戦力分析図
・山本…弱い。幻想具現、【夢物語】、《
・どろ…そろそろ名乗りたい。出産と豊穣の神様。だけど今は欲しい仔を産めるだけ。寝ぼけてアザトースとヨグ・ソトースの名前を間違えるくらいには寝ぼけてる。
・阿佐美…ピキピキ。なんでも創れる。武器も能力も現象もなんでもござれ。創るほど人間性が削れる。多分1番死相が出てる。
・柳田…立派な事を言ってるが実体は初めての現場が異様な修羅場過ぎてテンパってる新人である。多少の概念装甲くらいなら貫通出来る火と利便性の高い重力の使い手。戦いで特に人間性を消費する要素がないので1番安定しており、殺傷力が1番高い。
誰が死ぬかチキンレース倍率
・バ×1.1倍・ど×2.4倍
・阿×5.5倍・柳×10.5倍
出し惜しみは無しだ。
『待て、話せば分か』
どちらか一人が死ぬまで生存圏が縮小するゲームモード「
ゲームシステム上の死が精神的死に繋がるシステム「
自分達だけ例外にするチートコード「
ゲーム関連の3体は電脳空間を喰らうウイルスが産まれ、土台が荒らされて無力化された。
『何故、話し合いを、拒絶する』
「その段階はとうに過ぎたからさ」
『わた』
「一刀流──"剛進"」
『おっと』
二満月の剛力による一刀両断が、奴が握る生きた妖刀により逸らされる。チッ肉体の力を使え……この煙は──!?
「刀を折──ッ!!」
『忘れたか? ここは儂の領域と──"煙々羅"』
忠告は遅かった。一手先を行かれ辺りに煙と鉄の粉塵が舞い散る。
クソ、だが対策は前に出会った時に───不燃性で辺りに満ちても呼吸を阻害はしないガス「
「見掛け倒しが──"霞離れ"」
しかしまだ残った煙々羅が厄介だ、ここは幻影を看破する為のスキ──いや二満月が斬り払ったからいらねーな! 流石僕の護衛だぜ!
ここは人間性の消耗を抑えながらも有効な…さっき創った過去斬りの現象と槍の組み合わせ!
──ギィィィン!
『過去に送る斬撃、は──効かない。わえは、"過去にわえの知覚を残してる"』
「やろうと思えば過去に戻れるってか? 態々教えてくれてどうも!」
『戻る違う、そうだったことに、なる。猟犬的に、ここ大事……あ、もう居ないんだった』
「なんの話だ──よ!」
因果すら無視して必中したと言われる
『眼球に絵を描くとかきっつ…──わお、コレを正しい用途で《防御目的で》使ったの初めてじゃない? 魔眼活性・《
「……いや、そんなまさか?」
奴の眼が極彩を被ったかと思えば、空間が捩れ、狂い、槍が地面に突き刺さり奴の手に渡る。
ビリデスの力か──その様子に二満月が違和感を持ったようだが、聞く余裕は無さそうだな。
僕は新しい武器を取り出さねーとならねーんだ。
「分かって来たぜ…癪だが、どうもこの力は生物由来の方が消耗を抑えられるらしい──"幻想再現、神話記録、魔獣の知恵"』
いいせいぜizzzいいze、そんなに神話知識が勝手に脳に湧き立つつつnannなら、いっそ使ってやるよ。
僕は度量が広いんだ───◼︎◼︎◼︎ァ"…。
『"血すら混ざる戦地の死臭"』
これはクリード、コインヘンを加工した大海獣槍。
アア、オワルオワル。セカイガオワル。
エダワカレ、スベテ死。ミライナシ。
コレコソボクノ、命ノ………。
「──現象ならば、儂も使えよう」
「生火、目醒め、
正気の沙汰を下せよ──霞離れ」
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── 一つ、場の流れを言葉に形容しよう。
阿佐美等を待ち構えた山本等が取った行動はひたすら受け身になり、言葉を交わそうとする試みであった。
対し阿佐美が取ったのは怒涛の攻撃。電脳空間の拡張によるゲームシステムによる干渉、斬撃を過去に送る現象を利用した当たれば終わりの槍の連撃に、柳田による補佐。
そこには自我を塗りつぶす程の怒りが混ざっていたが為に最後は道を踏み外し、生き延びる可能性を全て潰し絶対に殺す槍を創造。
人と神の分離も考えられない程度の微かな脳を利用して、人諸共神の命運を絶った。
……しかし、その終わりに至るまで前衛を張って剣を交えていた柳田は山本が正気のままに神と協力している気付く。
そして取ったのは、二度ミコ殿から拝見した過去へ斬撃を送る剣術の模倣。
凡人ではその様な芸当は不可能だが、柳田は400年の歴史を積み重ねた剣の真髄、其の者である。
挙句に模倣した斬撃は槍を創造する直前まで届かせ──斬撃に宿した技巧は、持ち手を正気に戻す瞑想の剣。
そして過去斬りの現象は阿佐美ミコの子である。
故に送られる斬撃は全て阿佐美ミコが行ったものと看做され──。
──人間性が、息を吹き返す。
「ッ──ガァァア"ア"!!!」
演技を隠し真なる神に至ろうとしていない以上、山本と泥の関係は眼が良ければ見破れる程度の物でしかない。
理性を取り戻せば「魔性」を宿している阿佐美がそれを見破るのは容易であり、実際目醒めた阿佐美は発狂し神性へと変じていた精神構造を戻し絶死の矛先を出鱈目に変えた。
「────」
『────』
その思考には穂先の行方を気にする余裕は無く、しかし人類史に刻まれた命中精度を再現したアビリティとして産まれた"力"は母を栄光へと導く獲物を求める。
とくれば、例え出鱈目に投げようと穂先の行方を求めるのは容易だろう。
この中で最も世界にとって"悪"であり。
この中で最も"人類"が嫌悪しており。
この中で最もその"心臓"を撃ち抜かれる事を望まれた者。
「はっ!? なんじゃその軌道──」
『狙──変わっ…てない!』
そう、見た目からしてヤバそうで、配信中に「魔性」持ちから愛を向けられた、最もヘイトが溜まった存在──"山本"である。
結果阿佐美の意思に反し槍は真っ直ぐとした軌道から曲がりくねったものに変わりながらも、過去の変化も虚しく捉えるべき獲物を変えなかった。寧ろ狙った中身が神から人になった分生き延びる余地が減ったまである。
再検討も虚しくの無変。そう簡単に運命は都合の良い恋敵の排除が叶う結末から変えない。仮に運命に意思があれば、こうなると分からなければそもそも出会わせない事すら容易なのだ。
自らの手で自らが愛した者を殺す。そうすれば間違いなく阿佐美の精神は崩れ、運命も恋する「魔性」は真の姿へと至れる。
嘘のような都合の良さ! これこそ神と人の運命力の違い! 「魔性」が現実に来た時から予定されていた
『──から!」
それ故にこの結末は必然に至り──。
『あっ──』
とん、と軽く"バイアクヘー"が"泥"を押し出した。
自身が持っていた「演劇」の戦利品は、心に建てられた
その力がある限り、泥は
「
天啓により与えられていた筆を手に取り、最早幼児にも劣るブレた一筆書きを宙になぞる。
それはきっと誰も彼も、運命すらも忘れていた配役。山本と神が語り合った場の後ろに静かに居た架空の配役をずっと忘れて居なかった山本が、"彼女がこの場で取るべき行動"を"空気も世界が決めていた順序も読まずに優先した"からこそ起きたこと。
「どれもこれも【夢物語】ならば──」
かつての栄華から滅び塵芥のみを遺していた泥の神が復活しようとする【夢】。
あり得ないと諦めながらも内心願っていた友人との日々が目前にまで迫った【夢】。
理想的な将来の為なら神々の舞台にすら上がれる渇望染みた【夢】。
大事な人を取り返したい世間、生き残って欲しいリスナー、自由になりたい天啓、空気を読みたい自分──どれもあり得ないとされそうな【夢物語】ならば。
どれもこれも素晴らしく、絵描くに足る
「
"
──水を指すようで悪いが、ここで山本がこれまで立っていた「演劇」の説明をしよう。
演劇規則1、役者は舞台の下に降りようと役者である。架空であろうと設定された実力は保証され、演技が続く限り存続は約束される。
故に絵心を別役から借り続けたバイアクヘーは絵が下手でも、その筆捌きに限れば与えられた名前通り光速の1/10でも処理仕切れる機構が組み込まれている。
ならば30の終わりを告げる槍が到達するまでの0.03秒の間に展開し加速された6年間を、バイアクヘーという役は完璧に、絵を描く為に使い熟せる。
この為の貯時間箱、この為のイースの魔術、この為の「絵描き役」の「名前」。
演劇規則2、主役は「台本」を最後まで読む事が出来る。読み終えたが最後頭部に宿った舞台の種は花開き、全ての記憶を失う。花開いた舞台はより素晴らしいものへと生まれ変わる。
「山本」とは架空の存在である。
かつて「演劇」の戦利品を夢の世界から持ち帰った山本・イイノリが再度夢の世界に迷い込み、癒えぬ風穴を開ける雨に
死ぬよりはマシだと「台本」を開き、彼は消えた記憶の代わりに自分自身を演じる主役を、「山本」を創り上げた。
結果として彼の肉体は生き延びたが、彼はこれから自分を演じる役を創り出す際に「主役」に「最善の未来に到達する振る舞い」を定めておいた。それは周りからすると空気の読めない行いになり、役の余白に「空気が読めない事を気にする」という一文が追加される事になったが、実際「山本」の超人的な活躍は妹を延命させ、遂に目覚めさせ、末妹も母の心中に巻き込まれず、父も発狂せずに済み家族仲が完全に崩壊し切らず、今日に至っている。
ただしこれは主役が死ぬ場面を、台本を読み終える瞬間まで。
どれだけこれからの自分の役の未来を予想して決め打ちし延命した所で、今開いたのが最後のページだと気付いた時、山本・イイノリは視界に入った台本の最後のページに何が書いてるか理解する前に、頭の種を咲かせて死ぬ。
これは神の知覚を覗き込み、一部だろうと共有し、未来を確定させる負荷の代償だ。
既に山本・イイノリが払い、運命すらも振る舞いを定められたと気付かずに全てが予定通り進む舞台。
だからこそ「演劇」。
世界全てが彼の手によって進行する舞台であり、主役がいつ死ぬか分からない、破綻が約束された舞台。
──ところで「山本」とは実在の人物ではなく、「山本・イイノリ」を元に作られた超人的で理想的なメアリー・スーのご同類、架空の存在だ。これはあまりに本物から剥離した未来の振る舞いをさせたが故にそう判定されたものであり、だからこそ彼は「舞台」から離れれば役が破綻した瞬間消え失せる。
そして今、彼は「
……言葉を飾らずに言ってしまえば、これは台本を変えてる者のミスである。自分を演じる役が自分と剥離し、舞台から架空と見做されているのに気付かずにこれからどう動くかを定めてしまい、それにより定まった事象を読んで死んだ。
無理もない。本物こ山本・イイノリは夢の世界で死ぬ所寸前の中、雨に削られていく安全地帯の中で読み飛ばしながら進めていた。1秒先の死を乗り越えられるのは分かっていても、焦りは積もるし猶予もない。
だからといって
この阿佐美って奴話長すぎだろ頼むから短くしてくれ雨がそろそろここを突破しそうなんだよ。
というかなんでこんな大変な事態に巻き込まれてるんだ未来の俺は。
果たして台本を読む時、そんな事を考えていたかは誰にも分からない。
しかし結果として彼はブレ続け先の展開が変わり続ける台本の、この
刺した者の未来の内、三十通りを確実な死に至らしめる槍、三十死説。
かの槍は「自分が死ぬ未来が見えた瞬間死ぬ」
仮に他に生き残るパターンがあろうと関係ない。実に不幸な事故だったと言えよう。
「山本はこの時も最適な手を打った」と台本に書き、その結果一回刺されるのが最善手になるのなら、1つの生き延びる未来に確定しようと他に死ぬパターンは台本に残る。それを読んで花を咲かせるなんて、誰も予想出来るわけがない。
──ともあれ、話はバイアクヘーが6年間を0.03秒に圧縮した空間で絵を描き上げ、【夢物語】を発動し、絵の具なんてちゃちなもので止められる筈もなく諸共突き刺された場面に戻る。
「山本!!!!」
柳田が思わず声を張り上げて駆け寄り、槍を引き抜き風穴を斬り取る。
活人剣。触れてると不味そうな槍の欠片がありそうな風穴の切除。
するとバイアクヘーと共に串刺しになっていた何かの絵が溶け、バイアクヘーに混ざり合い始める……。
「ミコ殿! 回復と精神保護ポーションを!」
「あ……あ、ああ!?」
「狂うな!! ポーションを取り出せ!!!」
「え、あ…わ、わかった……」
次いで回復と精神保護ポーションを唖然としていた阿佐美に取り出させ飲ませる。
阿佐美が誰を突き刺したか理解して発狂しかけるも、大声で指示を出しポーションだけは吐き出させた。
しかし……効果が薄い。絵と混ざり合っているのが悪いのかと切り離そうとするも、刀を入れても切れた感触がしない──触れる間際になり自主的に構造を変化、刀の移動に合わせ、スライムが如く触れないように変化している?
「何故…いや、これも元は奴の絵、ならば何か考えが有ってのもの…か?」
それとも、槍によって刻まれた30の死への誘いがこうなるように誘導しているのか。
武器への審美眼がある柳田の眼には、アレは刺して即殺せる武器ではなく、その後助からず死ぬ未来を30程用意……元々ある物を改変し設置する罠タイプの武器に映った。
「そうか……神には有効。人相手には悪趣味なだけのやり口だと思ったが、普通なら助かる方法で助からないようにする特性は無駄消耗をさせられる! 兵器としては優秀な設計思想じゃな! 故にやるべきなのは単なる救助ではなく、"普通じゃやらぬ行動"!!」
柳田は柏手を叩いて現状を理解すると、周囲を見渡した。
幸いここには人の数は少なくとも取れる手段だけなら幾らでもある存在が二人居る。
山本が協力していて、今も攻撃してこないなら以上、どうしたら良いか分からずおろおろしているあの泥は味方……助けられる可能性は0ではない!
「し…しょ……」
「待っておれ、今助けるから──」
「その
「……なに?」
……30の死が、辺りに影を落とし始めた。
レース結果
山本・イイノリ(過去)が開始前にゴール済み。賭け不成立。