異世界チハたん(九七式中戦車)無双〜聖女召喚されたけど捨てられました~ 作:LA軍
「はー……あっぶなー。危機一髪だったね」
「あほたれ! 一発どころか、二発も三発もあったわーい!」
機関銃の吹き返しで顔中を真っ黒にしたルーフデスがキーキーと吠える。
まー元気なことで。
「ルルは怪我とかしてない?」
「してないー」
いつも通り、ニコニコのルルちゃんの頭を買い繰りしつつ、見事に脱出支援してくれたことを感謝する。
「ありがとね。おかげで助かったよー」
おそらく、内部で騒いでいたあたりから何かあったと気づいて銃座についてくれていたのだろう。
でなければ危なかった。
「あ、そういや、ルーフデス。アンタも大丈夫? 下にいたとき、だいぶ一酸化炭素吸ったでしょ?」
普通なら即昏倒するレベルだ。
下手すりゃ後遺症が残るレベルで脳がやられてもおかしくはない。っていうか、このまま絶対安静したほうがいいんじゃ?
「あーん?……見ての通り、問題ないわ。我はこれでも竜人族ぞ? 回復力をそこらの有象無象と一緒にするでないわー」
「そういやそうだったっけ」
コイツ、ガソスタ大爆発も、チハたん100連発も、ベヒモス戦でもかなりのダメージを受けたくせに割とケロッとしてやがったからな。
そらぁ無事か。
「──でも、一応安静にはしときなよ? 一酸化炭素はそのまま抜けるのを待つしかないし」
新鮮な空気と安静くらいしか現状打つ手はない。
もっとも、ルーフデスに一般とか普通とかの言葉が適当できるかははなはだ怪しい所だけどね。
「ふんっ。それよりも見てみぃ」
「見るってなにを?」
せっかく下まで調査に降りたのに、なんの発見も出来なかったというのに今更なにを?
「くくく。探し物じゃよ」
そう言うなり、瓦礫に半ば埋もれたオーガエンペラーのもとに近づくと、その顔を瓦礫から引きずるようにして、ぐいっと持ち上げた。
そして、無理やり喉元を切り開くと、そこからある物を取り出した。
ぬちゃぁぁ……。
ありゃ?
なんか見覚えのあるけど、それって──。
「アンタが脱ぎ捨てた……ヘルメット??」
そこにあったのは、ルーフですが一酸化炭素中毒で朦朧としたときに脱ぎ捨てたものであった。
しかし、それがどうしたというのだろう? オーガエンペラーがあの時飲み込みかけたというだけでは?
「おーよ。奴に喰われたようじゃが、なんとか無事じゃったわ」
いや、無事には見えないけど、
まぁ……本人が食われなかったから良しとするか。
「で? それをどうするの? 私いらないよー」
……血とか涎とか、その他諸々がついててばっちいしー。
「馬ッ鹿じゃのー。なんのためにこいつを着て入ったと思っておる?」
「何のためって、そりゃー……」
内部調査。
それも高濃度の一酸化炭素に犯された、洞窟深部だ。
「その調査のためにわざわざ高価な装備を身にまとったんじゃろうが、武器は最低限にしてな」
あーそうだったね。
そこに酸素ボンベに防護服に機密ヘルメット。
武器弾薬──そして、
「あ、そうか!」
「うむ。そのための装備よ──見よ、『うぇあらぶるかめら』じゃー!」
なんということでしょう~。
防護服には相互通信可能なカメラが取り付けられていたのだー。
……いや、知ってたけどね。