異世界チハたん(九七式中戦車)無双〜聖女召喚されたけど捨てられました~ 作:LA軍
「はい、到着ー」
ざわっ!
「は?」「は?」「んー?」
ざわざわざわざわっ!!
「え、え~っと、どこじゃここ?」
「なんか見覚えがありますな──、あの城壁、そして、あの山脈……」
「あー、まのさんみゃくー」
お、ルルちゃん良く知ってるねー。
「そのとーり! ここは、あそこ! ほら、え~っと……」
なんだっけ。
サン、サンズ……。
「サンズベルトな。っていうかナガセ、お前何ちゅう恰好で──」
「お、ひさしぶりじゃん、ハゲのマスター!」
そこにいたの懐かしの禿げマッチョこと、サンズベルトのギルドマスターであった。
「「……って、はぁぁぁあああ?!」」
もちろん、驚いたのはアークスちゃんとルーフデスだ。
ルル?
ルルは笑ってるよ。
ただ、タオルはちゃんと巻いといてねー。
「え? は? サ、サンズベルトって、あのサンズベルトか? 魔の山脈の傍の……??」
「なぬ? それは首都から相当離れとる町じゃが……? え? マジか?」
そうそう、そのサンズベルトだよー。
「これが、ガソスタジャンプであーる!」
えっへん。
「いや、説明になってないから!」
「っていうか、ななななん、何ちゅう恰好で飛ばすんじゃぁぁあ!」
うひゃぁぁああ! と、
思わずしゃがみこんだアークスちゃんだけど、その拍子にタオルがはだけて、えらいことに。
うむ。
丸見えだね。
ってうか、人多いなー。
そういや、ここ、サンズベルトの中でも治安の悪い、スラムだったわー。
※ ※ ※
…………。
……。
「え、えー、というわけで、でしてね。私のガソスタには、ログ機能のようなものがあって、一度設置した場所にジャンプできるようなのですよ、はい」
顔面を猛烈に腫らした私は、なぜか正座させられ説明している最中です。
そして、周囲にはすっごいひとだかりー。
ひーん、タオル返してー。
「わからん!! 一個も分からんし、なんでこの格好で飛ばすのかも分からんわ! このアホんだらー!」
「は、はいすんませんー! ビックリさせようと思ってですね」
「したわッ! 滅茶苦茶ビックリしたわ! つまり、あれじゃな? お前の能力は一度ガソリンスタンドを設置した場所に飛べると……それ凄くね?!」
えへへ、すごいでしょ──……あ、スンマセン。睨まないで、反省してます。はい。
うえーん。
ちょっと、調子に乗ろうとしたら、ルーフデスとアークスに睨まれたー。ひどいー。
「酷いのは、お主じゃ! ったくもー。……しかし、あれか。いわゆる転移のようなものか。すごいスキルじゃな、それ? ……というか、それを使えば、すぐにでも首都に戻れるんじゃないのか?」
ッ!
「た、たしかに! おい、ナガセよ。すぐに戻せ! さすがに乙女の羞恥心が天元突破しそうじゃ! あと、ワシ一応この国トップじゃからな!」
知ってます知ってます。
知ってますから、もう殴らないでー。
「えっとですね。実はできるんですけど、ほら……。すでに首都にガソスタを設置しているわけで、二箇所設置するとですねー。じつは、その分、固定費というのがかかりましてー」
「「あああーん? 固定費だぁ?」」
「こていひー?」
え~っと、
かくかくしかじか
「──というわけでして」
「ふむ、……つまり、一か所だけなら、制約の範囲ならどこにでも設置できるが、場所を固定するとなると、その分金がかかると?!」
「はい、その通りです」
ちなみに絶賛、正座継続中です。
あし、いたーい。
「だが、そのかわり、そこから別のガソスタなら、いつでもとべると──……いや、凄いな、おい!」
ほんと、すごいですねー。
「っていうか、なら
「そ、そうじゃそうじゃ! 我を、もさすがにはこの格好でいるのは恥ずかしいぞ!」
えー。
ドラゴンなのに恥ずかしいの?
っていうか、そしたらお金がですね……あ、はい、出します出します!
殴らないでー!
「ったく、いくらじゃ? そんくらい奢ったるわい」
「お、ふとっぱらー! 実は、え~と、金貨5000枚です!!」
へへっ。
まー、じつは2000枚なんだけどね。にひひひっ。
「ご、五千か。た、高いのー。……じゃが、分かった、分かった。ここもワシの国じゃし、手形でよいか──って、持っていくの早いなおい」
へへへ、もうけたぜー!
「え~っと、この手形をステータスに押し込めば……お! 入金されたし、これで行けそう」
というわけで、ガソリンスタンド~設置!!
──
ズズーーーーン!!
途端に出現した、ガソスタLv2コンビニ付きだー。
「お。なんだなんだ? またこれが使えるのか、こりゃ嬉しいね」
出現したコンビニに集まったやじうまが歓声を上げる。もちろん、ハゲのギルマスも諸手を挙げて歓迎だ。
「えへへ。イイっしょ~♪ ここにずっと置いとくからさ、ハゲも存分に利用してね。私は常駐しないけど、無人ロボがいるし、無人レジもあるからさ」
そしたら、売り上げがフィードバックされるのだ—。
ガソリンスタンドはともかく、コンビニはよく売れるだろう。
「いいのか? なら、さっそく使わせてもらうぜ」
うんうん、どーぞどーぞ。
「……しかし、ってことはなにか? さっきの説明によると、お前らもう帰るのか?」
「まーね。二人がうっさい……さーせん」
に、睨むなよー。
「ふむ。それはいいんだが、補充とかどうする? 前もあっという間に売り切れただろ?」
「あ~、そのへんは、無人ロボが最低限のことをしてくれるよ」
逆にいえば、最低限しかしてくれないけどね。
それでも、ほっとくだけで売り上げが入るのはありがたいね!
「なるほどなー。それじゃ遠慮なく」
「うん。あ! なんだったら、アンタが店長してもいいよ。お給料も払う払う」
そしたら、補充とかもスムーズだし。
「無茶いうな、おりゃ、ギルドマスターだっつの」
「そう? なんか、両方やってる奴を知ってるけど」
主にどっかのエルフさんね。
「そうかい? まぁ、考えとく」
「しくよろー」
結局こういうところは、信用できる人を置いたほうがいいからね。
防犯面は無人ロボで何とでもなるけど、アイツ等容赦ないくせに人畜無害に見えるからなー。
……舐めてかかるやつ続出で被害が拡大しそうだ。
チラリと店内に目を向けると、バックヤードに鎮座する無人ロボが見えた。
間抜け面してるくせに、なんか一瞬目が、グポォォン♪ と、ザ〇のモノアイのように光った気がしてゾクリと背筋が震える。
……いや、まぁ、アイツ等マシンガンとかミサイル装備しているもんね。
くわばらくわばら。
せいぜい、死人がでないように、セキュリティレベルは抑えておこう。
まずはテーザーガンから頼むよ、ベイビー。
「おい! そんなことええから、さっさと首都に飛ばせ!」
「そうじゃそうじゃー! 我の柔肌を衆目にいつまで晒す気じゃー」
はいはい。
ドラゴンの肌は柔くないけど、はいはい。
「というわけで、ハゲー。ここ宣伝しておいてねー」
たまに様子見に来るからー。
「お、おう。……いや、しかし、あいかわらず嵐みたいなやつだな、おまえは」
「えへへ」
「たぶん、褒められてないぞ、それ」
はいはい、わかってますよって。
と、いうわけで、
「ガソスタっ、じゃーーーーーんぷ!」
……こうして、私たちはガソスタの新能力を検証して再び首都のスーパー銭湯に戻ってきたのであったー。
ごんっ!
「あいだー!」
「……いい感じにしめようとするな! ったくー。どさくさに紛れて、魔の山脈にも飛びよったなお主?」
「えへへ、バレたー?」
ついでなので、この短時間の間にアークスからせしめた金貨5000枚のうち、もう1000枚使って、最初にガソスタを設置したあの魔の山脈にも飛んでみた。
まぁ、ほら。
設置上限とかあるかなーって試したくてさー。
「バレるも何も、なんじゃあの山奥はー! 山奥も山奥……人跡未踏の魔族領並みのやべー土地じゃったぞ?! しかも、なんか死体埋めた後があったし!」
「あー……ありましたな。あと、外にはなんかデッカイ鳥の骨が」
「あれはゴブリンだよー。私だって、さすがに初手で死体を山に埋めないってー……なに、その目?」
二人がドン引きしてるんですけど?
「いや、お主がガソスタジャンプを使う時は、事前にちゃんと目的地を教えろよ?」
「あの山奥に飛ばされた時点で、ワシは死を覚悟するの……多分、こいつの逆鱗に触れてこっそり処理されるときに飛ばされるんじゃろうし」
し、しないし!!
「そんな物騒なことするわけないじゃん。あそこはほら──なんかこう、緊急避難先的に使えるかなーくらいだよ」
それくらいしか、魔の山脈のガソスタに用はない。
「つーか、あっきのあの鳥の骨。あれってガルダかのー?」
「ん? そーそー。あんたすっごい顔で骨睨んでたね。食べたかった?」
匂いもヤバかったぜー。
「食うか馬鹿たれ!! ありゃ、ガルダはガルダでも、グレーターガルダじゃろが?」
ぬッ!
「知っているのかルーフデス」
「そこはライデンにせい」
……なんでそのネタまで知ってんだよ。
「っとまぁ、それはさておき──……あ、そうか、ガルダとドラゴンって仲が悪いんだっけ?」
「けっ。あ~んな鳥、何匹いても、我の圧勝じゃー」
よー言うわ、
今のアンタならパクっといかれて、しまいだよ。
「食われたところで、我がガルダごときに負けるかーい! しかし、もったいなくないかのー? あんな、なんもない山奥のガソスタの設置に金貨1000枚か? 本当によかったのか?」
「いいか悪いかで言えば、ちょっと渋いけどね──」
アークスから5000枚をせしめてなかったら、ちょっとためらっていた。
だけど、臨時収入もあったことだし、この先設置しておこうお思ったわけ。
ちなみに、お値段的にはだいたい……。
Lv1で1000枚 → だいたい1億?
Lv2コンビニ付きで2000枚 → だいたい2億?
Lv3~4のスパ銭とモールなんと1万枚~3万枚
Lv3からは、合計して10億とか、30億だってさ。
──おっ
(雑だけど、だいたい日本で実際に払う額の1/55~1/10の値段で固定費かー)
高いんだか、安いんだか。
まぁ、魔の山脈はともかくとして、人のいる町に設置すると売り上げが入るのはありがたいね。
「お主がいいならいいのじゃが、山奥にガソスタがポツンとある光景はシュールじゃのー」
それはそう。
だけど、まぁ……遭難者がほら、こう、避難できるかもしれないしね。実際、ドミトリさんたちと初めて出会ったのがあそこだったし。
「ま、なんかの役には立つってことでー」
「立たない方がええやつじゃの、それ」
たしかに!
「ま、それよりもこの街にも設置するけどいい?」
「む? よいのか?」
いい、いい。
むしろこの街がメインだしー。
「うん、首都にもガソスタ―──というか、モールをこのまま置いとくね、金貨で30000枚くらいだけど、それくらいならおかねあるしー……」
……じーっ。
「いや、さすがに3万枚は奢らんからな?!」
だよねー。
「ちっ」
まぁいいか。
なんたって私は金貨5万枚の女ぁ!
「なんか舌打ちされたんじゃがー?」
「そういう奴じゃ」
どういう奴だよ!!
「そういう奴じゃ!」
「ま、まぁまぁ、大使どのそのへんで──。ナガセよ、感謝するぞ。このモールは、もはやなくてはんらんからのー」
「んねー。あ、店長はあのギルマスでいいよ、好きに使えって言っといてー。バイトも裁量にまかせるーって」
「わかったわかった。……では、ナガセ、今度こそ、お別れじゃな」
「うん、これでここでやることは全部かな」
まぁ、あとで風呂もっかい入りますけどねー。
長いことタオル一枚で外にいたせいで、冷えたわー。
……あ、そういや、私タオルすら取りあげられてたわ!
きゃー恥ずかしー。
「……なんでコイツは平気なんです?」
「頭のネジが外れとるんじゃ」
「あぁー……」
あぁーって、おい!
クソチビ議長! なにを勝手に納得しとんねん!
「……ったく。まぁいいや。それより、マヂで世話になったよ」
「うむ。こっちこそな。……またこい」
「うん、すぐ行くよ」
わりとマヂで。
「い、いや、すぐと言っても、最低半年はあけろし? いいな? あんまししょっちゅうは来るな?……お前が来ると、トラブルもついでに来そうじゃしの」
「どういう意味だよ!」
まったく、失礼な国のトップだぜ。
「いや、なかなか、その単語は出てこんからな?
「はいはい。ま、なんかあったらいつでも呼びなー。多少の敵ならチハたんでぶっ飛ばしてやるよー」
「は~。まったくお前という奴は──」
そういいつつも、ちょっと寂しそうに笑うアークス。
そういや、コイツも顔つき変わったなー。
「背ぇ伸びた?」
「馬鹿たれ。こう見えても成人じゃ。ま、色々勉強はさせてもろうたわ……。じっさいの所、お前と出会えてよかったわい」
そう?
「うむ。ワシもなー、女としても、一個の人間としても、どう生きるか──その生き様をみせてもあったわ」
「そ、そう?」
えへへ。
そういわれると照れるなー。
「……何回も言うが、褒められとるわけじゃないからな? あと、お主の生き様を真似されるたらこの国は絶対危ういぞ? まぁ、我からすればどうでもええがのー」
「くくく、そういう大使どのも、どうぞご健勝で」
「おう。もう、ひとっぷろ浴びたら、次こそさらばよ。……最初は悪かったの」
バツが悪そうに頭を掻くルーフデス。
最初って……あぁ、ベヒモスの時のあれね。
「なんのなんの。恩も義理もない我が国を助けようとしてくれたことは知っておりますゆえ」
屋根ふっとばしたけどねー。
「気にするな、人間は面白いでのー。……どうでもよいが、どうにかして発展してくれ、……さすれば、また来る」
「その時は正面から」
「うむ。覚えておいてくれればそれでよい、そのための聖剣よ」
「そうでしたな。しかと後世に伝えましょうぞ」
「そうしろ」
ふむ。
ドラゴンより譲りし聖剣か。
……なんかいいね、それ!
アークスってば、あんがい伝説になるんじゃね? っと、そろそろ二人の話も終わりかな?
「ではの」
「じゃねー」
まぁ、ほぼ全裸でサンズベルトにいったもんだから、全身冷え冷えなので、皆でもっかい風呂に入るけどねー。
そうしてこうして、風呂に入り直したあと、首都での全てを終えた私達は、次の日の早朝、みんなに見送られながら旅立つのであった。
目指せ!……え~っと、魔族の地?
れ、れっつごー!
チハたん
「「