異世界チハたん(九七式中戦車)無双〜聖女召喚されたけど捨てられました~   作:LA軍

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第84話「顛末(※)」

「……って感じで、街を出たのはいいんだけどさー」

 

 首都から出発して半日程進んだところで、

 

 

  ききー!

 

 

「んごわー?!」

 

 急制動をかけると、

 どっさー!! と、ルーフデスが戦車から顔面から転がり落ちる。

 

 おー、見事なヘッドスライディングー。

 

「……って、見とらんで助けんか! つーか、あ、あっぶないのー! いきなり急ブレーキすなぁ、殺す気かーーーーー! 今キャタピラの前に落ちたぞ、我がぁ!」

「大丈夫大丈夫、アンタ硬いから戦車でひいても平気平気!」

 

「いや、さすがに無理じゃからな! プチッといくからの!!」

 

 まぁ、十トン近くあるしね!!

 

「いや、あるしね~♪ じゃねーからの! ったくもー。ほんと、怖い奴じゃて……。で、急になんじゃ」

「や。急っていうかさー」

 

 うん。

 いつ言おうか迷ってんたんだけど……。

 

 

 

 

「──アンタ、いつまでついてくんの?」

 

 

 

 

※ ※ ※ ※ ※

 

 

 ナガセが首都から離れて、ルーフデスに詰問しているのとほぼ同時刻……。

 首都、旧貴族街にて──。

 

 

「まずい!!」

 

 

 まずいまずいまずい!!

 まずいぞ!!

 

「はぁはぁはぁ、くそぉ!! どーしてこうなったんだ!」

 

 豪邸の片隅で、息を切らせながら財宝をまとめている爺さんが一人。

 

 その周囲には家人は誰もおらず、

 残ってるのは樽のような体系の爺のみであった。

 

 しかして、人がいないならそれはそれでいい。そんなことより、とにかく今は急いで──。

 

 

「……何がまずいのじゃ?」

「ッ!」

 

 

 驚いて荷づくりの手を止めるのは、家人の消えた屋敷の主にして樽爺こと、副議長その人であった。

 そして、そこに声をかけたのはもちろん、この国のトップにしてナガセのパトロンでもあるアークスその人である。

 

「こ、これはこれは、議長殿ー。さ、さきほどぶりですね」

「うむ。……で、何がまずいのじゃ?」

 

 鋭い目つきのアークスにに思わずたじろぐも、彼女が一人と気づいていつもの調子を取り戻す樽爺。

 そのまま、取り繕うような笑顔を浮かべるとこともなげに言った。

 

「は、はは。とくにはなにも?……それよりもどうされました? ここは私の屋敷なれど──訪問ならせめてアポを」

「ふん。アポもなにも、屋敷の番兵もおらんし、家人もおらんではないか。そして、家族はどうした? まさかとは思うが、逃げたのかのー?」

 

 どきっ!

 つつーと壁を指でなぞる仕草のアークスに痛い所を突かれたと、顔を歪めるしかない樽爺。

 

 しかして、それくらいでボロを出していてはこの国で副議長なんぞできるはずもないので、内心を完璧に隠してあいまいな笑顔を浮かべた。

 

「……さて、なんのことやた? 番兵どもも家人は町の危機に乗じてサボっておるようですなぁ」

「ほー。サボリとは? てっきり主人を見捨てたのかと思うだぞ?」

 

「まさかまさか。常日頃より、注意はしておったのですが……まったく嘆かわしいことです」

「くくく。腹芸はさすがよのー。まぁ、それはよい──ところで、副議長どの、魔物との最前線にある首都の噂の周りは早いのはお忘れかのー?」

 

 不敵に笑うアークスに内心動揺しつつも、わざとらしく首をかしげる。

 

「噂……ですかな? はて、いったいどのような?」

「なーに、大したことではない。ただ、住民の大半が反感を買うくらいに、国軍に無駄な動きをさせた議員がいるというそういう噂じゃ」

「なんと!! 国家の根幹たる軍にそのようなことを──!」

 

 おおげさに驚いて見せる樽爺。

 それをアークスが冷たい目で見据えている。

 

「しかし、そんなことが可能ですかな? ついぞ先の戦いも、我が軍はあの猛攻をしのいだではありませんか?」

「とぼけるな。あれはたまたまナガセが立ち寄ったからうまくいっただけよ。……もし、あやつがおらねばこの首都はオーガの昼食会場になっておったわ。いや、そのまえにベヒモスの朝食かのー」

 

「は、はは。朝食に昼食ですか。それはゴメン被りますねぇ」

「まったくじゃ」

 

 はははは。

  わはははは。

 

「──で、それがどうかしたのです? 軍はしっかり機能していたように思いますが」

「ふざけておるのか?……軍だけでは町の防衛に失敗しかけたのは周知の事実よ。そして、その原因の大半がお主にあることも、な」

 

 じろりと睨むはアークス。

 少女のような見た目なのになんという迫力か──……。

 

「私が原因?! し、心外ですなぁ。お言葉ですが、軍主力を動かすには議長の承認が必要と認識しておりますが?」

「ふんっ。そうさの──それは事実じゃ。……しかして、最終的な責任はワシにあるとしても、具体的な作戦立案はお主であろうが。元軍人という触れ込みでお主は副議長の座におる。そして、今も昔も軍に対し、多大なる影響力を持っておろうが──それを知らぬとは言わせぬぞ?」

 

 有無を言わせる発言に、樽爺をして冷や汗をかく。

 しかし、それでも──だ。

 

「わ、私は良かれと思って奏上したまでで──」

「その結果があれじゃ。……ナガセに多大な借りを作り、首都は陥落寸前。そして、今現在も軍主力は首都にすら到着しておらんというあり様じゃ。……その結果がこのありさまじゃろうが」

 

 腕を広げて、無人の屋敷を指し示す。

 それは、すでに誰も彼もが樽爺こと副議長が何をしでかしたかを知っている証左であった。

 

「くくっ、静かな屋敷よのー。民は思っている以上に聡(さと)いぞ?……大方、お主のやらかしを聞いて皆して逃げたのじゃろうて」

 

 くっくっく。

 

「や、やらかしとは心外ですなぁ。わ、私は一貫して町のことを思い──」

「そのために、首都陥落の危機も辞さぬと申すか?」

「……ぐぬっ!」

 

 まさかに図星をつかれた思いで、樽爺をして汗がだらだら。

 

 いや、それはまだいい。

 

 別に町の防衛自体は成功しているのだ。

 会議のなかで、なにか落ち度があったとしても結果として町は救われたのだから、とやかく言われる筋合いはない。

 

 だが、そんなことよりもまずいのは、なんでこのタイミングでという一言につきる──。

 

「くふふふっ。なんでこのタイミングで顔を出したのかといいたげじゃの」

「ま、まさか……!」

 

 まるで心でも読まれたかのような適格な指摘に背筋が冷える。

 しかして証拠(・・)は一つもないはず──。

 

「なーに、大したことではない。この騒動が起こるより以前より、ずっと内偵をさせておったまでよ。」

「んな?! な、内偵ですと?!」

 

 それはつまり、

 最初からすべて知って──……。

 

「くくく。顔色が悪いぞ副議長、どの。……何やら、数か月前から私財の移動を始め、家族の疎開。そして、議会内での多数派工作──それらが、露見──とでも思っておったか?」

 

 ニィと暗い笑みを浮かべるアークス。

 ここに、今この瞬間に、いることには裏付けと準備があるのだと、暗に物語っているのだ。

 

「そのうえで今回のオーク災害を期に、軍主力の大遠征を進言。……そして、その間の留守部隊を新編された素人ばかりに任せるという一件、合理的とも見える進言をした人間が、なぜか町の防衛がなったその日に夜逃げ準備をしているともなれば、顔くらい拝みたくなるとは思わんか?」

 

「よ、夜逃げとは!! いくら議長殿でも言葉が過ぎますぞ」

 

「ほう? では、重ねて聞くが、高ランクの冒険者が都合よく首都を離れておるのはどういうことじゃ? 聞けば、ギルドに議会より多数の依頼があったと聞くぞ? それもワシの承認のいらぬ額のギリギリをついた依頼が多数との」

 

 冒険者ギルドやその他民間に税金からなる依頼を出す場合は議会の承認が必要である。

 しかして、もともと冒険者の力が強いこの国で、ひとつひとつの依頼を一々議会の審議にかけて胃tられないので、金額に応じて議会の承認順位が上がる仕組みがある。

 

 つまり、高ければ高いほど、議長に近い人物の承認が必要となり、

 安い依頼に至っては議会の事務員の采配で依頼することもできるという具合である。

 

 当然、高額の依頼には議長であるアークスの承認が必要である。

 

「それは──ぐ、偶然です! 私も、魔物災害に心を痛めておりまして、できる範囲の対策を講じたまで!」

「ほう? いくつかの依頼は、金額をバラバラにして承認し、ギルドに大段階で一本化すると言った荒業を使ったとも聞いておるが──」

 

「そ、それは──……!」

 

 お役所仕事でよくある手だ。

 

 例えば、10万円の仕事だと、偉いさんのハンコが必要になるが、一万円では必要ないとする。……するとどうするか、同じ仕事内容を、細分化して、それぞれ1万円で10回請け負うという方法だ。これなら、担当者の所定でできるということなのだが──。

 

「おかげで初手のベヒモスですら撃退できずに、偶々立ち寄ったドミトリたちがいたから良かったものの、お主の判断一つで首都が陥落しても可笑しくなかったのじゃぞ」

「で、ですが結果的に町は無事では?!」

 

 ふんっ。

 

「終わりが良ければ何でもいいわけではないぞ? というかのぉ──……」

 

 じろりと視線を鋭くしたアークスは戸を離れ、室内に入るなり、樽爺に一直線に近づいていく。

 無造作に、カツコツカツと靴が立てる硬質な音が室内によく響き、二人以外の存在がないのだと否が応でも引き立てていく。

 

 ……もとは貴族が作ったという豪奢な屋敷は首都では贅沢ともいわれる大理石製なのだが、

 よくもまぁ、その響くものよ。

 

 そして、そのままズイっと荷造りをしている状態のまま硬直した樽爺を見下ろした。

 

 

 

「──その顔はまだバレておらんつもりか? 舐められたものよのー」

 

 

 

 ッ?!

 

「な、何の話で? 私はなにもやましいことはひとつも──」

 

「ふんっ。……よくもまぁ、平気な顔で言えたものじゃ。そもそも、軍に対する作戦立案に大きく携われるのは、元軍人のお前だけじゃぞ? ワシはこのとおり、軍事については素人ゆえな──じゃが、それをいいことに軍を前に後ろに、右に左と好き放題にしてくれたものよ。オマケに今度は首都をバケモノに譲り渡す気か? いやぁ、それとも陥落させ、その責任をワシに問うか? いずれにせよ──」

 

 ばさぁ……。

 

 なにかか書かれた無数の書類をばらまくアークス。

 

「ワシを小娘と侮っておったようじゃの」

「んな、こ、これは──」

 

 くくくっ。

 

「もうずっと前から秘密警察に探らせておったのよ。お前、なにやら外部勢力とつるんでおるようじゃが──議長の椅子でも約束されたか?」

「ぎ、議長これは違うのです!」

 

 はっ!

 

「聞く耳をもたんなー。ワシはこれでも、一族より世襲されたボンボンぞ。つまり、一族の手腕はすべてワシが受け継いでおる──この国を革命にて作った頃より、貴様のような蛆虫を粛清することに、なんの良心の呵責も抱かない秘密警察ともにな」

 

 くかーかかか!

 

「じゃが、危ないところであったわ。泳がせておいたはいいが、まさかまさか、魔物の群れを誘い込むとはのー。せいぜい、暗殺者程度かと思って舐めておったわ」

「ぐっ!」

 

 くっくっくっ。

 

「いいかげん観念せい。そして、元軍人らしくせめて根性を見せてみぃ──今のワシの首級を取れば、議長の椅子もみえるかもしれんぞ? 我が一族はワシで最後。まさに最後の世襲のボンボンぞ」

「っっ!」

 

 ダンッ!!

 

「な、ならば望み通りそのそっ首頂いてくれるわ、小娘ぇぇぇぇえええええ!」

 

 言うや否や、懐に隠していたであろう匕首を手に樽じじいが特攻!

 元軍人というだけあってその速度も覚悟もそれなりのもの!!

 

 たかが小娘たるアークスにはこの一撃は躱せ──……。

 

「んな?! 刃、刃が……!」

「ふんっ。舐めるなと言ったであろう。何の策もなしで乗り込むはずがあるか馬鹿ものめ」

 

 匕首を身体で受け止めたアークスがニヤリと笑う。

 そして、一歩。返す刀で聖剣で一閃っっ。

 

「ベヒモス皮のコートに、トドメはコイツじゃ──。今のワシはそんじょそこらの冒険者でも相手にならぬは!」

「な、なぁぁぁあ! やめ──」

 

 それが樽爺の命乞いの言葉であった。

 しかし、それがどうしたとばかりにアークスは無慈悲に体を貫いていく。

 

「がはぁぁあ?!……ご、ごへっ!」

 

 だが、さすがに少女のような外見に、身の丈を越すような聖剣は扱い辛かったのか、急所を大きくそれてしまう。

 また樽爺の脂肪にまみれた体が功を奏したのか、バターでも着るかのようにざっくりと切り裂かれてしまったものの、その大半は内臓にすら達していなかった。

 

「げはっ。ごほぉお……!」

「ほっ。肥満のおかげで助かるとは、運のいいやつよのー」

 

 そういうなり、剣を一振り。血を振り払うと不敵に笑う。

 決して一朝一夕に出るようなその表情ではなかった。あのナガセにサウナで揉み揉みされていた少女とは似ても似つかな──。

 

「議長」

 

 そこに隠れていた護衛がそっと姿を現す。

 当然だが、国のトップが一人で来るはずもない。護衛はたっぷり、最側近をちゃ~んと物陰に潜んでいたのだ。

 

 だが、これはアークスなりのけじめでもあった。

 

「うむ。つれていけ──適当に治療して、あとは放っておけ。財産は全て没収じゃ」

「「はっ!」」

 

 地味な制服をきた秘密警察が室内になだれ込んでくるなり、

 あっと言う間に樽爺を拘束し、いずこかへと連れ去ってしまった。後に残るは護衛とアークスのみ。

 

「あれだけでよろしかったので? 拷問すれば背後の糸がわかるかもしれませんが──」

 

 ふん。

 

「どーでもよいわ。どうせあいつが自分で作ったと思っておる人脈なんぞ、トラップだらけよ。下手を売って偽情報を掴まされるのがオチじゃ」

「な、なるほど。ですが、しかし──」

 

 なおも食い下がろうとする護衛であったが、アークスは適当でよいと手をぴろぴろ。

 

「そもそも、どこが糸を引いていようとなんだろうと、我が国は我が国のままであるまでよ」

 

 魔族だか他国だか、なにが糸を引いていようとも知ったことではない。

 報復なんぞくだらんわ。

 

「やるならやる、それだけじゃ。一発でもぶん殴ってきたら百発にして殴り返してやればよい──そうして、作ってきたのが我が国ぞ」

「な、なるほど……肝に銘じます」

 

 ふんっ。

 

「なにやら外部勢力が我が国を含めてコソコソ動いて折るようじゃが、迷惑千万よのぉ」

「まったくです。……最近では、あのナガセ──でしたか? 奇妙な女がよくもまぁ、国で好き放題してくれたものです。議長もよくお堪えになりましたね」

 

 あーん?

 

「なにを言っとる。ナガセは敵にせん限りは有用ぞ?……あぁ、言っとくが、首都を離れたからといって、監視はつけるな。いいから放っておくがいい」

「な! し、しかし──あの女、議長に散々無礼を!」

 

 ふん。

 無礼もなにも──。

 

「あれはマジであやつの素じゃ。悪気があってやっておるわけではないわ。そも、あ奴のおかげで副議長の最後の尻尾がつかめたのであろうが」

「あぁ、そういえば、首都の野戦陣地の時の──」

 

 そう。

 色々なやらかしをしていたのは確実であったのだが、他人を経由したりと、巧妙に隙をみせなかった副議長が決定的な妨害工作をみせたのは、あの時、ナガセを中心とした首都防衛の一夜城の時だ。

 

 全国民が一丸となって陣地構築をしているなか、資材供給などの面で妨害したのが樽爺であった。

 おかげで予定の半分程度した築城が完成しなかったのだが、それすらも陰でコソコソとやっていたおかげで中々実態がわからなかったのだが……。

 

「あの竜人族のつくった「こうていひょう」なるものは数字でその根拠を示しおった。……総人工(そうにんく)と言うらしいが、投入した人間の労力を数字に置き換えるというものじゃ。あれによればなるほど、副議長が担当しておるところだけ工事が進んでおらんのが一目瞭然であったわ」

 

 普段ならサボタージュだなんだと、言い訳が効くかもしれないが、数字として表れれば、言い逃れはできない。

 

「なるほど……。一刻も早く取り入れるべきですね。城壁の工事もまだ完了しておりませんし」

「うむ。ナガセらの持つ知識とテクノロジーは驚異じゃ、黙って、多少の支援をするだけでそれが手に入るのじゃ──それならいくらでも揉ませたるわーい」

 

 半ばヤケクソ気味のアークスであったが、言っていることは徹底した合理であった。

 

「りょ、了解です」

「……その顔は納得しとらんようじゃのー。たしかにナガセは隙だらけじゃし、その気になれば首を取るくらいはできよう。正面からは強いがアイツはただの素人じゃしの、暗殺は有効じゃて」

「で、では!」

 

 馬鹿者!

 

「下手に失敗してみぃ、アイツ、絶対許さんぞ? 金をせびる程度なら、扉を蹴飛ばされる程度で済むが、首級を取ろうとしたなら、ゴメンでは済まされんわ。……下手すると、マジで首都をチハたんで蹂躙しかねんわ。あのベヒモスを狩り尽くしたチハたんがじゃぞ」

 

「そ、それは──……」

 

 おののく護衛をみて嘆息する。

 

「わかったなら、今つけている監視を下げい。……そも、アイツを甘く見るな? あの竜人族はもとより、魔族のガキもまったく隙が無いからの。仮に暗殺なんぞ試みても、まず失敗するぞ」

「りょ、了解です!」

 

 慌てて部下を呼びつけて何事か指示する護衛。

 それをみて、「はぁ」と小さくかつわざとらしくため息をつくアークス。

 

「それよりもじゃ、さっさとしょーもないことを片づけて、今日もサウナじゃー!」

 

 そういうなり、

 ウキウキしてさっさと屋敷を出ていくアークス。

 

 その姿を慌てて追いかける護衛。

 

 ……どうやら、これがアークスの本当の顔らしい。

 

 一見して間抜けで傲慢なポンコツ美少女。

 世襲にして、ボンボン。

 

 しかして、ナガセには見せなかった顔だが

 少女のような見た目ではあってもこれでも海千山千の革命国家の首都のトップだ。

 

 当然ながら、普通の女の子のはずがなかった。

 

 

 だが、そんな彼女をして思う。

 

 

 身内よりも

 外の敵よりも、

 モンスターよりも、

 

 

 

「……ナガセが一番怖いわぃ!」

 

 

 

 

 アイツだけは敵にしないでおこうと、

 固くかたーく決心し、今日も今日とて赤い国のトップとして君臨するのである。

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