異世界チハたん(九七式中戦車)無双〜聖女召喚されたけど捨てられました~   作:LA軍

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第65話「超散弾」

 ……ザァァアッッッ!!!

 

 

 戦場に響いた土砂降りの音。

 しかして、それは雨にあらず!

 

「あ、あ、あ、」

「──あっぶねー……」

 

 スパーン!!

 

「あいだー!」

 

 そして、

 すかさずツッコミで反応したのは私ではなく、もう一人の相棒ルーフデスだー!

 

「あにすんのよ!」

「『あいだー!』でも『あにすんのよー』でもないわぁぁあ! あ、あ、あんなもん至近距離で撃つなぁぁああ!」

 

 あんなもんって言われてもなー。

 おー、いてぇ。

 

「いきなり叩かないでよ。頭潰れるかと思ったじゃん」

「アホたれ! 潰れてまえ! そんな頭ぁ」

 

 んな?!

 

「な、何ちゅうこと言うのよー」

 

 もー。

 

 珍しくも、激しく突っ込み食らったのは私。

 そして、頭に一撃をいれてくれやがったのは、チビの竜人族ことルーフデスの野郎だ。

 

 ちっくしょー。

 きれーいに頭にくれやがったものだから、いて~のなんのって!

 

「つーか、アンタさー。怪力なんだから手加減しなさいよー」

「こっちにセリフなんじゃがぁっぁああ! 見てみぃ!!」

 

 あん?

 どーいう……って、

 

「ぶははははははは! なにそれ、アンタの顔~」

 

 ぎゃははあ!

 

「笑ってる場合かー! ど、ど、ど、どーしてくれるんじゃぁぁ! この顔面鉄球のだらけの状態をぉぉ! 無茶苦茶、いってぇぇぇええんじゃがぁぁあ!」

 

 あははは!

  あはははー!

 

「いや、めんごめんご。そっちまで飛んでいくとは思わなくってさー」

「嘘つけ! 危ないから、ルルから離れたんじゃろうが!」

 

 あ、バレてるー。

 

「バレバレじゃ! だいたいお主という奴はー」

 

 くどくど

  くどくど!

 

「大丈夫だって、アンタ頑丈だしー」

「頑丈でも、痛いもんは痛いって、何回も言っとるじゃろうがぁぁあ!」

 

 そう言って怒り狂うルーフデスの顔面やら体には、なんとまぁ直径10mm程度の鉄球が数発めりこんでいる。

 

 ……あ、今ポロって何個か落ちたー。

 

「あとぉ! 撃つなら、もうちょい早よ言わんか! お前さっき、頭引っ込めろと、発射がほぼ同時ったからな!? ノックしてって言ってるのに、コンコンがちゃって部屋に入ってくるお母ちゃん並みにノーウェイトじゃったかなら?!」

 

 わ、悪かったって。

 それより、ほら──……。

 

「見てみて! ひゅ~……さっすが散弾のゼロ距離射撃」

 

 強烈ぅ。

 

「……その強烈な射撃の矢面に我がいたんじゃがのー」

 

 青筋を立ててルーフデスが怒るのも無理はない。

 

 なにせ、ゼロ距離でぶっ放したのは、昨日の防衛線で使った九〇式榴散弾よりも旧式の三八式榴散弾だ。

 

 この弾の基本的な性能は九〇も三八もほぼ同じだが、少しだけ違うのが初速と内部に詰まっている子弾の数である。

 

 九〇式は子弾がやや少なく、初速が早い。

 一方で、

 三八式は子弾が多く、初速が遅い。

 つまり、三八のほうが至近距離での向いているというわけだ。

 

「……その至近距離に向いている砲弾をゼロ距離で撃つ奴があるか! みてみぃ、砲の正面にいたオーガが見事になぎ倒されておるわ!」

「んねー」

 

 すっげー威力。

 

 いっそ気持ちいいくらに、オーガの群れが砲口の先で、扇状になぎ倒されている。

 なにせ、およそ300個ほど詰まった子弾がゼロ距離でさく裂したのだ、それは巨大なショットガンのようなものだもんねー!

 

「つーか、これ、食らった奴で動けてる奴ほとんどいなくね?」

「いや、後ろの方のは腰が抜けとるだけじゃじゃろう。あと大型種はさすがに、タフよの」

 

 あ、ホントだ。

 

 身体がバラバラの奴はともかくとして、

 大型種とかは片膝突いたり、腕をクロスして耐えてやがった。

 その背後にいた奴も生きているし、さらに後方は危害半径から免れたのか、腰を抜かしているだけらしい。

 

 まー。敵は500匹、

 子弾は300個──。一発で全滅は無理だわなー。

 

「……だけど、十分だね!」

「うむ──予想以上の威力じゃ。……つーか、もう、この戦場って、お主だけで勝てたんじゃないのか?」

「いや、さすがにそれは無理かなー」

 

 だって、民兵たちの正面も、冒険者たち側の正面も、同時に防御するのは無理だもん。

 

「だから、仕上げにあと五分!」

「おう! もうこうなったら、とことんやってやれぃッ!」

 

 おーよ、言われずとも!

 

 ザッ!

「ルルー。見えてるなら、デカいのから排除よろしく! こっちから抜けて行ったのは、対処できるー? どうぞ」

 

 ザザッ!

『よゆー! どーぞー』

 

 オッケイ!

 ルルが言うなら間違いないね!

 

 実際、後方からの射撃音と同時に、散弾をくらって片膝をついていた大型オーガの頭部が爆散!

 遠距離からの九七式自動砲の狙撃を受けたらしい。

 

「あはっ! さーすがは私の相棒だね。……以上、しくよろー!」

 

 ザザッ!

『りょー♪』

 

 

  ズドーン!!

 

 

 交信終了と同時にさらに一体の大型のオーガがさらに吹っ飛ばされる。

 もはや、ルルの狙撃はこの戦場を完全に管制下に置いているらしい!

 

「よーし、そんじゃこっちも、続行続行続行!」

「あい、わかった! 白兵は任せい」

 

 そのつもり!

 

 バンッと、無線機の送話器を叩きつけるように置くと、上機嫌に私は髪をかきあげる。

 そのまま、ガソスタの帽子を脱ぐと代わりにヘアゴムで適当にまとめると、主砲を装填!!

 

 爆風で帽子が吹っ飛んだらことだからねー!

 

 つーわけで、

「主砲装填、弾種、信管、おなーーじ!」

 

 ガコーン!!

 

「……さーて、仕上げと行きましょうか!」

「うむ!」

 

 さすがに今度は射撃前に防盾に隠れるルーフデス。

 当たったら痛いもんねー。

 

「目標正面、残るオーガの群れ! 指命ッッッ」

 

 

 

 

 いっくぞー!!

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