異世界チハたん(九七式中戦車)無双〜聖女召喚されたけど捨てられました~   作:LA軍

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第41話「スタンド(能力)復活ッッ!!」

「な、なにぃぃ! それが聖剣じゃとぉぉお!」

 

 いや、刺突爆雷な。

 

「はっ! 間違いなく、これがかのベヒモスを仕留めた聖剣でございます」

 

 へりくだるミルヒ君。

 

 ……いや、だけど、それ刺突爆雷な。

 仕留めたのは事実だけど。

 

「ふ、ふーむ。確かに城壁上で見たものと同じじゃのー。……おぉ、持っても良いかの?」

「もちろんでござます──ささっ、どーぞ」

「うむ! お、おぉー、なんと……。たしかにどことなく気品を感じるのー。さすがは聖剣じゃー!」

 

 気品?

 いや、だからそれ刺突──……も、聖剣でええわ。

 

 議長さんに至っては恭しく、刺突……もとい聖剣を掲げてるし、

 なんか、ミルヒ君がこっち見てウィンクしてるし──どうやらなにか思惑があるっぽい。

 

「議長どの、もしよろしければですが、その聖剣──お譲りすることも可能ですが……」

「な、なにぃぃいい!」

 

 グワバッ! と目を見開いた議長さん。

 その食いつきと行ったらすさまじい。

 

「そ、それは誠か?! こ、こここ、この聖剣を我に譲るとな?!」

「はい。ただ、そのぉ……我々としても、無償で譲るわけには──」

 

「む! それは確かにそうじゃ。貴重な聖剣をただの無償で譲り受けたとあっては我が町の名折れじゃ」

 

 いや、それ量産品……。

 というか粗製乱造品なんだけど……ま、いっか。

 

「よ、よし! ならば、そうじゃな──金貨100……いや、1000枚でどうじゃ!」

 

 なぬ?!

 刺突──げふん、聖剣一本が金貨1000枚とな?!

 

(えーっと、金貨一枚がだいたい日本円で10万だからー……1億ぅ?!)

 

「はっ! ありがたき幸せ──また、その剣の本来の所有者はこちら、ベヒモスを多数討伐したナガセでございます」

「なんじゃと! このチビ女──げふんっ、外国人が所持者とな?! まことか?!」

 

 え?

 あ、はぁ、まあ……。

 

「事実っすけどー」

「なんとー! で、では──かの火を吹くベヒモスを使役して、群れを倒したのも事実と申すか?!」

 

 火を吹くベヒモス?

 ……チハたんのことかな?

 

「それも事実ですねぇ。なので、できればその分の報酬が欲しいです」

 

 うん、こういう時は要求してナンボよ。

 あとで言わなかった後悔とかバカらしいし。

 

「ぬぅ……。聖剣の所持者ならさもありなん。……よかろう」

 

 パチンッ!

 指を弾くと、おぉー。出てきた出て来た!

 護衛さんの持つアタッシュケース型の魔法の袋からザクザクとーッ。

 

「一体分で100枚。聖剣の代金と合わせて金貨2000枚じゃ!」

 は?

「……マヂ?」

 

 え?

 こ、こんなにあっさり──しかも、刺突爆雷込みの値段で?!

 

「なに? 不満かの? うーむ、たしかに、ベヒモス一体の討伐報酬としては安いのは事実じゃが……。さすがにこれ以上はな」

「あ、いえいえ。それでいいです」

 

 確かに災害指定種とやらのベヒモス討伐報酬としては安いんだろうけど、

 それ以上に刺突爆雷に金貨1000枚はさすがにアレだし──とんとん(・・・・)ということにしよう。

 

 つーか、聖剣のネームバリューすごくね?

 

 さっきまで渋ってたのは何だったんだよ。……まぁ、えらい人にも色々あるんだろうけどさ。

 

「うむ! では、金貨を持っていけ。ギルドの(おさ)もそれでよいな?」

「え? あぁ、ワタシは別になんでも。報酬が払えなくて困ってたところだしねぇ」

 

 いや、ギルドはギルドで払ってよ?

 討伐報酬は別にしても、素材代とかあるっしょ?

 

 なにをシレーっと知らん顔してるんだか……。

 

「ふっくくくー。聖剣が我が物か……。くふっ、これがあれば議会のアホども我のことを見直すであろうぞ──わーはははは!」

 

 そういって、うっとりと聖剣(刺突爆雷)を掲げる議長さん。

 

 そして、しまいにはとんでもないことを言い出した。

 

「──おぉ、そうだ! いいことを思いついたぞ。この聖剣はこれより『アークス・グラード』と名付ける。我が名を冠し、代々受け継ぐのじゃ! そして、我の死後は、街の中央に建立するであろう我が霊廟に台座を設け、伝説の勇者にしか抜けるように細工をするとしようかのー。わーははははー」

 

 あー…………。

 

 台座に聖剣。

 うっ、頭が……!

 

 なんか、RPGの画面で、台座にぶっ刺さった刺突爆雷を空目しちゃったよ。

 そして、伝説の勇者がそれを抜いて、魔王と戦うのね。

 ……なんか旅の途中で信管抜いて爆破しそうだけど、それは多分、別のなろう系だな、うん。

 

 

 『村人Aなのに、聖剣抜けちゃいました──でも、これ刺突爆雷ですよね?!』

 

 

 な~んちゃって。

 

(ひゅー♪ シュールぅ)

 

「わはははは──では、さらばじゃー! 我は忙しいゆえな、用事があったら議会まで来るがよい。貴様らであれば、一日5分くらいは時間を割いてやろうぞー」

 

 わーはははははははは!

 

 その言って超上機嫌で去っていく議長さん。

 刺突爆──聖剣を手にしてー。

 

「…………って!! えええ?! な、なんか流れで頷いちゃってたけど、あれっていいの?!」

「あはは、まぁ金が入ったし、いいじゃないかナガセ」

 

 うー。まぁ、ドミトリさん達がいいんならいいんだけど、あれ刺突爆雷だよ?

 

「でも、ナガセさん。実際、あれでベヒモスを倒したし、ドラゴンにも効きますよね?」

「それはそうだけど──」

 

 じーっ。

 

「な、なんじゃぁ!! もうあれ(・・)はないんじゃし、お前のなんぞ怖くないわーい!」

「ミルヒ君」

「はい」

 

 そう言って貰ったもういっぽーん(一本)

 

「んぎゃぁぁああ! な、なんで『聖剣』が何本もあるんじゃぁぁあ!」

 

 わーははは、ミルヒ君には工兵器材一式を預けておいたのだー。

 

「へいへいへーい、ドラゴンさんよー。誰が一本なんて言ったかなー? で、なに、誰が怖くないってー?」

「さ、ささささーせん! お靴をお舐めしますー」

 

 ほんとコイツまじでプライドねーなー。

 つーか、たしかにベヒモスを倒して、ドラゴンにも効く……なんか聖剣でいい気もしてきたわ。

 

「いや、刺突爆雷だからね、ナガセ」

「わ、わかってますよー」

 

 一瞬、量産して売ろうかと思っちゃった、てへへ。

 だって、魔石さえあればチハたん由来の装備は回復するからつい……。

 

「あ、あははは……。聖剣を売る女か──ドミトリ、アンタと〜んでもないの連れて来たねー」

 

 ギルマスが苦い顔。

 ……え? 私ってとんでもない?

 

「だろー? コイツは間違ってもアタシらの仲間で納まるような奴じゃないよ」

「そーそー。超こえーし」「色気はないのに、勝気だけは──って、あいだー!」

 

 だから、双子どもはいらんこと言うなし。

 

「ふんっ、いいだろう。とりあえず、ギルドとしても、今回の件は重くみてるからね──ちゃんと査定はするさ」

「そうしてくれると助かるねぇ。報酬面もちゃんと踏み倒さずに払ってくれよ」

 

 そうそう。

 ベヒモスはともかくとして、ドラゴンとかねー。

 

「わかってるよ。とりあえず、遠征にでた高ランクが戻ってきてからなんとかするから、それまではそうさね──……昇級で勘弁しとくれ」

「ふんっ。クエスト報酬の上乗せと──あと、これ(・・)引き取ってくんな」

「誰がこれじゃ、だれがー!」

 

 いや、おめーだよ。

 

「この屋根破壊やろー。これから、ルーフデストロイヤーと名付けるよ、クソガキ」

「おぉー。いいじゃないか、〝屋根を破壊せし龍″。ルーフデストロイヤーか、気に入ったね」

 

 ギルマスさん、

 気に入ったらしい……。

 

「あぁーん?! なんじゃその二つ名は! ワシの人類デビューがなんでそんな微妙な名前なんじゃー!」

「いいじゃん二つ名。アンタはこれから、ルーフデストロイヤー。略して『ルーフ・デス』かっこいー」

 

 いやじゃぁぁぁあああ!

 

「略したら、『屋根死』じゃねーかぁぁぁあ!」

 と、クソガキの鳴き声を聞きながら私たちは報酬を数えだすのであったー。

 

 

※ ※ ※

 

 

「ひーふーみー……の百枚っと」

「残りの1900枚は本当に私でいいんですか?」

 

 報酬金の金貨2000枚のうち、きっちりと自分たちの取り分を分けたドミトリさんたち。

 まぁ、たしかに彼女らが倒したのは一体だけだけど──…援護してもらったしなー。

 

「当然だろ? むしろ、これでも多いよ。アンタがいなかったら一体も倒せてないわけだし」

 

 まぁ、それはそう。

 聖剣ありきの戦果だしな……あ、いや、刺突爆雷? あ、聖剣だっけ──やばい、ゲシュタルト崩壊してきた。

 

「──で、こっちは本来のクエストの報酬だけど、まぁ、色をつけて、金貨5枚ってとこかね」

「おー……」

 

 しょ、しょぼー。

 

(い、いやまぁ! これが普通だよね!)

 

 だって、金貨5枚ってことは、

 日本円にしたらだいたい50万円だもん、結構な額だよー。

 

 つーか、調査のクエストが主目的だったわ。

 半分忘れてたわー。

 

「あ、あはは。そんな顔しないどくれよ」

「いえ、すみません。ちょっといきなりの額に頭がバグっちゃって……」

 

 まぁそのお金もガソスタの復旧で一瞬で消えそうだけどね。

 つーか、ガソスタ一棟まるまるの修理っていくらかかるんだろう?

 

「それよりも、ドミトリ。この調査自体はいいんだけど……結局のところ、これ(・・)正しいのかい?」

「あーそれなー」「たしかに……」

 

 難しい顔のギルマスさん。

 

 でも、言われてみればあのオークの集落が壊滅したのって、本当にこのクソガキの仕業だろうか?

 そもそも、集落の残骸って踏み荒らされた様な痕跡ばっかりだったし……もしかして、ベヒモスの仕業?

 

「ま、いいさ。そのへんも含めて、コイツから聴取しようかね」

 

 コイツ……?

 あぁ、クソガキのことね。

 

「んが! きっさまー、エルフ風情がコイツじゃと?! 我を誰だと──」

 

「「「ルーフデストロイヤーな」だろ」でしょ」

 

 んがぁぁあ!

 

「その名で呼ぶなー!」

 

 わははは!

 

 調子に乗ってても、所詮は破壊できるのは屋根くらいだよ、クソガキめ。

 

「そう言うわけで、聴取後に報酬の上乗せのことは話すよ、あと昇級もね」

「頼むよ。ま、踏み倒されちゃたまんないから、アタシはしばらく街に留まるよ」

 

 どうやらドミトリさんたちはサンズベルトに帰らないらしい。

 まぁ、その方が私も知り合いがいて心強い。

 なんだかんだで知らない街だしね──。

 

「踏み倒しゃしないっての──とりあえず、ドミトリ。アンタはSランクに内定だね」

「ほう。そりゃありがたいね」

 

 おぉ、どうやらドミトリさんはSランク冒険者になるらしい。

 まぁ功績をあげたら順当かなー。

 

「で──ナガセだっけ? アンタは……うーん。まぁ、Bランクかねぇ」

「は? おいおい、ギルマス。そりゃないだろ。アタシ等がSなら、こいつはSS……いや、SSSくらいはあるぞ?」

 

 いや、SSSって……。

 Sランク安売りするなよ、こっちはガソスタ店員でっせ。

 

「そうもいかないよ。順番さ、順番。いくらなんでも、登録して数日程度の小娘をいきなり『S』にしちゃ、ギルドの信頼が揺らぐよ」

「そんな信頼捨てちまいなよ……ったく、ナガセどうする?」

 

 どうって……。

 

「まぁ、別にいいですよ? 功績の度にランク上げてもらってますし、別に、ベヒモスくらい何匹いても私の敵じゃねーし」

 

 もちろん、ドラゴンもねー。

 じーっ。

 

「な、なんじゃあ!」

 

 シュッシュ! とシャドーボクシングのクソガキ。

 もとい、ルーフ・デス──屋根を破壊せし龍。

 

「い、いや、ベヒモスが何匹いてもって……コイツまじか?」

「マジだよ、マジ。ナガセを怒らせたら、この街は更地になると思いな」

 

 いや、更地にはせんがな。

 ……蹂躙くらいはするけど。

 

「ほ、本気でやりそうだね。……わ、わかった、各地のギルドには話はしておくから、順当にランクが上がる様にしておくよ」

「それでいいですよ」

 

 ぶっちゃけ、ランクはついでだし。

 

 Cランク以上の強制依頼を無理やりってのは前にあったし、昇級にはちょっと警戒中。

 

 それよりも、ここに来た本来の役割を果たす時かな──……というわけで、

 

「なので、代わりと言っちゃアレですけど、ちょっと口利きをお願いできませんかー?」

 

 そう言って私は脇から抱え上げたルルちゃんをギルマスの前に掲げて見せた。

 どうですー。ウチの子は可愛いでしょー。

 

 

 

 

「にーっ」

 

 

 

 

 ──で、そんな風に口利きをお願いしてから数分後。

 

「がっくし」

「がっくしー」

 

 私の隣にはまだルルがいた。

 なんでって?

 

 そりゃー。さっきの話になるけど、ギルマスさん曰く、魔族の忌避感情が酷いので、ちょっとこの街では厳しいんじゃないかということだそうだ。

 

 普通の孤児であれば、

 ネームバリューでいけば間違いなく受け入れはしてくれるらしいけど……。

 魔族は多分というか、絶対無理だそうで──……なんでも、この国の建国以来の国是(こくぜ)なんだとか。

 

 まぁ、例のクソおーじ様のいる国家との関わりで、各国は軒並み似たような対応らしい。

 

 魔族=人類の敵って感じー。

 

「こんなに可愛いのにねー」

 

 うりうり。

 

「にーっ」

 

 ……うん。ちょっと馬鹿っぽいのが気になるけど、

 あ、でも髪の毛いい匂い。少し臭いのがいいね。

 

「って、そうだ!! 臭いと言えば──」

「くさいー?」

 

 うん、ごめん。

 いや、ルルのことじゃなくてだね。

 

「いやいや、お金稼いだ目的を忘れるところだったよ」

 

 ルルの受け入れのこともそうだけど、

 がっぽり報酬を貰ったら、いの一番にすることがあった。

 

 そう!!

 ……えーっと、これこれ。

 

「ジョブの回復っと」

 

 

  ブーン……。

 

 

 お、ステータス出て来た。

 

 えー、なになに?

 入金額が──金貨1000枚ぃぃぃい?!

 

「たっかー!」

 

 日本円にしたら、1億円じゃん!!

 え? ガソスタってそんなにかかるの?!

 

「ま、まぁ、あれか──あのクソガキがタンクごと爆破しやがったからそんなもんか」

 

 なんか遠くの方で、「爆破したのはお前じゃー!」とか聞こえて来たけど知らん。

 そして、いつかあのガキにはこの1000枚を請求するとして──……しゃーない。

 

「がっぽりお金はあるし、修理しよっかね」

 

 日本にいたら絶対に使わないであろう額をポンッっとね。

 

「お! なんか体が熱くなってきた──!」

 

 多分、

 レベルアップ分も入って、ガソスタが復旧した証拠だ!

 その証拠に、「なんか出せそう」な気がしてきたーっ。

 

「よーし、ルル! こんなクソみたいな国と街のことはいったん忘れて、今日はお風呂だー!」

「わーい!」

 

 てててー。

 

 二人して、駆け出し、事前に聞いておいた町の広場の方に行く。

 サンズベルト同様に使っても問題ない場所だ。

 

 例によってスラム近くだけど、無問題でーす。

 

 なにせ私はBランクー(内定)!

 

「とうわけで、はい、どーーーーーん!!」

「ドーン!」

 

 二人で、両手を上げて召喚の合図ー。

 すると、本当に出て来たガソリンスターーーーーーーンド!!

 

 わーはははは!

 

 これで勝つる! 再び私の異世界快適旅の始まりじゃー!!

 

 そのまま、半分スラムの様なまちの一角。

 そこの広い空き地に出したガソリンスタンドに私とルルは飛び込んでいくのであったー。

 

 ん?

 首都にこんなの出していいのかって?

 

 細かいことは気にしないのーっ。

 そこはほら、街を救った英雄ってネームバリューでドサクサ紛れで営業許可も貰って来たのだ。

 

 今日はもう寝るけど、へへっ、明日はガソスタでちょ~っと考えていることがあるんだよね。

 

 ベヒモスたくさん倒したし、きっとうまくすれば──……。

 

 というわけで、きょうはおやすみー。

 シャワー浴びて寝よ。

 

 もちろんルルちゃんと一緒に入る。

 

 

 

 

 ……乙女達のシャワーシーンを覗くなよー。

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