異世界チハたん(九七式中戦車)無双〜聖女召喚されたけど捨てられました~ 作:LA軍
……ザァァアッッッ!!!
戦場に響いた土砂降りの音。
しかして、それは雨にあらず!
「あ、あ、あ、」
「──あっぶねー……」
スパーン!!
「あいだー!」
そして、
すかさずツッコミで反応したのは私ではなく、もう一人の相棒ルーフデスだー!
「あにすんのよ!」
「『あいだー!』でも『あにすんのよー』でもないわぁぁあ! あ、あ、あんなもん至近距離で撃つなぁぁああ!」
あんなもんって言われてもなー。
おー、いてぇ。
「いきなり叩かないでよ。頭潰れるかと思ったじゃん」
「アホたれ! 潰れてまえ! そんな頭ぁ」
んな?!
「な、何ちゅうこと言うのよー」
もー。
珍しくも、激しく突っ込み食らったのは私。
そして、頭に一撃をいれてくれやがったのは、チビの竜人族ことルーフデスの野郎だ。
ちっくしょー。
きれーいに頭にくれやがったものだから、いて~のなんのって!
「つーか、アンタさー。怪力なんだから手加減しなさいよー」
「こっちにセリフなんじゃがぁっぁああ! 見てみぃ!!」
あん?
どーいう……って、
「ぶははははははは! なにそれ、アンタの顔~」
ぎゃははあ!
「笑ってる場合かー! ど、ど、ど、どーしてくれるんじゃぁぁ! この顔面鉄球のだらけの状態をぉぉ! 無茶苦茶、いってぇぇぇええんじゃがぁぁあ!」
あははは!
あはははー!
「いや、めんごめんご。そっちまで飛んでいくとは思わなくってさー」
「嘘つけ! 危ないから、ルルから離れたんじゃろうが!」
あ、バレてるー。
「バレバレじゃ! だいたいお主という奴はー」
くどくど
くどくど!
「大丈夫だって、アンタ頑丈だしー」
「頑丈でも、痛いもんは痛いって、何回も言っとるじゃろうがぁぁあ!」
そう言って怒り狂うルーフデスの顔面やら体には、なんとまぁ直径10mm程度の鉄球が数発めりこんでいる。
……あ、今ポロって何個か落ちたー。
「あとぉ! 撃つなら、もうちょい早よ言わんか! お前さっき、頭引っ込めろと、発射がほぼ同時ったからな!? ノックしてって言ってるのに、コンコンがちゃって部屋に入ってくるお母ちゃん並みにノーウェイトじゃったかなら?!」
わ、悪かったって。
それより、ほら──……。
「見てみて! ひゅ~……さっすが散弾のゼロ距離射撃」
強烈ぅ。
「……その強烈な射撃の矢面に我がいたんじゃがのー」
青筋を立ててルーフデスが怒るのも無理はない。
なにせ、ゼロ距離でぶっ放したのは、昨日の防衛線で使った九〇式榴散弾よりも旧式の三八式榴散弾だ。
この弾の基本的な性能は九〇も三八もほぼ同じだが、少しだけ違うのが初速と内部に詰まっている子弾の数である。
九〇式は子弾がやや少なく、初速が早い。
一方で、
三八式は子弾が多く、初速が遅い。
つまり、三八のほうが至近距離での向いているというわけだ。
「……その至近距離に向いている砲弾をゼロ距離で撃つ奴があるか! みてみぃ、砲の正面にいたオーガが見事になぎ倒されておるわ!」
「んねー」
すっげー威力。
いっそ気持ちいいくらに、オーガの群れが砲口の先で、扇状になぎ倒されている。
なにせ、およそ300個ほど詰まった子弾がゼロ距離でさく裂したのだ、それは巨大なショットガンのようなものだもんねー!
「つーか、これ、食らった奴で動けてる奴ほとんどいなくね?」
「いや、後ろの方のは腰が抜けとるだけじゃじゃろう。あと大型種はさすがに、タフよの」
あ、ホントだ。
身体がバラバラの奴はともかくとして、
大型種とかは片膝突いたり、腕をクロスして耐えてやがった。
その背後にいた奴も生きているし、さらに後方は危害半径から免れたのか、腰を抜かしているだけらしい。
まー。敵は500匹、
子弾は300個──。一発で全滅は無理だわなー。
「……だけど、十分だね!」
「うむ──予想以上の威力じゃ。……つーか、もう、この戦場って、お主だけで勝てたんじゃないのか?」
「いや、さすがにそれは無理かなー」
だって、民兵たちの正面も、冒険者たち側の正面も、同時に防御するのは無理だもん。
「だから、仕上げにあと五分!」
「おう! もうこうなったら、とことんやってやれぃッ!」
おーよ、言われずとも!
ザッ!
「ルルー。見えてるなら、デカいのから排除よろしく! こっちから抜けて行ったのは、対処できるー? どうぞ」
ザザッ!
『よゆー! どーぞー』
オッケイ!
ルルが言うなら間違いないね!
実際、後方からの射撃音と同時に、散弾をくらって片膝をついていた大型オーガの頭部が爆散!
遠距離からの九七式自動砲の狙撃を受けたらしい。
「あはっ! さーすがは私の相棒だね。……以上、しくよろー!」
ザザッ!
『りょー♪』
ズドーン!!
交信終了と同時にさらに一体の大型のオーガがさらに吹っ飛ばされる。
もはや、ルルの狙撃はこの戦場を完全に管制下に置いているらしい!
「よーし、そんじゃこっちも、続行続行続行!」
「あい、わかった! 白兵は任せい」
そのつもり!
バンッと、無線機の送話器を叩きつけるように置くと、上機嫌に私は髪をかきあげる。
そのまま、ガソスタの帽子を脱ぐと代わりにヘアゴムで適当にまとめると、主砲を装填!!
爆風で帽子が吹っ飛んだらことだからねー!
つーわけで、
「主砲装填、弾種、信管、おなーーじ!」
ガコーン!!
「……さーて、仕上げと行きましょうか!」
「うむ!」
さすがに今度は射撃前に防盾に隠れるルーフデス。
当たったら痛いもんねー。
「目標正面、残るオーガの群れ! 指命ッッッ」
いっくぞー!!