影響"が広まれば、若者の動画配信を規制する手段も考えざるを得ないでしょう。』

 

……フフフ♡

 

素晴らしい♡……信者の盲目的な絶賛も、娘が居るおばさんも子持ちも何処かの先生も国会議員のおっさんの低俗な罵詈雑言も……世界中が私に向けられている♡

 

『――――では、現在、最も人気者で、だからこそ、最も"悪影響"を懸念される配信者と言えば?』

 

……こんな一人の女の子に、中学校すらまともに通ってない底辺だけでなく、結婚して家庭を築いてる凡庸な人も、良いところの大学に行った先生や国の偉い人も、私のこと何も見えてない。

 

そんな人達が、賢しらな批評や誇張した感想で言っている。

 

みんな、何も分かってない。

 

……私には、ピが居れば良いハズなのに……誰にも見てもらえなかった私が、中学すらまともに通ってない底辺とか、凡庸な家庭を持つ人とか、偉い学校に行った偉い先生とかに、

 

世界中から承認されて、

期待されている。

 

……どんな薬物よりも、脳内麻薬が止まらない♡

最高の快楽だよっ♡

 

『マフティーです。』

『マフティー。』

『……何か、ガンダムのマフティーっていう子。』

『マフティー・ナビーユ・エリン。』

『マフティー・ナビーユ・エリンです。』

 

…………は?……誰?




    
    
……こんな感じでよろしくお願いいたします。

ハサウェイとか気に入るよな。あめちゃん。
    
     
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