運営さまの言う通り   作:何処にでもある

33 / 49


 前回のあらすじ
 ビリデスの飛び火を喰らった山本はプールに突撃してなんとか生き延びた。
 だがあまりに急な出来事だったのでスマホを抱えたまま山本は飛び込んでいた!
 昇天したスマホを懐へ葬った山本はバイトの募集を見ることも出来ないまま、しみったれた顔で家に帰るのだった。




対策と事故/サブキャラを作ってみよう

 

 

 ヴゥン…。

 

「おにぃお帰……どうしたの? そんなにしみったれた顔をして」

「なんか全身発火したからスマホを持ったままプールに飛び込んで……スマホがオシャカになッチャッタ…」

 

 時は現代、俺は無惨な末路を遂げたスマホを片手に家に直帰していた。

 部活? スマホがなくなったのにそんな事する気起きなぁい……。

 

「うわぁ…買い替えのお金は?」

「丁度使い切ってるからないぽよ……エーコお願いだよぉ、お金貸しとくれぇ」

「………おにぃから貰ってるお小遣いを貯めた15万ならあるけど」

 

 よぉし、俺が出来る範囲でどんな願いも後払いで3つまで叶えてあげるから貸してくれぇ。

 

「うっわぁ♡ おにぃの癖になさけ……けほんけほん。もう、仕方ないなぁ。私が渡した夢の手紙のせいかもだし…いいよ貸しても。ただし、1週間後までに返してねー」

「おありがてぇ…おありがてぇよぉ…!」

 

 これで俺の全財産は今から0円から借金15万だね。今日はもう遅いから寝るだけだが、明日からは張り切って働こうと思う。

 え? 親に頼ればって? こんな事で親の手を借りるのはなんかダサいからヤダ。俺はもう自力で稼げるくらいにはなってるんだから、それで頼るのはなんだか抵抗感があるのだ。

 エーコ? エーコはほら、今までお小遣い渡したり誕プレになんか欲しがってたピアノを買ってあげたりしたから良いかなって……まぁ、自分でも情けない気はするけどね!

 

「……ん、ヨメネは? お出かけ?」

「ママと一緒にこれから通う中学決めー」

「あれ、小学からじゃないんだ。幼稚園に行く前に寝たきりだったんだけど、アイツ」

「その辺りは知らないけど……なんかテストの結果が良かったみたい。特に古語が良かったってさ」

「ほー…寝てる間に知能の基礎が出来ただけはあるってことかぁ」

「かもねー……これも夢の恩恵ってやつなのかなぁ…?

 

 しかし今日は散々だったね。

 電車で俺の胸を思いっきり鷲掴みされるわ、全裸でガラスケースに飾られるわ、身体が発火して燃え盛るわ、スマホ壊れるわ、碌なことが起きてない。

 運勢というものがあれば、確実に今日の俺は仏滅で大凶だろう。

 こんな日はサッサと寝るに限る。きっとこの獣の身体が悪いんだ、早いトコサブキャラを作って身体を変えられないか確かめるとしよう。

 

「おっとその前にエーコから預かっていた手紙は袋に閉じて…と。これでヨシ!」

 

 正しくは袋と言うより布だがまぁいいだろう。夢の世界からコッチに来た物品を封印出来るPF社の空間隔離の布袋だ。包めば取り敢えず安全は物理的な危険が消えるのが魅力的なんだよね。

 

「それじゃあおやすみなさーい」

 

 ……そういえば、サブキャラってどうやって作るんだ? キャラクリの後って毎回アバターの中に直通だったんだけど。アレかな、念じながら寝ればなんとか……な……むにゅ……。

 

 

 

 

 

 →【Access...OK.good game night】

 

 

 

 

 

[なるほど、そういった経緯でサブキャラを創りたいのですね、了解しました。ではコチラの画面から新たな旅立ちの準備をしてください]

「よし、コレでこの縁起の悪い兎の身体とはおさらばだね!」

 

 結論、念じてたらなんとかなった。思考を読まれるってこういう時に便利だってつくづく思うね。

 

[しかし宜しいので? その汚染の状態で別キャラに切り替えるのはリスクが大きいと思いますが。前例もありませんし、やめた方が得策かと]

「うーん…でも今日はビリデスのせいか分からないけど謎の発火で火だるまになったからなぁ。たとえ後1日だとしても痛くてムリムリ!」

 

 俺は普通に痛いものは痛く感じるし、痛いのはイヤなタイプだからね。避けられるなら避けられるだけ迂回するのだ。

 

[分かりました。では特別処置として今回に限り無敵設定を付与して置きましょう。このゲームで死人が出るのは望ましいことではありませんので]

「え、いいの!? やったー! いやぁ、話してみるものだね!」

 

 キャラクリをしながらオラクルと雑談していると、なんか特別処置を貰える事になった。嬉しいね、ああ嬉しいね。痛いのはイヤだけど、レベルが低い状態でいるのもイヤだったから助かっちゃたな。

 

[しかしビリデスがコマでなくプレイヤーだとは……なるほど通りで]

「あ、そうそう。蛇の刺青とDMPはどうだった? 神の声の代用になりそう? 結構汎用性あると思うんだけど」

[……あ、もしや"海"に行ってたのはそれが理由で?]

「そうだよー。完全に偶然だったけどさ、コレってかなりの戦利品だと思うんだ。ビリデスの代理AIの方もその事は承知してるだろうから協力出来ると思うし……どう? そっちでいい感じに出来そう?」

 

 ふっふっふふーん。現実に反映される前提だから種族は人間で俺の容姿にしてー…職業はどうしようか。普通にこの学徒ってやつで良いか?

 そういやここの時点で好きなアビリティとか覚えられたらゲームとして楽しくなりそうだよね。オラクルに言っておこう。

 

[分かりました。出来るかどうか相談し、検証してみようと思います]

「オッケー、出来なかったら言ってね。また海に行くから。後、キャラクリでアビリティを自由に覚えられたら楽しそうじゃない?」

[……分かりました。キャラクリの改善案も上に意見を上げておきます]

「お願いねー」

 

 そんな訳で俺のサブは決まった。降り立つ場所はオラクル曰く戦火があまり来ず、比較的快適に過ごせる土地。南の迷宮街にしておいた。ありがとうフラッタ、お前が死んで2周目以降が始まったおかげで俺は安全な土地に降り立てられる。

 

[名前はどうされますか?]

「ん? そりゃあ山本に……いやそうか」

 

 本来の背丈、手足、肉付き、骨格。元通りという素晴らしさに感動しているとオラクルがそんな事を聞いてきた。

 本来の姿ということもあり反射で本名を言ってしまったが、ゲームの中に入るならプレイヤー名は必須。いやぁ、ついウッカリ忘れてたね。

 

「そうだなぁ……」

 

 さっくりと形成した元の姿でコツコツと頭蓋骨を鳴らす。

 このゲームの世界観はファンタジーだ。アテラスに降りるなら兎も角、俺は南の街とだけ指定してどっちかは定めてない。折角のゲームなら芸名の一つとして決めておくべきだろう。どうせなら長い名前にしたいものだけど……うん。

 

「"バイアクヘー"」

[はい、ではそのように。それではよい夢を]

 

 なんとなく頭に思い浮かんだ名前がオラクルの手によって入力される。

 なんだかセキュリティを高める為に適当に決めたパスワードみたいな名前だが、事実適当に決めたのだからその通りであった。

 

 ズブブ…。

 

「おぉ……そうだオラクル、引きずり込まれる感覚どうにかならない?」

[なりません。夢の世界をいいものと勘違いさせない為の処置ですので]

「そっかあ」

 

 そんな会話がありつつも、俺は気持ち悪い感覚に身を任せるのだった。

 態とそうしてるならしょうがないね。

 

 

 

 

 

 

「よーし生活基盤創るぞー」

 

 そんな訳で南の街にポンと俺は出現した。街なのにプレイヤーの姿が見えないのがビリデスの後だと新鮮だが、これが普通のプレイヤーの視点だと思い直した。

 ステータスを確認すれば安心感すら感じる真っ新なレベル1のもの。学徒は本来ランダムな学校がリスポン地点になるのだが、そこは出現位置の変更がされているので気にしなくていいことだね。

 

 気にするべきは新たに決める固有能力(ユニーク)である。今回は既に元の姿を取り戻すという目的は達してるので、死なずにのんびり出来そうなものを選んでいきたいね。

 

「新しく増えたのは…三つか」

 

 確認した所、前回に兎人の集落で見た時より3つ新たなユニークな候補が生えていた。つまりそれだけ人生彩り豊かってことか? なんだか嬉しい話だねぇ。

 

 

・【残光霞むは芳翰(レター/ライト)】…NOISE DATA.

・【高み這い寄るは反法(ディレイ/コーズ/カメラ)】…NOISE DATA.

・【融和論(ミュータント)】…人ならざるプレイヤーには必ず候補に昇る固有能力(ユニーク)。友好関係を築いた他種族に変身出来るようになる。あくまでも個人ではなく他種族全体との関係性が記憶の参照先。(現在:兎人 候補:人間/エルフ/半妖精/樹木人(林檎)/◼︎◼︎◼︎?)

 

 

「そりゃあ今のリアルは兎人だから人外判定だろうね。ふぅん、ユニークにはこういうパターンもあるのか」

 

 ノイズとしか説明されない奴はスルーするとして、最後の一個も少し奇妙な表示のされ方である。

 どこが変ってゲームの種族は人間を選んだのに兎人とリアルの方の表記な辺りが。

 ゲームが俺の記憶全体を参照したのだろうが、コレじゃあまるで現実の方の身体を変えますよと言ってるみたいになる。変身先の一個なんて「はてな」を思い浮かべてるし、ちょっと不安が残るタイプのユニークだった。

 

「仕方ない、ここは一発工夫してみるとしよう」

 

 しかし困った話だ。俺のユニークは周りの危険を「代わりに」背負うばかりで、自分の危険はそのまま受けるタイプしかない。

 だから新しいユニークにワンチャン賭けてたのだが……この分だと誰かの「代わり」って根幹部分は変わって無さそうに思えて仕方がなくなる。これじゃあ普通に死ねる弱さを変えられない。それはキツいからもうちょいお手柔らかにして欲しいな。

 

「ここは【金浴(パーソナリティマネー)】かなぁ。回復の泉は生存力上がりそうだし、普通にお金が1.5倍で貰えるのは嬉しいし…ん? もしやアバターが現実と同期する今なら現実の収入も1.5倍になったりするのか?」

 

 結局新しいのはスルーして前回に引き続き1番上にあるユニークを視線を向け、つい気になることが出来た。

 アバター同期は既に2日目なので明日には戻っているかも知れないが…いや、サブと同期した場合と見分けが付かないなこれ。ウッカリ丸々完全再現したのが裏目に出ちまったね。検証が難しいかもだ。

 

「気になるから確定っと……うーん、どうしよっか?」

 

 リアルの収入が増えるかどうか。これはかなり重要な話だ。なにせ今の俺はエーコに15万を借りている。増えたら嬉しいし、もしそうなら今直ぐ夜勤の仕事を駆け込みで行かないとならない。ゲームをしてる場合じゃないのだ。

 

 一応今回は起床予定をフリーに設定し、いつでも直ぐに起きられるようにしているが……まぁ急ぐ事はないし、適当にゲーム内のバイトを10日間くらいやってからでもいいか。これでリアル概算で2時間の仮眠となる。最低限睡眠として成立するだろう。

 

「バイトーバイトー…お、こんな所に迷宮攻略組合の受付()募集用紙があるじゃねぇか。俺は折角だからこの安全そうな依頼を選ぶぜ」

 

 という訳で適当に探していると、迷宮攻略を専門とした複数の冒険者の宿による組合の募集を発見した。"嬢"とか入ってるのに男が志願して良いのかって? そりゃあ海女みたいなものだろうしいいでしょ。職業に貴賎も先天的条件はないからね!

 

 

 

 

 

「それでは私から見て左の方はご入室してください」

「はい!」

 

 えー突然ですが悲報です。ただいま待機室におりますが、他が全員どうみても女性の見た目です。かなり浮いてます。

 

「では次の方‭─‬‭─‬…」

 

 ふぅ……どうやら俺はまた空気が読めて無かったらしい。

 思えば男よりかわいい女の方が冒険者もテンションが上がるというもの。なのに女装の一つもせずに来るのは常識が成ってなかったようだ。あれだ、オカマバーではオカマの格好をするのが礼儀なのと同じ話なのだろう。

 

「ふぅ…さてと」

 

 バキッ。

 

「‭─‬‭─え?」

「キャア!?」

「えっどうし……うわうわうわ!!?」

 

 仕方ない、ここは演劇部迫真のメイクアップチョイスで仕上げるしかないな。

 

 ボキッバキッ‭─‬‭─パキキ

 

「え、ナニなんでナニあれー!?」

「ど…どんどんちっちゃくなっていくよーォ!?」

「………フッ(気絶)」

 

 メイク道具は何もないが、そこは予算0円演劇部を切り盛りした腕の見せ所だ。

 マッサージと振る舞い、後は愛嬌のある振る舞いさえあれば性別くらい簡単に誤魔化せる。知ってるかい? 人体は上手くやれば3分の1まで縮められるんだよね。

 妹達は演技だけで一瞬で見え方を変えるが、俺には代わりに1日の長がある。現実と同じなら、この鍛えられた技術というものが使えるのは道理だろう。

 

 即ち物理だ。

 

「では最後のか…た?」

「はーい! 今行きまーす!」

 

 呼び掛けた男性の"脇下"とドアの間を通り室内に入る。

 女性の身体のメイク候補は生憎女役をやった回数が回数なので1つしか無く、今回は急な話だったのでそれを採用した。

 

「……え、誰?」

 

 俺を呼び出したコマがそんな言葉を漏らした。

 今の俺が誰かと言えば山本であり、バイアクヘーであり、かつて休みの代打で出演した幼妻の役の使い回しだ。

 「ベビイドオル」、原典は18歳だったが当時の俺の勘違いと台本のアレンジ、本来の役者の身長も相まって8歳の幼妻という存在が爆誕した脚本である。ちゃうねん、改変前の台本コピーの時に2桁目の1が掠れて消えてたもんだからさぁ…。

 

「えっと…君が4人目の応募者ですか?」

「こんにちは! 本日はよろしくお願いします! 私はバイアクヘー。こう見えて18歳で御座いますれば! 4人目で間違い御座いません!」

 

 ともあれ今の俺の見た目は8歳相当の女の子のそれだね。性別は間違いなく男だが、股間なんて誰も確認しないからバレることはないね。よし、これで暗黙のルールの空気読みが出来なかったのはチャラだ。

 

「えー…はい、わかりました。では自己アピールの方からお願いします」

「はい! 私が得意とする事は‭─‬‭─…」

 

 という訳でその後、俺は無事に当日の内に採用を通達され受付に立つことになった。

 

「それじゃあお願いね、二人とも。即戦力だって言葉、期待してるからね」

 

「はい! このバイアクヘーにお任せくださいな!」

「…は、はい!」

 

 ふふ、コレでも何回もバイトを受かった経験があるんだ。話すネタも沢山あるし簡単な話だった。

 面接で幼妻の姿を取ったせいで仕事中も継続することになったが、そこら辺は些事である。

 

「あ…あのう」

「どうしたの? なにか分からない事でもあった?」

「いえ、そっちはバイアクヘーさんのおかげで問題ないんですけど……」

 

 そんな折である。10日も経ちそろそろログアウトするかぁと考えていた頃、一緒に合格した同僚が俺に絡んできた。

 どうしたのだろうか。即戦力と吐いた言葉が実はホラで、俺がフォローしたのが気に食わなかったのかね。

 

「面接の時は最初は男だったのに、今はずっと女の子じゃないですか……どっちが本当の姿なんですか?」

「男の方だけど」

「あ、そうなんですね…? なら、普段からその姿なのはどうしてですか? 業務外なら元に戻っても良いと思いますけど……」

「別に変える理由も無かったからだけど……そうだなぁ、そこまで言うなら一回戻ろっか」

 

 聞けば業務外は元の姿でリラックスすべきだろうという指摘だった。

 なるほど……? つまり俺はまた空気を読まず同じ姿で居続けたってことか。

 それなら一度元に戻るとしよう。丁度仕事帰りの雑談中だったんだ、問題はない。

 

「ふぅ…よぉし………」

 

「……戻らないんですか?」

 

 筋肉をほぐし、ダブらせた骨を戻そうとする。

 ……ん? んん?

 

 ………アレか? VRのせいか? もしや今の俺の姿を正常と見做した? そんな後天的アバター再クリ有りかい?

 

「……戻れないね?」

「えっ」

「困ったね」

「そんな…えっどうするんですか?」

「ちょっと待ってね、確認したいことがあるから」

 

 へい、オラクル、監視で見てるならヘルプ、ヘイ。仕様を見せて。今確認したけど性別欄が女だった理由も含めて教えて。

 この10日間全く確認してなかった俺が悪い話だけど、挽回の為に解説して欲しい。

 

[*恐らく人体が耐えられない改造による死を私が付与した無敵が防ぎ切った事による「適応」です。短時間で繰り返し発生する死亡とそれを防ぐ内部処理。その果てにVRの基本的物理法則、及び生物の挙動が現環境に対し最も適切な進化を促したのかと。仕組みとしては既存の生き物のデータから魔物の原種を創る際と同じ手法ですね]

 

 なるほど……つまり俺は偶然にも運営と同じ手法で「幼い子供になった」現状に「適応」したと。

 ふむ、それなら仕方ない。ゲームの土台になってるVRの仕様だからね、運営に罪はない。

 

 それよりも今は…!

 

「なら早くログアウトしてキャラデリしないと! この姿の元が俺の身体な以上、ワンチャン同期が解除されてもこのままな可能性が生える!」

 

 タダでさえサブキャラ制作という病がどんな挙動をするか分からないものを使ったんだ。その上同期前の身体を再現までした。

 仮にゲーム中に発病したアバター同期が、解除されても身体が変わらないという仕組みだったとしても問題ない可能性を増やす為にやったのに、それがコレではオジャンになる。

 

 しかも、今日はアバター同期の病になって3日目だ。

 

「似た症状の平均回復期間に到達する時期…! クソ、時間が押してる!」

 

 最悪のパターンが土壇場で生えてきた。マジで幼妻役の姿で固定だけはやめてくれ…!

 何が1番ダメって、長男が末妹みたいな姿になるのは兄としてのメンツが死ぬんだよねぇ!!

 

「ログアウトだ! 特急便で宜しく頼む!」

 

 今回ばかりはログアウトで起きる浮上に加え自ら泳いで昇っていく。

 もう兎に角ひたすら気持ち悪いが、コレばっかりは時間との勝負に違いなかったから。

 

 

 

 →【good morning! Hello!】

 

 

 

 目覚める、幼い女の子の身体、大丈夫だまだ確定はしていない…! 本当にダメなのは再度キャラクリしてログアウトした後、この姿だった時だ!

 

「‭─‬‭─急げ急げ急げ! 設定、アバター管理、キャラデリ、承認3回ハイハイハイ、そして再度ログインおやすみなさい!」

 

 

 

 →【Access...Error Error Err‭─‬‭─OK.good game night】

 

 

 

「オラクル!」

[こちら、予め再現したものです]

「助かる!」

 

 流石AIだ準備がいい!

 だけどアクセスで3回ミスったのが不穏で仕方ない!

 

「ここは…都市アテラス! ランダムのまま急いでログインしたからそりゃそうか!」

 

 古い日本のような景色を眺めながらログアウトする。既に忙しくなる手順が終わった以上、朝まで遊んでもなにも問題はない。

 だが……この状況で確認せず楽しめるほど、俺はこのゲームに夢中になっている訳じゃなかった。

 

「ログアウト!!!」

 

 再び無数の手が俺を現世へと運び出す。

 さっきの様には急がなかった。代わりに両手を合わせてずっと祈っていた。

 多分人生で1番神頼みってやつをしたと思う。それだけ今回のパターンはマズい流れだった。

 

 演劇において、1番怖がるべきものだった。

 

 

 

「‭─‬‭─‭─‬‭─‭─‬‭─」

 

 ‭─‬‭─‬夜、目覚める。

 まだ何も知覚していない。目を開けることに初めて恐怖した。

 

「…………すぅ」

 

 恐る恐る、眼を開けた。

 その結果は……何よりも、この口の叫びを聞くのが1番早く知れた。

 

 

 

「終わりだ………」

 

 

 【悲報】俺、8歳の女の子になる【これで金浴無かったら泣く】

 

 






 山本イイノリ(8歳幼妻ver)…自分を貫かず周りを気にしてばかりだったせいで事故った大馬鹿もの。幼くもどこか色気のある黒髪茶眼の女の子になってしまった。元の姿からメイクアップしたものなので本来の姿の面影がある。


 アバター同期症の推移
 第一段階 夢→ビリデス   現実→ビリデス/山本
 第二段階 夢→山本     現実→ビリデス/?
 第三段階 夢→山本(偽幼) 現実→ビリデス/?
 第四段階 夢→山本(真幼) 現実→山本(真幼)/?
 第五段階 夢→山本     現実→山本(真幼)

 オラクルの考察
 アバター同期症はあくまでも上から姿を被せるものに過ぎず、上辺を変えた所でそれは着る服を変えた程度の違いでしかなく、本当の姿は変わりません。
 なのに服が本体となってしまったのは恐らく「本人の姿になり」「生来の演技力を利用して変身して」「適応した」という三つの条件が重なったから…なのが1番可能性が高いと推測します。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。