それだと推しの活躍が減っちゃうじゃない!!
……せや、生き返らせればいいんや!!
これはそんな発想から生まれた小説です。
9月13日の、のどかな午後三時。
それが、人類が知る“日常”の最後の一瞬だった。
突如、世界から青色が死んだ。
雲ひとつなかったはずの秋天が、脈打つ心臓のように不気味な赤へと変容したのだ。空が凝固したような、どす黒い柘榴色の光が、街のすべてを血の海のように染め上げていく。
「な、に……これ……?」
川沿いの遊歩道。一人の少女が、変わり果てた空を見上げたまま硬直していた。
スマホの画面には『圏外』の文字。突如として街中の喧騒が消え失せ、不気味なまでの静寂が辺りを支配している。
怪奇現象は、空だけに留まらなかった。
少女の目の前で、頑丈なはずのアスファルトが泥のように融解し、悍ましい悪臭が鼻腔を突き刺した。
空の孔から湧き出してきたのは、見たこともないコールタール状の巨躯だった。
それは生物と呼ぶにはあまりにも歪な、赤黒い泥の塊。それがまるでCMで昔やっていたスライムの入ったバケツの玩具をひっくり返すように、地面に、アスファルトに広がった。
その速度は尋常では無かったが、すぐにその質量にも限界が訪れたのだろう。粘性の物体は不運にも近くに居た人々を飲み込んだ。
そしてその直後、そのドロドロとした表面には、無数の人間の眼球がランダムに浮き沈みし始め、ギチギチと歯を鳴らす乾いた音が静寂を切り裂く。
まるでクトゥルフ神話に登場する神話生物、ショゴスのようにその粘性物体は人間の部位や臓器を表面に無秩序に産み出していく。
「いや……、いやぁあァッ!!」
人類の歴史のどこにも存在しない、想像を絶する化け物の出現に、少女の脳は完全に処理を拒絶した。
逃げなければいけないのに、恐怖で膝が激しく震え、地面にへたり込むことしかできない。横倒しになった複数の自転車、主を失って放置されたベビーカーが、今しがたまでここにあった平和の残骸として転がっている。
コールタールから伸びた粘着質な触手が、獲物を見定めて鎌のように鎌首をもたげた。
「(だれか……だれでもいいから、助けて──)」
これまで生きてきた世界の常識が、足元から音を立てて崩れ去っていく。
少女はただ、初めて遭遇する圧倒的な死の気配に呑まれ、涙に濡れた目で絶望に打ちひしがれるしかなかった。
数秒後に自分は死ぬ。そう確信し、目を閉じた。
だが、世界は絶望と同時に、希望が誕生していた。
ギンッ、と。赤黒い粘液を垂れ流していた空の孔が両断された。
「もう大丈夫よ」
溌剌とした、女の子の声。
少女は目を開けた。
そこには、煌びやかな赤い衣装を纏った少女が、不釣り合いなロングソードを握って化け物に対峙していた。
少女は思った。魔法少女みたいだ、と。
この災厄を生き延びることになる少女は、まさしく彼女のような存在が“魔法少女”と呼ばれるようになることをまだ知らなかった。
「天使様、想像以上にグロい見た目でもう心折れそうなんだけど!!」
魔法少女が剣を構えながら、ヤケクソのようにそう叫んだ。
彼女の傍らに、半透明な中性的な少年のような存在が、ホログラムのように浮かび上がる。
その背には、幾学的な翼のような光るナニカが存在していた。
『天使ではない。管理者だ』
「どっちでも良いわよ!!」
『それより、早く事態の収拾に努めろ。この世界が滅んでもいいのか?』
「分かってるって!!」
魔法少女が跳ぶ。斬る、炎を纏う。
粘性の化け物を切断し、焼き払う。
まさしく、テレビの中から出てきたような魔法少女そのものだった。
全てが終わった後、少女は病院で意識を取り戻した。
両親が泣きながら彼女の無事を喜んでいた。
だが、少女のように運のいいものばかりではないのは、病院らしからぬ騒がしさが証明していた。
病室備え付けのテレビからは、繰り返し先ほどの化け物について報道がなされていた。
その内、深夜だと言うのに政府の偉い人が記者会見を行った。
──“
そう命名されたと発表された。
それだけだった。
それから一年と半年。
少女、『葦原 一花』は中学二年生になった。
あの化け物の存在は、世界の日常となった。
毎日のように世界のどこかであの化け物、ゲダモノは出現していると聞く。
そして毎日のように、大勢の人間が死んでいる。
政府はあれを“特級事象災害”と分類した。
ゲダモノによって国土を失う国家も少なくない。
だが人類は何もしないわけでは無かった。
各国の軍隊は対処に乗り出たが、まるで歯が立たなかった。
だが、この世界には災厄と同時に、希望もまた与えられていた。
“天使”の啓示を受けて、魔法の力を得た存在──魔法少女だ。
ゲダモノの対処を終えてマスコミに取材された魔法少女たちは、皆そう語る。自分の力は天使に与えられたのだ、と。
政府もまた、ゲダモノの存在を“天使”の啓示によって告げられたと発表した。
世間は彼女達を盛大に称えた。天使に選ばれた救世主だと。
一花のクラスの女子たちも、どの魔法少女が推しだとか、そんな話をよくしている。
そして、一花にとっても、魔法少女は憧れの対象だった。
とりわけあの日、彼女を救ってくれた最初の魔法少女──“イグニス”の存在は今も脳裏に焼き付いている。
彼女の活躍は目覚ましく、イグニス以外の魔法少女が増えても日本の対ゲダモノ災害の一線で常に活躍していた。
彼女は最高の魔法少女で、最強で無敵の存在だと、誰もが思っていた。
──彼女の戦死が報道されるまでは。
日本の為に最期まで戦った彼女は、国葬をされるほど国民に偲ばれた。
ニュースには他にも戦死した魔法少女の遺族もインタビューに応じ、娘もイグニスと共に最期まで戦いました、彼女の冥福を祈ります、と涙ぐみながら語った。
「うそ……」
イグニスの訃報は、一花を打ちのめした。
「嘘よ、イグニスが死んだなんて……」
一花の心は、あの災厄の日がフラッシュバックした。
イグニスが日本を守ってくれていたから、彼女は安心していられたのだ。
「そんなの嘘よ!!」
『嘘ではない』
泣きはらす一花はその声に顔を上げる。
天使だ。半透明の天使が、降臨していた。
男性とも女性とも取れない幼く中性的な顔立ち。
金髪のショートヘアに、青い瞳。白いローブ。
『イグニスは死んだ。もうこの世には存在しない』
「天使、さま……?」
『天使ではない。この世界の管理人だ。私はこの世界の創造主より、管理・運用を委託された存在である』
それを天使と呼ぶのではないのか、一花はそうぼんやりと思った。
『端的に用件を伝えよう。葦原 一花、お前には魔法の才能がある。強制はしないが、その力をゲダモノと戦うために使ってはくれないだろうか?』
一花の返答は、すぐだった。
「わかりました。私、魔法少女になります」
『結構だ』
天使は無感情に、ただの事務手続きを終えたかのように淡々とそう応じた。
天使は言った。自分の与える魔法はその者の魂から生ずるものである、と。
一花の脳裏には、イグニスの魔法が色濃く残っていた。
だから一花には炎の魔法が発現したのは当然の事だった。
『一花。君は未成年だ。本名を公開して戦うわけにはいかないだろう。
魔法少女としての名前を決めて欲しい』
天使は、政府との一種の仲介役もこなしていた。
魔法少女達を管理し、必要以上にメディアや衆目に晒されないように配慮をしていた。
「そんな、急に言われても……」
『私の方で適当に候補を考えてもいいが?』
今まで魔法少女になるなんて露にも思っていなかったのに、急に魔法少女としての名前を決めろと言われても、と一花は困った。
『イグニスもそうだった。適当に私に決めて欲しいと、そう言った」
「……じゃあ、私はイグニスみたいな魔法少女になりたい。
彼女の後継者になれるような、そんな魔法少女に!!」
『わかった。……では“ヴェスタ”と。君は決して絶えぬ炎となりたまえ』
わかったわ、と一花は頷いた。
『一花、ゲダモノだ。君が一番近い、出陣をしてほしい』
一花が魔法少女になって、数日後の下校時ことだった。奴らはいつも逢魔が時に現れる。
天使からのテレパシーが彼女の脳内に響く。
「天使様、御願いします」
祈りの姿勢と共に、一花は魔力を解放する。
ドクン、と魔力が鼓動する。
一花の心臓の鼓動に呼応するように、足元から真紅の炎が渦を巻いて立ち上る。それは彼女の柔らかな肌を焼くことはなく、恐怖で震えていた心に温かな勇気を灯していく。
炎が体を包み込むと、着ていた制服が光の粒子となって弾け飛んだ。
光の糸が虚空で交差する。代わりに彼女の体を包んだのは、炎そのものを織り込んだような美しい真紅のドレスだった。
幾重にも重なる深紅のフリルがふわりと広がり、腰には引き締めるような黒いリボンが結ばれる。足元を覆う編み上げのロングブーツがアスファルトを力強く踏みしめると、弾けた火の粉がキラキラと希望のように宙を舞った。
イグニスと同じ、赤色。
けれど、一花自身の真っ直ぐな意志を示すような、どこか凛とした静かな熱を帯びた赤だ。
最後に、頭上の空間が熱で歪み、炎の中から一本のたいまつのように先端の燃える杖が現れる。
一花が迷いなくその柄を握りしめ、力強く横に薙ぎ払うと、周囲の空気が熱を帯びて気流を産む。
それによって、炎の帳が晴れる。この間、一秒にも満たない時間だった。
そこに立っていたのは、あの日、足を取られて何もできなかった無力な少女ではない。
偉大なる先代の意志を継ぎ、絶望の空に再び炎を灯す者。
──魔法少女ヴェスタだった。
『君の初陣となるが、不安はあるか?』
「ない、わけじゃないけど……。私、戦ったことなんてない」
『では一応君に変身時インストールされる恒常魔法について説明しておく』
ヴェスタの脳内に、無数の情報が流れ込んでくる。
恐怖、痛覚の抑制、基本的な近接戦闘用パッケージ、魔法用弾道計算パッケージ。認識阻害、飛行魔法、自動防御、その他etc。
『変身している間は、これらの恒常魔法が常時適用される。例え徒手空拳だろうと、この世界で最強位の人間にも力負けしないだろう。
あとは自らの戦闘スタイルを確立し、好みの魔力配分でどの部分を伸ばすか決めるといい』
「わかったわ、天使様」
『私は天使では……──いや、もう君には訂正すまい。
戦闘中は私の方からオペレーションを行う。可能な限り、撤退の指示には従ってほしい。従わない場合、君の生命は保証できない』
「……」
命は保障できない。
感情の欠片もない声だった。命は保障できない。天使がそう断言するということは、彼の指示を無視して戦死した魔法少女が、過去に何人もいるという事実の裏返しだった
「了解です」
『私もそう願うよ』
ヴェスタは跳躍し、空を泳ぐ。
視界には、空を穿つ孔と、赤い空が広がっているのが見えた。
地上は、地獄だった。
サイレンが鳴り響く。
休日の駅前広場。平和の象徴であったその場所は、一瞬にして阿鼻叫喚の坩堝と化していた。
ズブ、ズブブブッ、と。
ひび割れたように空から傾けたバケツから絶え間なく流れてくるような赤黒い泥の塊──『ゲダモノ』が、凄まじい質量を伴って広場を飲み込んでいく。
「きゃあああああッ!!」
「逃げろ!! ゲダモノだ、逃げ──」
悲鳴と怒号が幾重にも重なり、パニックに陥った群衆が雪崩を打って逃げ惑う。帰宅時間であるのも相まって、現場は既に惨憺たる有様だった。
だが根源的な恐怖によって統制を失った人間の群れは、それ自体が凶器のようだった。転倒した誰かが無数の靴底に踏みにじられ、骨が砕ける鈍い音が響く。
助け起こそうとする者は誰一人いない。誰もが、背後に迫る圧倒的な死の気配から一秒でも遠ざかることしか頭になかった。
それはまるで、古典文学に描かれた地獄の底を思わせる光景だった。
這い広がるゲダモノの粘液は、逃げ遅れた人々の足を絡めとり、這いずる亡者を煮詰めるコールタールの池のように、彼らを生きたまま底なしの泥の中へと引きずり込んでいく。
「いや、いやだ! 離せ、離してくれェッ!」
泥に半身を飲まれたスーツ姿の男が、必死に指を地面に突き立てる。
しかし、爪が剥がれて血が滲むだけで、彼の体は容赦なく融解していく。
直後、赤黒い泥の表面には、先ほどまで彼であったはずの眼球や肉片が無秩序に浮かび上がり、苦悶の形相のまま蠢動し始めた。
ギチギチ、と何百もの歯を鳴らす怪異の咀嚼音が、人々の断末魔を軽々と塗り潰していく。あまりにも冒涜的なまでの責め苦がそこにあった。
迫り来る赤黒い絶望の波。行き場を失い赤黒い泥土に押し潰される人々。
神に見放されたようなこの世界で、彼らの虚しい悲鳴だけが、不気味に染まった空へと吸い込まれていった。
だが、天使が遣わした使徒は彼らを見捨てなかった。
「炎よ!!」
空からヴェスタが、杖の炎を振るう。
不浄を焼く炎が舐めまわすように地上に広がっていく。
「ま、魔法少女だ!!」
「たッ、助かった……!!」
赤黒いコールタールの泥が燃え上がり、勢いを止めるのを見て人々は安堵する。
魔法少女、希望の象徴だ。
だが、この程度で災厄を撃退できるのなら、誰も戦死などしない。
ましてや、最強を誇ったイグニスも。
『開口部より、更なるゲダモノの噴出を確認』
「急いで封印するわ!!」
ヴェスタに寄り添うようにいる半透明の天使が告げる。
やり方は分かっていたし、何度も魔法少女たちが動画で行っているのを見た。
だが、彼女は知らなかった。
『非推奨だ』
「なんで!!」
『封印作業は、基本的に三名以上で行うべきだ。封印術式の構築は、一人では無防備になる。
つまり、増援を待つべきだと推奨する。それまでは地上に沸いたゲダモノの対処を』
「地上の対処も同じことじゃない、私ひとりであの量は!!」
『事態対処能力のある君と、一般人の価値は違う』
天使は淡々と、冷酷な言葉を突き付ける。
「命に違いなんてあるわけないでしょ!!」
『ここで言い争いをしている場合か? この戦闘は君の善意によって成り立っている。だから強制はしない。
だが君が死ねば、私は君より劣る才能を持つ者を動員しなければならなくなる』
ヴェスタが天使に選ばれたのは、彼女が特別だったからではない。
順番に、動員されているだけの話だった。
それは戦争が長期化すれば、子供が戦場に招聘されるのと同じだった。
地上を見る。
「だ、だれか、たすけて──」
かつての彼女のように、足を取られ転び、助けを求める幼い少女が見えた。
手を引いていた母親が子供を抱きしめるが、それは死を覚悟した者の行動だった。
「だめぇ!!」
ヴェスタがゲダモノを食い止めようと炎を操る。
間に合わない──。
天使は言った、優れた者から動員している、と。
ヴェスタは優れたヒーローでは無かった。
戦場で言い争いなんて未熟が、判断の遅さが、この悲劇を招いた。
その筈だった。
津波のようなコールタールの泥が、割れた。
それは彗星のようだった。
彼方から魔法少女が急降下し、巨大な泥の津波を退けた。
「もう大丈夫よ」
それは、あの時と同じだった。
「う、そ……」
ヴェスタは己の不覚を恥じた傍から、絶句していた。
白銀のロングソードを薙ぎ、再び泥と臓物の波を押し返す。
乗馬服のように見える赤い装束、赤い三つ編みをたなびかせるその姿は、──魔法少女イグニスそのひとだった。
「し、死んだはずじゃ!!」
「何をしているの!!」
彼女の声に、ヴェスタはハッとした。
「長くは持たない。地上は抑える、早く封印を!!」
「わ、わかりました!!」
憧れの魔法少女に叱咤され、ヴェスタは急いで封印の魔法をスタンバイする。
だから彼女は気が付かなかった。
イグニスの動きに、精彩が欠いていることに。
「封印開始!!」
『了解、権能承認。神意を適用する』
ヴェスタが祈るように杖を掲げると、上空に巨大な光輪が展開された。
幾何学的な光の輪は、歯車のように噛み合いながら回転し、無機質な機械音と共に巨大な鎖を形成していく。
それは慈悲深き魔法などではない。空に開いた孔と、そこから這い出るゲダモノを、物理的に空間ごと縫い付けて傷跡をやけどで塞ぐように強引で、中の怪物を焼き滅ぼすための冷酷な神罰そのものだった。
肉が焼けるような音と共に、空の孔が塞がっていく。
化け物の落ちる穴は、徐々に蛇口を絞るかのように減って行った。
「封印、完了!!」
初めての大魔法に、ヴェスタは額に汗を拭う。
「よくやった、後輩ちゃん」
それを見上げていたイグニスは笑った。
「これで安心して、後を託せる」
彼女は全身の魔力を解放した。
逆巻く炎が、彼女を包んだ。
その光景は魔法少女になってすぐのヴェスタにも異常な光景だとわかった。
「い、イグニスさん、なにを──」
「ゴメンね、こんな姿を見せたくないの」
イグニスはまだ地上に残るゲダモノの泥だまりに突貫した。
「いや、行かないで!!」
ヴェスタの叫びは虚しく。
大爆発が駅前を包んだ。
イグニスの自爆特攻により、ゲダモノの残りはまとめて焼却された。
世間は、新しい魔法少女の誕生と、その被害を抑えた力を称えた。
だが、事実は彼女しか知らない。
あの時に居た、本物の輝きを持つ魔法少女の姿を。
「新人魔法少女ヴェスタ、大活躍!! だってよ!!」
暗い地下室に、スマホの灯りだけが灯る。
動画には、ネットニュースでヴェスタの活躍が取りざたされていた。
先ほど、いや先日死んだはずの魔法少女イグニスは、目を覚ました。
目を覚ましてまず鼻につくのはアルコールを始めとした薬品の臭いだった。
周囲には何かを格納するような台の収められた壁。彼女に知識があれば、モルグであると判断しただろう。
そんな中で、彼女は手術台のような場所に眠らされていた。
「また、死ねなかった……」
「よう。起きたか?」
イグニスが手術台から起き上がろうとして、ぼとり、と身体の一部が落っこちた。
「おいおい、まだお前の身体は未完成なんだって。急に動くなよ」
「私は、こんな身体になりたいなんて、言ってない」
イグニスは敵意を込めて、この部屋の主を睨む。
「なんだお前。もしかして男でも居たのか? こんな身体でキスしてなんて言えないってか? ぎゃはははは!!!」
部屋の主は、手を叩いて笑った。
「それにしてもお前、あんなボロい身体でよくあんなに戦えたよな。流石は最強の魔法少女さま!!」
「……あそこにいた人たちを助けられたことは、感謝してるわ」
でもね、とイグニスは、目の前の、そう、──魔法少女に告げる。
「私を弄ぼうとするなら、私は貴女も倒すわ」
そして彼女は、彼女の名を唱えた。
「────“
死者を冒涜する、異端の魔法少女はイグニスに笑って見せた。
見切り発車なので、需要が無ければ続きません。
前々から温めてたネタを形にしただけなので。
では、需要があったらまた!!