異世界チハたん(九七式中戦車)無双〜聖女召喚されたけど捨てられました~ 作:LA軍
「というわけで、どーーーーーーーーーーーーーーーーん!」
「「どわぁぁぁああああ?!」」
な、なんじゃじゃああ?! という顔で出迎えてくれたのはアークスちゃんを始め、議会の面々。
お、樽爺もいんじゃーん。
「いや、いんじゃーん♪ じゃないわ! なんでわざわざ扉を蹴るんじゃぁぁあ!」
「そこに扉があるからさ」
キリリッ
「いや、カッコつけて言ってもなんもカッコよくないからな? なんなら、お前が蹴っ飛ばした扉、観音開きのそれじゃから、片方は今修理中じゃからな? そして、その片方を蹴り飛ばしたのもお前じゃからな?! あと、そんな状態の扉じゃからわざわざ蹴らんでも入れるからなーーーーーーー!」
長い長い長い。
セリフが長ーい。
つーか、
「そこに扉があったら蹴るっしょ?」
……蹴るよね?
「いや、蹴らんし。我の方を向いて聞かれてもなー……あと、ルルの助が真似するから程々にしとけよ? なんか、お主の横で空キックしかけとったから我が止めたんじゃからな?」
「おー。私の
うんうん。
「……大使どの。一回よい病院を紹介しようと思うが、どうかのー?」
「うむ。我からも是非にともお願いしたいのー」
へー。
病院かー…………ん?
「え? 誰か具合悪いの?」
「お前」「お主」
はい~?
「いや、見ての通り全然元気だよ? どこが悪いって言うのさー」
「頭」「頭」
んな!
し、失礼な!!
「頭は絶好調だよ! ってか、アンタら二人とも口調が似てるから混乱するからやめて」
「こっちのセリフじゃの」「同感じゃのー」
じゃのじゃの、うっせーな……。
「のじゃロリか、あんたらは!──それより、さっさとお金出しなさいよー」
耳をそろえて金貨でジャラジャラとよ~。
指で輪っかを作って、空いた手でクイクイ♪
「……これ、治療不可能かの?」
「悠久を生きるというエルフの治癒ならワンチャンあるかも?」
じーっ。
二人の、のじゃロリの視線が、奥で我関せずを貫こうとしている美人ギルドマスター(エルフ)に注がれる。
フルフル。
「……いや、なんでアンタは無言頭ふってるのよ」
「そりゃ〜、エルフに過度な期待されても困るからねー。うちの故郷には、頭に付ける薬はないし、頭を直す治癒魔法もないよ。あったとしても、そもそもそいつは治癒不能だよ」
「「あー……」」
ちょ!
「なによ、あー! って」
な、なんで可哀想な目で私のこと見てんのよ!
「ちょっと、扉を蹴飛ばして壊しただけでしょ!」
「「「「あー……」」」」
んなぁぁああ!
「なんで会議室全員で天を仰いでるのよー!!」
納得いかーん!!
いかーん!!
いかーーーん!
「……ま、それはそれとして──」すん!
ずるー!
「い、いったたた。……これ、コイツの通常運転なのか? なんなんじゃ、このテンションの乱降下は!」
「我も最近知ったが、至ってこれが通常運転じゃ──つーか、ルルの助までずっこけとるがな」
あ、ほんとだ。
笑ってるけど、みんながずっこけてるから、真似したかったのかなー?
「にーっ」
「うん、可愛い可愛い」
なでりこなでりこ
「はぁ。もー。……わかったから、とりあえず座れ──あと、扉の修理代は別途請求するぞ」
「細かいなー。あ、お茶は
「どーぞぉ」
ルルも私も、熱いの苦手ー。
「なんでナチュラルに茶ぁ、出てくると思っとるんじゃ? つーか、その椅子、ワシの……」
「いいじゃん。座り心地良さそうだし」
「普通は、『あ、ごめん』って言って替わらんか?…………替わらんわな、お前は」
はぁ、とため息をついたアークスちゃんが渋々、隣の座席に座る。
「アークス議長どの、そこは私の席ですが……」
「詰めろ」
「あ、はい」と、渋々顔で樽爺こと副議長も椅子を一個ズレる。
すると、なんか知らんけど、そのまま全員が一個ずつズレて──くるっと一周した。
最後、ひとり余ったけどね。
どっかのエルフさんがさ。
「……いや、今の時間、何?」
「「「こっちのセリフですがぁぁぁあああ?!」」」
お~っと、
イージーイージー。
「ていくいっとい~じ~」
あんだすたーん?
「お前のことは一個も理解できんわ、ったく……。で、首尾はどうじゃった?」
さすがに諦めたのか、さっさと本題に入ろうとするアークスちゃん。
「付き合い悪いぜベイビー」
「なんでもええから、報告してくれーい」
「はいはい。ノリ悪いなー」
「……これ、ワシが悪いのか?」
知らなーい。
「それより首尾だったね。え~っと、魔法の袋はどこだっけ」
「もってるー」
お、ルルに預けてたか。
「……ナガセ。それすっごい高いアイテムだからね? どこだっけ? で済むレベルじゃないよ?」
「うるさいなー。ちょっと忘れただけだって」
魔法の袋を捜していると今度は所在なげに突っ立ったままのギルマスから釘を刺されちゃったよ。
「ん? そも魔法の袋がどうした? 報告してくれたらそれでいいじゃが──」
「そうはいかないよ。どーせ、また証拠がーとか、なんとか言うんでしょ~」
どっかの爺を睨みつつ、嫌味をチクリ。
アタシゃ、魔法の袋はどこに置いたから忘れるけど、前の仕打ちは忘れてないのぜー。
「というわけで──あ! あったあった」
「お、おいナガセよ。お主、まさか──」
ん?
まさかも何も──はい、どーーーーーーーーーーーーーーん!
どっさー!
「「「「どわぁっぁあああ!」」」」
見守る議員どもの目の前に7m級オーガ・エンペラーの首級を取り出してやったぜー。ふんぞりっ!
「な、なななな──なんじゃこりゃぁぁあ!」
「で、デカい……!」
「エンペラーですと?!」
「こ、こんなオーガが首都の近郊に?!」
うむ。
皆さんビビってらっしゃる!
「あーあーあーあー。全員ドン引きしとるぞ。ー……先に釘をさしとけばよかったわい」
あっちゃーと額を抑えるルーフデス。
しかして、これで証拠だ、なんだと言われることはもはやあるまーい。
「というわけで首都のピンチはこの私が見事殲滅してきたよ。他にも残党が100匹くらいいたから、まとめて駆除しといたー」
デッカイバルサンを炊いてやったのぜ。
「ま、マジか?! 100匹て……お前やべー奴じゃの? え? しかも殲滅?」
「そ、殲滅」
「そんで、これって首級っていうか、首無し死体じゃが? 頭はどうした」
「ふっとばした」
「「「「…………」」」」
しーん。
首無しでは首実検ができないので証拠として弱いと言われることもあるが、このオーガのサイズでなにか言われることはあるまい。
それに多分魔石とかもあるしね。
「い、いやはや。昨日の今日で、お前が追撃と言った時点でハッキリ言って『何言ってんだこいつ』と思ったが……ナガセよ」
「ん? なに?」
まっすぐに私を見つめて来たアークスちゃんが、すっと
「──町を……いや、国を救ってくれたこと、全国民を代表して礼を言う。お前がいなければ早晩この首都は陥落し、国はバラバラになっていたであろう」
素直に、
そして、心を込めたアークスの御礼であった。
流れ的に文句言われるかと思ったけど、なんとなんと御礼とはね。
逆に調子が狂うぜ。
「あ、あー……あはは。そう馬鹿正直に御礼を言われると弱いねー」
頭かきかき。
でも、まぁ、悪い気分じゃない。……そういや、こうしてまっすぐに御礼を言われたのっていつぶりだろう。
日本ではもちろん、
ガソスタで働いてた時も──こっちに来てからいろんな人と関わってきても、こうもまっすぐにいられたのは久しぶりどころか初めてだった気がする。
ま。
「──御礼はいいから、お金ちょーだい」
ズコー!!
とりあえず、そろそろ報酬の話がしたかったので正直に切り出したら、なんか会議室の全員がずっこけた。
……コイツ等、昭和だよねー。