聖蹄祭。秋に行われるこの祭りでは様々な出し物が行われる。喫茶店、焼きそば屋台、大食い競争、そして——。
「うぉぁあああ?!」
「ポッケ~、大丈夫かい?」
出口で待っていたフジキセキが声をかける。そう、お化け屋敷だ。
「苦手なのは知ってるけど、怖さを実感してからの方が良いんじゃないかって思ってね。」
フジキセキは手を伸ばす。
「それに今回は私の自信作なんだ」
フジキセキの伸ばした手をつかみ、立ち上がる。
「に、苦手なんてことないっすよ」
「あ~、でも怖かったね」
隣にいたダンツフレームは答える。彼女も息を切らせていた。
フジキセキは胸を張る。ジャングルポケットは平然を装っているが足が震えたままだ。
(くそ、フジさんの前だってのに……。)
数カ月前——
「やあ、ポッケ。聖蹄祭が近づいてきたね」
「フジさん!聞きましたよ、お化け屋敷やるんすか!」
「まあね。といっても私は裏方だけど。キャストも不足してて色々大変だよ」
「協力させてください!な、ダンツもやるだろ?」
「うん!楽しそう」
そして、聖蹄祭当日。
せめてホラーじゃなかったらな、タイマンだったら負けねーのに。
「おっと、そろそろ時間か。二人とも準備室に入ってくれ。メイクしよう」
「はい!行こう、ポッケちゃん」
「お、おう」
「リーダー、後で見に行きますからね!」
舎弟たちに片手で合図をし、ダンツフレームに先導される形でジャングルポケットは教室に入った。下がった尾を隠すようにフジキセキがジャングルポケットの後ろに続いた。
教室に入り衣装を着替え、メイク担当のウマ娘が顔にメイクを施していく。ついたてに阻まれて見えないが、向こうではダンツフレームもメイクを施されているようだ。基本目をつむっていて見ていなかったが時折フジキセキが様子を見に来ているようだった。
「どうでしょう?」
「うん、完璧だ。ポッケ、終わったよ」
フジキセキの合図で目を開ける。鏡に映った自分は土色で傷だらけのゾンビになっていた。ボロボロの服を着て髪はぼさぼさ。変わり果てた自分の姿に言葉も出なかったがフジキセキの満足そうな顔を見ていると嬉しくなる。
不意に肩を叩かれた。きっとダンツフレームだろうと思い振り返る。
「おおダンツ、おわった……ウォッ?!」
ジャングルポケットの目には、制服の姿のダンツフレームが立っていた。ただ、顔が卵のように凹凸無く、片手には錆びた鋏を持っていた。
「わあー、ポッケちゃんゾンビなんだあ」
顔が覆われているので声はこもっているものの、前は見えてはいるようだ。
「ふふっ、二人とも完璧だよ」
その後簡単な演技指導がフジキセキからあり、その後お化け屋敷へスタンバイすることになった。ダンツフレームは薄明りのある柱の陰、ジャングルポケットはスモークの焚かれたうす暗い墓場エリアで待機することになった。
「ここの陰に隠れてお客さんを驚かせてね。なに、雰囲気にはすぐに慣れるさ」
フジキセキにはから元気で返事をしたものの、一人になると途端に心細い。ここはお化け屋敷らしいBGMもなく、ギミックも自分だけなので周囲にウマ娘もいない。隠れているお墓にわずかに光が当たる程度で、近くには横たわったマネキンや長髪のウィッグがはみ出ている井戸があり、ますます恐怖心が増す。早く誰か来てくれないだろうか。
遠くから足音が響く。ジャングルポケットは不安と半ば安心する気持ちで物陰に隠れた。
カツッ。カツッ。
徐々に近づいてくる。胸の鼓動で足音がかき消される。
足音が大きくなってきた。今だ。ジャングルポケットは勢いよく墓の陰から飛び出す。
「ウガアア」
「おやおや」
鼓動で距離感を測り損ね、若干間の悪い位置で飛び出してしまった。そして間の悪いことにその相手が——。
「ふぅン、興味深いねえ。お化け屋敷というのはおどかされる側だけが恐怖するものだと思っていたがお化け役も恐怖心があるのか」
「……うるせえよ、タキオン」
よりにもよってアグネスタキオンだった。
アグネスタキオンは止まらない。
「いやいや!ポッケ君がいるタイミングでお化け屋敷に入れるとは。こんなことだったら心拍数を計測する機械を付けてもらえばよかった」
「てめえ……」
「おっと、お化け屋敷でお客さんに触れるのはご法度だろう?」
おどけた様子で距離を取るアグネスタキオン。一呼吸おいて彼女は指摘を始める。
「しかし、周囲の環境に怖がっているようではお化け役も務まらないだろう?さっきのダンツ君の演技はなかなかだった。君は憧れのフジキセキがいるからこの役を買って出たんだろうが、このままではねえ?」
何も言い返せない。気づくと強くこぶしを握り締めていた。
「そう怖い顔をしないでおくれよ。そんな君のためにいい薬がある。ほら、これだよ」
そう言ってタキオンは近づき、青色の錠剤を二錠手渡した。
「それは苦手や恐怖心を一時的に和らげる薬さ。心配しなくていいとも。私の薬はすべてウマ娘が飲んでも異常がないように作っている。もっとも、レース前に飲むのは推奨しないがね」
ジャングルポケットは薬を見つめる。
「なに、飲む飲まないは自由さ。薬の効力は三時間程度。ちょうど君のシフトが終わる頃だろう。飲むなら後で感想を教えてくれたまえよ」
「ま、待て」
タキオンは白衣を翻して先に行ってしまった。その場にはジャングルポケットと手に握られた二錠の錠剤だけが残った。
このまま、フジさんの期待を裏切るようなことをするのか?でも、タキオンの薬だ。何が起こるかわからねえ。それにタキオンに情けを賭けられたのも癪に障る。
遠くで悲鳴が上がる。舎弟たちも来るからかっこ悪い姿は見せられない。それにフジさんは今回、演出面をほとんど担当したようでその出来栄えに満足していた。となると俺が足を引っ張るわけにはいかない。俺のせいでお化け屋敷が失敗に終わったら……。
——クソッ!
ジャングルポケットは待機場所にある水で錠剤を飲みこんだ。薬を飲んでしばらくすると、段々と心拍が静かになり不思議と恐怖心を感じなくなった。さっきまでうす暗かった墓場も、横たわるマネキンも、長髪のウィッグも、怖さを感じなくなった。
「ウガアアアア!」
「ギャーッ!」
ジャングルポケットは調子よく怖がらせていった。客としてやってきた舎弟たちも自分と気づくことなく逃げていく。
「調子良さそうだね」
「あっ、フジさん。お疲れ様っす」
「心配で様子を見に来たけど大丈夫そうだね」
「はい!お任せください!」
「安心したよ。あ、そうだ。行列の中に君のトレーナーがいたから教えに来たんだ。」
「相棒が?」
トレーナーが驚いて腰を抜かす姿を想像するとワクワクが止まらなかった。
「それじゃあ、時間までお願いね」
そう言ってフジキセキは戻っていった。
その後も順調に驚かせていった。腰を抜かす者、走って逃げる者、命乞いをする者……。そんな折遠くから聞き覚えのある声が聞こえてきた。トレーナーだ。何度も悲鳴を上げているのが聞こえてくる。なんだかんだ怖がりなんだよな。
しめしめと物陰に隠れた。トレーナーが角を曲がってくるのが見えた。うわ、とトレーナーの声が聞こえる。いかにも何かが出そうな墓場なのだ。相棒はどんな驚き方をするだろうか。ワクワクが止まらない。
パタパタとトレーナーの足音が近づいてくる。そして、その音に比例するように寒気が増してくるような気がした。心拍数が上がって息苦しい。トレーナーの顔を想像するとむかむかした。なんであいつが俺のトレーナーなんだ?
嫌だ、見たくない、近づいてきてほしくない、聞きたくない、気持ち悪い、想像するだけで吐き気がする。いつの間にかえづいていた。
「ポッケ!そこか、大丈夫か!?」
えづく声で気づいたのだろう。演技ではないと判断したトレーナーが血相を変えて近づいてくる。
やめろ、見たくない。
トレーナーがジャングルポケットの背中を触ろうとする。咄嗟に思いっきりその手を跳ねのける。
「触んじゃねえ」
睨みつけながら低く唸るように言い放つ。突然のことにぽかんとした顔のトレーナー、その顔を見ているだけで腹が立つ。
「何ガン飛ばしてんだよ?気持ち悪ぃ……、とっとと失せろ」
「ポッケ……?」
動揺した様子のトレーナー。手が出そうだった。
「だからとっとと失せろってんだろ!ああ?!」
ポッケは近くのマネキンを蹴り飛ばした。衝撃音とともに頭が吹き飛んでいった。
すっかりおびえた様子のトレーナーは走って逃げだした。
「大丈夫かい?!ポッケ!」
慌てた様子のフジキセキがやってくる。
「ああ、フジさん。大丈夫っすよ。すいませんマネキン壊しちゃいました」
「あ、ああ……ポッケが無事なら良いんだけど。すごい音がしたけど何かあったのかい?」
「あー……、まあちょっと質の悪い客がいたもんで。でも大丈夫っすよ」
「そ、そうかい。何かあったら言ってね」
フジキセキは怪訝そうに戻っていった。
「交代だよ、お疲れ様。やっぱりメイクすごいねえ」
交代のウマ娘がやってきた。汗だくになりながら控室に戻る。先に帰っていたダンツフレームと合流した。
「はじめは慣れなかったけど慣れたら楽しかったね」
ダンツフレームは鋏をチョキチョキと鳴らしている。顔は見えないが上機嫌なのだろう。メイク落とすからおいでと呼ばれ、ついたての向こうに去って行った。
さて、俺もメイクを——。
「……お疲れ様です」
「うぉっ!なんだよカフェか」
同期のマンハッタンカフェが立っていた。たしか彼女も幽霊役で参加するとは聞いていたが。
「ん、カフェは今シフトだったか?」
「いえ、前のシフトでしたが少し気になることがあったので……。」
「気になること?」
「メイクを落としてから話しましょう」
そういうとマンハッタンカフェはついたての奥に引っ込んでいった。
すっかりメイクを落としたダンツフレームとジャングルポケットの二人を連れてマンハッタンカフェは入り口のフジキセキに声をかけた。四人は他の人に聞こえないように輪になった。マンハッタンカフェが切り出す。
「……さて、本題ですが。ポッケさん、トレーナーと何かありましたか?」
「トレーナー?」
思わず目を見開き眉毛を吊り上げるジャングルポケット。その様子に驚いた様子のフジキセキとダンツフレーム。
「いったいどうしたんだい?君の相棒だろう」
「どうしたもこうしたも——」
「やあやあ、ポケット君!どうだったかな私の薬は?」
後ろからアグネスタキオンがやってくる。ジャングルポケットを除く三人が事情を察し、ジャングルポケットの前に来たアグネスタキオンを取り囲むように立った。
「おお、最高だったぜ!流石はタキオンだ」
やけに友好的なジャングルポケット。
「そうだろうそうだろう、あれは自信作だとも」
満足げな二人にフジキセキが口を挟む。
「ポッケ、さっきの話の続きだよ。トレーナーとの間に何があったか話してくれるかな?」
真剣な目をしたフジキセキに驚きながらも、ジャングルポケットはトレーナーが近づいてきて気持ち悪かったと答えた。
「というわけなんだが、タキオン?」
「ふぅン、そうか。なるほど、あの薬には恐怖心を押さえる副作用として自分の信頼のおけるものに敵意が芽生えるのかもしれないねえ。いやはや、貴重なデータだ」
事も無げに答えるタキオン。
「つまり、ポッケは恐怖心を押さえるために君の薬を飲み、そして代償としてトレーナーに対し敵意をぶつけたってこと?」
「ああ、そういうことになるね。いやあ、まさかこんな副作用があるとは」
「「「タキオン(さん)(ちゃん)!」」」
三人がタキオンを責めていると、ジャングルポケットが震えているのに気が付いた。
「ポッケちゃん?」
「お、俺、相棒にひどいことしちまった……?」
フジキセキは頭を押さえた。マンハッタンカフェが答える。
「フジキセキさんに言われて、ポケットさんのトレーナーさんの様子を見てきました。落ち込んではいましたが、でも怪我はしていなかったですし……」
言い終わるのを聞く前にジャングルポケットは駆け出した。普段なら廊下を走ると止めるフジキセキだが、今日は止めなかった。
「相棒!」
トレーナー室を思いっきり開ける。ビクっと体を反応させた後、ジャングルポケットの姿を認めたトレーナーは身体をこわばらせている。
「相棒、これはその……」
トレーナーは逃げこそしないものの、身体をこわばらせ机の下では足が少し震えている。瞳が小さく揺れていた。いつもなら優しく笑って許してくれたはずだ。カフェが言うには落ち込んでいたと言っていた。俺がここに来るまで相棒は何を考えていたのだろう。
やってはいけないことをしてしまったのだ。ジャングルポケットはその事実に気づき全身から力が抜け膝をつく。
「は、はは……」
乾いた笑いしか出ない。
「ポッケのトレーナー!すべて私のせいなんだ!すまない」
フジキセキがトレーナー室に入ってきた。違う、フジさんのせいじゃ……。
フジキセキがトレーナーに事情を説明し、ダンツフレームはジャングルポケットに寄り添った。明らかに機嫌の悪そうなマンハッタンカフェはジャングルポケットの舎弟たちをトレーナー室へ近づかないようにしながら、アグネスタキオンを睨みつけていた。アグネスタキオンはすごすごと部屋に入る。
「だから、ポッケが本心で君のことを拒絶しているわけではないんだ」
説明を聞いたトレーナーはジャングルポケットを見る。静かに近づき、ポッケの前にしゃがむ。
「ポッケ」
呼びかけにジャングルポケットは前を向けない。四つん這いのまま耳を寝かせたままだ。
「ポッケ、すまない。すっかり誤解を……」
「ちげえ」
下を向いたままジャングルポケットは震える声で答える。
「悪いのはトレーナーでもフジさんでもねえ……。恐怖に飲まれた俺だ」
吐き捨てるように答える。
「俺が弱えばっかりに、あんなものに頼っちまった」
「あんなものとはあんまりだなあ」
「タキオンさん……」
割って入ろうとしたアグネスタキオンをマンハッタンカフェが押さえる。
「俺は……」
「誰にだって得意不得意はある」
トレーナーは遮るように答える。
「だからトレーナーがいて、仲間がいるんだ」
ジャングルポケットは黙ったまま聞いている。
「弱点があったって最強になれる」
「そうだとも!むしろ弱点があるくらいの方が可愛げがあって、」
「お願いですから少し黙っていてください」
アグネスタキオンを睨みつけるマンハッタンカフェ。
「だからポッケ」
トレーナーはまっすぐに手を差し出す。
相棒の手をつかんでいいのか、わからなかった。俺が悪い。フジさんも、相棒も気を使っている。そんな都合よくトレーナーの手をつかんでいいのか。でもここでつかまないと永遠にトレーナーとの間に溝が生まれてしまう気もした。
「ポッケちゃん……」
ダンツが心配そうな声で声をかけた。しばらくして、ジャングルポケットは意を決したように手をつかんだ。そしてトレーナーに抱きつき、そして我に返ったかのように距離をとった。
「こっちは一件落着かな、さて……」
フジキセキはアグネスタキオンの方を向く。
「今回はちょっと度が過ぎたかなあ?」
「いやあ、すまないと思っているよ」
フジキセキに目を合わせずアグネスタキオンは答える。
「とりあえず薬は没収するね?」
「……改良すればいい薬になったはずだが仕方がない」
アグネスタキオンは肩をすくめる。
「そして、タキオンのトレーナーさんに飲んでもらう」
「ふぅン?」
アグネスタキオンはフジキセキの方を向いた。
「大切な人に拒絶される苦しみを君も理解すると良い」
「いやいや、流石にそれは……」
言いかけたアグネスタキオンだが、フジキセキの視線に声を失う。
「……さすがにタキオンさんのトレーナーさんがかわいそうです」
マンハッタンカフェが口を挟む。
「トレーナーさんはたしかダンツさんやタキオンさんのトレーナーさんと仲が良かったですよね」
「まあ、おかげさまで接点も多いから」
「であれば三人で旅行など行かれてはいかがでしょう。ダンツさんとポッケさんは私のトレーナーに練習を見てもらえばいいですし、しばらくレースもなかったと思いますが」
たしかにレースはないが、でも。
「私にも手伝わせて欲しい。今回ポッケに無理をさせたのは私なんだ」
フジキセキも同意し聖蹄祭後の旅行が決まった。
「さて、トレーナーさん。さっきは楽しめなかっただろうから、もう一回お化け屋敷に招待させてくれるかな。今度はポッケと一緒に」
「えっ?」
ジャングルポケットは変な声を出す。
「お化け屋敷は混雑していたけど」
「そろそろシフト交代の時間だからね。一瞬だけ隙間ができるから待たせはしないよ。なにより楽しまないままのお客さんがいるというのはエンターティナーの名に恥じる。どうか招待させてくれないだろうか」
それならまあ、とトレーナー。戸惑う様子のジャングルポケットにフジキセキは優しく微笑む。
「ポッケ、さっきトレーナーさんも言っていたじゃないか。弱い部分があってもいいって」
「別に弱いわけじゃ……」
「じゃあ決まりだね」
フジキセキは先に行って待ってると言ってトレーナー室を出た。
「じゃあ私たちは先に他の場所回ってから合流しようか。ごゆっくりー」
ダンツフレームとマンハッタンカフェはアグネスタキオンを連れてトレーナー室を出た。
トレーナー室にはジャングルポケットとトレーナーが残された。
「じゃあ、行こうかポッケ」
トレーナーが席を立つ。
「……おう」
やや間があってジャングルポケットは答えた。
聖蹄祭も終わってトレーナーたちは旅行に出かけた。アグネスタキオンとマンハッタンカフェの部屋でタキオンはチューブをかじる。
「チューブでも飢えはしないが味気ない。やはり研究もはかどらないなあ」
「いいことじゃないですか」
マンハッタンカフェはコーヒーをすすりながら答える。
「つれないなぁ、カフェ」
「あの薬は残ってないですか?私も飲めばタキオンさんに優しくできるかもしれませんね」
「カフェ~」
コーヒーを飲み終えたマンハッタンカフェは席を立った。
マンハッタンカフェが部屋を出るとちょうど小柄なウマ娘が通りかかるところだった。
「ジャーニーさん、今回はありがとうございました」
「おや、奇遇ですね。いえいえ、こちらも頼ってもらえてありがたい限りだ」
急な予定だったが旅行の相談ということでフジキセキがドリームジャーニーを紹介してくれた。
「しかし、お優しいお方だ。もっと厳しい罰もあったろうに……」
「それは、きっとポケットさんも望まないでしょうから」
ドリームジャーニーは納得したように息を吐き懐中時計を見る。
「今日の夕方にも帰ってくる予定だよ。ちゃんと予定通りに出発したはずだ」
「ええ、ありがとうございます」
練習終わり、いつもよりも急いで制服に着替え、校門前でトレーナーの帰りを待ち構えるジャングルポケットたち五名。両手に土産物を持ったトレーナーを見て大きく尻尾を振った。