異世界チハたん(九七式中戦車)無双〜聖女召喚されたけど捨てられました~ 作:LA軍
「なんじゃ、知っとるのか?」
「まぁ、ちょっと前に色々あってねー」
ほんっと、マヂで色々あってさ。
勝手に召喚からの追放……クソおーじめー。
「ふむ。その色々が気になるところじゃが、まぁいい。知っとるなら話は早いが、これは大型の召喚魔法陣じゃな」
知ってる知ってる。
……まぁ、あの事をルーフデスに話してもいいんだろうけど。今は黙っとこ。
(コイツのことだから。薄々勘付いてはいそうだけどねー)
一応、コイツって竜人族とかいうわけのわからん種族だしな。
どこに逆鱗があるのかわかんないし──。
「その逆鱗が分からん我の頭をガンガン殴ってくる奴が言っても説得力ないぞー」
「教育は必要でーす」
または精神注入ともいう! キリリッ
「教育でもキリリッではないわーい! ったくもー。まぁ、お主にも色々事情があるのは察しとるがな」
「乙女には秘密が多い物さー」
「……乙女って歳でも──ちょ! やめーや! な、なに拳銃抜きかけとんじゃ!」
いや、教育が必要かと思ってー。
「冗談だよ」
「嘘つけ! 今の動きメッチャ早かったからな?! 言った瞬間、パチンッ! ジャキ! って感じでホルスターからの引き抜き動作がプロ級じゃったからなー!」
あはは、
プロって、ウケるー。
「お主、絶対ガソスタの店長じゃないじゃろ?……前職は何しとったんじゃか──」
あーん?
「ただのOLだよ」
「その『O』って、オフィスのOじゃなくて、オフィサーとかのOじゃなかろうの~?」
あははー。
「……笑ってごまかすなし──まぁいい」
「そうそう」
それより、なんだっけ?
「この魔法陣ってそんなに有名なの?」
「そんなわけなかろう。こりゃ一種の禁術じゃ。……少し考えればわかると思うが、世界を一変させかねない技術じゃからの」
それはそう。
こんなもん、流通で革命が起きるわな。
そして、私に至ってはマヂで「世界が一変した」しー。
地球から異世界だよ? どないなっとんねん。
「もっとも、禁術じゃ何だと言っても、そも扱えるものなど早々おらんし、なにより莫大な魔力を必要とするからの。そこまで危険視するほどでもないぞ」
「あー。やっぱ代償はいるんだ」
「いるいる。人間ひとりでは絶対に扱えんし、我ら竜人族でも無理じゃ。そも我らはそんなに魔力は高くないしのー」
こいつ脳筋だもんね。
それか火力マシマシトカゲ。あの火って何でできてるんだろーね。
……しかし、そっか。
そういや、あの城の地下の魔法陣も周囲に魔術師っぽいのがいっぱいいたな。……なるほどなるほど。魔力がたくさん必要、ナガセ覚えた。
「とはいえ、これだけではまだ判断がつかんのー」
「ん? 魔法陣はあったんだし、ある程度は絞れるんじゃないの?」
扱えるとこ限られてるんでしょ?
「ある程度はな。ただ、現物を見んことには、最終的なところは分からん。一概に召喚の魔法陣といっても色々あるからのー」
あー。
異世界から召喚したりとかねー。
「でも、わかったことは誰かが何か企んでるってことよね?」
「そうなるのー。オーガ・エンペラーを呼び寄せ、その他大量のオーガを準備する──このあたりができる連中と言ったら……」
そこまで言ってから、
ふとルルに顔を向けるルーフデス。
「……魔族くらいしかおらんのー」
「え? そうなん?!」
──魔族とな?!
「人間の仕業じゃないの?」
「無理じゃろ? できんこともないが、オーガ・エンペラーの仕入れ先もその他大量のオーガの仕入れ先も、人間の領土内ではちと厳しいからの」
確かに……。
オーガは要駆除対象だって効くし、なにより、一匹二匹ならともかく、1000匹ものオーガだ。
人間の領土内にそれだけの数を飼うのは少々どころか、不可能だ。
「それに、魔法陣を設置して、こっちにオーガエンペラーを呼ぶんじゃぞ?……そこに人間がおったら食われて仕舞じゃ」
「それはそう」
入力はともかく、出力側にも当然設置者がいるってことだもんね。
ルーフデス曰く、魔法陣には、ランダムに召喚するタイプと任意に魔法陣から魔法陣へと召喚──というか、この場合は転移の魔法陣とでも言うべき、それだそうだ。
「まぁ、召喚も転移も厳密には同じ理屈じゃ──違うのは、呼び寄せる対象を指定できるかできないかじゃな」
転移魔法陣の場合は、入力と出力が明確で、
召喚魔法陣の場合は、出力のみ──入力は完全なるランダムってことかー。
(つまり、クソおーじがやった聖女召喚とやらは
「そっか……」
「どした?」
「いや、まぁ……うん」
ルーフデスに話してもしょうがないので、いちいち言わないけど、
実は、いっそチハたんであのクソ王国に乗り込んで魔法陣を奪うという手も考えなくはなかったんだよねー。
火力は完璧、そして、動機も十分!
そりゃ~やるっしょ??
だけど、この話を聞くにそれも徒労に終わりそうだ。
だって魔法陣だけ奪っても、出力するほうの日本に魔法陣がなければ意味がないということだもん……。とはいえ、一回ぶん殴ってやりたいけどね。とくにあのおーじの顔面に、こう──陥没するくらいきつーいのを一発だね。
「うん? まぁいい。──それより、そろそろ戻るか。エンペラーの首級があれば、討伐証明には十分じゃろ」
「首級っつーか、破片しかないけどね」
私、ぶっとばしちゃった、てへ♪
「なにを舌出しとんじゃ。可愛くもないし、お主は自分の歳を考え──……って、もー! 怖いから、抜くなっつってんの!!」
「アンタがいらん事を言うからでしょー」
「じゃからって、今度は軍刀かーい! 拳銃も早いが、刀の抜刀も早すぎんか、お主──……って、刺さってる刺さってるー! 痛い痛い痛ーい」
当ててんのよー。
「当ててるっつーか、刺さってるからの? 峰打ち意味ないからの? つーか、全然嬉しくない『当ててのよ』アッピ~ルじゃの! あと、どうせやるならそっちのないほうの──って、
「やー、硬い硬い~」
「当たり前じゃ! 我の肌は竜鱗のそれじゃー!……でも、痛いもんは痛いからな?!」
はいはい。
「それよりそろそろ帰ろっかー。ルル、あのデカいの引っこ抜いてきてくれる?」
「んー」
「いや、まず、我の首のほうの刀から抜かんかッ。……あと、いきなり、すんってテンション変えるのやめてくれんかのー。我、ついていけないんじゃが」
うるさいよー。
それより、ほら!
刀をしまう私の前をててててーと忍者走りしながら走るルルちゃんってば、そのまま、無表情に洞窟お残骸に手ぇ突っ込むとズボー! ってしてるし。
「とったどー」
「おー、すごいすごい」パチパチパチ
マヂすげー。
さすがは我がファミリーイチの脳筋だー!
「た、たしかに凄いのぉ……。力もそうじゃが、見た目がすんごい。女の子が首無しオーガを大根みたいにズボーって……はぁ、ルルの助の将来が心配じゃわ」
「そう? 頼もしくていいじゃん。……この子なら自立しても、冒険者とかでやっていけそう」
「魔族を受け入れるギルドがあればのー」
あー。
ダメなんだ。……まぁ、この辺の国の感情的に無理か。
「いっそ脅して登録させよっかなー」
あのギルマスなら行けるっしょ。
「やめとけやめとけ、ブラックリスト入りされてしまいじゃ。……つーか、お主のことも結構ギルドに通報されとると思うぞー」
「ナンデストー。私がナニヲヤッタッテイウンデスカー」
「めっちゃ棒読みやんけ。そもそも、お主何もかもしとるじゃろうに……。多分、『扱いづらいが、うまく使えば戦力として優秀。ただし、暴走することあり』とか備考欄に書かれとうじゃろな」
んなっ?!
「ぼ、暴走してねーっつーの!」
爆走しかしとらんわーい。
「しとるやんけ」
「うっさいなー。ちょっとオークをぶち殺して、ドラゴンにブチかまして、ベヒモスをブチかまして、ケルベロスをブチ切って、オーガをブチまけただけやーん」
「やっとるやんけ。それはちょっととは言わんし、そして、我はブチかますどころか、ブチ焼かれて、ブチ殴られて、ブチ落とされたぞ? 首輪爆弾とかもあったからな?」
うっさいなー。
「一個や二個、大したことじゃないじゃん」
「いや、一個や二個じゃないぞ? ついさっき、軍刀でブチ刺されるが追加されたからな? ついでにキコキコもされたからな?」
「細かいなー。死んでないからノーカンだよ」
「……お主、いっかい病院いったほうがいいぞー」
どういう意味だよ!
「暴走機関車って意味じゃ!……いや、暴走機関銃か?」
「誰ウマよ。それよりほら、オーガ死体もってかえって報酬がっぽがっぽ貰おうよ」
もうこんな山奥にいる意味ないし撤収~♪
「そのテンションの乱降下なんなん?? 我もさすがに疲れるわ」
「勝手に疲れてどうぞー」
「はぁ……──お主、人生たのしそうじゃの」
まーねー。
「こっち来てからは割と楽しんでるかもー」
何やっても力で解決だぜー。
「……そういうのこっちじゃ魔王っていうんじゃぞー」
「あはは。なら、竜人族に宣戦布告しないとねー」
「お主は本気でやりそうじゃし、怖いのー」
やってるやってる。
「つーか、大使を殴ったら、その時点で普通は宣戦布告なんじゃなかったっけー?」
「なら、殴るな! こっちもマヂで全竜人族で対抗するぞ」
「あはは、冗談だって。竜人族の大使様とは仲良くさせてもらってますー」
なでりこなでりこ
……まぁ、攻めてきたら容赦しないけどね。
チハたんぱぅわ~で迎撃してやるわーい。
「はぁ……。我、里に帰ったらなんて報告しようかのー」
「優しいお姉さんにナデナデしてもらったって言っときなさいよー」
「なでなでというか、神経逆撫でしかされとらん気がするがのー。……あと、我の方が年上な」
「見た目年齢だよ」
だっちチビだも~ん。
「はぁ……。お主ぜったい周囲からやべー奴認定されとったじゃろ」
「まっさかー。…………え?」
ま、まさかだよね?
「自覚ないんかーい。……まぁええわ。お主風に言うなら、そろそろ行こうぞ」
「あ、はい」
そうですね、はい。
「え? 私、ヤバいやつ?」
なんか知らんけど、最後の最後ですっごいモヤること言われたんですけどー!
ですけどー!
ですけどぉぉぉお!
そうして、こうして、なんとか首都を襲った連中を壊滅させた私達は、
意気揚々(?)と帰るのであったー。