最悪なパーティーへようこそ!   作:shotaamareno

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洋菓子店

「というわけで、製菓において最も重要なのは、材料の配合比率、正確な計量、そして職人の熟練した技術です……」

食品技術大学の講義は、相変わらず耐え難いほど退屈に引き延ばされていた。

 

最後列の席には、顔にプロテゼをつけた青髪の少年が座っていた。遅刻しそうになって慌てて無造作に結んだ高いポニーテールは、驚くほど今日の彼の雰囲気に馴染んでいる。彼自身が「お手軽」に仕上げたと言うその格好は、黒のパーカーに、膝に穴の開いた赤のジーンズ、そして青のコンバースという出で立ちだった。

 

そもそも、なぜ彼がこんな退屈な言葉の海に溺れることになったのか? 理由はいたってシンプルだ。ノックフェルの高校を卒業したサル・フィッシャーは、同級生であり、親友であり、そして密かに想いを寄せる相手――アシュリー・キャンベルのあとを追ってきたのだ。彼女がまさにこの大学の製菓コースを選んだのは、糖尿病を患う弟のベンのために、体に優しい安全なスイーツ作りを学ぶためだった。当然ながら、サル自身は製菓の科学など微塵も興味はなかった。ただ、エシュのそばにいたかった、それだけだった。

 

少年は眠気に抗うように、ほとんど机に突っ伏していた。彼とは対照的に、アシュリーは熱心にノートに講義内容を書き留めている。サルの視線は、彼女の手元の動きや真剣な眼差し、そして書く邪魔をするようにページへと零れ落ちる栗色の髪の毛に釘付けになっていた……。

おっと、何をしてるんだ! まさかエシュを凝視しているのか? ああ、そうだ。その通り、彼は見つめていた。毎回の講義で。

しかし、自分がそんな恥ずかしい行為をしていると気づくや否や、サルは慌てて視線を逸らし、アシュリーから顔を背けた。その先にあるのは……壁? そうだ、壁だ! なんて興味深い壁なんだ……。この紫色の壁紙、エシュの服に似て――

 

チャイムだ! 昼休みが始まった。

教授がボソボソと宿題を告げていたが、すでに誰一人として耳を傾けておらず、食堂やカフェ、売店など、とにかく何かを食べようと皆思い思いの場所へ急ぎ足で向かっていく。

アシュリーは、リュックのジッパーに何度も絡まるこの贅沢な長い髪に小声で文句を言いながら、荷物をまとめていた。

 

サルは意を決して彼女に近づいた。プロテゼに隠れて見えはしないものの、かすかに笑みを浮かべながら、彼は彼女の机に片手を突いて声をかけた。

 

「なぁ、エシュ! 昼飯どうする? 食堂で食べるか、それともカフェにでも行く?」

見た目の堂々とした態度とは裏腹に、彼の声は情けなく震え、内心の緊張を裏切るように伝えていた。

 

「あ、サル! うーん……そうだね、まだ何も考えてなかったかな。もしかして、どこか誘ってくれるの?」

アシュリーは少し悪戯っぽく微笑んで返した。

 

「えっ、あ、いや……」

少年は完全に狼狽してしまった。彼女からこんな風に不意にからかわれる(あるいは、アプローチされる)とは思ってもみなかったのだ。

 

「あはは、冗談だって、リラックスして!」

アシュリーは彼をなだめるように言った。

「でも、もし一人が寂しいなら、喜んで付き合ってあげるよ」

彼女は気さくな笑顔を浮かべた。

 

「あ……う、うん。じゃあ……」

サルはすっかり照れ伏してしまった。まさかエシュのほうから、一緒に行こうと言ってくれるなんて。

 

「それで、どこに行く? 私は近くのカフェがいいな。あそこのデザート、すっっごく美味しいんだもん! でも、もちろんサルが行きたい場所が別にあるなら、そこでもいいよ?」

 

「えっ? あ、ううん……う、うん、いいよ! す、すごくいいアイデアだと思う! ほら、時間がもったいないし、行こう!」

サルは慌てて出口へと向かった。アシュリーはクスクスと笑いながら首を横に振ると、彼の後ろを追いかけた。

 

カフェに向かう道中、エシュは周りのあらゆることについて絶え間なく話していた。鳥のさえずりがどれほど心地よいか、一部の教授や学生たちがどれだけ鼻につくか、そして家族がどれほど恋しいか……。

しかし、サルはその言葉をほとんど耳にしていなかった。それよりも、彼女の話し方の癖や、会話の最中に見せる身振り手振り、テーマによってコロコロと変わるかすかな表情の変化のほうに、彼の心は完全に奪われていたのだ。

プロテゼのせいで少年の表情を見ることはできなかったが、その瞳は言葉以上に多くのことを物語っていた。

 

ようやくカフェに到着すると、サルはエシュを先に通すように店のドアを開けた。彼女が選んだのは、公園が見渡せるパノラマウィンドウの近くの席だった。アシュリーはお気に入りのベルギーワッフルを注文し、サルはそれほどお腹が空いていなかったものの、シナモンロールを頼んだ。

たわいもない会話に夢中になるあまり、二人は次の講義がすでに五分も前に始まっていることにさえ、全く気づいていなかった……。

 

「サル! 遅刻しちゃう!」

サルの背後の壁に掛けられた時計をふと目にしたエシュが、声を上げた。

 

サルは振り返った。時間を確認すると、彼はプロテゼの下でニヤリと笑い、エシュのほうへ身を乗り出した。そして、まるで誰かに盗み聞きでもされているかのように声を潜めた。

 

「なぁ……次の講義、何だっけ? いっそ、このままここでサボっちゃわない? それとも、デコレーションバッグを持つ職人の『腕の傾斜角度の算出方法』とやらを、どうしても今すぐ学びたい気分か?」

 

アシュリーは思わず手で口を覆い、クスクスと笑った。

 

「もう、サル! 講義をサボるなんてダメだよ……いくら退屈だからって!」

しかし、ほんの少しの間を置いたあと、彼女はこう続けた。

「……でも、誰にも内緒にしてくれるなら、いいかも」

 

「やっぱりな。お前ならそう言ってくれると思ってた!」

少年は嬉しそうに彼女をからかった。

 

アシュリーは呆れたように舌を鳴らし、おどけて目を丸くした。しかし、結局は誘惑に勝てず、三分後には二人の大学生は公園を散策していた。

 

「なぁ、エシュ! わたあめはどう?」

少し先にあるスイーツの屋台を見つけて、少年が提案した。

 

「わたあめ、だって?」

彼女は少し考え込んだ。

「つまり私たちは、わたあめの作り方を実習するはずの講義をサボって、今から公園でそれを食べるってこと?」

アシュリーは笑いを堪えながら言った。

 

「まぁ……そうなるな! それとも、今から大学に戻りたい?」

 

「よし、わたあめに決まり!」

 

二人の 大学生は、体にしっかりと糖分を補給しながら、公園の散策を続けた。たわいもない会話を重ね、クスクスと笑い合い、クラスメイトや教授たちの噂話に花を咲かせているうちに、一コマどころか、丸一日すべての講義をサボってしまったことに、二人のうちのどちらも、全く気づいていなかった……。

 

夕日がそっと空を抱きしめるように、地表を暖かな茜色の光で包み込んでいく。二人の大学生のリュックは、肩からだらしなく垂れ下がり、背中でゆらゆらと揺れていた。ゆっくりとした足取りで、二人は川沿いの遊歩道へとたどり着いた。アシュリーが静かな川面に目を向ける一方で、サルは黄金色の夕光が彼女の横顔を優しく包み込む様子をじっと見つめていた。

川のせせらぎ、風の音、鳥のさえずり、そして遠くを行き交う人々の話し声だけが響く中、数分間の静寂が流れる……。

やがて、アシュリーがその沈黙を破った。

 

「サル……ドレイクが主催する卒業記念パーティーのこと、聞いた?」

 

「え?……あ、うん、うん……パーティーね。聞いたよ、それがどうしたの?」

 

「うーん……サルは行く?」

 

「俺? いや、全然行くつもりはなかったんだけど……。でも、もしエシュが一緒に行く相手を探してるなら、喜んで付き合うよ」

少年は無意識のうちに優しいトーンで話していた。プロテゼの裏側で彼が微笑んでいるのが、その声だけで十分に伝わってくる。

 

「あのね……私、サルと一緒に行きたいな」

いつもサルを魅了してやまない、あの温かな笑顔を浮かべながら、彼女は言った。

 

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