異世界チハたん(九七式中戦車)無双〜聖女召喚されたけど捨てられました~   作:LA軍

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第13話「【ガソリンスタンド】Lv2」

 ドミトリさんの爆弾発言に静まり返るギルド。

 私もどうしたものやら。

 

「この子がって?? そういやさっきから見慣れない小さいの(・・・・)がいるとは思ったけどよ。……いや、なんの冗談だ。こんな嬢ちゃんが倒せるわけねーだろ──……ん、僕ちゃんか?」

「嬢ちゃんですー」

 

 またかよ。

 

「あ、わりぃ」

「いーえー」

 

 まぁ、嬢ちゃんって歳でもないけどね。

 

「んー。……にわかには信じられんが、嘘をつくようなことでもないしな。なにより確かにお前らだけで、ガルダもダイアーウルフの群れも倒せるとは思えん。しかしなー……うーむむ、どうやった聞いていいか?」

「どうって言われても……」

 

 なんていうの?

 チハたんで、ドーン?

 

「おいおい、マスター。この子はまだ冒険者じゃないぞ。そりゃご法度だろ」

「はぁ?! 倒しただけでもスゲーのに、冒険者じゃないってのか?」

 

 イエス。

 あたしゃ、ただのガソスタ店員でーす。

 

「じゃ、なんだよ? 魔術師ギルドか? あ、もしかして軍人?」

「いえ、ただの遭難者です」

 

 地球から遭難しましたー。

 

「マ、マジかよ……。んなの前代未聞だぜ」

「なので、できれば登録させていただければと──」

「そりゃ構わんが……えー」

 

 うん、まぁね。

 

 登録前の奴が、Sランクでも苦戦する魔物を倒したらどうすんだよってなるよね。

 いっそ、もう冒険者にならんでも、そのままでいいじゃん……って言いたくなるわなー。

 

 だけど、ゴメン。私は身分証が欲しいのだ!

 

(……毎回、あの門番にお金をせびられるのはノーセンキュー!)

 

 あれすっごい嫌だったもん。

 

 なんか、足先から頭までジロジロ見られて、最後に胸と顔で視線が止まる。

 それで、「銀貨1枚な」って言われたあのショック!! 相場の10倍って、殺すぞこらっぁあ!

 

「な、なんか怒ってるけど、俺悪いこと言ったか?」

「あん? いや、ナガセは時々こうなるんだ。気にしないでいいよ──で、登録させてやれるのか? できれば、今回の実績も上乗せしてやってくれると助かるんだが……」

 

 え?

 そんなことできるの?!

 

「あーそういうことか。……ま、普通はやらないけど、お前らの恩人みたいだしなー。いいだろう、今回は特別ってことでなんとかしてやるよ。登録前だが、多少は上乗せで評価してやる」

「わ、ありがとうございます!」

 

 いきなり評価高めで貰えるらしい!

 ハゲのくせにいい奴だ。

 

 まー、こういう時、転生系ラノベなら、正体を隠して低ランクでいたほうがいいぞ──なんて意見もあるかもしれないけどね。

 馬鹿言っちゃいけない。

 大人の社会では、自分の手柄はアッピィィ~ルしてなんぼだぜ。げへへへ。

 

「……というわけで、登録前に、どんな奴か俺様がじきじきに見定めてやる。ほれ──ちょっと血ぃ見せてもらうぞ」

 

 は?

 ……血ィ?!

 

「え、え? 血って……ひ、筆記試験とかじゃないの?!」

「あたりめーだろ。ここは冒険者ギルドだぜぇ」

 

 そういって、バキボキと腕を鳴らすギルマス。

 ひ、ひぇぇ、あの筋肉で殴られたら一発で死ねるー。

 

「あほ! 女の子相手に威嚇すんな!」

 スパーンといい音。

 ドミトリさんがハゲをしばいたらしい。よかったー、冗談か。

「大丈夫だよ、ナガセ。ちょっと登録に血を取るだけだよ。大して痛くねーよ」

 そういって、火で炙って雑やな消毒したナイフを差し出されるのだけど、それはそれで、こぇーよ……って、あ、いたー!

 

「……痛いでーす」

「死にゃしないよ」

 

 いや、感染症とかがあってですね……。

 

 容赦なく、指先を切られたかと思うと、その血をなんかギルドの登録用紙だとかいう羊皮紙に落とし込まれる。

 これでドッグタグと紐付けが完了するんだって。偽造防止とか色々な機能があるっぽい。すごいね。

 

「はい、これで登録はオッケーです。それでは、最後に、ステータスを見せてもらってもいいですか?」

「……え」

 

 ええーーー?!

 

 こ、今度はステータス?!

 

 登録とやらが終わったかと思えば。マスターに代わって受付嬢さんが例の水晶を差し出してきた。

 ……あれは知ってる。

 手をかざすと、ステータスが表示される奴だよね。

 

「え、え~っと……」

 

 チラリ。

 

「うん?……あー。大丈夫だ。ギルドは個人情報はちゃんと守るよ。でないと信用問題に関わるからね」

 

 だそうだ。

 ドミトリさん、視線で気づいてくれてサンキュー。

 

「もちろんです。ささっ、手を載せてください」

 

 ……んー。個人情報がちゃんと保護されるならいいかな?

 

「はい」

 

「ありがとうございます。──なるほど、なるほど……え? レベルひっく」

「おい、個人情報はどうしたー」

 

 言われた通りに手をのせた途端にそれかい!

 いきなり晒してんじゃねーよ。

 

「あ、すみません」

 

 すみませんじゃないんだよなー、ったくもー。

 

 ステータスを読み込んでいた受付嬢が慌てて謝る。

 そして、職員以外に見えないようにサラサラと書類に書き込んでいくのだが、

 ジョブとスキルの段で、はたと停まる。

 

(……あ、やっぱ、そうなるよねー)

 

 大丈夫かな?

 まぁ、【ガソリンスタンド】と『せんしゃ』だ。どっちも珍しいだけで、多分、それだけのはず。

 

 一瞬、チラリと受付嬢さんの目線がこっちをむいたが、すぐに紙に戻った。

 

「……はい、これで登録完了です。これからよろしくお願いしますね、ナガセさん」

「はーい!」

 

 

 やったね。

 ミッションコンプリートだぜーい。

 

 

※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

「やったー!」

 

 これで、晴れて冒険者になったぞー。

 

 ギルドを出るとその証を空に透かす。

 キラリと鈍く光ったそれは、青銅色。なんとDランクとのことだ。

 

「悪いね。さすがにいきなりBとかAは無理だってよ」

「いえいえ、これでも十分です」

 

 なんでも、F~Sまであるランクのうち、Dは中堅クラスとみられるみたい。

 

 一応、ダイアーウルフの群れの撃破や、グレーターガルダの素材の納品などの評価込みだそうだ。

 単独の手柄だけでいえば、Sランクにも匹敵するそうだが、長年の信頼の積み重ねという実績がないため、このランクなんだそうだ。

 

 それでも破格の待遇らしいけど。

 

「まぁ、Dランクからは基本的にギルドのある町ならどこでも通行料無料だよ」

「それだけでも嬉しいです!」

 

 通行料なんて払ってられないしね。

 あの門番もクッソむかつくし!!

 

「ははっ、ならよかった。あ、これは例の金だよ」

「あ、そうでしたね」

 

 ジャラリと音のする革袋は、ずっしりと重い。

 

 たしか、ダイアーウルフの討伐料、一匹あたり金貨3枚、素材がだいたい金貨2枚くらい。

 そして、ガルダを撃ったお金がまるまるの一体分でなんと金貨30枚!

 

 ってことはつまり──……

 

「──合計で70枚あるよ」

「おぉー!……ん? あれ? でもそれだと多くないです?」

 

 計算だと、60枚じゃ……?

 

「あぁ、お礼の分も入ってる。あまり多く払えなくて申しわけないけどね。……代わりに魔石は全部譲るよ」

「え、いいんですか?!」

 

 お金もありがたいけど、スキルの回復に使える魔石はもっと嬉しい。

 なにより、ダイアーウルフの魔石は、どれも無属性なので、スキルの回復に役立つのでありがたい。

 

 そもそも、売ってもかなりの金額になるだろう。

 

「なーに、これでも随分黒字になったんだよ」

「そーそー」「下手すりゃ死んでたしな」

 

「命の値段にしては安いくらいですよ」

 

 双子もミルヒ君も笑顔だ。

 うぅー。皆イイやつぅ。

 

「ははっ。だけど、これっぽっちじゃ、命の借りにしちゃ安いくらいだよ。……代わりと言っちゃなんだが、何かあったらいつでも声をかけてくれ、力になるよ」

「こっちこそです! 全然、この辺のこと知らないし、頼りにさせてもらいますね! それじゃまた──!」

「おう!」

 

 ガッシリと握手──……あ、いたた!

 ちょっと加減してよー!

 

「あはははは!」

「わ、わはは!」

 

 とりあえずワイルドスマイルで、ごまかすけど、いったーい。

 

 いやー、でも、

 知らない国、初めての町で知り合いができることほど心強い者はないね。

 

 なので、肩をバシバシ、お尻をペシペシ。

 ドミトリさんたちとは、なんとなく友好関係を結んだまま別れることができたのだー。

 

 ただまぁ……なんとなく、すぐ再会しそうな気もするんだよね。

 

 いわゆる女の勘ってやつだ。

 

 ──ま、それはさておき、初めての異世界の町だ!

 

「よーし、観光するぞー」

 

 せっかくの異世界だし、楽しまなきゃね。

 あ、そうだ。その前に──。

 

「えへへ。実は、レベルがあがってたんだよねー」

 

 

 じゃーん!

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

レベル:15(UP!)

名 前:長瀬あかり

ジョブ:【ガソリンスタンド】Lv2(UP!)

スキル:【せんしゃ】

 

● あかりの能力値

 

体 力:  36(UP!)

筋 力: 118(UP!)

防御力: 196(UP!)

魔 力:  34(UP!)

敏 捷:  37(UP!)

抵抗力:  30(UP!)

 

残ステータスポイント「+140」

 

 ◇ ◇ ◇

 

「ふふふ、どうどう? すごくない?! いきなりレベル15だよ」

 

 誰に言うでもなく、ほくそ笑む私。

 道行く人が怪訝な目で見ていたが知ったことか。

 

 さっき、ギルドでステータスを開示されたときにこれに気付いて、小躍りしかけたのは内緒ー。

 

(……え? ステータスはそんなに高くないだろって?)

 

 ちっちっち。

 甘い甘い。

 

 それ(・・)じゃないんだよなー。

 

 ──ここ(・・)ここ(・・)。こっち!!

 

「こ~れ~をみてよー!」

 

 

  ブーン……。

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

ジョブ:【ガソリンスタンド】

能 力:任意(一定条件あり)の場所にガソリンスタンドを召喚できる。

    また、Lvに応じて召喚するスタンドが進化。

 

Lv1→田舎のガソリンスタンド(仮眠室付き)

Lv2→地方のガソリンスタンド(コンビニ付き)

 

Lv2『購入オプション』

    Wifi  :購入済み

    上下水道  :購入済み

    ガス    :購入済み

    自販機(※): 10ポイント

    車検セット :100ポイント

    自動車保険 :100ポイント

    商用車(※):300ポイント

    ATM   :100ポイント(NEW!)

    おでん   : 10ポイント(NEW!)

    中華まん  : 10ポイント(NEW!)

    フライヤー : 10ポイント(NEW!)

    コーヒー販売: 10ポイント(NEW!)

 

(次)

Lv3→県道沿いのガソリンスタンド(スーパー銭湯付き)

 

備考:(※)表記はカタログあり。

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

「えへへへー」

 

 いぇ~い♪

 

「みてみて、ジョブレベルが「2」に上昇して、コンビニ付きガソリンスタンドに進化したよー!」

 

 やったね!

 なんと、【ガソリンスタンド】が進化して、新たにコンビニが追加されたのだー。

 

「ふーははは! これで勝つる!」

 

 誰と勝負してるのかとか、そもそも誰と喋ってんだ? とかは置いといて──。

 これで、異世界もファンタジーも、コンビニのフードで楽勝だーい。

 

 いやー。まさかまさかのたったの数日で異世界ライフに『コンビニ』が登場だよー。

 これはもう、さっそく見るしかないでしょ?

 

 というわけで、

 

「さーて、コンビニ、コンビニ~っと」

 

 さっそく中を確認するべくわっくわくしながらドミトリさんに教えてもらった町の端──無料の空きスペースに意気揚々と向かうのであったー。

 

 

 ん?

 ……宿?

 

 

 とるわけないじゃん。

 こっちは、仮眠室つきのガソリンスタンド持ちですよー!

 

 

 いでよー!

 コンビニつき、ガソリンスターーーーンド!!

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